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マインドフルネス心理療法の理念と立場 [2008年08月07日(木)]

マインドフルネス心理療法の理念と立場

 「マインドフルネス心理療法の理念と立場」をホームページに掲載しました。カウンセラー講座のテキストの1冊です。

徹底した現在一元論

 マインドフルネス心理療法は、従来にない心理療法で、独特の哲学が背景にあります。 徹底した現在一元論が背景にあります。「今、ここしかない」、過去を思わず、未来を思わず、「今、ここ」を真剣に生きれば、精神疾患は治癒する(そういう疾患でないと適応症ではありませんが)
 直接体験のみが実在するのであるのに「考え」にとらわれたり、過去や未来にとらわれて感情を起こして苦しむ。徹底して「今」に生きるスキルを身につけるならば、うつ病や不安障害は治る。今、ここに徹底するには、認知的技法は不要であり、今、ここの直接経験に意識を徹底、とどめるスキルを習得すればいい。直接経験を評価しなければ、不安も嫌悪もない。 こうした、生き方をしていくと、クライアントの脳神経生理学的な変化が起こる。そして治癒する。

マインドフルネス心理療法のスキルも適用範囲も限りがなく深まる

 ただし、これを、心の病気の人が習得するのはむずかしいから、指導するには、それなりの指導法の研究と臨床体験を重ねる必要がある。たとえば、うつ病の治癒効率をあげたいと思うセラピストは、マインドフルネス心理療法のスキルを洗練させるべきで、認知的技法を使うひまはないだろう。マインドフルネス心理療法は大変深いものがあり、熟練すればするほどむずかしい疾患を治療できるようになります。マインドフルネス心理療法の技法もたくさんあるから、それを習得すべきです。認知療法の好きな人はマインドフルネス心理療法を行なわないだろう。かなり違う。
 (ただし、患者さんは、認知療法者とマインドフルネス心理療法者のどちらでも選ぶことができます。セラピストは、どちらかの熟練者となるでしょう。)

 認知療法 でさえも効果がみられない問題が多く、アメリカの心理療法者が種々の方面から効率よい心理療法 を研究してきたら、マインドフルネス、アクセプタンスに到達したという興味ある現象が起きてい ます。

だから認知療法の技法を洗練させる余裕はない

 認知的技法を用いませんので、認知療法の専門家は習得したいとは思わないかもしれません。マインドフルネス心理療法と他の心理療法を併用しないほうがいいと言っています。セラピーが進展しないように見える患者にも、それが適応症ならば、あくまでも、セラピストはマインドフルネス心理療法を熟練して適用すべきだからです。たとえば、「体調がすぐれないから呼吸法ができない」という<うつ病>の患者さんに、「では、認知療法で行こう」というのはよくないのです。何とかして「呼吸法」ができるようにセラピストの指導スキルを向上させるべきです。そうなると、マインドフルネス心理療法の手法の洗練につとめます。認知療法を使う機会が少なくなります。 そうなると、せっかく習得した認知療法が活かせなくなります。
 となると、従来の心理療法に限界を感じるかたが習得されるで しょう。日本では、弁証法的行動療法やアクセプタンス&コミットメント・セラピーの本を翻訳して研究する方がお られますから、その流れと、自己洞察瞑想療法の流れが日本の中でマインドフルネス心理療法を推 進していくでしょう。前2者は、アメリカで生まれたもので、ちょっとむつかしそうに見えます(全体実在論、現在一元論、心 身一元論などの哲学は同じようです)が、後者は日本人にわかりやすい手法だと思います。マインドフルネス心理療法の入門としていいでしょう。これを習得してから弁証法的行動療法を勉強すれば楽でしょう。
 自己洞察瞑想療法は、うつ病、不安障害(対人恐怖症、外傷後ストレス障害、パニック障害、全般性不安障害など)、家庭の不和、仕事のストレス、ターミナルケア、スポーツ心理、心身症、種々の身体疾患(がんや難病)のストレス対処、などに有効です。
 スキルを熟練し、他の領域への適用を研究すれば、限りなくひろがっていきます。私にはうつ病、不安障害、自殺念慮のある方の支援が精いっぱいですし、スキルも時間もないので他の疾患、ほかの領域を研究することができません。多くの人が習得して、特異な領域の適用を研究していけば、ずいぶん広く社会貢献が可能な心理療法だと思います。たとえば、医療従事者・教師のストレス対処、介護・リハビリテーション現場の意欲向上、解離性障害、アルコール/覚醒剤依存症、統合失調症、虐待する人、パーソナリティ障害、自死遺族の支援、犯罪被害者の支援、非行犯罪者の更生、子どものストレス対処法、スポーツのストレス対処など数多くありそうです。
Posted by 埼メンタル協会/大田 at 20:06 | 私たちの心理療法 | この記事のURL