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日本独自のさまざまな自己レベルのマインドフルネス [2012年04月14日(Sat)]
◆非定型うつ病はこんな病気
◆非定型うつ病はマイン ドフルネス心理療法(SIMT)ではこうして治す
◆非定型うつ病はマイン ドフルネス心理療法(SIMT)で治るわけ
★連続記事「マインドフルネス支援者の倫理/専門家の倫理」

<第3>  支援者になぜ体験が必要か

第2節 支援者も自己洞察スキルの体験者であること

 前の記事に関するコメント

★連続記事「さまざまなマインドフルネス、アクセプタンス」

さまざまなレベルの苦悩、葛藤に日本独自のM&Aを

 西田哲学がさまざまなレベルの苦悩・葛藤が克服される道筋を示している

 西田哲学(自己のレベルの種々の段階を場所的論理で説明)と坐禅の手法(自分の心の作用や 深い自己を探求する方法)と、神経生理学(心理作用が背外側前頭前野や扁桃体などに神経生理 学的な影響を与え、それが逆に心理に影響する)を応用した自己洞察瞑想法/療法(SIMT:Self Insight Meditation Tecnology/Therapy)の課題、手法の部分をまとめました。 2013年春に本が出版 されます。西田哲学的な、現在しかないこと、現れる現実は必然であるから受容すべきこと、自己は自由であること、自己の作用、内容の特徴、意志作用、意識的自己は思考の対象にすぎないことなどについては、課題の各所に分散して説明しまし た。しかし、深い自己、西田哲学による叡智的自己、人格的自己までの実践探求の全貌は記述していません。将来に 期します。

宗教的思想を含まない論理的な西田哲学に導かれての自己の探求

 自己洞察瞑想法/療法(SIMT)も、宗教的内容はなくて、精神疾患を改善するための手法なのですが、支援を開始した93年の頃から数年は、宗教ではないかと誤解された。日本では、似た坐禅 を使う宗教があるために宗教と誤解され、警戒されてきました。無理もないです。オウム真理教事件があ ったし、人をあやつるカルトが時々、話題になります。他の宗教を信じる人が多いし、公的施設では 、宗教を禁じている場所もあります。学校でも、宗教の宣伝になっては困ると思うのも、無理はないです。保護者は、さまざまな宗教を信仰している。宗教的に中立の立場から、M&Aを推進したい。 そこ で、この数年は、仏教、襌の言葉を用いずに、西田哲学の語や概念を用いています。SIMTの支援者 は、初級の講座では、西田哲学の基礎を実践的に学ぶ。仏教はほんのさわりを学ぶ。(仏教で説 明していた頃、受講された人には、いつか「自己洞察瞑想療法と西田哲学」の補講をし たい。)
 クライエントのセッションでは、直接、西田哲学のことは教えられないが、実践が課題の中に 織り込まれている。西田哲学とは知らないうちに、西田哲学の意志的自己の体得になっている。 さまざまな心理現象を映し包み受容して、自分の人生上の願いを実現できる意志作用を習得する 。そのことによって、感情的になることが少なくなり、衝動的な思考、発語、行動が少なくなるので、脳内に神経生理学的な変化(背外側前頭前野の活性化、扁桃体の沈静化など)が起こり、心の病気や家族の緊張不和が改善する。

