• もっと見る
«行為的直観(2)・自己なし、自己を無にする | Main | 救命救急センターの自殺防止活動»
うつ病、医療崩壊 [2009年12月20日(Sun)]

グループ・セッションが修了

 昨日19日、1年近く開いてきたマインドフルネス心理療法によるグループ・セッション(第3 版1期生)が修了しました。これで一とおりマインドフルネス心理療法の基礎訓練が終りました。 ほぼ治った人、もう少しの人、あまり改善がみられない方様々です。さらに続けたい方は、土曜日 の2期生(9月から開始していました)のグループ・セッションに合流します。初心者と上級者( 完治に近い人)とが混在 する複式学級のようです。この方式はカウンセラーにとっても患者さんにとっても難しいのですがやむえをえ ません。患者さんには多数回、カウンセリングが必要であるのに、スタッフが少ないのです。 全国で受けられるようにマインドフルネス心理療法ができるカウンセラーを育成したいです。

相談では治らないうつ病、不安障害が多い

 薬物療法で治らなかった非定型うつ病、パニック障害、心的外傷後ストレス障害などがマインドフルネス心理療法で治ってい ます。しかし、10回〜20回のカウンセリングが必要です。 同じクライアント(患者さん)にこんなに長く(半年〜2年)関与することが必要です。難治性の うつ病、不安障害を治さないと自殺が起こります。1,2回の相談ですむものではありません。 資金やスタッフの不足により、一つか2つのクラスしか提供できていません。マインドフルネス心 理療法を提供できるカウンセラーが増えれば、多くの方の支援ができます。 しかし、財政難、スタッフ不足によりできていません。クライアントの方は、地元に認知行動療法 のカウンセラーがいないらしく、信じられないほど遠くの方がおいでになります。 何百キロも離れたところからおいでになりますので、 交通費と時間の 消費が膨大なものです。全国に、認知行動療法、マインドフルネス心理療法のできる場所が必要です。育成には長期間かかりますので、国や自治体は早く長期計画を作るべきです。 認知行動療法を欠いた自殺防止対策は不充分です。

うつ病の医療崩壊

 適応障害といわれている心の病気も不安か抑うつ症状が強いものです。生理学的には実態はうつ病、不安障害と類似します。ひきこもり、不登校もうつ病、適応障害、不安障害によるものが多いでしょう。適応障害も薬物療法だけでは治りにくいです。
 うつ病は薬物療法では再発が多い(5割)、効果がない人もいる(3割)という実情が、NHKや朝日新聞で報道されました。
 薬物療法に莫大な予算をかけても完治するのは一部です。 うつ病、不安障害の領域において、再発が多い、難治性の非定型うつ病が増えているが医者が治せない、うつ病に効果があるという心理療法(認知行動療法)を受けたいができる場所がない、こうした医療崩壊があります。心理的ストレスによって起きたうつ病や 不安障害は心の使い方が強く関係しています。薬物療法のみで治すという戦略がおかしいのです。薬物療法しかないという長期的治療戦略がおかしいのです。イギ リスではそれに気づきました。国家的に認知行動療法が推進されます。
 心理的ストレスで副腎皮質からストレスホルモンが大量に分泌される、前頭前野、帯状回、海馬などの縮小がみられる。薬物療法で気分は軽くなっても、また、心理的ストレスの強い職場に出ると、また心理的ストレスを感じる。再発する。抑うつ症状は前頭前野の変調ではない、前頭前野などの機能回復が抗うつ薬では十分できない。 薬物療法だけでは、心理的ストレスへの対処法が教育指導されない。当然、再発は予期される。
 10回以上も通院しないと治らないうつ病、非定型うつ病です。各地で難治性のうつ病、不安障 害を治療できるカウンセラーが増えることを期待します。認知行動療法がいいのがわかっているの に、日本では、これをすすめようとしません。うつ病、不安障害などにより休職退職、自殺が多い のは当然です。認知行動療法という治療技術があるのに推進しようとしない日本です。救われるはず の尊い生命が失われていきます。本当に残念です。
Posted by MF総研/大田 at 11:56 | 私たち | この記事のURL