がん患者の自殺予防・自殺のリスクが高い人の予防対策
=(12)死の不安の克服(2)=「マイ哲学」を確立
がんは治る割合も高いのですが、転移、再発の不安をかかえて、死を意識する人も多いでしょう。
死の問題に決着をつけている人も多いようです。死を意識する時、後悔のない人生を生きることがで
きた人は幸福です。しかし、
「死ぬときに後悔すること25」(大津秀一著、到知出版社)によれば、よくある後悔が25項目
列挙されています。この中に、宗教・哲学編があって、3つあげています。
- (22)自分の生きた証を残さなかったこと
- (23)生と死の問題を乗り越えられなかったこと
- (24)神仏の教えを知らなかったこと
(23)の中で、「「マイ哲学」を確立する」ことが大切であるといいます。「何らかの軸、それが死
生観や人生観だと思うのだが、そういうものがないと溺れてしまうのだろう」「独自の人生観を「マ
イ哲学」で築いていた人間は、死を前にしても堂々たるものだった。」といっています。
この本に、哲学の例が紹介されているわけではありません。各人が哲学、生死観、宗教観を探求し
ていくことになります。このような問題は、医師やカウンセラーが指導してくれるわけではなく、自
分で哲学書、宗教書、患者さんの手記などを手がかりに自分で模索することになるでしょう。できれ
ば、がんになる前、おそくとも、がんとわかってまだこういう「マイ哲学」が確立されていなかった
と感じた時、真剣に探求をはじめるといいのでしょう。大津氏は「余命数か月となって初めて開始す
るのは、いささか荷が重かろう。神や宗教について考えるのも、早いに越したことはない。そのほう
が、いざというときの後悔は少ないはずだ。」と言います。ただし、宗教団体に向かうということで
はなく、「自分の目で考えることが一番大事である」という患者さんの言葉を紹介しています。
マインドフルネス心理療法はそういうことについててがかりとなるでしょう。これを参考にして、
自分の哲学を確立していくことができるでしょう。他の心理療法はあくまでも「医療」「カウンセリ
ング技法」はあっても、生についての哲学の要素は少ないでしょう。医者やカウンセラーでも、哲学
は教えてくれないでしょう。「自分の目で考えること」しかないでしょう。患者さんによる患者さんのための健康な哲学を考える患者会があったらいいだろうと思います。
定年になって何もすることがないと嘆く人がいる、そして、うつ病になる人もいるといいます。とんでもないことではないでしょうか。この時こそ、生きることの意味、これから来る脳血管関連の病気、心臓の病気、介護状態、がんなどで自己存在をおびやかす晩年が待っています。「マイ哲学」を確立することは少し時間がかかると思います。定年になったらいい機会です。「マイ哲学」を確立するための学習をすること、死がせまる時、後悔しやすいといわれていることのいくつかを行動してみるのがいいと思います。
(続く)