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心理療法の自殺予防対策の可能性 [2009年06月25日(Thu)]

心理療法の自殺予防対策の可能性

 これまで、うつ病、不安障害(パニック障害、PTSD、対人恐怖症など)についてのマインドフル ネス心理療法によるプログラムをいくつか行ってきました。心理療法による治療を受ける人をクライエ ントといいます。医療の場合の患者さんにあたります。カウンセリングは治すことを想定せずに、傾聴 するだけで、重い人の治療は医者にまかせるものという「カウンセリング」の定義があるようですが、私が行っ ているのは、軽症、重症にかかわらず積極的に治す方針を持ちます。「療法」の提供です。言葉での助言だけによる治療法です 。最近は、薬だけでは治りにくい非定型うつ病、パニック障害、対人恐怖症、PTSD、過食症、依存症、パーソナリティ障害、慢性の痛みなどが増えています。心理療法の重要性を理解すべきです。 次のような方式で行ってきました。
  • A)個別セッション継続方式
     特定の1人のクライエントのためにセッションを繰り返していく。毎週1回か隔週1回か、毎月1回 。
  • B)初回だけ個別、以後グループ・セッション継続方式
     初回だけは、詳細にクライエントの症状を聞いて、適応症かどうかアセスメントする。治療方針を説 明する。2回目からは、10名程度のグループ・セッションで一緒に行う。標準のカリキュラムを10 回とする。日記指導を行う。課題を助言して、毎日の実施量の記録、その日の出来事の記録をするスケ ジュール表(日記)を提出してもらい、それについて助言する。 時々、個人の面接を行い、改善状況のチェック、個人的な助言を行う。
    • (B-1)Closed方式
       2−3か月の間に募集して個別面接を行ない、グループ・セッションは全員、同じ日から開始する。 同じ内容をクライエント全員が進めていく。隔週1回ですすめると、10回であるから20週、すなわ ち、5カ月かかる。この間、新しいクライエントは参加できない。隔週ごとに、学校の1年生、2年生 、と進級して全員同時に10年生となる。
    • (B-2)Open方式
       希望するクライエントの個別面接を随時行い、グループ・セッションに次々と受け入れていく方式。 グループ・セッションには、進度の違うクライエントが混在する。同じクラスに1年生から10年生が いる。クライエントがいつでも参加できるが、カウンセラー(セラピスト)からみれば、難しい教室と なる。同じセッションで進度の違う10人の人を指導するのだから。グループ・セッションは隔週、個 別面接を交替でその間に行なうとします。
 (B-1)は、日記指導、随時の個人面接併用をしないのであれば、理論上は、100人でも受け入れら れます。それは、軽症のクライエントだけの場合でしょう。実際には、日記指導、随時の個人面接併用 をしないと、脱落者が出て、治る割合が低いです。日記指導のできる人が数人いれば、かなり大勢の治療を同時に進行できます。スキルを持つスタッフが多いと、セッションの心理教育(説明)、実習指導、日記指導、個人面接の4つを別の人で分担することもできます。そうなると、治療できるクライエントの数が飛躍的に増加します。
 (B-1)も(B-2)も、日記指導と随時の個別面接併用ならば、1人のカウンセラーで10人のクライエントが限界です。10人のクライエントを 治療するのに、10回のセッションで行う(完治までには、さらにかかります。あとは、1,2か月に 1回のペースでよい)として、5カ月かかります。
 昨年はClosed方式を行いました。今春からはOpen方式でおこなって来て、7月までにかなりの申し込みがありましたので、受付を停止しました。今後何か月かは、この10数名程度のクライエントの方をしっかりとみていく予定です。再発しない程度まで、マインドフルネス、アクセプタンスの心得を習得するのに、6か月はかかります。日記指導、個人面接併用では大勢はできません。申しこまれた人には、真剣にやっていただきます。いい加減では、人生の厳しいストレスものりこえられません。

心理療法の普及を

 イギリスでは、うつ病の再発率44パーセントという事実から、心理療法者の育成を国の事業として始めた。 うつ病らしい人にすぐ薬物療法を開始せず、まず、心理療法のカウンセリングを行うという。薬物療法を受ける前に心理療法で治せるならば、薬の副作用がなく、再発も少なく、本人は幸福だろう。自殺も減少するだろう。日本の自殺率は、アメリカ、イギリスより悪い。
 薬だけでは完治しにくい病気、障害、心理的ストレス症状がふえています。心理療法が重要です。
 カウンセラーが、10人を治療するのに、日記指導まで含めると毎週1日かかります。うつ病などの 心理療法を1人のカウンセラーが10人のクライエントに毎週1回必要です。5カ月かかります。事務 、整理、個別面接などを考慮すると、年に2つのクライエントグループに提供できるでしょう。 1人のカウンセラーが毎週1回で、年間20人の治療ができます。カウンセラーが10人いれば、20 0人の治療ができます。カウンセラーが毎週3日勤務すれば、600人の治療ができます。
 1人のカウンセラーならば、毎週5日勤務すれば、年間100人、治療できます。10人のカウンセラーがいれば1000人を治療できます。
 こういうことを考えると、心理療法の重要性がわかります。県では、年間の自殺者は1000人とか 2000人(県による)ですから、うつ病になって薬物療法で治らず自殺する人もおられるでしょうか ら、心理療法を提供する施設を作ることの重要さが理解できるのではないでしょうか。自殺予防対策と して考慮していただきたいと思います。そういう施設を各県に作り、うつ病、不安障害などを行う病院 に、そういう施設があることを患者に説明する義務を負う(法律か条令で)ようにすることができない ものでしょうか。そういう施設の医者の診療報酬の額を引き上げるとか、うつ病を治すスキルを持つ心 理療法者の資格を創設して、職業として成り立つようにする政策も必要でしょう。
 うつ病や不安障害が治らず、社会復帰できない人が大勢います。治らず苦しみ、アルコール依存症、 過食症になる人もいます。うつ病には種々の身体症状があり、治療費もかさみます。 高齢者は、うつ病から認知症、介護が必要な状態になることもあります。がん患者、リハビリが必要な人もうつ病を併発します。 心理療法の重要性を理解していただきたいと思います。
Posted by MF総研/大田 at 07:28 | 自殺防止対策 | この記事のURL