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(4)自分を信じること [2012年05月25日(Fri)]

種々のマインドフルネス&アクセプタンス

(19)ジョン・カバト・ツィン氏の哲学
 (4)自分を信じること

 マインドフルネス&アクセプタンス(M&A)を世界的にしたジョン ・カバト ・ツィン氏のマインドフルネス・ストレス低減法(MBSR)にあ る7つの態度(ツイン、1993)から、東洋哲学的なものとの類似性を推測しています。7つの態度は、静座瞑想、ヨー ガ瞑想、ボディスキャンをする時の心得とされています。
  • (1)自分で評価をくださないこと
  • (2)忍耐づよいこと
  • (3)初心を忘れないこと
  • (4)自分を信じること
     「自分自身や自分の感じ方を信じるという姿勢は、瞑想にとって、 とても大切なことです。」(ツィン,1993)という。(自分自身とは 、深いものである。感じ方は浅い作用である。)
     「注意集中力を養うトレーニングをとおして、自分自身であること に責任をもち、自分の中の声に耳を傾け、自分という存在を信じる、 ということを学んでいかなければなりません。」(ツィン,1993)( 自分という存在は、深い自分である。それを信じるのだという。)
     ただし「自分という存在」は、漠然としてわかりにくいかもしれない。ジョン・カバト・ツィン氏が尊敬するという道 元は、根底が仏性であるという。意識的自己の根底に仏性があり、そ れが真の自己であるとして信じる。どういう自分かある程度推測でき る。これを信じるのである。  「人々皆仏性あり。いたずらに卑下することなかれ。」 「人人皆な仏法の器なり。かならず非器なりと思うことなかれ。」 (懷奘,1993)
     この意味をだいたい理解して信じることができて、しきりに励まされれば、自分という存在を信じられるように なるかもしれない。これでもわかりにくく信じにくいかもしれない。西田幾多郎は、人間の評価、立場のない根底の有様を「内的生命の流れ」とい う。
     自分もできると信じて、正座瞑想、ヨーガ瞑想、ボディスキャンを 続けるのである。信じないとやめてしまう。
     しかし、信じることは難しい。信じる内容も段階がある。「自分も できる」というのは、意志的自己になれることかもしれない。 しかし、 自己存在は、もっと深いものがあるという。意志する自分の自覚だけではなく、 自己意識なくして行動する自己もある。自己なき自己もある。 自己を信じるのは難しいことである。ツイ ン氏のいう「自己存在」とは何だろうか。支援者は、自分なりの「自 己存在」とは何かという哲学を持っていなければならないだろう。さ もないと、マインドフルネスで支援する時に、「自分の存在を信じ なさいと言われましたが、自分の存在がよくわかりません。自分は弱く、嫌いですから信じら れません。どういう存在だと思えば自分だと信じられるのでしょうか 。」とクライエントから、質問されるかもしれないから。マ インドフルネスは、思考をも観察するレベルであり、思考(認知)レベルではないから、思考的(言葉)に説明することが難しい 状況になるかもしれない。欧米のマインドフルネスの推進者が、 支援者も体験していなければならないと注意するのはこうい う言葉ではわかりにくい態度があるからであるかもしれない(哲学的に理解しておくことは実践の方向を知ることができそうである。)。 「自己存在」は、文字の知識でわかるものではなく、 実践してわかるものであるようであり、ACTは、プロセスとしての自己ではなく、文脈としての自己、場所的なものという。ジョン・カバト・ツィン氏のもそういうものではないだろうか。 彼はこういう。
     「私たちの体には、肉体的な秩序から生まれながら、その肉体的な秩序をも包含する”精神的な秩序”が備わっている、ということができるのです。私たちの存在のレベルは、一つひとつが全体であり、さらにその全体はより大きな全体に組み込まれている、と考えることができるわけです。」(ツィン,1993b)(これは、西田哲学の「創造的世界の創造的要素」、自己の中に世界があり、世界の中に自己(および無数の個人)がある、というのに類似している。
     「信じる」ことは難しいから、痛みには、MBSRで2,3か月、実践したら「これこれの効果があった」とか、非定型うつ病には、1年実践したら「これこれの効果があった」 という他者の多数の体験結果は、他の人を信じさせるのに大きな力がある。 さまざまな領域に適用して、改善の効果や、自己成長の効果がみられた事例を蓄積していくことが、「信じる」ことに大きな力を発揮する。自分の体験を語ることは社会貢献になる。
  • (5)むやみに努力しないこと
  • (6)受け入れること(アクセプタンスの中核となる態度)
  • (7)とらわれないこと


  • ジョン・カバト・ツィン 1993「生命力がよみがえる瞑想健康法 」春 木豊訳、実務教育出版、 pp60-62
  • ジョン・カバト・ツィン 1993b,同 p277
  • 懷奘,1991「正法眼藏随聞記」岩波書店、p34およびp100


<連続記事・目次>種々のマインドフルネス&アク セプタンス
Posted by MF総研/大田 at 19:57 | マインドフルネス心理療法 | この記事のURL