CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
«うつ病、家族の不和の予防(2) | Main | 被災地の医療崩壊(2)»
被災地の医療崩壊 [2011年07月20日(Wed)]

被災地の医療崩壊

 つらい状況が続く福島県でうつ病が心配

 7月18日、テレビ朝日が被災地の医療崩壊を報じました。 その問題を解決しようと、1人の医師がある町 に常駐するようになる計画がある。 朗報です。その町に限定されますが。
 ところで、こういう所に赴任する医師は内科医が中心のようです。 精神科医はどうなのでしょうか。 被災地では、うつ病、心的外傷後ストレス障害などが増えそうだからです。 しかし、精神科は内科医ほどには多くないので、被災地は、精神科医療の崩壊が続 くのではないでしょうか。 ところで、内科疾患は医師しか治療できませんが、 うつ病や不安障害などは、医師でなくてもカウンセラーも治療支援ができます。 うつ病、不安障害などの診断は医師が行うとしても、治療が医師によって十分提供 されない地域でのうつ病、不安障害などの治療支援を医師以外の人的資源がになう ことも大切な対策だと思います。被災地でのうつ病の治療は大変に時間がかかるから です。医師は、おしよせる内科疾患の患者さんでいっぱいでしょう。
 問題は、よその地区からカウンセラーは移住しにくい点です。カウンセラーの業 務は健康保険の扱いではないので働き盛りのカウンセラーには何か給与の保障がな いと動けません。子どもの教育が済んだシニアでも収入が不要ですが、遠隔地のカウンセラーでは、支援に行く交通費や滞在費の負担が問題になります。うつ病や不安障害などの心理療法による支援活動は単発ではなく、1,2年継続するからです。私どもの経験では、うつ病や不安障害が治るには、1年から2年かかります。交通費、滞在費がネックとなって、動きにくい状況です。また、心の病気の援助は、よその援助者には心を開きにくく、現地のカウンセラーが援助することが臨まれます。

東日本大震災の被災地のうつ病は薬物療法だけでは完治が難しい

 うつ病は、仕事、愛する人、友人、財産、住居の喪失の一つの出来事でさえもか かってしまいます。東日本大震災では、これが複合しています。被災者のかたの 苦しみ、悲しみは底知れないものです。薬物療法だけではとてもかないません。 被災者の方が、甚大なストレスによって、うつ病になるでしょう。うつ病になって 症状が重くなると、仕事、育児、考えることも難しくなります。医師の診断を受け て、薬物療法を受けて、少し軽くなった時、考えることができるようになると、厳 しい現実に変わりはないので絶望する人が多いのです。失われた現実は、うつ病に なる前とは違わないのが被災地の現実でしょう。 他の地域のうつ病とは違う場合が多いでしょう。他の地域のうつ病ではストレス状 況が変化しています。療養に入ると、仕事の環境、人間関係などが変化しています 。しかし、東日本大震災 の被災者の場合、うつ病の発症前と、薬物療法を受けてからの状況が変化しないで しょう。厳しい現実が続きます。 自殺は、うつ病のもっとも重症期ではなく、少し軽くなった時に多いと言われます 。考えることができるようになった時、絶望するかもしれません。薬物療法で軽く なっても、 前頭前野の機能が低下しているので、発病前よりも、ストレスに弱くなっています 。少しのことで症状が悪化します。発病前と状況が変化していない被災者にはきわめて厳しいです。

心理療法の必要性

 原発事故のために、福島県は特に、厳しい状況が何十年も持続します。 放射能への不安のために、不安障害の増加、悪化も起るでしょう。 被災地、および、避難 者の多い福島県に、心理的ケアを行う体制が必要ではないでしょうか。うつ病を治す心 理療法を提供する仕組みが必要です。その地区の援助される方がそういう声をあげていただきたい です。 そうでないと、国が動きません。 住居、経済、復興、身体疾患の治療などの側面のみに関心が集中しがちです。 心の病気の治療への関心は軽視されがちです。しかし、それでは、社会活動からのひきこもり、自殺が増加するおそれがあります。
 これまで、うつ病、不安障害のかたは、治らない場合「もっといい治療を」とい う声をあげないためか、薬物療法以外の治療法が提供されませんでした。何年も苦 しんでおられるのに沈黙なさっておられます。 福島県では自殺が増えているといいます。自殺はたいてい、うつ病からです。 つらい状況が持続する 福島県は、これから、何万人ものうつ病の人が増えるかもしれません。患者家族会の結成、行政や医療機関、大学(医学部、心理学部)への要請、カウンセラーの招聘(現地からなら助成金の支援を受けられる可能性があります。)などがあります。個人で難しい場合でも他の難病はそういう動きがありますので、治療法や支援が加速されているでしょう。
Posted by MF総研/大田 at 18:11 | 災害とストレス | この記事のURL