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うつ病の改善例・手記(3) [2011年10月17日(Mon)]
うつ病の改善例・手記(3)
 =マインドフルネス心理療法(SIMT:自己洞察法)によって症状が改善した事例

  • うつ病を治した方の体験談(1)
  • うつ病を治した方の体験談(2)(この記事からの続きです)
    (*筆者注)は、手記にはないもので、大田が加えたコメントです。

    途中で心の動揺もあったがのりこえた
     「あと一つ、今日乗り越えることのできた出来事をご報告させてください。今朝 6:00過ぎに入院している母から電話がありました。パジャマをよごしてしまい 、替えがなくて困っているから、今から持ってきてほしいということでした。正直 辛かったです。疲れがたまっていて眠かったので早朝の電話が辛かったこと、母自 身がみじめで辛い思いをしていること、なぜ次から次に辛いことが起きるのだろう ということ・・・頭の中がパニックで少しの時間起き上がることができませんでし た。とにかく今困っている母のために病院に行かなくては・・・と思ってもなかな か体が言うことを聞かない。母も辛いけど自分も辛い・・・入院をしてつらい思い をしている母のために、母の前で優しくできる余裕がほしいけど・・・もって行き 場のないくやしさにのどの奥がすごく痛くなりました。」

    つらい時はすなおに人の支援を得ればいいと思うと楽になった
     「とりあえずなんとか起き上がって、一緒に頼まれた尿とりパットを近くのスー パーに 買いに行くために、家を出ました。その間にいろいろと感情が巡ったのですが、 今自分の中に起きている苦しみを、少しでも姉に伝えることができれば良いかもし れない、 という考えが見つかりました。
     両親の離婚の件でも、今回自分がうつ病のきっかけに なった出来事の件でもそうなのですが、自分でなんとかしなくては・・・ 人に迷惑をかけては悪いから・・・という思いから苦しいということを母以外の人 には 口に出せずに、いつも心の中で抱えていました。平気な顔しているから周りは特に 気にせず にいてくれるのですが、実は自分の中ではいっぱいいっぱいで・・・キャパを超え ても 耐え続け、ついには自分の心がコントロールできなくなるまでになる。結局 その時には人の助けを借りずには立ち直れないほど心は壊れてしまい、簡単には 修復ができない状態になってしまう。考えてみればその繰り返しでした。
     でも、今回は 違いました。一人で抱えることが今は良くても、結果後でもっと大きな迷惑を周り の 人たちにかけてしまうことになってしまうかもしれない。それよりはまだ自分の中 でも 大きくなっていない苦しみを少し吐き出して、助けを求めることは悪いことでは ないのではないか。そう判断ができたのです。それは、逃げではないし、まぎらわ し行動 でもないのでは・・・きっと自分の心のためにも、周りの人のためにも、母のため にも 大切な選択だろうと思いました。
     それで、心はスッキリ。余裕を持って母のところへ行くことができ、「つらかっ たね・・・」 という言葉をかけてあげることができました。
     家に帰ってからとりあえず泣きました。辛いからではなくて、なんだかいろんな ことに 感謝の気持ちで。泣きながら母のパジャマを手洗いして、呼吸法で心を落ち着けた あとに、 反応パターンの振り返りをするために苦悩の循環図を書いてみました。 全然平気なんです。前の自分だったら間違いなく帰ったらすぐ寝ていた、 というか寝込んでいたのに、寝てまぎらわすこともしなかったし、ちゃんと朝食を 食べて、 洗濯もして、好きな楽器をやってみたい気持ちになったので、音楽を聴きながら好 きな楽器を吹くことが できたのです。姉にはまだこのことは伝えていないのですが、姉の負担にならない 程度の 報告で大丈夫そうなくらい、心は落ち着いています。」

    雨がふったらかさをさせばいい
     「この経験から得たこと・・・ 今までの自分は雨が降っても傘も差さずに、ひたすら走っていました。 なんで自分のところばかりに雨が降るのだろうと思いながら。 嵐になっても雨宿りをすることなく走り続けて、ついに体がボロボロになって 倒れて、起き上がることすらできなくなっていました。 いろんな人に助けられて、なんとか元気を取り戻せたけど、今度は 晴れの時でも傘を差していないと不安になるくらい、臆病になっていました。 でも、違うのですね。雨が降ったら遠慮なく傘を差せばいいのだし、 晴れているときは思いっきり、太陽を浴びればいい。 晴れの日もあれば雨の日もある。雨が降っても嘆かずに、雨から 学べることを学べばいい。せっかく傘があるのだから、ちゃんと活用して。 そして、晴れの日を待つ。晴れの日にたくさん太陽の光を浴びたら、 今度は日焼けをしすぎないように、日傘をさせばいい。 それでいつもいい塩梅でいられたらいいな。 ってなんとなく詩人のようになりましたが、そんなことを悟れました。
     自分自身の力にするには、まだまだ訓練が必要だと肝に銘じておりますが、 ここまでの回復のためにたくさんのアドバイスをいただいたことに心から感謝して います。

     本当に長々と失礼いたしました。 ありがとうございます。

     夜は気晴らしに東京にプロのブラスバンドの演奏会を聴きに行ってきます。 自分の心の健康を大切にしつつ、母の看病ができたら・・・今できること を楽しみながらやっていきます。
     また次回のカウンセリングでお会いできることを楽しみにしています。」

    演奏会を聴きに東京へ
     この頃、演奏会を聴きにいきたくなったので、演奏会にいった。こんな意欲がで たことが嬉しくて、メールで報告しました。
     「おかげさまで昨日はとても素晴らしいコンサートで、心を癒すことができまし た。 うつのひどかった頃は、家で音楽を聴くことすら苦痛だったので、また大好きな音 楽を穏やかな気持ちで聴けるようになって、本当に嬉しく思います。
     昨日は高校の恩師が出演されていたコンサートだったのですが、10年前と比べ ても格段に 素晴らしい演奏をされていて、大変感動しました。人の成長は、努力を続けること でどこまでも果てしなく続くものなのだと、あらためて勇気をいただきました。
     教えていただいた技法は、まさにその通りだ!と心から思うことができたので、 素直に実践することが できました。うつ病になるしくみを説いていても、治すためにはどうすればいいの かは書いていない本であったり、 こうすれば治る!ということを書いていても、なぜそうすることが良いかを書いて はいない本であったり、 今まで出会ったことにはその理論的な説明がなかったのです。自分の頭で理解して からでないと、 見たもの聞いたことを信用できない私には特にぴったりだったのかもしれません。
     あときっと、うつで起き上がることもつらいような状態の時にお話を聞いても、 理解する能力も衰えていたでしょうし、 苦しさに負けて信じる気持ちも、実践する気力もなかったかもしれません。そした ら、こんなに素晴らしい 技法を習得することもできずに、今もうつの苦しみのなかにまだいたかもしれませ ん。 まさにこのタイミングで出会ったことにも意味があったのだと思います。
     いろんな人がいますから、全員にあうカウンセリングはないのかもしれませんが 、一人でも多くの人がこの技法を習得して、うつやパニック障害の苦しみから解放 されてほしいと、願います。」
    5)薬を減らしていく




    (続く)
    ★そのほかのかたたち
  • Posted by MF総研/大田 at 22:25 | 新しい心理療法 | この記事のURL