• もっと見る
«被災者ケア教訓・・精神科に抵抗感・・まず保健師に | Main | セラピスト・カウンセラーを育成する人には哲学が必要になる»
(テレビ)不安に坐禅やマインドフルネスのトレーニング [2012年01月28日(Sat)]

(テレビ)不安に坐禅やマインドフルネスのトレーニング
 長く坐禅瞑想する人は背内側前頭前野が大きくなる(3)

 1月11日の NHK総合テレビ(ためしてガッテン  不眠ストレス緊張撃退 簡単トレーニング)で呼吸法の効果 を紹介して、1月25日に、NHK総合テレビの「あさイチ」で、ほぼ同じ内容が放映されました。

うつ病、不安障害の治療には無理だと

   テレビで紹介した方法だけでは心の病気を治すのは、無理でしょうと熊野宏昭早稲田大学教授が説明されました。 なぜかを、私がもう少しつけくわえておきます。テレビで紹介された方法は、広義のマインドフルネス心 理療法の技法(形式技法)の一つです。
 うつ病、非定型うつ病、全般性不安障害、パニック障害、PTSD、社会不安障害などは、基本的に 、あの方法を、半年、1,2年続ければ治るのですが、 患者さんから見れば、あの方法だけの説明では、長期間続ける動機づけがないので、やめてしまう でしょう。 それで治らない・・・。

 人間というものは、「自分のためになる」(幸福になれる、願いが実現する)ことを理解するな らば、不愉快なことでもするのです。治るだろうと願うから薬も飲むのです。 つまり、そうすること(薬、葉っぱに乗せて流す、「。。」と思った、などの実践) を「長期間、実行していると治りますよ」「こういう理由ですよ」という種類の助言 (自己洞察瞑想療法、SIMTでは、「目標技法」といいます)をし続ける と、「どうしても治りたい」と思いつづける人は、実践するから 治るのです。病理が生じている理由(病理論)、治す方針(治療方針)、治す方法(課題)、課題 と病理が治る理由の関係、実証データ(エビデンス)などを患者さんが納得することです。納得で きれば、「つらい考えを流す」「・・と思った」という、一見無味乾燥な実践を1年間(1週間で はなく)やり続けられる患者さんがいるのです。

伴走者がいると治る割合が高まる

 その時、家族の伴走者がいるといいのです。患者さんは、理解力、持久力が落ちています。病気 による本音(人にあいたくない、カウンセラーの言葉にも拒絶過敏、症状が強い日にはいきたくな い逃避など)が強くてともすれば脱落しそうになります。それを防止するのは伴走するご家族です 。 自分では実践せずに、「いいのだから、やりなさい」という監督者(カウンセラーも同様)ではな くて、いっしょに、 呼吸法やジョギング(毎日、どこか時間を作っていっしょにする)をして、いっしょに、カウンセ ラーにあうのです。数年も治らない家族のために、1年ほど、1カ月に1回くらいつきあってもい いのではないでしょうか。
 治すのは、医者、カウンセラーではありません。本人の課題実行行動が脳神経に作用するのです 。 家族の伴走がある人ほど治ります。家族がいない孤独の患者さん、別にすんでいる患者さんは、 伴走する人が持つ客観的な判断(上記の、こういう治療法で治りそうか)をご自分がしなければなりま せん。本人が固い決意を持ち続ける、「どうしても治りたい」という願いを持ち続けること (目標技法の一つ)が治癒のために重要です。それを支えるご家族がいれば、脱落が少なくなります 。家族が同伴できなければ、回数、時間の多い、入院合宿できるカウンセリング所をさがすことで す。今は、ゼロに近いでしょうが、将来はできるでしょう。

 NHKテレビでは、病気を治すのがテーマではなく、「不安、不眠を1週間で改善」 がテーマだったから、病気の人は医師やカウンセラーにというのはやむをえないことでした。 医師、カウンセラーなら治すマインドフルネス心理療法を知っている人がおられます。 欧米のものは多数の翻訳書が出版されています。 日本で開発されたものは、この春、出版されます。
 病気を治したい人は、「目標技法」に相当する手法までをとりこんでいる治すための マインドフルネス心理療法の課題を実践すると、病気が軽くなります。完治も夢ではありません。 5年、入退院を繰り返し家事ができなかった高齢の婦人も、夫の同伴、いっしょの実行によって治りました。多くの人が、 非定型うつ病、パニック障害、PTSDを治しています。
 1月28日、マインドフルメイトさんのところで講演いたしました。

テレビは、不安がテーマでしたが、 次の例は、簡単には治らない広場恐怖の例です。
Posted by MF総研/大田 at 21:13 | 新しい心理療法 | この記事のURL