CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
«PTSDの予防法(2) | Main | うつ病を予防する(印刷用)»
PTSDの予防法=呼吸法と自己洞察法 [2011年04月14日(Thu)]

被災者の心のケア、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法

 (16)PTSD(心的外傷後ストレス障害)を予防法(3)

 大災害の被災者の方は、その出来事が去ってから、心的外傷後ストレス障害 (PTSD)になる人がおられます。フラッシュバック、悪夢などの 再体験症状、回避症状、過覚醒などの症状に 苦しみます。
 こうした症状が現われる背景に、 前部帯状回(内側前頭前野)、海馬、前頭前野の体積の減少、交感神経の亢進があ るようです。
 PTSDを治すための治療法には、薬物療法や心理療法があります。 PTSDを発症(数か月後まで発症し、5年10年治らない人もいます)してからは、 治療法があります。薬物療法(SSRIなどの抗うつ薬)、認知行動療法、EMDR(眼球 運動による脱感作と再処理法)、マインドフルネス心理療法(第3世代の認知行動 療法)があります。
 PTSDの予防法はどうでしょうか。

PTSDの発症を予防できるのか(3)
 予防法=呼吸法と自己洞察法

 PTSDになると、次のような症状があります。
  • 再体験症状
     日常生活の中で突然侵入してくる現象、想起、悪夢、フラッシュバックなど
  • 回避症状
     その外傷体験と関連した刺激や思考の回避、思いださせる場所や出来事を避ける 、その体験の想起不能
  • 過覚醒
     ストレス負荷により生理的覚醒水準が過度に高く維持された状態。寝つきが悪い 、すぐ目が覚める、集中できない、刺激に反応しやすい、過剰な警戒、驚愕反応な ど
 再体験症状、回避症状があれば、もう予防ではなくて、治療が必要でしょう。 早い段階で生じるのは、過覚醒でしょう。PTSDでなくても、余震や避難所の状況に よって、不安過敏になること、心理的ストレスにより感情的に興奮しやすいこと、 良質の睡眠がとりにくことなどによって、PTSDが発症してからの、過覚醒の前ぶれ のような状況になるでしょう。脳神経生理学的な特徴は、過敏な神経はさらに過敏 になっていくことです。災害直後の感情系の興奮をしずめることができるならば、 PTSDの発症予防になるでしょう。
 避難所の厳しい環境、余震などがある中で、過覚醒になりやすいでしょうから、 それを軽くする方法を考えてみます。不眠症状がひどければ、もちろん、医師によ る薬物療法を受けるのがいいでしょう。治療しないでいると、不眠がひどくなった り、うつ病になるおそれがあるからです。薬物療法を受けるほかに、自分でできる 予防法があるでしょう。
 不安過敏の傾向のある人、不安障害の人が試みてほしいわけです。
  • (A)余震が起きた時(1次的な不安恐怖の反応)
     余震が起きた時には、不安や恐怖の感情、交感神経の興奮による動悸、過呼吸、 ふるえが起こりますが、それは誰でも起きる反応です。ただし、不安過敏の人は、 従来から不安の扁桃体が興奮しやすかったのですから、反応が大きいでしょう。 その瞬間の反応はすぐには変えることは難しいです。びっくりしますが、やむをえ ません。工夫ができるのはその後です。
  • (B)その後の心得(2次的な感情をなるべく短く)
     しきりに、余震が起きるので、つらいですが、2次的な感情反応を短くする、起 さない工夫をしてみます。 それは、こういうことです。1次の不安恐怖の反応は、すべての人に共通に起こり ます。しかし、その後の反応様式を変えることができます。 一つは、余震が起きた後、「嫌だ」「つらい」「まただ」と起きてしまったことを 「嫌がる思考」をなるべくしないこと、短くすることです。 なぜなら、そういう思考は、余震そのものによる反応ではなくて、自分の人為的な 、思考による感情を呼び起こします。嫌悪、不安の扁桃体の活動を過敏にします。 人為的に起す感情も繰り返されると、扁桃体、交感神経、青斑核、HPA系(視床 下部ー下垂体ー副腎皮質)を亢進させます。それが、後になって、PTSDやうつ病を 発症させる要因の一つになります。
     そこで、余震が起きたら、去った後、落ち着いて、呼吸法を開始しましょう。嫌 悪の思考だけに占領されないように、思考が回転しそうになっても、回転しても、 呼吸法を続けます。呼吸法を続けていると、つらい思考にはいりにくいです。
  • (C)予期不安の思考(3次的な感情をなるべく短く)
     (B)は、余震の直後の心得でしたが、次に、余震が起きることを予期する思考、 予期不安の思考をなるべくしないことです。回数を少なくする。考え始めた早い時 点で気づいて、ストップするのです。
     予期不安の思考は、不安過敏性を強化してしまいます。できるだけ抑制できる心 を習得しないと、不安障害になるリスクが高まります。
 呼吸法や自己洞察法は、最初はうまくいかないでしょうが、繰り返し試している とできるようになります。そのようなことをする脳神経の部位(背外側前頭前野や 副交感神経など)が活性化して、熟練してくるのです。

参照⇒【洞察を深めるD】感情の連鎖を観察(1次2次3次)

 (ここに書いてあるのは、予防法です。発症してしまったら、早めに専門の医師やカウンセラーによる治療を受けたほうがいいです。)

(続く)
  • <目次>災害時、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法
  • 参考記事
  • Posted by MF総研/大田 at 19:20 | 災害とストレス | この記事のURL