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なぜ治るのか [2010年11月08日(Mon)]

うつ病、非定型うつ病、パニック障害、対人恐怖症など

 =なぜ治るのか

 専門家向けの記事が続きましたので、患者さん向けに、 もう一度お伝えしましょう。

 うつ病は、なかなか人に話しにくい病気です。私も42,3歳のころ うつ病になりましたが、治ってからも、随分長いこと発表しませんでした。 10年ほど前、ある雑誌に記事を依頼された時が、始めてだったと思います。
 自分のうつ病体験を語れる人は少ないですが、 ブログにお二人が治療経過を書いてくださっています。 大変貴重です。つらい非定型うつ病が治る、軽くなったということがわかる、こうし た体験記がないと、インターネットをご覧の人がわからないです。
 自己洞察瞑想療法は薬物療法では絶対に習得できない、心の洞察力を成長させます。再発しにくいのは当然です。
 マインドフルネス心理療法(こちらの自己洞察瞑想療法(SIMT))によって、治った 方ですが、「うつ病は完治すると思います」という記事を書いてくださっています。  薬物療法で治らないのに、なぜ、マインドフルネス心理療法で治るのでし ょうか。もう多くの記事を書きましたが、要点だけ書きます。
 うつ病、非定型うつ病、パニック障害などには、脳神経生理学的な変調が生じてい ます。前頭前野、帯状回などの機能低下、扁桃体(過敏)、鉛様麻痺感、抑うつ症状 、パニック発作(中脳水道周辺灰白質かと推測されている)などの責任部位などの過 敏さです。現在の薬はある程度までは効果があるが、治らない患者さんもいる。 なぜか。薬がそういう病変部分に効果がないからです。機能低下や過敏すぎる脳神経 は、休養しても、回復しないことも多いのです。たとえば、脳梗塞で動きにくくなった足も、休 養して足を使わない生活を続けていれば、回復しないでしょう。あえて、動かすリハビリテーションで回復するでしょう。うつ病や不安障害が長引いた人は、活動が 少なくなり、脳神経を活発に使わない生活をする。それで、機能低下の脳神経の部位が回復しないようです。
 また、治らないためにつらい状況にありますので、治らないことを苦痛に思う思考を暴走させるので、扁桃体、交感神経が過敏 となり、ストレスホルモンが分泌されて、前頭前野の神経細胞が傷つき、メランコリ ー型うつ病の症状(抑うつ症状、精神作用の低下など)が悪化する人がいます。メランコリー型うつ病でなかった人も、それが加わることがあります。

 マインドフルネス心理療法でなぜ治る人がいるのか。その心理療法で教える 課題が、自分の心の作用、自分自身を知るための心の使い方をトレーニングします。
 自己洞察瞑想療法では、心の深い探求をします。種々の対象、種々の意識作用、それ らを統合する意志作用、それでも意志の矛盾により苦悩する場合があるので、自我を 無にしてすべてを包みこむ心作用(直観)を成長させる。感情が起きた時は、自己の基準による評価判断(本音)によるものと理解して、衝動的な反応(発語、行為)を抑制して、自分と他者の価値を崩壊させない反応を瞬間的に探索して表現する。こう した心の使い方をアメリカの心理療法者は、マインドフルネスとアクセプタンスという 言葉で代表させました。 (ただし、MBSRそのものは、対人関係ではない場面が中心であり「無評価」という。対人場面、対社会的場面では、相互に無評価では生きていない。)

 心の深い洞察をしていく。理屈ではなく、実際に使いこなせる心にする。 だから、自分の心の働きがわかってくる。衝動的な思考もコントロールできるようになる。 よくいわれるが「考えがとまらない」と言われる。自分で起している思考作用である のに止められない。それほど、自分の心をコントロールできなくなっている。

 自分の心を種々の方面から勉強しなおす。 そうすることが、病的になっていた脳神経部位の機能低下を起こしていた部位を活性 化させ、逆に、過敏になっていた部位は、しずまっていく効果があります。 それによって、精神症状、身体症状が軽くなって、回避行動が消失します。
 自分の心を知らないのです。どういうことで、病気になるのか、どういう心で改善す るのかわかっておられない、理屈でわかっているつもりでも、 実際にはできない、それを実行できない、そういう心になっている。薬物療法では変 えることができない心の使い方があります。

 自殺予防対策には種々の方面があるはずです。経済、雇用、債務などが充実すること。 でも、うつ病、不安障害が薬物療法だけでは治らないこと自体が問題であるかたも多いです。非常に重症の患者さんには薬物療法が有効ですが、その段階からなかなか完治しない。そういう状況では、社会復帰が難しい。うつ病、非定型うつ病に効果の高い心理療法の全国的な普及が求められます。
Posted by MF総研/大田 at 17:43 | 自殺防止対策 | この記事のURL