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なぜうつ病になるのか [2010年10月21日(Thu)]

「どうやってうつ病、不安障害を治し自殺を防止するのか」

 自己洞察瞑想療法(SIMT)の仮説、治癒理論(この記事は指導者向けではなく病気の人の ために)
 ( SIMT: Self Insight Meditation Therapy )はマインドフルネス心理療法の一種である が 1993年、日本で開発適用を開始した心理療法

自己洞察瞑想療法(SIMT)の見方(理論)

<第1> 苦悩のありさま  =自己を知らない

 =うつ病になる時、自己の意識作用の対象しか知らずストレスにふりまわされる
  意識の種々の作用を知らない、意志作用を行使できない、自己自身を知らない

心のありさまを根本から知る

 うつ病で悩む人、ストレスを受けてうつ病になりかけている人の心は、表面の対象を見 るだけです。自己の種々の意識の作用や自己自身を知らないために、表面に見えるもの、 聞いたもの、痛みなど感じた感覚(以上を「知覚」とまとめていう)、考えた内容、それ によって必ず起きる感情に苦しみます。感情を起すと、それに続いて、気分が悪くなりま す。落ち込みやむかむかといった感じも します。
 私たちの心は種々の働きをするのであり、 苦痛の対象は、直接的事態がそれ自身として生起したものを 自らの知的な作用(知覚や思考など)で苦として見たもので、自己自身の心が作り出した ようなものであり、苦痛をあまり大きくならないように、ある程度、対処可能なのです。 しかし、自分の心の深い作用を知らないので、自分ではどうしようもないものと絶望する か、放置しています。自分のことを知り、自分で改善できることはしようということをし ません。そういう問題や方法を教えてくれる機会がないからです。本人だけの原因でもあ りません。学校教育でも社会教育でも教えてくれる機会がなかったのですから。

A)メランコリー型うつ病の場合

A-1)なぜうつ病になるのか

非叡智的フュージョン(心理的な苦痛の連鎖)

 メランコリー型うつ病は、それ以前に、精神的な苦痛(不安、怒りなど)が別になくて 順調であった人が、人生上の大きな出来事(ライフ・イベント)で発症することが多いで す。大切なものの喪失、いじめ、過労、仕事上の大きな変化、がんや重い病気事故、介護 (する、される)状態などつらい出来事にあって、発症することが多いです。
 メランコリー型うつ病の場合、ライフ・イベントにあって、見た聞いた感じたなどの知 覚、ネガティブな思考、陰性の感情、気分の 悪化を繰り返していると、うつ病になるということを知りません。これが、自分について 知らないことの第一です。
 ネガティブな思考、陰性の感情、気分の悪化、交感神経亢進による身体反応などが起き ている真っ最中は、その不快なことに意識が向かって、おだやかな会話 や真剣に勉強や仕事ができません。こういうふうになる時間が長とか繰り替えされると、 非常に悩み、苦し みます。そのことによって、不快な症候群⇒会話仕事勉強の中断妨害⇒また不快の思考⇒ 不快な症候群という、苦痛のサイクルがくりかえされて、心理的な苦悩が 深まります。 さらに、神経生理学的フュージョン(連合)を引き起こして、いわゆる、心理だけのこと ではなくて、次の病理の症状が現われます。 勉強や仕事に身がはいらなくなります。対人関係も回避するようになります。

神経生理学的フュージョン(脳神経生理学的な変調の連鎖)

 ネガティブな思考、陰性の感情をくり返していると、副腎皮質からストレスホルモンが 分泌されます。これが血液によって脳に運ばれ、前頭前野、帯状回、海馬などの神経細胞 を傷つけると推測されます。うつ病になると、こうした脳の領域の体積が小さくなってい るとか、活動が低下しているということが報告されています。こうして、前頭前野、帯状 回、海馬などの機能が低下します。 作業記憶(ワーキングメモリ)、注意の分散、意欲(何かしらしようという意欲、目標あ る行動へ)、自発性、思考、創造、他人とのコミュニケーション、意思決定、感情の制御 、行動の抑制、記憶のコントロール、意識注意の集中などです。 前頭前野などの機能でない領域の変調である抑うつ症状や睡眠障害なども現われます。
 こうした症状は、怠慢とか思い込みではなくて、脳神経生理学的な変調によって起こり ます。従って、心を入れ替えれば解決するというものではりません。

(続く)
薬物療法で治らずに長引いて、大切な人生の貴重な数年を苦悩のなかで暮らさざるをえな い人が大勢います。絶望すると自殺もありえます。うつ病になぜなるのか、心理療法によ る治し方が教えられていません。全く、つらい状況です。 うつ病にならない、治すマインドフルネス心理療法についての情報が不足しています。石 川県で講演いたしますので、関西、北陸の方はこの機会にぜひご参加ください。マインド フルネス心理療法による臨床を実際に行っている病院は日本にはほとんどありません。治 らないと自殺もあるのがうつ病です。がんでも、治る治療法をどこまでもさがすはずです 。1年たっても治る見込みがないならば、他の治療法を試みる価値があります。
 西田幾多郎の生まれた石川県かほく市。西田哲学を生んだ北陸にもマインドフルネス心 理療法の治療組織を作っていただきたいです。マインドフルネス心理療法は西田哲学に理 論的な根拠を導かれています。
 種々の意識の対象、種々の作用、統合的意志作用、自己自身を見る直観的な叡智。深く 自己を探求すれば治る、再発しないうつ病、不安障害。

「どうやってうつ病、不安障害を治し自殺を防止するのか」

 自己洞察瞑想療法(SIMT)の仮説、治癒理論
 ( SIMT: Self Insight Meditation Therapy )はマインドフルネス心理療法の一種である が 1993年、日本で開発適用を開始した心理療法
Posted by MF総研/大田 at 23:27 | 私たちの心理療法 | この記事のURL