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心の病気と前頭前野(1) [2011年10月06日(Thu)]

心の病気と前頭前野(1)
 =ワーキングメモリー(作業記憶)

=瞑想で機能向上

 うつ病、非定型うつ病、不安障害(社会不安障害、パニック障害、PTSD、強迫性障害など)、 過食症などが薬物療法で治りにくいこと、再発が多いことはよく知られてきました。 それは、前頭前野の機能が薬物療法だけでは回復しにくい人がいるためであると思われます。前頭前野を回復させる心理療法が効果的であることを理解して、課題の実践の動機にしていただくために、 前頭前野と心の病気との関係を見ておきます。
 前頭前野の機能の一つは、ワーキングメモリ(作業記憶)です。
 「ワーキングメモリーとは、言語理解、学習、推論といった複雑な認知課題の解決のために必要な情報(外から与えられたもの、あるいは長期の記憶から呼び出したもの)を必要な時間だけ一時的にアクティブに保持し、それに基づいて情報の操作をする機構」(211P)
 この一瞬一瞬、刺激や他人からの問いかけに対して適切な情報を呼び出して保持し、処理して、答えや応答を出力します。それが終わったら、その刺激や情報はすぐに忘れてかまわないものです。しかし、すぐ次の瞬間に必要な情報の保持と検索、決断、処理があります。その瞬間に必要なことを思い出して処理していくことの連続です。
 ワーキングメモリー(作業記憶)は4つの部分からなるとされています。
  • 「音韻ループ」内容をリハーサルなどで言語的に保持するシステム
  • 「視空間記銘メモ(スケッチパッド)」言葉ではなく、空間的なイメージを操作したり保持するシステム
  • 「エピソードバッファー」音声、視覚、空間情報を統合した表現を保持し、さらに意味情報や音楽情報も統合する。長期記憶から引き出したものも保持するシステム
  • 「中央実行系」音韻ループ、エピソードバッファー、視空間記銘メモ を制御し長期記憶と情報をやりとりするシステム
 中央実行系は、背外側前頭前野や前部帯状回が重要な役割を果たしています。うつ病の患者は、これらの機能が低下しているといいいます。 うつ病、不安障害、過食症などになると、仕事がうまくできなかったり、 自分を苦しめる思考や行動をコントロールできませんので、 このワーキングメモリーの機能がうまく働いていない状況にあることがわかります。問題行動(自傷行為、虐待など)、非行犯罪もそうです。重いうつ病では、主婦が料理もできなくなります。材料や作る手順を思い出せなくなります。
 薬物療法はセロトニン神経や扁桃体に作用する薬が用いられますが、薬物療法だけでは回復しない人や、抑うつ症状(ワーキングメモリーとは無関係の部位の症状)が軽くなっても、復帰できない人がいるのは、このワーキングメモリーの機能をはたす前頭前野などが十分に回復していないためであると推測されます。こういう心の病気や問題行動、非行犯罪などが薬物療法だけでが治りにくく、再発しやすいので、回復のためには、ワーキングメモリーの機能、すなわち、背外側前頭前野 の機能が回復するようなトレーニングが必要となることが了解されます。 なお、前頭前野はワーキングメモリーの機能のほかに、種々の機能(記憶、プランニング、行動抑制、感情コントロール、意思決定など)があります。心の病気と関係しています。
 こうした前頭前野の機能は、自己洞察瞑想療法では、ほぼ「意志作用」です。 意志作用の機能回復が、心の病気を治すことになります。

(続く)
 自己洞察瞑想療法は、心の哲学、脳神経生理学、その改善課題の実行(呼吸法や意志作用の要素の活性化訓練)を統合した心理療法です。
心の病気と前頭前野
Posted by MF総研/大田 at 20:40 | 新しい心理療法 | この記事のURL