さらに西田哲学の実践を深める=中級

  SIMTの支援者になった人は、もっと西田哲学の深さや、叡智的自己、人格的自己への探求(理解するだけではなくて自證すること、体得すること、実際生活に体現すること)を したい人がいるかもしれない。その標準的な手法、テキストを開発できるかどうか考えている。 西田哲学の研究者の論文や解説書は、「今ここで、実際体験」するようには記述されていないの で、そのままでは、M&Aになりにくい。M&Aの参考にしたい人には、研究者の書物はわかりにくく なっている。
 西田哲学の研究には、実践は不要だろうが、西田哲学でいう叡智的自己、人格的自己に近づく には、実践が不可欠である。その点が異なる。仏教経典の研究者と仏教実践者との違いに似てい る。人格的自己に近づくには実践が必要である。技術は理解しただけでは身についたかどうかわ からない。「行為して見る、見て行為する」。それで、技術が体得される。テキスト(言語表現)が正確になる。
 自己洞察瞑想法/療法(SIMT:Self Insight Meditation Technology/Therapy)の場合には、毎日3 0分程度自己洞察の実践(および、行動時の自己洞察)をすれば、色々なことを体験的に身につ ける。支援者になろうと する人も、そうしないと、他者の心の病気や問題行動、専門家(精神疾 患でない)のゆきづまりを改善するほどに十分指導できないだろう。 マインドフルネス心理療法 と標榜しながら、指導内容、指導方法が、 第2世代の認知行動療法における呼吸法、リラクセー ション法と同じになってしまうおそれがあ るのであろう。M&Aは、ACTがいうように「自己」の探 求である。「自己」とは何か、概念的自己か、 プロセスとしての自己か、文脈としての自己か( それは意志的自己の場所か、叡智的自己か、人格的自己か)。ACTもM&Aも、単 なる手法ではない 。「自己」探求である。その自己をどう把握するかで、アクセプタンス、マイ ンドフルネスの深 さ、広さが違ってくると西田哲学が教えている。 人は、さまざまなレベルの葛藤、苦脳を持つ。 人並み以上の業績をあげている人にも、成功しているようにみえる人にも、葛藤がある。 他人から賞賛され、経済的にめぐまれていても、自己自身に満足できない、自己自身を許せない 。意志的自己が求める人生の価値(対象的)実現ではなくて、自己自身の アクセプタンスが必要なのである。そこは、精神疾患の領域を超えたM&Aである。叡智的自己の探 求が必要であると思う。医師、看護師、教師、スポーツ者、芸術家の燃え尽き、限界も、このレ ベルに関連すると思う。

心の病気の改善は、意志的自己のレベルで十分

 2013年に発売される自己洞察瞑想療法の本は、浅いレベルである。心の病気や家族間の緊張 不和の改善の領域である。ただし、叡智的自己に入り込んだ手法を用いている。だから、その後 さらに、叡智的自己、人格的自己の探求に移っていくことができる。西田哲学による実践的自己 探求の基礎編にあたる。
 このように言うからと言って、自己洞察瞑想法/療法(SIMT:Self Insight Meditation Technology/Therapy)が万能というわけではない。「自己」の概念には、深さがあると東洋哲学が 教えている。その全体を概観していようという提案である。自分の全行程の海図を持ち、現在の 位置を知りながら、進もうとしている。 そして、深いM&Aが社会的に貢献できるわけでもない。 浅 い自己のM&Aの方が社会的な貢献では大であるかもしれない。仏教者や哲学者でも、実に深いものを知る 人がおられる。しかし、そのことと、社会のさまざまな現実に影響を与えたり、現実の指針とな っているわけでもないだろう。思考レベルと行動レベルは違うし、行動も一般的なものではなく て、個人個人の個性ある行動となるものでなければならない。

