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自殺予防対策・もう一つの視点 [2009年09月11日(Fri)]

自殺予防対策・もう一つの視点

 9月は自殺予防月間ですから、テレビで関連の報道があります。 地域の対策事例も紹介されています。地域限定の問題はこうして改善対策がとられてい くでしょう。

小さな市単位では対策をとりにくい要因も

 もう一つ忘れてならないのは、広域でしか見えてこない理由によるうつ病、自殺の問 題です。市程度の狭い地域によってはそれほど上位にあがらない場合、対策がどの地域 もとらないことが起こりえることです。 そのうち、自死遺族の支援は広域(県単位くらい)での支援が始まったようで喜ばしい ことです。広域で見ないと上位にあがらない領域もあります。全国的には 50歳前後、60歳以上の自殺が多いのですが、これらは、要因は、必ずしも、貧困、多重債務だけでもあり ません。50歳前後の場合、対人関係の問題、昇進やノルマのきびしさ、特定の職場独 特のストレスなど仕事によるストレス、リストラによる失業によるうつ病などがあるかもしれません。こういうケースはう つ病さえ治れば復帰できるかもしれませんが、薬物療法だけでは治らないから復帰できません。また、休職せずにがんばっている人もうつ病が治らないと自殺しています。 うつ病になっても働きながらがんばっている人もいますが、治らずに自殺している人も多い。ライフリンクの要因分析にも、「対人関係」「家庭の不和」「身体疾患(病気)」とありました。これは、地域の分析では上位には出てこないでしょう。
 離婚、死別も配偶者や子供にとって大きなストレスであり、うつ病になるリスクが高まります。うつ病が治らないと自殺があります。自死遺族の方も、経済要因ばかりではなく、自責や死別そのものの苦しさからうつ病となり治らずに後追いが起こりえます。メンタルな側面の対策が重要になります。
 高齢者の場合、荷おろしうつ病、アルコール依存症、介護疲れ、がんからのうつ病な どがあるでしょう。 地域単位では数は多くないでしょうが、国や県単位では上位になる要因があるでしょう 。
 地域単位の要因分析も重要です。国、県単位のメンタルな視点からの分析も大切です 。地域単位でばかりすすめていると、自殺が急増した98年以前のレベルの2万人の自 殺が残ってしまいそうです。
 若い女性に多いのが、パニック障害や産後うつ病です。これが、薬物療法で治らずに 自殺に至る場合です。地域単位では見えてこない要因の一つでしょう。対人関係に過敏 なために非定型うつ病になるのも、地域の要因ではなさそうです。不登校、ひきこもり も全国規模です。ここからも自殺、事件が起こります。
 とにかく、現在は、うつ病でも、薬物療法では治りにくい非定型うつ病がふえているのです。ほかに、薬物療法で治りにくい不安障害、依存症、パーソナリティ障害などもあります。この改善対策をとらないと、自殺対策は限界に達するでしょう。
  • 昔はこれが多かった。メランコリー型うつ病だった。
    症状の上下はあまりなくてずっと調子が悪い。図のような変調があって薬がききやすい。だが、薬で治らない人、再発する人も多い。
  • 最近は非定型うつ病が多い
     =薬だけでは治らない人が特に多い。若い時、不安過敏があるとなりやすい。これが多くなったということは、日本人の心が変わったのでしょう。中学、高校、大学の時に、心の免疫力の向上の教育訓練をするのがいいでしょう。20代以降、ストレスを受けて非定型うつ病が発症する。 気分反応性、対人関係ではげしく反応(拒絶性過敏)して、ひどい鉛様麻痺感、過眠などが起こる。薬物療法で治りにくい。長く苦しむ。

PTSD,アルコール依存などからの自殺も

 事件、事故、災害によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)が治らないで、アルコール依存症、違法薬物依存が治らないで自殺する人、これも全国規模です。
 経済社会的な要因 の分析も重要ですが、2万人レベルの先進国では常に異常なレベル の自殺を劇的に減少させるには、若い頃から、不安や回避傾向のメンタルな側面の教育 訓練、ストレス対処法を身につけることの対策が必要です。そして、地域に特徴的な要 因ではない理由で起きる非定型うつ病を専門の医者でさえも治すことができない問題に ついての対策を開始してもらいたい。これは、地域の問題ではありません。
 難治性のうつ病、PTSDなどを薬物療法以外でも治せる病院が、県に1箇所でもあれば、多くの人が助かるでしょう。あるいは、特別の予算を組んで、国に1つでも、 難治性のうつ病、パニック障害の治療センターの設置でも。
 うつ病の治療場所は市単位では困難があります。地元の方は訪問しにくいです。遠すぎず近すぎないカウンセリング所が好まれます。この点で、市単独では対策がとりにくいです。がん患者さんのうつ病対策も住民票のある市というよりも病院そのものによる対策が効果的でしょう。
 メンタルな側面は、自殺以外の問題と共通する問題の対策にもつながる可能性があります。メンタルなこと、精神的に追い込まれることによるいじめ、虐待、家庭内暴力、デートDV、 家庭内殺人などです。うつ病や他のメンタルな問題がこういう悲惨な社会問題を起こしている可能性があります。
 義務教育段階から、心の免疫力、ストレス対処の教育の対策が長期的には、種々の社会問題の改善になるのでしょう。
 地域の住民の相互扶助も重要ですが、国や県が大きな視点からの対策を怠ることのないように、全国規模で見守る必要があるでしょう。

「家族の自殺を防止するための新しいうつ病対策の準備会」

  • ⇒会合を持ちませんか
    10年は待てない!!
    地域ではとってくれそうもないうつ病、パニック障害の心理療法の場を作るために
  • これも一つの方式
     地元の助成、補助があれば、自己負担を軽くできます。
     うつ病の詳しい心理カウンセラーを招聘する。また、 カウンセラーを育成して、そちらで、難治性のうつ病、非定型うつ病、パニック障害をカウンセリングする拠点を作る。地域の心理療法カウンセラーのうち、うつ病や特定問題に詳しいかたに協力していただくといい。心理士なら誰でもいいわけではありません。得意技法、得意問題があり、ずれているとほとんど効果がありません。
  • Posted by MF総研/大田 at 06:43 | 自殺防止対策 | この記事のURL