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パニック障害、予期不安と広場恐怖 [2011年12月24日(Sat)]

マインドフルネス心理療法(SIMT)でなぜ治るのか(4)

●パニック障害、予期不安と広場恐怖

 パニック障害は、 動悸、心悸亢進、嘔気、過呼吸、窒息感、死ぬことに対する恐怖などが一斉におしよせるパニック発 作が起きます。この発作は強烈であって、一度これを体験するとトラウマとなって、外出すれば発作 が起きるのではないかと予期不安を起こして、 種々の場所や機会を回避する広場恐怖が生じて、社会生活(勉強、仕事、家族いっしょにでかけるな ど)が障害されます。 薬物療法によって、発作は起こらなくなっても、予期不安や広場恐怖が数年、十年治らない人も多い のです。社会生活に支障が起こって苦悩するので、うつ病(非定型うつ病になることが多い)を併発 することも多いです。発作が起きること、予期不安、広場恐怖のために、学校に行けない、仕事に行 けないなどの社会生活が障害されます。
 被災地の方も不安過敏、緊張が続くと、扁桃体が亢進しますので、後にパニック障害になるおそれ もあります。

 パニック発作の神経解剖学的経路は、次のような仮説が有力です。パニック発作の責任部位は PAG(中脳水道周辺灰白質)であって、そこの興奮が引き金となって、次のいくつかの領域に異常な興 奮を広げていくという説が有力です。
 @青斑核が亢進して、自律神経が異常な興奮→心拍数増加、血圧上昇
 A結合腕傍核→過呼吸、呼吸のタイミングの変調
 B網様核→驚愕反応(死の恐怖、制御不能恐怖)
(中脳中心灰白領域の亢進→防御反応 、 傍小脳脚核→過呼吸、呼吸のタイミングの変調という説もある)
 発作が起きる間は、PAGなどの神経生理学的な興奮があるわけです。そして半年、1年経過して発作 が起きなくなっても、予期不安、広場恐怖を起こして、 電車の乗れないことなどで社会生活が障害されます。悲観的思考の回路や扁桃体、交感神経の機能亢 進が持続しているのです。また、回避行動を抑制できないという前頭前野から帯状回認知領域の抑制 機能の低下もあるようです。
 このような、パニック発作が持続する人や予期不安、広場恐怖のある人でもマインドフルネス心理 療法によって改善します。
 課題の繰り返しの実行によって、不快事象の冷静な観察・受容、行動回避抑制の訓練になるので、 前記の機能異常が回復すると思われます。みだりに否定的、悲観的な思考をすることを抑制すること によって背外側前頭前野から帯状回の機能が向上し、興奮気味であった扁桃体や交感神経の亢進がし ずまってくるからです。 課題は、意志作用の実行訓練が中核となりますが、不安の感情、交感神経亢進による動悸などがあっ ても、あるがままに観察して行動を回避しない心の使い方ですから、背外側前頭前野から帯状回にい たるワーキングメモリの機能が活性化するから、 新しい行動を学習できます。前部帯状回に刻まれた恐怖条件づけが新しい建設的な反応に上書きされ ます。それで、行動を回避しなくなります。予期不安があっても行動を回避しなくなり、広場恐怖が だんだん減少するにつれて、予期不安も解消していきます。
 発作が頻発していた人でも、この課題を実行していくにつれて、発作回数が減少し やがて発作が起きなくなります。それは、発作が多い時には、これをつらいと考えることが扁桃体を 興奮させて、発作へのきっかけになっていたのが、課題の実行がすすむにつれて、悲観的な思考が少 なくなり、抑制機能が活性化して、発作への引き金が起こらなくなるためではないかと推測されます 。

(次は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、社会不安障害です)
  • 自己洞察瞑想療法(SIMT)でなぜ治るのか
  • Posted by MF総研/大田 at 21:51 | 新しい心理療法 | この記事のURL