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助かった命がなぜ(6) [2011年11月30日(Wed)]

NHKスペシャル 東日本大震災
 =助かった命がなぜ(6)

 東日本大震災で生き残った人に、自殺があいついでいる。一見、孤立していない人(家族がいる人も )も自殺している。 11月20日(日)、NHKテレビが報道しました。
 家族と同居しても自殺、5年以上たっても自殺が起きる。

 被災者の自殺を防ぐには、どうすればいいのか、 支援者は、「生活再建」と「思いを聞ききる」ことが大切という。NPOによるパーソナルサポートと 被災者同志のささえあいが紹介された。NHKの報道内容を見て、心の病気、自殺を減少させるのに、 まだ考えられる方法を提案したい。 20年近く、うつ病の方などと接してきて、一定の効果がみられるマインドフルネス心理療法(SIMT)としてまとめた私どもは、いくつかの提案をしたい。
  • 提案1)うつ病、PTSDなどが薬物療法などで治りにくい人の治療支援
  • 提案2)うつ病の予防
  • 提案3)生活不活発病、要介護状態への予防
 これらはみな、数年から10年の長期間の支援が必要であるから、他の地区から来るボランティアで はなくて、被災地に住む専門家(医師、看護師など)と住民のかたがやっていただけないかと思う。

提案1)うつ病、PTSDなどが薬物療法などで治りにくい人の治療支援

 すでに、「死にたい」ともらす人、自殺する人が増加しているから、確実に被災者の方が「うつ病」 になっている。「眠れない」という人も半年から1年後に「うつ病」になる可能性が高い。 精神科医がすくなく、また、薬物療法だけでは高齢者のうつ病は治りにくい。喪失の悲しみは薬物療法 だけでは癒えるのが難しい。心理療法の心得のある専門家、地域住民による心理的ケア、心理療法によ る治療支援を提案したい。 データを示したように、マインドフルネス心理療法(SIMT)は、うつ病、非定型うつ病、パニック障害、 PTSD,痛みなどに効果がある。  一定の人数の人がいれば、数ヶ月にわたるマインドフルネス心理療法講座を実施したい。受講の後は、 私たちがいなくても、受講なさった方がうつ病、PTSDなどの心理療法を提供できる。数年から10年た ずさわることができる人が岩手、宮城、福島に多数現われることを期待したい。
 埼玉、静岡、福井、大阪、長野などでは、月1回のカウンセリングを行ったが、被災地では、患者さんを毎週1,2 回、面談、グループセッションを提供したほうがいいと思う。地元の人でないと無理だ。専門家は専門家の手法、役割をはたすのにいっぱいであるから、治らない人がでてくる、自殺が起きる。これまでの治療法だけでは、うつ病、不安障害、自殺が減少していない。 これまでの理論、手法、常識を克服する必要がある。これまでうつ病の心理療法を提供しなかった人材も重要な役割をになう必要がある。看護師、心理士、ボランティアの市民などである。専門家は幅広い勉強をしなければならないから、どれも浅くなりがちである。ところが、うつ病専門のボランティア、心理士は、これだけに特化して勉強し治療スキルの向上に努めるから、大変、深い知識と経験とスキルを備えるようになる。被災地に必要なのは、両方である。ところが、うつ病を治すスキルに詳しい支援者がいないことが問題である。地元に、そういう支援者もいないと、自殺がなくならない。話を聴くだけ(*下記を参照)では、うつの病理(前頭前野、帯状回、HPA系、鉛様麻痺感、過眠など)や不安障害の病理(トラウマ、フラッシュバック、対人恐怖、広場恐怖、予期不安など)は治らない人がいる。長引くと、うつが深まり、つらい出来事をきっかけとして自殺が起きる。

治す理論、治すスキル、のない人が長く関わって囲い込んでいると自殺されるおそれ

 上記の (*)について、注釈しておきます。 うつ病やパニック障害は、認知行動療法やマインドフルネス心理療法が早期に治るということが確かめられています。PTSDは、このほかにEMDRがあります。そういう支援者につながず、スキルのない人が長く関わっていると、何かの出来事でうつを深めて自殺されるおそれがあります。自治体も、積極的心理療法の支援を構築すべきです。

 自殺が毎年3万人以上、さらに東日本大震災という、非常事態であるから、誤解していただきたくない。「だけ」ではである。傾聴は重要である。うつ病か非定型うつ病か、双極性か、 統合失調症か、不安障害かなどは傾聴して治療が始まる。 傾聴して、問題や病理が明確になったら、それをなるべく短期間で治す理論(仮設)に基づいて、治す治療法を提供しなければならないという意味である。うつ病や不安障害には、病理(脳神経生理学的な変調)がある。それを改善する理論と改善を実現する手法(治療法、課題)が明確になっている「心理療法」が必要である。働き盛りの人の復帰できない苦しみ、すべてのうつ病(そして深刻化した不安障害にも)の人にある希死念慮・自殺念慮があることを考慮すれば、病理論、治療論、治療法が明確になっている心理療法の有用性が理解していただけるであろう。
 また、PTSDの患者さんは、話を聴いてもフラッシュバックの症状に連鎖することもあるから、傾聴も難しい。
だからといって、日本の臨床心理学の主流になっている傾聴を否定しているのではない。傾聴型は、他の領域、病理レベルの深くない問題に多大な貢献をしていることを承知している。いたずらに傾聴を否定しているのではない。しかし、うつ病、PTSD、パニック障害には、自殺が伴う。心理的ケア、カウンセリング、心理療法には、向き不向きがある。逆に、マインドフルネス心理療法(SIMT)は、傾聴が貢献している問題には不向きかもしれない。病理でない、幅広い領域をカバーしていないから。今は、単独の心理学派の枠内で固執すべきではない。広く患者の立場、世界的立場で支援すべき時である。

 薬物療法の医師のほかに、うつ病、不安障害を期限目標をもって<治す>スキルを持つ人が、地元に育つ必要があります。うつ病、不安障害を治すには、1,2年かかります。よそから来る、短期間滞在のボランティアでは治せません、限界があります。5年10年の長期的な視野が必要です。

(続)
NHK スペシャル 助かった命がなぜ NHKの放送を見て提案 被災地の心のケア
Posted by MF総研/大田 at 19:39 | 災害とストレス | この記事のURL