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マインドフルネス心理療法は認知療法と哲学が違う [2011年01月11日(Tue)]

マインドフルネス心理療法は認知療法と哲学が違う

 新しいマインドフルネス心理療法は、東洋哲学が背景にあると言われる。アメリカ の行動活性化療法(BA)もその一つであるが、認知療法とは哲学も手法もあいいれないとこ ろがあるという。「反すう」=思考、 「認知内容そのもの」には、一切助言せず、否定的な思考プロセスの改善を助言する 。これは「認知療法」の理論でも、認知的技法でもない。それでいて、うつ病が治る 。

 「うつ病患者は自己の問題に関する反すうに多くの時間を費やす。反すうは抑うつ を深刻化させ、エピソードを持続させる結果につながる( Nolen-Hoeksema, Morrow, & Fredrickson, 1993 )ため、BAの中でも当然治療標的となりうる。反すうの内容を 扱うということは認知的な技法であり、先に示したBAの臨床試験の中でもそういった 手続きは使用されていない。」(234頁)
 「その代わり、臨床試験の中でセラピストたちは、反すうのプロセスを取り扱い、 クライエントとともに反すうの内容ではなく機能を特定し、そうした機能の改善を 標的とした作業を行った。 (→A)
さらに、自分自身が体験していることに注意を向けることで反すうを妨害する、とい う方法の指導も行った。体験に注意を向けながら、クライエントは反すうによりどん な活動を回避しているのかを尋ねられる。それが見つかると、今度はその回避してい た活動に取り組むよう指導されるのである。クライエントが、反すうに気をとられて 活動に取り組み続けることができないと訴える様な場合にも、自分自身の経験に注目 するよう助言を与える。クライエントの体験を構成する視覚、嗅覚、味覚、触覚など に注意を向けるための援助を行うのである。」 (→B)
 (234頁)

 これは、うつ病の治療法であるが、自己洞察瞑想療法(SIMT)における不安障害も同 様の方針である。認知を変えることなく不安が起きてもあるがまま観察して、目的行 動に意識を向けていく方法であるから、認知的技法は用いられない。
 認知(思考)の内容を変える努力は必要はない、というのがマインドフルネス心理 療法の原則であるから、指導を始めてから、うまくいかないからといって、今度は、 ある種の認知がおかしいから変えるようにいうと、指導が矛盾する。カウンセラーも 矛盾するし、クライアントもとまどうだろう。積極的な心理療法にも2種あるが、カ ウンセラーにもクライアントにも向き、不向きがあるので、うつ病、自殺防止の支援 のためには、2つ必要であるかもしれない。マインドフルネス心理療法も支援者が指 導のスキルを向上させるためには、自分でも日々、実践する必要があると言われる。 認知療法もマインドフルネス心理療法もスキルを向上させるには熟練していかねばな らない。認知療法とはかなり違うのだから、 マインドフルネス心理療法のセラピストは専門化する必要があるかもしれない。この ことはまだ実証されていない。2つとも日本では十分適用されていない。私も認知療 法は用いたくない。東洋哲学の背景のあるマインドフルネス心理療法のほうが自分に はあっている。自分より年配の、それまで成功してきた人生を送ってきた人に、たま たまうつ病になったからといって、「あなたの考えがゆがんでいる、変えましょう」 とはいいにくい気がしている。 積極的心理療法にも葛藤がある。
Posted by MF総研/大田 at 18:20 | 新しい心理療法 | この記事のURL