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うつ病の改善例・手記(2) [2011年10月16日(Sun)]
うつ病の改善例・手記(2)
 =マインドフルネス心理療法(SIMT:自己洞察法)によって症状が改善した事例



  • うつ病を治した方の体験談(1)(この記事からの続きです)

    <2カ月経過>

     「お世話になっております。 カウンセリングを受けさせていただいている○○です。 おかげで、あの苦しみから解放されることができ、 本当に感謝しております。 うつの苦しみから解放されても、やはりまだ不安に感じることも あり、呼吸法を大切にし、身につけていきたいと思っています。 昨日のカウンセリングを受けて、こんなにも改善できていることに 自分でも正直驚き、本当に大丈夫なのか?無意識のうちに 無理をしているのではないか?という疑問が涌いてきました。 あの苦しみは2度と味わいたくありませんので、改善できてきていることに 油断せずにいたいと思います。 きちんと自分自身の中で振り返りをしたいと思い、その振り返りを 報告できたらと思いメールしました。」

    つらい日々
     「うつ病になって辛かったのが、その全てをできなくなったことでした。 起き上がることができないので、トイレに行くことすら辛い・・・トイレを何時間も ベットのうえで我慢することが、普通になっていました。トイレすらものすごく 遠いのだから、駐車場の車まで行くことは本当に気力のいることでした。 そんな体の状態で仕事を続けていたのは、今振り返れば自分でも不思議です。 抑うつがひどい時は、正しい判断ができないという話が昨日の話題の中で でてきましたが、本当にその通りでした。その時の自分には、「仕事に行くか 死ぬか」の選択肢しかなかったのです。仕事でなんとかもっているような状態だから、 仕事を休んだら自分はダメになってしまう。休んでも家で寝ていること以外 何もできないから苦しい。仕事に行くことも苦しいし、休むことも苦しい、だから 死ぬしかない。毎日どうやって死ぬか・・・そればかり考えていました。その頃、長時間の 眠剤しか効かなくなっていたので、それまでもらっていた眠剤がたくさんあまっていていて、 死ねるのかな・・・とそれを捨てられずにいました。 その時点で、自分で休職する判断などもちろんできませんでした。理解のある職場で、業務命令で休職にしてもらえたことが、今思えば一番始めの 命拾いだったように思います。それでも、休職することに対して、最後まで抵抗していました ので、やはり正常な判断は全くできていませんでした。」

    死にたい、本当に本当に苦しかった
     「なんとか一命を取り留めて休職したのですが、多少落ち着きは取り戻せたものの、 抑うつは強く、とても苦しい時間をずっと過ごしていました。過去の後悔と 未来への不安でいつもいっぱいで、休息なんてできたものではありませんでした。 うつで一番つらいのはやはり、死にたいという気持ちでした。死にたいけど、 死んではいけない。まさに生きることが終身刑のようでした。死に対しての考えも 正常ではなかったので、TVで事故や事件で亡くなった人に対して、責められることなく 死んだのだからうらやましい、とさえ思っていました。逆に自殺した人や殺人を犯してしまった 人に対して同情の気持ちがありました。自分には全く価値がない、世界の人を 価値のある順番にならべたら(そんなものはなくみんな同じように価値があるのだと 今は思いますが)自分は最下位にいる。自分がいても迷惑をかけるだけ。でも、 自分が自殺をしたらもっと迷惑をかける。自分が持っている荷物の山を片付ける 姉達のことを思ったら、申し訳ない。お葬式の費用も残せずに死ぬことも申し訳ない。 自分が死んだら悲しむ人がいる、ことよりも迷惑をかけてしまうから、自殺はしてはいけない。 そう考えていました。この両腕をなくせば元気を取り戻せるなら、腕なんていらないから うつから解放されたい。腕がなくて大変な思いをしている人に対しても申し訳ないのですが、 そんなことを毎日思っていました。うつは苦しい、本当に本当に苦しかったです。」

    カウンセリングを開始して2か月、日常いつもおだやかなことが多くなった

     「うつの苦しみの中にいた時はもちろんですが、うつ病になる前と比べて 自分自身で変わった点は、心がいつも落ち着いているということです。 以前の私は常に忙しくしており、忙しさの中で自分を保つことに快感さえ 覚えていました。 休む時間を犠牲にしてでも、仕事・勉強・遊び・趣味・人のためになること、  それらを全てこなすことで、自分の存在価値を見出そうとしていました。 いつも時間に追われていて、車の運転でも80〜100km/h出すのが 当たり前で、そのうえ運転しながらメールの返信をするのも日課でした。 食事をゆっくり味わう時間などなく、TVを観る暇もなく、睡眠時間も短いのが 当たり前で、平日も予定でいっぱい、土日も休む暇なく動きまわっていました。」


