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<目次>専門家のエゴイズム、立場の執着、無意識・意識的自己保身 [2011年08月16日(Tue)]

うつ病など精神疾患が「5大疾病」に指定

 =専門家の我執・エゴ

 うつ病などの精神疾患が「5大疾病」に指定されました。 それについての解説記事がありました。  この記事の中に西田幾多郎がいう「専門家、技術が粗雑さ、熟練」の問題の片鱗が指摘されています。

 「また、未受診の患者を発症の初期に見つけて、悪化を防ぐ早期支援体制も拡大が予想さ れる。」とあります。認知症にはこれがあてはまるのかもしれません。 しかし、うつ病の場合、下記に指摘されているように、軽いうつ病であれば、認知行動療法で治 るかもしれないのに、副作用や、多剤投与されて副作用によって悪化、長引かせてしまう場合もあるでしょう(もちろん一部です。一部の患者がながびくことが患者さんを苦しめる)。臨床試験は1剤で確認されているのに、同時多剤投与されると副作用によって、思考力 が低下して苦悩を深めてかえって症状を悪化させることもあるでしょう(もちろん一部。NHKも報道しました)。 ボーっとしているとか、副作用がつらいということが心理ストレスとなり抑うつ症状をかえ って悪化させることがあるでしょう。うつ病は症状や副作用を「つらい」と思うことが心理的ストレスとなり症状を悪化させます。

 国立精神・神経医療研究センターの大野裕・認知行動療法センター長の言葉として、 「早期に対応すれば、薬物療法だけでなく、考え方の偏りを修正する認知行動療法も活用で きる」と伝えられています。 軽症のうつ病には、まず心理療法を行うのが副作用もなく、心理的対処を身につけて悪化も させないかもしれません。認知行動療法が全国どこでも受けられるようにしてもらいたいも のです。学生、働き盛りの人がうつ病で1,2か月休学、休職になるのはつらいことです。 症状ばかりではなく、休学、休職になっているということを嘆くことが心理的ストレスを加えることとなり症状を悪化させるので、その心理的ストレスの対処指導と、できるだけ早く回復させることが大切です。

   誤診についても指摘されています。
 「診断の問題は、うつ病でも存在する。大阪市で先月開かれた日本うつ病学会総会で、講 演した複数の精神科医が「抗うつ薬の販路拡大を目指す製薬会社のキャンペーンに影響され 、診断が過剰になった側面がある」と語った。
 病気ではないのにうつ病と過剰診断した結果、対人関係を原因とする一時的な落ち込みに まで抗うつ薬が処方され、休職期間をかえって長引かせた。」
 これは、製薬会社の販路拡大に医者が影響され、不幸な患者(もちろん一部。適切な使用をする医師も多い)を作り出した構図が指摘さ れています。薬物療法のみしか教えられない日本の専門家(精神科医)の我執(自己の技術一つを絶対視する)の一つです。患者さんの一部を治らないままに長引かせている・・。 治りにくい患者さんを認知行動療法のできる専門家に紹介するということがなされない。

 次のような新たな問題が出そうな動きがあります。

 「今回のうつ病学会総会で製薬会社がPRに最も力を入れたのは、そうとうつ状態を繰り 返す「双極性障害」だった。ある精神科医は、会場でこう皮肉った。
 「製薬会社の活動で、今度は双極性障害の“患者”が急増するだろう」」
 これからは、医者が双極性うつ病だと診断を下し、その薬物が多くの患者に投与されるだろうという皮肉な予 想です。

 「薬物治療についても、統合失調症患者に不適切な薬を大量に処方する多剤大量投薬の問 題が残る。抗うつ薬の服用で、自殺衝動が表れる人がいることも問題になった。」
 うつ病の多剤投与の問題は、NHKが報道し出版もしました。専門家のエゴで、不幸な患 者(もちろん一部)が作りだされました。

 「今後、5大疾病の治療の一翼を担う精神科医の責任は、ますます重くなる。社会の信頼 を得るためには、関連学会が精神医療の問題点を自ら洗い出し、専門医の実力を高めるため の対策を早急に講じるべきだ。」と解説しています。

