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わずかの指導で自主的に実践、うつ病が治った [2011年09月06日(Tue)]

再発を繰り返していたうつ病が改善
 =4カ月のグループ・カウンセリングの修了後も呼吸法を続けて

グループ・カウンセリングは期限つきだが

 認知行動療法は期限目標をもって指導するのが原則です。私どもの自己洞察瞑想療法 (SIMT)も期限目標を設定しています。指導内容をもっていて、3〜12か月(毎週、隔週、 月1回でこういう期限となる)の間に スキル移転をはかる。あとは、自主的に実践していただく、こういう方針です。
 そうですから、このグループ・カウンセリング(グループ・セッション)の間に、 完治しない人もいます。そうであっても、支援者からの直接指導が終っても自主的に呼吸法 (自己洞察瞑想法)を続けていくと、自分で自分を治すことができる、そういう事例があり ます。

グループ・セッションの後、自主的に呼吸法を続けた

 次のような、嬉しいご報告を受けました。
     「私は2006年10月から2007年2月まで土曜日のグループカウンセリングを受けていた ○○と申します。 2008年5月頃からうつ状態が回復し始めまして、2008年8月以降は毎朝40分の呼吸法トレーニ ングを 欠かさず続けております。うつの再発につながりそうなストレスは現在でも時々ありますが 、 以前とは比べものにならないほど速く立ち直ることができるようになりました。 このように回復力を取り戻せたのも、そちらで適切な呼吸法の指導を受けたお蔭と思い、 (以下、省略)」
 この方は、若いころから、うつ病の再発を繰り返しておられたそうです。この方は、この たびの、東日本大震災には、被災地にボランティアとして復旧のお手伝いに3回も行かれた そうです。あのように重いうつ病を乗り越えられて、ほかの方の支援までなさるとは、驚き です。
 貴重なご報告です。4か月という短期間のマインドフルネス心理療法の受講であっても、 その後、自主的に実践していれば、治ることがあるということを実証してくださいました。

ボランティア活動も効果

 なお、ボランティア活動が回復のきっかけになったと言っておられます。
     「直接の回復の引き金になったのは、2008年5月にボランティア活動 (ホームレスの人たちへの炊き出し)に加わったことでした。 そこからのつながりで、今は原発事故後の除染活動に加わっております。」
    (途中省略)
     「炊き出しに参加しはじめた頃に、「自分も苦しいけれど、そういう自分でも他の人の役に立つことができる」という喜びを感じたことを覚えております。」
    (途中省略)
     ボランティア活動の中で、他の人の価値観との違いを感じて、心の中に葛藤も生じそうになったことがあったそうで。
     「以前の自分だったら、そのような自分との価値観の違いにもストレスを感じていた のですが、今は、(中略) それだけの理由があるのだろうと思えるように なりました。こういう自分の精神状態の維持(進化)は呼吸法を抜きにしては 考えられません。
    今カウンセリングに通っていらっしゃる方々にもおそらく様々な事情と 葛藤があるのだろうと思います。一人でも多くの方が一日でも早く光明を 見つけられるよう願っております。」
 呼吸法(自己洞察法)をしばらくやって、心のプロセスがわかるようになり、一応、不快事象の受容の基本を学習したら、実際に他者とのコミュニケーションができる場に出ていくことは うつ病の回復にとても大切です。コミュニケーションにより、前頭前野のリハビリテーションになります。他者との会話、協働作業のなかで葛藤、感情が生じます。その対処がうまくいかなかったのがうつ病の発症や持続なのでした。呼吸法(自己洞察法)を学習して、新しい心の反応パターンを習得した段階で、ボランティア活動に参加させてもらうことは、どれほど自分が変わったか試すいい機会でもあります。 他者のために働くことが自己の成長になるという素晴らしい機会です。実際行動に移るのは、なかなか、できないことです。
 なるべく、行動することが、うつ病の回復になります。行動活性化手法はセッション2で、社会的活動への参加は、セッション8でおすすめします。
このかたは、呼吸法やボランティア活動参加で、うつ病を克服されたのですね。
 ただし、
 「ただ、一口にボランティア活動といいましても、その現場は実に様々です。 2008年以降、10カ所以上の活動に参加してみましたが、中には、これでは「うつ」が 再発したり悪化したりするだろうと思ったところもありました。」
と注意しておられます。
 確かに、人間関係や活動が厳しすぎては、かえって逆効果ですね。自分にあうものを選ぶべきですね。

