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種々のマインドフルネス心理療法 [2009年11月10日(Tue)]

種々のマインドフルネス心理療法

=マインドフルネス心理療法と西田哲学

 マインドフルネス心理療法の救われる構造を西田幾多郎の言葉で簡単に見ている。
 リネハンの弁証法的行動療法で、難治性のパーソナリティ障害に効果がでているように 人の精神活動は弁証法的とすると解決の方法があるようです。
 現実の世界は「絶対に相反するものの自己同一」と西田幾多郎は言う。 現実の世界が、同時に、一面において無限な弁証法的過程であるとともに、他方では 、絶対現在の内容はつねに一つの全体として与えられるものである。自己は、一点 ではなく、円であるといえる。平面の円ではなくて、垂直の円である。どこまでも回 転する円のようである。表面に現われた円周の一点が動き続ける。

 「弁証法的行動療法」を開発したリネハンは、禅の哲学を応用したものという 。その心理療法の名称として、弁証法的行動療法と名づけた。至るところに、弁証法 的な技法が導入される。マインドフルネス・ストレス低減プログラム(MSRP)のジョン ・カバット・ジンも禅の哲学だという。日本の禅僧、道元を尊敬する。
 ところが、別の流れのマインドフルネス心理療法がある。 ACT(アクセプタンス・コミットメント・セラピー)は禅の哲学を参照しておらず 、「行動分析学」の進化のすえに必然的に「文脈主義」、アクセプタンスにたど りついたという。 別の流れの心理療法(行動分析学)が、よりよく治療効果をあげるために探求した結果、最終的に、文脈(「文 脈」とは、「時空間的に連続している事象の流れ」)、マインドフルネス、アクセプ タンスにたどりついている。これは不思議である。ACTも、文脈という現在の瞬間の精神活動 の流れを重視する。 セラピストや学派によって、マインドフルネス、アクセプタンスの定義や技法は微妙 に異なっているが、治療標的や治療手法はおおむね類似する。
 次のように、絶対現在(過去と現在が同一、現在のみしかない、治療の焦点を現在の現場とする)、弁証法的治療技法、マインドフルネス、アクセプタンスがとられて、類似している。
認知行動療法
MSRPを参照して マインドフルネス、アクセプタンスの付加 マインドフルネス認知療法(シーガルら)
パーソナリティ障害のための行動療法
禅の哲学と実践を参照してマインドフルネス、アクセプタンスの付加 弁証法的行動療法(リネハン)
行動活性化療法
マインドフルネス、アクセプタンスの付加 ワシントン大学などのM&Aを付加した行動活性化療法
認知行動療法
MSRP、または、東南アジア系の瞑想法を参照した マインドフルネス、アクセプタンスの付加 他の多くのマインドフルネス心理療法 (→ここに紹介)
行動分析
MSRP、禅などを参照せず、研究進展の結果必然的にたどりついた手法が他のセラピスト のいうマインドフルネスと アクセプタンスに類似
(マインドフルネスの語を使わないがアクセプタンス、コミットメントするところに マインドフルネスが行われる)
ACT (アクセプタンス・コミットメント・セラピー)
禅の実践と哲学
(禅には、現在のみ、真の自己探求、弁証法、言語からの解放(妄想することなかれ)、直接経験へのマインドフルネス(禅定)、不快事象の受容(忍辱)、メタ認知などの要素がある)
うつ病、不安障害などの脳神経生理学的研究成果(心理的ストレスによる発病の仕組 み)と前頭前野などの脳科学の研究成果の参照。精神医学と禅の実践の統合。 自己洞察瞑想療法( SIMT: Self Insight Meditation Therapy )(*)

(*)SIMTは、マインドフルネス総合研究所の心理療法。アメリカの流れとは別に1993年から開始。うつ病の治療から出発して、他の領域に適用しつつある。宗教的目標をめざさず、精神疾患の治療、ほかの領域の心理的問題の改善を目標として、禅に似た実践(似ていても、精神疾患を治療するために禅宗で行われるものと相当違っている)と哲学(弁証法的療法)を利用する。アメリカの心理療法者と同様の利用のしかたである。
(*)禅には、最近の心理学で指摘される「メタ認知」に類似する実践がある。自分の精神活動をモニタリング、コントロールしている認知の認知と言われる。禅の「正念」「正念相続」が類似する。

(続)
Posted by MF総研/大田 at 18:04 | 私たちの心理療法 | この記事のURL