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電車に乗れました(2) [2011年11月12日(Sat)]

電車に乗れました(2)

電車に乗れなくなるのはパニック障害やPTSD

 電車の中で、パニック発作が起きたり、電車の事故で瀕死の目にあって、 電車に乗れなくなる人がいます。自動車での移動が困難である大都会で 電車や地下鉄に乗れないと、実質、就職できなくなります。 自宅と職場との間が、自動車でなく、電車バスが必須だからです。 自家用車による出勤は無理です。交通渋滞で通勤時間が極端に長くなります。 また、渋滞そのことが恐怖です。渋滞中の車の中で発作が起きて、運転していられなくなるのではないかと 恐怖する。それで、渋滞になりそうな、自家用車通勤はできません。 予期不安によって行けなくなる場所が拡大していきます。 飛行機も、エレベーターも、高層階も、地下街も、映画館も、美容院も、歯医者も、橋も、ト ンネルもだめ。こうして、多くの場所を回避する「広場恐怖」。就職もできない、遊びにも行 けません。家族旅行もいけません。子供のために学校の父兄が行くべき行事にもいけません。不都合なことが多く、苦悩するので、ストレス反応によって、身体症状や抑うつ症状がひどくな ります。たいてい、非定型うつ病になります。パニック、痛みなどのほか、抑うつ、鉛様麻痺 、過食、過眠の症状がでます。重症の人は、長期間復帰できず地獄であり、自殺も起きます。

乗れました!(2)

 さて、先日、報告してくださった人は、 09年夏に、電車内でパニック発作が起きて以来、電車がこわくなりました。 秋には、ほとんど毎日、過呼吸としびれの発作が起きました。医者にかかって、薬をもらいま した。認知行動療法だといって「電車に乗りなさい」と指導されたが、こわくてできなかった とのことです。
 ある大学講座で聞いた知人から教えられて、10年6月、当研究所を訪れてカウンセリング を開始しました。ご本人の主訴は、パニックで広場恐怖でした。だが、痛み、疲労感など非定 型うつ病の傾向もありました。カウンセリングを始めてから10月に、過眠、体が重いという 症状が顕著となり、「非定型うつ病の症状のようです。それも、この心理療法を真剣にやれば 治る」と告げました。
 こうして、毎月1回のカウンセリングを続けて、8か月経過、ついに、11年2月、「電車 にひと駅乗れました。」と進展がみられました。そこに、3月、東日本大震災、自宅は被災地 からはるかに遠かったのに、高層階のマンションであったので、大層ひどくゆれて、こわい思 いをしました。 これで電車に乗るチャレンジの気持ちがしばらく後退しました。 この後も3回セッションを受けて、10年8月にセッション12までの標準的な手法を習い終 わり、カウンセリングを終了しました。あとは、自主的な課題実行にゆだねられました。全部 で14回のカウンセリングを受けました。セッション1から12まで受けました。
 そして、3か月後の11月に前記の報告がありました。非定型うつ病の症状も軽くなり、電 車 に乗れたのです。これから、距離を延ばすでしょう。何度か繰り返せば、予期不安もひどくな くて、就職、通勤できるようになるでしょう。外国におられるご家族に会えるように飛行機に も挑戦されるでしょう。
 毎日、何時間呼吸法をされたか詳細な記録があります。毎日30分以上です。ここまで、1 年半です。大地震のせいで、少し長くかかってしまいましたが、パニック障害は、熱心にやっ て、こういう経過をたどることが多いようです。第一世代の行動療法としてのエクスポージャ ー法ではうまく行かない人がいるのです。薬物療法だけで、エクスポージャー法は、あまりに 、ハードルが高い人がいるのです。長期間かけて、感情や動悸の不快さを受容し、価値実現の 行為に意識を向けるトレーニングを続けて、ようやく、高いハードルを超えることができます 。現実的な心理療法であると思います。

マインドフルネス心理療法

 =前頭前野、帯状回などの研究、ワーキjングメモリの研究、メタ認知などの研究などが追認してきた心の東洋哲学の実践、医療への現代的応用による貢献

 薬物療法が効果なく、他の心理療法で治らない難治性のうつ病、非定型うつ病、パニック障 害でも治るが、呼吸法を行いながらの自己洞察訓練(意志作用=ワーキングメモリ=背外側前 頭前野から帯状回の機能向上)により、病理を回復させるので、1,2年かかります。 これらの病気は、脳に変調が生じていて、思考をふるいたたせても回避行動をやめられない、 仕事ができない(ワーキングメモリが働かない)、起き上がれないのです。機能が興奮しすぎ る領域と低下している領域があって、長期間かけて脳神経に変化が起きるほどの機能回復訓練 が必要です。生まれて以来の長期間の人生経験によって、そのようになっています。短期間で 変えることは難しいようです。 長年、この心理療法をやってきて、拒絶過敏性、怒り発作、急な不安発作のある障害は、薬物 療法だけでは 完治させることが難しいのではないかと感じています。
 人生には、色々な試練があります。それにまけずに自分の価値ある人生を捨てずに生きていく心の使い方を種々の科学から総合した心理療法で、予防し、なってしまた病気、問題行動を治していきます。
 支援者、専門家にも、エゴイズム、我利我執の自覚をうながす哲学、様々な領域で、専門家が悩む人を囲い込みレベルの低い関与を続けてかえって人の苦しみを継続させることがあります。宮沢賢治の「どんぐりとやまねこ」現象です。
 第二世代の認知行動療法でも難しい人 がいます。専門家は、第3世代のマインドフルネス心理療法も真剣に考慮してほしいと思いま す。報告してくださった方のデータなどがあり、「エビデンス」に基づく心理療法と言えそう です。実践方法も定型化しておりわかりやすく、クライエントの実践次第であり、第2世代の ように、指導者の力量に左右される側面も少ないと言えそうです。しかし、支援者も自己洞察が求められます。自分の未熟さの自覚、スキルの向上が継続されます。 支援者が自己研鑽をおこたると、すぐに、クライエントに追い越されます。マインドフルネスは深いのです。 アメリカの心理療法者がいっています。固定したテキストはないのです。自分で実践して、自分で洞察、気づき、新しい言葉を生みだしていきます。さもないと、「薬物療法も他の心理療法もさんざんためした。もうこれしかない」と真剣に自己洞察を深めるクライエントのかたにおいこされてしまいます。アメリカの心理療法がいう「賢明な智慧」とか「文脈としての自己」とか、深い心があるので、支援者よりもクライアントのほうが深まる可能性があります。また、 瞑想ですので、他の瞑想(瞑想には何百種類もあるようです)をクライアントがとりいれたり、変性意識が生じた時に、適切に助言できないかもしれません。瞑想を深くしていけばどうなるのか、支援者自身が体験しておいたほうがいいのですから。
Posted by MF総研/大田 at 17:34 | 新しい心理療法 | この記事のURL