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脳の変調は不安障害にも [2009年06月19日(Fri)]

脳の変調は不安障害にも

 うつ病の人は、快を予測する前頭前野の領域は活性化せず、不快を予測する 領域が亢進気味である。不安障害のこういう研究は少ないようだが、同じ傾向があ るのは、不安障害の患者さんを観察すれば明らかである。
 不安障害は、社交不安障害(対人恐怖症、社会不安障害)、パニック障害、心的 外傷後ストレス障害(PTSD)、全般性不安障害、強迫性障害などがあり、障害 とはいわないまでも、あがりに苦しむ人も多い。あがりがあるため、俳優、スポー ツ選手、芸術家が実力を発揮できない。学生が自分の意見を言えない。働く人が、 会議で発言できない、司会できない、説明発表ができない。こういうことがあって 、仕事で実力を発揮できずに苦しむ。
 (私も、あがりで苦しみ、うつ病で苦しんだ。その当時は、脳に変調があったの は間違いない。がんばろうとしてもだめだったから。現在は、人前で講演、講義も して、うつ病は20年再発していない。脳が変わったのだろう。)
 不安障害とうつ病の併存は非定型うつ病が多い。
 不安障害には、予期不安(発作や悪いことが起きるのではと予測する思考をしば しば起こして苦しむ)や広場恐怖(電車、バス、人ごみ、歯医者・美容院などしば らく動けないと思う場所や機会などを避けることで社会的、職業的行動が障害され て、苦しむ)という特徴ある症状がある。この、予期不安も広場恐怖も、不快の予測が基 礎になっている。うつ病の人と似たもので内部前頭前野の亢進があるだろう。うつ 病の場合、不満、嫌悪の思考であり、不安障害の場合は、不安の思考である。似て いるせいか、マインドフルネス心理療法では、どちらも同じようなトレーニングに よって軽くなる。不安障害の場合、常に「不安を予測」するというフィルター、色 めがね、不安警戒の身構えがある。 見る、聞く、感じるなどの時、評価しないで受け止めるトレーニング、不快事象( 不安や動悸など)が起きても評価せず観察して耐えてその変容をみとどける(受容 )心のトレーニングを行っていく。
 長引いたり、重いと自殺を招く、うつ病や不安障害は、背外側前頭前野、海馬の 機能低下、内側前頭前野や扁桃体などの機能亢進があり、カウンセリング、相談も 、そういう変調の治療にむすびつけるようにしないと、恒久的な治癒にならないだろう。 一時的な症状の緩和(寛解)では、復帰が難しい。
 心理療法でさえも、しばらく症状が安定していると油断して、ちょっとした対人 関係で感情的になって(すぐ気づいて意識を転換するということを怠り)、あまりに激しい感情を拡大させたり、何時間 も否定的思考をしていると症状が再燃してしまう。これは、薬物療法でも心理療法 でも同様である。
 安定期間が短いとまだ亢進回路はすたれていないで、大きな感情的出来事ですぐ 復活する。相当長期間、再燃が起こらないと、亢進回路はすたれてしまう。こうな ると、ちょっとのことでは再燃しないから、完治となる。メランコリー型うつ病の 再発、非定型うつ病の鉛様麻痺感、パニック障害のパニック発作は、ちょっとした感情的出来事を処理できないと起きるという特徴が ある。マインドフルネス心理療法を受けても日常生活の行動中にも静かにいる時にも、自己洞察を入れることが大切である。常に「今、ここ」に全力で生きる。油断せず、早い時点で、今ここを見失い、 嫌悪、不安にとらわれていることに気づき、意識を価値実現のことに向け変えることを続けないといけな い。
 ただし、薬物療法とは違って、マインドフルネス心理療法を受けた人は、再燃の意味と再発防止の方法を知っているので、重症化しない。今度こそ、油断するまいという決意が起こり、本当に完治に向けてのさらなる自己の研鑽に励み成長していくだろう。
 このようなうつ病、不安障害の脳の脆弱性は、何年経過すれば消失するのかわか っていない。パニック障害の方が発作、予期不安、広場恐怖などがなくなり普通の 生活ができるようになって5年以上になる人がいるが、こうなると、もう相当のス トレスがあっても再発しないのではないだろうか。うつ病が薬物療法、心理療法で 治った人、軽くなった人も、5年くらいは再燃させないような心の使い方をしたほ うがいい(脆弱性の脳の回路が変わるまで)。ひきこもる、コミュニケーションな どを避けるというのではなく、自分の心を常に観察して、嫌悪的、否定的な思考を コントロールするのである。多少の感情は、受容すればよい。油断して、長く考え たり、激しく反応することがなければ、発作は再燃しない。感情のレベルがある限 界を超えると、非定型うつ病の鉛様麻痺感、パニック障害のパニック発作、過呼吸 、メランコリー型うつ病の抑うつ症状・自殺企図(他の障害の自傷行為、過食、ア ルコール、家庭内暴力も)を誘発するスイッチが入る。
 うつ病、不安障害、過食症、依存症、それらによる自殺、暴力、自傷行為、つら さをまぎらすことによる非行犯罪(大麻、覚醒剤、放火、万引き、虐待など)など 、若い頃に心の教育が充分に行われるならば、減少できる社会問題であると思う。
 大人になってからも、変わることができる。私は40歳から始めた。そして、今も続けている。心は広く深く、探求は生涯つづく。人の苦しみは広く、深く、その解決への助言、支援は途方にくれるほど難しい。 多くの人がマインドフルネス心理療法の研究、臨床に参画してくださる時がくるだろうと期待している。アメリカより20年ほど遅れているが、マインドフルネス心理療法は脳神経生理学の動向と合致しており、うつ病や不安障害など医療モデルの領域では心理療法の主流になるだろうと思っている。アメリカで盛んになっているのを知って心強い。種々のプログラム (弁証法的行動療法、行動活性化療法、マインドフルネス認知療法、ACTなど)がある。 まだ、うつ病についてのスタンダードは完成していない。日本では、 2、30年かかるかもしれないが、幸福を求める歴史の必然だろう。日本のあちこちに、外来のものと国産のものと、種がまかれているような状況にあると見える。
Posted by MF総研/大田 at 10:39 | パニック障害 | この記事のURL