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ホスピス・ターミナルケア [2011年12月25日(Sun)]

ホスピス・ターミナルケア

 けさの、NHK Eテレビの「心の時代」は、金城学院大学学長で精神科医の柏木哲雄さんのお話でし た。

「こころの時代〜宗教・人生〜「人は死を背負って生きている」
NHKのホームページの紹介は
    「生と死は表裏一体。人は常に死を背負っている」と、金城学院大学学長で精神科医の柏木哲夫さん は言う。柏木さんは、日本のホスピスの先駆けとして、40年近く淀川キリスト教病院で死と直面する 患者と向き合い、およそ2500人をみとってきた。そこで強く感じたのは「人は生きてきたように死ん でゆく」ということ。「死にゆく人たちに多くのことを教わった」という柏木さんに、人の死と向き 合って見えてきた心の世界を聞く。」
 余命が1カ月ほどとわかった患者さんをみとる病棟、ホスピス。モルヒネによる痛みなどの 身体症状の緩和のほかに、死の不安恐怖という心の痛みをどうケアするかが極めて重視される。 不安、恐怖のままに死にゆかれる人も多い。 柏木さんはキリスト教信者だからその信仰に基づいて心のケアをされる。

 日本人には宗教心がうすれているので、死に直面した時に苦しむだろう。私は、今、マインドフル ネス心理療法の研究をしているので、これのターミナルケアでの貢献には強い関心を持っている。 印象的なのは、私が私の父のターミナルの時に語ったことと、プロゴルファーのかたのご最期のことである。

最初のクライアントであった父

 父のこと。私は1993年から、外部に向けて心の病気の方に呼びかけで援助を始めたが、父の死はその前年だったからよく覚えている。父が末期がんと知った私は、東京から九州へ、仕事のあいまをぬって飛行機で病床の父を何度か見舞った。 「今ここ」にのみ生きていくことを切々と語った。最期に父はおだやかに逝った。だが、実は 、 父は33歳まで敬虔なキリスト信者で、教会のオルガン奏者だった 。私もおさない時に、教会に連れて行かれて、オルガンをひく父をよく見ていた。
 33歳以後は、なぜか教会に行かなくなっていた父が、終末期になって、私の語るのを聞いて、 信仰がよみがえっておだやかになったのか、それとも「今ここ」という私が説いた東洋哲学を実践し たのか、よくわからない。がんであることや余命を父には告知していなかったから、死について語る ことをはばかった。死後、父の遺品を整理する時、気づいたが、本棚にたくさんの仏教の専門書や西田幾多郎の『善の研究』(昭和20年ころの版)もあった。
 マインドフルネス心理療法や西田哲学は、宗教とは異なり、マインドフルネス心理療法と宗教は超えがたい断絶があります。今ここに生きるマインドフルネス心理療法は宗教とは違って、両者は全く違います。西田幾多郎が説明しています。いつか述べます。
 翌1993年から外部に向けてのといかけを始めた。生命が長い期間ある人のための、うつ病、不安については、1,2年かけて行う定型化されたマインドフルネス心理療法(SIMT)のプログラムが一応完成した。しかし、ひと月で、死に行く恐怖の克服についての定型化したプログラムはできていない。実際に依頼されないと試行できない。試行を繰り返してできていくものだと思う。

日本的な死生観も

 マインドフルネス心理療法(SIMT)のような東洋的、日本的な哲学、実践が、ターミナルケアに貢献 するのか課題である。1,2年前から、自己の死についての関心からマインドフルネス心理療法 (SIMT)にとりくむなら、定型化されたセッションの実践で、十分間に合うと思う。しかし、1カ月と いう時になってから初めて、「マインドフルネスをやりたい、死の不安についてとりくみたい」とい う人には、どう接していくかは研究の価値あるテーマである。日本人だから、あるいは、天国を信じ られない人もいるだろうから。それでも、死の恐怖の克服は重要だ。
 柏木さんがいわれるように、60歳を過ぎたら、信仰のない人は今からでも自分の死についての心構えを決めてお くことは大切だと思う。ちなみに、私には宗教の信仰はない。多くの日本人に似ているようで、自分の外部にあるというような神、仏、死後の天国、死後の浄土についての信仰を持っていない。鈴木や西田によれば、今生きている自己の底の底が浄土的である。
 死は、必ず来るのに、一月以内に迫っているのに、死後のことについて語ることが できないで、「ありがとう」とも言えない最期は、残される家族にも本人にも、つらい過ごし方だ。「 私はあと一月らしい。思い出を語ろう。あなたを妻(夫)とし、あなたを子として持てたことは幸福 だった。死んだら手続き(こういうインターネット関連の解約もある!!)関係はこうすればいい。色々とありがとう。」とおだやかに、語れればいいなと思う。実際は、どうなるかわ からない。

Posted by MF総研/大田 at 10:12 | がん・ターミナルケア | この記事のURL