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宇宙を見、聴き、感じ(1)=考え抜いて [2010年01月25日(Mon)]

宇宙を見、聴き、感じ(1)=考え抜いて

 =<ブログ連続記事目次>マインドフルネス心理療法と西田哲学

 大学生の女性が次のような疑問を持ち、朝日新聞の「悩みのレッスン」に投書してい ます。
 「人間は理論や実験を通して様々な発見をしてきて、その探求は今もなお続いていま す。こうした学問という人類の営みには、この世の創造者(神)の意思が隠されている と私は思うのです。人間は創造者により何かを試されている気がしてなりません。そう 考え出すと、人間という存在について、不思議に思う気持ちがとまりません。
 神は我々に何をさせようとしているのか。我々はどこへ向かっているのでしょうか。 」

 明川哲也さん(創作家)の回答の一部はこうです。
 「信仰がなく、信念しかないので、神や創造者という言葉をあなたのように無造作に 使うことができません。では、ボクの信念の中に神に匹敵する存在はないのかというと 、どうやらボクはトータルで宇宙そのものを、あなたが言うところの神だと捉えている ようです。」
 「宇宙は、人間に何を課したのか。それは宇宙を見ること、聴くこと、感じることだ とボクは考えています。なぜなら宇宙を意識できる命がまったくないのなら、その存在 は明らかにならず、消滅してしまうからです。宇宙はまさに存亡をかけて、不可分のも のとして我々を生んだのでしょう。これは以前にも紹介した人間原理と呼ばれる考えで すが、はるか昔から禅を貫く感性のひとつでもありました。」
 「あなたの問い掛けに対する答えは、あなた自身が一生を生き、考え抜くことによっ てのみ追求されるのだ、という言い方しかボクにはできません。
 問い掛け続けることです。一片の雲、一枚の葉の煌きも見逃さない心です。なぜなら 、そうした現象は宇宙の一部でありながら、すべてあなたとつながっているような気が するからです。そしてつながることであなたも輝く。どれだけ科学技術が進歩しても、 この大いなる調和には程遠いでしょう。宇宙の希望をボクはそこに見ます。」 (朝日新聞、10/24/2009 夕刊)

 明川さんのいうことは、宮沢賢治の絵にも関連するのではないでしょうか。
    宮沢賢治の絵 =宇宙の部分であり裂け目としての何者か、そこから宇宙と何か5つを観ているもの
 種々の症状に悩み苦しむうつ病、不安障害などがあります。 こうした<病気>でなくても、死や自己存在の不安があります。 こうした問題を克服するために開 発されたマインドフルネス心理療法は、「アクセプタンス」ということを強調します。 自分ではどうしようもない症状とは、宇宙の意思のようです。宇宙も苦しむ。自分の苦 しみは宇宙の苦しみだ。宇宙の苦しみが自分に現われている。ならば、宇宙の一部であ る自分が宇宙の苦しみの表現を見聴き 感じ受け入れてみる。宇宙の意思を駆使した積極的受容でしょう。そこに救われる秘密 があるのでしょう。だが、意思であるからには、受容ばかりではなく、働きかけがある 。
 宇宙は、自分に何を課したのか。「それは宇宙を見ること、聴くこと、感じることだ 」。何という壮大な課題でしょうか。宇宙と不可分の自己、自己のここに宇宙の意思が 動いている。自分が聴くことは宇宙が聴くことである。自分が感じることは宇宙が感じ ることである。それならば、不安やつらいことを感じる時もそのままにいよう。
 だが、自己は宇宙と不可分であるから宇宙の意思と同一方向の願いを実現する能動的 意思を持つことができる。宇宙の意思に合致した意思によってこの世界を変えることが できる存在でもあるだろう。宇 宙の願いを実現する意思にそった能動的働きが「マインドフルネス」と言ってよいだろ う。宇宙の願いとは、特定宗教や組織の統一の願いではなく、個人個人が希望するものであろう。愛する人と仲良くくらしたい、この仕事を続けたいというようなことが宇宙の意思にそうものだろう。 宇宙の意思にそうであろうと信じる願いの実現維持に向けて自己の意思で宇宙に働きかける。それが宇宙の意思にそうものであれば充実感と安らぎを感じさせてくれるのだろう。合致していなければ、それをまた向こうから教えてくれるだろう。私も信仰のない人間であるが、明川さんに似た信念を持っているようだ。クライアントの方にマインドフルネス心理療法をおしつけはしない。「こういう方法もありますよ。人によっては心の安らぎを得ていますよ。やってみますか。」という。 つらいことが現われた時、自我の評価判断解釈を動かさず、ただあるがまま観察(見聴き感じる)するのであるから、個人によっては実行が難しい人、難しい段階がある。種々の心理療法の一つが開発された。患者さんや病気でない苦悶に取り組む選択肢が増えたという程度でよいのだろう。押し付けや自己絶対主義は宇宙の意思に反することだろうから。
 うつ病や不安障害などになって、マインドフルネス、アクセプタンスで生きるという ことは、こうした宇宙の意思の探求に向かうことになる。 この大学生のような疑問による苦悶が生じた場合には、薬ではとうてい克服できないも のである。まだ、うつ病にはなっていないが、この問題を解決することが第一義となって苦悩すれば、うつ病にもなる。ほかにも、薬や金ではどうにもならない苦悩も多い。「自身が一生を生き、考え抜くこ とによっ てのみ追求されるのだ」。
Posted by MF総研/大田 at 06:53 | 私たちの心理療法 | この記事のURL