プログラムの変遷

 この当時は、わずかに、4か月のグループ・セッションですが、 こちらのプログラムは改善効果をめざして、手法と理論の定型化の研究、試行を続けてきたので、変遷があるのです。
 この年(06年)の春、アメリカのマインドフルネス心理療の翻訳書(前年9月出版)を知りました 。それで彼らのグループ・セッションが8週間で修了するのを標準としているのを知りまし た。期限のないカウンセリングではなく、臨床試験で効果を確認する「治療法=医療」です から、期限をきって、効果を確認しています。
 彼らが8週間で行うのなら、私もそういうふうにやってみないといけないかと思い、8回 のカリキュラムを構成して、実行しました。 毎週やったケースでは、2カ月で修了になります。 隔週ですと、4か月で修了です。
 最近では、セッション1から10まで(特殊問題はセッション12まで)として、標準化 しています。当時とは内容が大きく変更になっています。提供の方法は、毎月1回なら1年か けます。1回で、2つのセッションを進めて、半年(6−8回で)で修了することもあります。事情によって、月2 回、延べ3か月で行うこともあります。

毎日40分の呼吸法

 どのような方式でも、ひととおりの全過程(昔はセッション1から8、今はセッション1 0まで、深刻な問題は12まで)の実習のセッションに参加なさって、あとは自主的に行うことになります。
 別のグラフでは、半年で、顕著な改善がみられた事例でした。しかし、この方の例では、 グループ・セッションが修了した4か月経過の時には、ほとんど、改善がみられませんでした 。当時の方針によって、プログラムが修了したのですが、最近のご報告のように、その後、 1年たってから回復されたのです。ボランティア活動への参加も効果的であったことは上記のとおりです。 やはり、重いうつ病、再発を繰り返したうつ病が治る(ボランティア活動や就職への意欲も出てくるまでに)には、1年から1年半のマインドフルネ ス心理療法を必要とするようです。2−3か月で、完治というわけにはいきません。 他の方の多くの事例からもそうでしたから、かなり改善するところ(1年ほど)まで、クライエントの方 と私どもが<伴走>するのがよいだろうと判断して、最近では、 次の方式を標準とします。プログラムを早く修了させずに、少しの間、途中経過を見守り続 けます。希望により、日記指導をします。課題実施量と簡単な生活記録、症状やつらい出来事を書いていただいて(傾聴となります、グループ・セッション方式ではこの方法がいいようです)、助言をします。
  • 毎月1回、1セッションをすすめる。10か月(または12か月)で修了。希望者には、並行して日記指導。あとは、自 主的に実行していただく。
  • 毎月1回、2セッションをすすめる。5か月(または6か月)で修了。あとは、自主的 に実行していただく。希望により半年ほど、日記指導。
 再発を繰り返していたうつ病が、今は重くなることなく、仕事に、ボランティア活動に活 躍なさっておられる方があります。どのような期間のプログラムでも、全体を受けて、その あとは、それを復習するようなつもりで実行なさっていると、1,2年で、改善するようで す。呼吸法や行動活性化手法の課題の実行が、脳の中に、静かな変化を起こして、症状を改善するのですね。 薬物療法と違って、急速な改善ではありませんが、ストレスの多い長い人生を強くいきぬい ていく心の免疫力を活性化させるようです。半年、1年、グループ・セッションを受けても 、改善しなかった人も多いでしょう。この方のように、ずっと続けていかれると、きっと症 状が軽くなることでしょう。それでも軽くならない症状は受容して生きていく力がそなわる ことでしょう。
 ○○さん、グループ・セッション修了後(指導者の支援がなくなっても)でも、40分の 呼吸法を継続していると、改善する時が来る、重い症状に再燃しなくなるという貴重な事例です。 やはり、毎日30分から40分というのが、十分な「薬の分量」ということになります。 ありがとうございました。
 最近、ほとんど毎週、地方都市にでかけていて、ここ最近で、一番忙しい状況になってい まして、ブログの更新もできない有様です。関東地区でのグループ・セッションも開催できなくなってい ます。今、本を執筆中ですので、来年春に出版されましたら、全国の方に読んで実行してい ただけるようにします。本を読むだけでなくどうしても、時々、実習のあつまりに参加したい という方のために、新しい方式の実践会を(おそらく、東京と被災地で)企画するつもりで す。本の出版を機会に、全国に、この心理療法のカウンセラーが増えることを期待します。 すでに、カウンセリングを始めておられる方は、本を読み実践なされば、他のクライエントの方を指導できるようになる方がおられるでしょう。知識の理解(思い出す、知識、陳述記憶)によらずに、身につける(その瞬間に発動される機能的行為の体得、非陳述記憶=手続き記憶化)反応パターンです。
Posted by MF総研/大田 at 07:37 | 私たちの心理療法 | この記事のURL