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(16)さらに心得ておきたいこと [2008年12月18日(木)]
連載<働き盛りのうつ病予防・概要>

(16)本人や家族はどうすればいいか
 「心の免疫力」を向上させる
 =社会的対策と本人の対策

(16)さらに心得ておきたいこと
 =うつ病を治し復職したい人は何をすればよいのか?

 気分の悪さは改善しても、なかなか復帰できないことがあります。復帰を妨げる症状として次の症状 が残ることが多いでしょう。
  • 1)睡眠のリズムが乱れていて改善されない
  • 2)意欲がない
  • 3)人とコミュニケーションが不安
  • 4)頭の回転がもどらない
  • 5)薬をやめられない
  • 6)かなり多くの症状が持続して薬の効果をあまり感じられない
 こういう症状が残って、復帰できないのであれば放置無策で暮らすのではなく改善する可能性のある ことを試すべきです。

<第1>睡眠のリズムが乱れていて改善されない

 薬物療法がセロトニン神経に作用することにより、うつ病や不安障害を改善させます。しかし、薬を 飲むだけでは不十分です。生活習慣や運動によっても、セロトニン神経を活性化できます。 薬の作用は、末端のシナプスでの再取り込み阻害ですが、運動による 場合、セロトニンを合成している縫線核を活性化するのだから、根本的な改善方法に近いです。
 だから、薬で効果がなくても生活習慣や運動によって症状が改善する可能性があります。うつ病や不 安障害には睡眠障害があることも多いですが、睡眠障害の治療ガイドラインでも同様の心得が含まれて います。
 うつ病を治すために実践することが望まれます。
    →(参考)「睡眠障害対処12の指針」をキーとして検索すると表示されます。
     これは、うつ病、不安障害ではなく睡眠障害のみの治療のガイドラインですが、うつ病を治すことと 共通のことが多いです。
 次の改善の努力をしましょう。
  • 朝決まった時刻に起きる。
  • 毎朝、何か日課を決めて実行する。
  • 毎日、午前中に図書館に行く。
  • 患者会、復職支援プログラムに参加する。

<第2>意欲がない

 復帰するほどの意欲がないばあい、意欲に関わる前頭前野や帯状回の回復が遅れているのでしょう。 何でもいいから小さいことをいくつか行うといいでしょう。 意欲がなくても、日課として行うのが回復を早めます。
  • 散歩
  • 家族の手伝い
  • 公園のゴミひろいなど社会貢献になる作業
  • 復職支援プログラムに参加して作業プログラムを行う

<第3>人とコミュニケーションが不安

 うつ病の場合は、次の対策があります。
他者との会話が不安、人にあうのが不安だというのは前頭前野の機能が充分回復していないためである と推測されます。会わないでいるとそのまま症状が定着してしまうかもしれませんので、次の「集中力 、頭の回転」をとりもどすトレーニングを行うほかに、つらくてもあえてコミュニケーションの場に参 加することが回復につながります。
  • 患者会に参加してコミュニケーションの機会とする。ひきこもりの人のあつまりでもいい。病気で あることを理解してくれる集まりは何でも参加する。
  • やさしいボランティア活動、 復帰支援のデイケアに参加して会話する。
 対人恐怖症(社交不安障害)によるコミュニケーション回避ならば、上記の対策では改善しないでし ょうし、できないでしょう。対人恐怖症の治療のためのカウンセリング(認知療法やマインドフルネス 心理療法など)を受けるべきです。治療には長期間かかるので近くのカウンセラーをさがすべきです。

<第4>集中力、頭の回転がもどらない

 思考、判断、記憶、計算など頭の回転がもどっていない気がする。本など長く読めない。 こういう症状も前頭前野の機能が回復していないためであると推測されますので、作業、判断、計算な どの機能回復に効果のあるトレーニングを毎日行ってみるのもいいでしょう。 音読、計算療法のテキスト、 まちがいさがし、パズルなどの本があります。
 呼吸法も毎日、長時間行うと集中力のトレーニングになります。

<第5>薬をやめられない

 薬をやめなくても復帰できればそれでもいいです。薬を服用し続けているので復帰する自信がないと いうことがあります。再発を繰り返さないタイプのうつ病の人は、症状が安定してきたら少しづつ減薬して最後には断薬も可能です。
    (薬を服用している限り治ったとはみなさないという企業経営者がいると聞きます。また、ストレスが加わった時に症状が出ると薬を増量するしかありません。 減薬、断薬をすると症状が悪化する人は薬を服用するか 再発しないように心理的ストレス対処法を習得していればいいのですが。)
 長期間安定している人が薬を減らす決意をして、 減薬、断薬するとして離脱症状がでることがありますので不安になって失敗する人がいます。減薬、断薬の自信がなけれ ばその方法を助言するカウンセラーを訪問して助言を受けながら減薬するといいでしょう。 離脱症状そのものをストレス、不快事象とみなして、それを受け入れる心のトレーニングをするのです。 心理療法を 併用すると減薬、断薬の不安が少ないでしょう。

<第6>かなり多くの症状が持続して薬の効果をあまり感じられない

 前述の心得10か条を真剣に実行してみる。それでも治りにくい場合「治りにくいうつ病」かもしれ ません。心理療法(カウンセラーによる)を受けてみることを検討するのがいいでしょう。認知療法や マインドフルネス心理療法で治る人も多いのですから長引かせるよりも心理療法をいくつか試してみる のがいいと思います。認知療法とマインドフルネス心理療法は相当違う手法ですので、どちらかで効果 がなくても一方で効果のある人がいます。どちらかを6か月ほど実行して改善しないならば、他の手法 をためすといいでしょう。

<第7>復職支援プログラム

 症状が軽くなってきて復帰の意欲が出てきても、すぐに復帰できるかどうか不安な場合、復職支援プ ログラムに参加してデイケアサービスを受けるといいです。入力作業、コミュニケーションの機会、軽 い運動、リラクセーションの実施などが行われます。
  • 全都道府県にある地域職業センターの「リワーク支援」
     民間企業の休職者のための支援。カウンセラーが事業主、主治医と連絡をとりながら、復帰を指導す る。
  • 病院やNPOで行う復職支援プログラム
     こちらに「うつ病リワーク研究会」のホームペ ージがある。復職支援プログラムを行う病院のリストがある。 札幌、埼玉県(越谷市)、東京都には多数、千葉県(船橋、佐倉、流山、市川)、神奈川県(横浜市、 厚木)、愛知県(名古屋、豊田、春日井)、三重県(四日市)、京都府(宇治市)、大阪府(茨木市) 、福岡県(福岡市、大牟田市)にある。

<続く> (17)
連載<働き盛りのうつ病予防・概要>
 =マインドフルネス心理療法の視点より
 =働く人のうつ病、自殺を防止するために
Posted by 埼メンタル協会/大田 at 10:08 | うつ病 | この記事のURL