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セルフ・コントロール [2011年01月06日(Thu)]

セルフ・コントロール

 脳神経生理学的な研究の領域において、セルフ・コントロールということが研 究されています。
 セルフ・コントロールとは、こういうことです。
     「「目の前に魅力的なものがあり、それを手に入れることは難しくないが、そ れを手に入れることを我慢すると、もっと魅力的なものが手に入る」というよう に、「より大きな利益を得るために、小さな利益を得ることは我慢する」ことを 「セルフ・コントロール」と呼ぶ。」(参考文献の236頁)
 これは、うつ病、不安障害、依存症などの治療、再発予防に必要な脳神経生理 学的な課題であることがわかります。 「目の前に魅力的なものがあり、それを手に入れることは難しくないが、それを 手に入れることを我慢する」というのは、心の病気によく見られるまぎらし行動 もそうです。回避、逃避、食べることは簡単に手にはいります。これを我慢する と、「治る」というもっと魅力的なものが手に入る」のです。 「治る」という「より大きな利益を得るために」、回避、逃避、食べる、飲むと いう「小さな利益を得ることは我慢する」 のです。 自己洞察瞑想療法(SIMT)では、意志作用の活性化に該当します。 人生の幸福のために、治そう、その目的のために効果ある課題を実行するのが意志作用であるとして、意志作用の活性化を図るのが、重要な技法です。 心の病気を心理療法で治すということは、脳神経生理学的にはセルフ・ コントロールなのです。

脳神経の部位が違う

 長期報酬条件の セルフ・コントロールは前頭連合野の外側部と背側線条体が関わり、 短期報酬条件では、前頭連合野の内側部、眼窩部が関わっています。
     「こうした結果から、少なくてもよいから早く報酬が欲しい、というとき(短 期報酬条件)には主に前頭連合野の内側部、眼窩部と腹側線条体が、 待ってもいいからたくさんの報酬が欲しいとき(長期報酬条件)には主に 前頭連合野の外側部と背側線条体が、より大きく関わると考えられている。」 (同237頁)
 短期報酬条件は、てっとり早い逃避、回避、食べる、飲むなどに関係しそうで す。「待ってもいいからたくさんの報酬が欲しいとき(長期報酬条件)」とは、 そういう短絡的な快楽は我慢して(待って)もいいから、治るという大きな報酬 が欲しいという状況でしょう。働く脳部位が違います。 心の病気が治らない人は、長期報酬条件の脳領域が低下していると考えられます 。心理療法で治すためには、前頭連合野の外側部と背側線条体が活性化される必 要があるでしょう。 自己洞察瞑想療法(SIMT)でいう長期の願い価値を実現  するために、回避・過度の休息などの快楽を我慢して課題を実行するという治療 方針に合致しています。
 最近、難治性の心の病気が増えているのですが、こうした脳神経生理学の研究 成果をにらみながら整合性のある心理療法でないと治りにくいと思うのです。 自己洞察瞑想療法(SIMT)は、うつ病、不安障害(ほかに、依存症、パーソナリテ ィ障害、虐待なども)の心理療法は、非叡智的フュージョンのほかに、神経生理 学的フュージョン(連合)を考慮しなければならないと主張しています。
 セルフ・モニタリングは、情報を受けて解釈する局面であり、セルフ・コント ロールは行動の局面であると思います。セルフ・モニタリングには、嫌悪的な心 理が優勢であり受け入れが重要になり、セルフ・コントロールには、執着(快楽 )的な欲求系の心理が優勢です。心の病気を治すためには、セルフ・モニタリン グとセルフ・コントロールが必要です。このスキルを体得するのが、自己洞察瞑 想療法(SIMT)です。脳神経生理学の研究は日々発展していますので、最新の研究との整合性を検討し続けます。
    (参考文献) 渡邊正孝,2008 「第5章 行動の認知科学」『認識と行動の脳科学』田中啓治編、 東京大学出版会
Posted by MF総研/大田 at 22:50 | 私たちの心理療法 | この記事のURL