    朝起き、朝ごはん、呼吸法で、変わった
     「あの状況から今の自分がいることが本当に不思議なのです。何が変わったのか、 それをきちんと理解しておきたい、それをこれからの人生に役立てたいと思います。 話が少々ずれてしまいましたが、先ほども書いたとおり、心が落ち着いているということ があります。他の人も認める大きな違いが車の運転なのです。スピード狂だった私が、 時に法定速度以下で運転していることもあるのです。さすがにそれは逆に危険だから もう少しアクセルを踏むように、友達につっこまれましたが・・・大きく考えると 生き急ぐことをやめたというか、以前の私はいつでも全力で動きまわり考えていることが マイペースだったのですが、そのマイペースがものすごくゆっくりになったように思います。 抑うつがなくなったことが嬉しくて、ついつい前のペースに戻ってしまいそうになった時も あったのですが、そこできちんと学習をすることができました。 「油断しないで、今は呼吸法を続けることを大切にするように」という アドバイスのおかげです。呼吸法をする時間を持つことで、心にリセットする時間が もてるようになった感じで、ただ忙しく用事をこなすのではなく、取捨選択ができるように もなりました。今すぐやる必要のないことを無理してやらずに、まず一息おく。 その間に本当に大切なものが見えてくるように思います。 このゆっくりペースの維持と呼吸法の習慣は、この先仕事をまた始めた時にもきちんと 続けていきたいと思います。 それから、朝食を食べるということもものすごく自分にとって大きな効果があったように思います。 朝起きられないのが本当に辛かったのですが、朝起きることがセロトニンの分泌のためにも 良いこと、そして朝食でブドウ糖を摂ることが、前頭前野の働きのために大切であること、 そのことを教えていただいたおかげで、今までほとんど食べることがなかった朝食を食べることが、 習慣になったのです。うつが治るならと頑張って始めたのですが、ちゃんと工夫して作って 食べることが楽しくなり、作った料理をデジカメで撮影して残しておくようにしました。そのうちに、 昼食、夕食を作るのも楽しくなり、毎回デジカメで出来上がりを撮影して、自己満足しています。 本当に不思議なもので、朝食をきちんと食べると、午前中から活動ができるのです。 炊事が楽しいと自然と他の家事も楽しくなってきました。一日中もしくは午前中いっぱいは 起き上がれなかったころは、一日が苦しいだけであっという間にすぎていたのですが、 朝から起きられるだけで、こんなにも充実した楽しい一日が送られることに感謝しています。 料理がうつ病回復のきっかけになるというのも、納得です。」

    睡眠薬が不要に
     「何より嬉しいのが睡眠剤のお世話にならなくなったことです。生活のリズムが正常に戻りつつ あるので、夜普通に眠くなるようになったのです。心が依存してやめられないのでは・・・ と不安だったのですが、まず一つ薬をやめられました。できればもう少し早く起きられるように なることが目標なので、この調子で焦らずやっていこうと思います。」

    受け入れて転じるこころの使い方を呼吸法で体得した
     「抑うつの苦しみから解放されるうえで、とても自分の中で心に響いたのが「受け入れて 心を転じる」ということでした。苦しいこと嫌なことを思い出してしまうことは自然なことで 誰にもあり得る当たり前のことなのであるから、それを嫌わずに受け入れて流してしまう。 うつ病の苦しみから逃れたい、そのためにどうすればいいのかを模索して、いろんなことを 調べたり試したりしてみて、行き着いた答えは結局自分自身で解決していくんだってこと でした。でもそれはどうすればいいのか? この先もたくさんの苦しみや悲しみを乗り越えて いかなければならないのに、この弱い心でどう対処していけば良いのか?
     その答えがこれだったと思います。後悔、恨み、妬み、でいっぱいだったあの頃が うそのように今は心が晴れています。この先も何事にも動じない心を得るためにも、 受け入れて心を転じること、辛いと感じたときには呼吸に意識を向けることを、 続けて訓練していこうと思います。
     何があっても心を入れ替えて、嫌なことはすぐ忘れてしまう人はうらやましいな・・・
    と思っていました。自分はなぜこんなに考え込んでしまうのだろう・・・と生まれながらの 性格や育った環境のせいにして自分もそうなれるとは思えずにいました。でも、 訓練すればなれるのですね。といってもまだまだ努力が必要ですが、明らかに変われた 自分を実感できるので、なれるのだと信じることができています。
     長々とすみません。以上がカウンセリングを始めてから2ヶ月の自分の変化と 振り返りです。読んでいただいてありがとうございました。」

    途中で心の動揺もあったがのりこえた


    (続く)
    ★そのほかのかたたち
  • Posted by MF総研/大田 at 21:14 | 新しい心理療法 | この記事のURL