 薬物は効果があるとされる病気に、適切な量を適切な期間投与されないと、かえって害になることもあるのは医師にとっても国民にとっても常識でしょう。しかし、うつ病については、このことが大雑把なようで、副作用なのか本来の症状なのかわからず、治るのかどうか患者さんにわからず苦しみが続きます。発症の原因となったストレスよりも治らないことが苦悩を深めます。がんや他の病気ならば、治療を受けても、治る見込みがないような状況が続くと、抑うつ症状が深まります。うつ病の場合、精神作用が回転しなくなるので、学業(学生の場合)や仕事、社会的文化的な活動が難しくなるので、苦しむのです。自殺も起きるのです。 他の病気ならば、病気があっても、病気とともに生きがいとなることで生きていくことが言われます。しかし、うつ病は、そういうことがいえないつらい病気です。
 うつ病は、認知行動療法で治る患者もいるのですが、日本では傾聴型のカウンセラーが多く、認知行動療法のスキルのないカウンセラーに相談しているために、長引かせる事例もあります。これも善意(悪意はないがスキル不足)による専門家の被害みたいなものです。患者の立場からは、「うつ病を治すスキルを習得していないのなら、そう言ってくれ」と言いたいでしょう。 「病気」なのですから、病気を治す原理と治療技術が必要です。薬もカウンセリング技術も、 誠実な専門家が誠実に適切に用いることが求められているはずです。開発段階で 厳密に試験されている。しかし、技術が多くの専門家に拡散されるにつれて、粗雑に用いる事例がでてくる。誠実な専門家も熟練するほどに、自己の限界を越えた事例を同様に扱う誘惑にかられることも起きる。「顕在化」が遅れて、ながびかせる。このことは薬物療法の医師、カウンセリングの心理士、カウンセラーも同様の問題が起こります。自分の学んだ範囲のスキルで扱い続ける。他の専門家にまかせるほうが患者さんの利益になるのではないかと思いつかない。種々の世界、立場の違いがあり、自己の立場を絶対視する、「科学的ではなくなってしまう」専門家の気づきにくい我執(西田幾多郎がいうのはそういうことのように思えます)。
 イギリスのように、うつ病の患者には、薬物を投与せず、まず心理士のアセスメントと初 期心理療法を行う制度にするのが、国民のためであると思います。そのために、そのように できる心理士を国が育成する必要があります。うつ病が長引くのは、実に苦しいです。 過剰な薬剤投与のコストと相殺されるので、ぜひ、推進してもらいたいです。 認知行動療法の治療スキルも上手下手があります。教育を受けた心理士がすぐうまく 治療できるわけではありません。心理療法がうまくなるのは難しいのです。 心理士が熟練するには、長期間かかります。熟練した心理療法者を早く育成すべきです。 認知行動療法に現存の団体が消極的(=現存の技術を絶対視)ならば、患者団体や新しい別の人材が結束して新しい推進団体(*)を作ってでも推進すべきです。どの患者にも、どの問題にも同じ治療法、技術を使い続けることには同意できません。病気レベルの治療法は日々、進展させるべきです。種々の患者さんに多様な治療法を提供すべきです。不幸にも日本は偏っています。
 特に、県に1か所の拠点病院には、認知行動療法者を国、県の予算で雇用して、薬物療法で治らない患者さんを受け入れ、認知行動療法を重点的に提供し、他の認知行動療法者の育成も行う計画を実施してもらいたいです。各県にたった一人の認知行動療法者の給与であれば、たいして大きな額ではないでしょう。
(*)認知行動療法の心理士団体のほか、看護師、作業療法士、自殺予防対策に関心のあつい全く新しい人材、などが候補です。マインドフルネス心理療法ならば、半年から1年の体験学習で、スキルを習得できます。支援者(心理療法者、カウンセラー)になりたい人も、テキストを読むだけでは習得できず、毎日、課題を実践することが必要です。
<技術、専門家は熟練するほど我執、エゴによって他者を苦しめることがある>
専門家のエゴイズムの事例
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Posted by MF総研/大田 at 21:39 | 自殺防止対策 | この記事のURL