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裁判員裁判:無理心中未遂事件 [2009年09月13日(Sun)]

裁判員裁判:無理心中未遂事件

 介護に疲れて寝たきりの妻を刺殺しようとしたとして殺人未遂罪に問われた山口県の 事件がテレビや新聞で報道された。 約13年間にわたって介護してきた妻の首を包丁で刺し、約10日間のけがを負わせた 。自分も死ぬつもりだった。
 この事件は未遂であったのに、ニュースになったのは、裁判員裁判だったからである。そうでなければニュースにもならない。介護疲れによるうつ病からの心中事件が多く、もうニュースにもならない異常な 日本になってしまった。
 うつ病になると愛する人でさえも殺し、自分も死ぬ。これは、介護者がうつ病になり 、思考判断行動力がおかしくなって自分自身が生きていく力がなくなるからである。自 分が自殺したくなる。残す配偶者もどうせ支援してくれる人はいないと思うから無理心 中となる。自殺が3万人以上というが、介護疲れ殺人は似たような心理で起きる。うつ 病から起きる。誰かが介護中の人の心理状態を掌握して、介護の支援したり、うつ病を 治療したりしないといけない。うつ病の苦しさが知られていなくて、予防する人が少ない。 ながびいてから、ようやく事の重大さに気づく。
 保健所スタッフ、民生委員、自治会役員などが住民の心理状況を知りうるのだろうか。 うつ病になる人はそれ以前からコミュニケーションをとらない傾向があるようで孤立し がちである。自分からは「助けて」と外部の支援を求めない。支援を受けるように説得 するのが難しい。自治体によって保健所がスクリーニングして見つけて訪問するところ も紹介された、20代にも30代にも、ひきこもりにも、うつ病、不安障害があるだろ う。支援を受けようというふうに動きださない。支援、治療につなげるネットワークが 必要であることはわかるが、この地域の ネットワークづくりと手法の検討もこれからだろう。
 老親が遠くにいて老老介護状態にあるが仕事や結婚のために、子供が遠くにすんで いて、遠くの親が介護疲れうつ病になりはすまいかと心配される方もおられるのではないだろうか。老親が遠くに住んでいるのは心配である。私の場合も、どちらかが介護状態になって、うつ病になったら誰が治してくれるのかしらん?

 昨日、さいたま市でのマインドフルネス心理療法の連続講座が修了した。この地域で はもう数回開催した、次回は、別な地域で開催するかもしれない。マインドフルネス心 理療法を習得すると自信を持って、うつ病、不安障害、自殺念慮について助言できる。 傾聴型のカウンセリングで治るのは軽いものである。重いうつ病などは病理モデルの積 極的心理療法でないと治りにくく、長引くと自殺される。それを防止するために、うつ 病については、認知療法よりもすぐれた最新の心理療法としてのマインドフルネス心理 療法の普及をはかる。本日、理事会であったが、この方針が確認された。 当研究所ではスタッフが限られて、忙しいのでグループ・セッション方式しか提供できていないが、マインドフルネス心理療法のカウンセラーが増えれば、個別指導の連続、往診、入院方式、遠隔地からの受託、通信教育、デイケアサービス、そして、他の問題や障害、予防、などの提供が考えられる。可能性のある領域である。個人の工夫しだいである。
Posted by MF総研/大田 at 23:21 | 自殺防止対策 | この記事のURL