M&Aは、それぞれの職業の人が個性あるM&Aを推進できる

 実際、現実の社会は、個性的であり、仏教や哲学の専門家は、外部社会(たとえば、医療現場 、小学校の教師の現場)での実践は上手には見えない。当然である。小中学の教師の現場の苦労を知らな い、医療関係者の現場の苦労を知らない、さまざまな現実社会の苦労を知らないからである。そ れぞれの現実の場で、個性あるM&Aを開発できるのは、それぞれの現場の人である。
 宗教の宣伝のように思われたくないので、あまり、仏教のことを言わないのだが、これだけは 言っておきます。大乗仏教の本当の推進者は、「菩薩」といい、菩薩は寺の中ではなく、さまざ まな姿に変えて社会の職業現場の中にいるという。それが、大乗仏教の大乗仏教たる理由だったのです。M&Aの推進者も、様々な社会のあちこちに現れ るでしょう。家庭に、学校に、病院に、会社に、介護施設に、NPOのスタッフに、国会に、役場 に、スポーツ者に、芸術家の中に。 その人が、その現場にふさわしく、周囲の人に個性あるM&Aを指導できます。
 こういうわけで、自己洞察瞑想療法が万能であるはずもない。汎用的、一般的なモデルである。心の病気の人が自習する標準である。 特定領域の 現実の問題、障害の支援には、他のマインドフルネス心理療法の方が効果的かもしれない。 深い ものは無用かもしれない。そして、専門家には、意志的自己レベルのM&Aは不満かもしれない。専門的な領域で行為する、自己なくして行為する「行為的直観」のレベルではないから。
 西田哲学は、人間の深さを最奥まで教えている。世界の海図の ように、全体を見ておくことは損にはならない。 さまざまなM&Aの特徴を知って、効果がありそう なものを用いることができて便利である。SIMTは、西田哲学の実践化だから広い領域に適用でき るが、 私自身がうつ病のつらさを体験したので、精神疾患の自習による(月1回しか面談支援がなく、 自習が中心)改善に重点を置いてきた。支援を受けない人が自習する領域は、一応定型化した汎 用的なモデルをつくることができました。本を出版できる。心理士の方は、この本を読み、半年ほど実践すれば、他の人を指導できるようになるだろう。意志的自己レベルは、対象的レベルだから、理解しやすい。意志作用は作用の作用であって、なお対象的だから理解しやすい。これを提供できる人が全国に現れれば、 自習が難しい人に助言できて、うつ病、非定型うつ病、不安障害、過食症の人が改善して、自殺 せず、社会で活躍できるようになることを期待できる。

もっと深い探求

 自己洞察瞑想療法を受けた患者さんの中に、その後も自主的に自己洞察法を継続していて、深 い自己を体験した人が現れている。私どもの 支援活動は終了して離れていた人に起こっている。 病気を改善するSIMTの先に、叡智的自己、人格的自己のレベルがつながっているらしい。それは 、西田哲学の論理からも言える。このレベルまで定型化した実践モデルを作りたいものの、そこ まで探求したいという人はこれまではごくまれであった。その開発に時間をかけても、無駄にな りそうである。
 もっと、多数の人が苦しむ領域で、意志的自己レベルのM&Aを応用すべき問題がある。うつ病、 不安障害の領域でも、特定領域、たとえば、産後うつ病、がん患者のうつ病予防、終末期の自己 洞察探求、高齢者のうつ病、被災者のうつ病などの問題が気になっており、個性的なSIMTになる 。もう高齢であり、深いM&Aへの探求方法を開発するのは無理かもしれない。私は、今後、SIMTを 活用した特定領域(広く)の応用に向いたい。深いM&Aの実践の定型化(深く)は、方向づけだけ に留まるだろう。後者は、西田哲学の叡智的自己、人格的自己に到達する実践的なM&Aがあること のスケッチだけでもしておきたい。 必ずしも宗教(坐禅や念仏)によらずに深い自他不二の自己を体得した人(芸術家に多くみられる)が日本には多く現れており、 鈴木大拙が日本的霊性といい、西田幾多郎が解明した日本の 深い哲学に根ざした日本独自のM&A(誰でも叡智的自己、人格的自己になれる方法)の研究開発は興味ある課題であり、開発されれば社会貢献が大なることと思う。 (深い大乗仏教の哲学の実践、西田哲学の実践に相当する) 心身の衰えを感じるこのごろであり、若い人に期待する。今回の本と西田哲学、ワーキングメモ リ(作業記憶)の神経生理学の勉強をしていただければ、方向を理解していただける。
<連続記事・目次>種々のマインドフルネス&アクセプタンス
Posted by MF総研/大田 at 18:52 | マインドフルネス心理療法 | この記事のURL