他人への恨み [2008年07月30日(水)]
3カ月の継続グループ・カウンセリングの新規受付(埼玉県蓮田市)
9月(2008年)からマインドフルネス心理療法によるカウンセリングをご希望のかた、受付を開始しました。次の記事をご覧ください。
「他人への恨み」自分が対人恐怖症になったのは、中学校時代の先生のせいだと恨んでの殺人未遂事件が起こりまし た。自分の不幸は親のせいだとして、家族内殺人、無差別事件も起きています。現在の自分の不幸は、過去のせい、親のせい、先生のせいと思いたくなるのでしょうが、 一つのことに原因があるような簡単なことではありません。 心の病気や「キレやすい心」は過去に原因があるという分析ですますと治す動機が失われるようです 。過去は過ぎ去り、現在しかなく現在の心の使い方を社会に適応できるようにしないと現在の苦悩が 解決しません。 弁証法的行動療法のリネハンは、こう言っています。 「周囲の行動」とは、過去、現在の親、配偶者、先生の行動などに当たるでしょう。
心の病気になっている自分の不幸は、親のせい、先生のせいと考えると「怒り」という感情が渦巻 いて、「現在の自分の心身」を傷つけてしまい改善の意欲が一層そこなわれてしまいます。だから、 うつ病や不安障害の場合(対人恐怖症も不安障害の一種)は、過去にこだわっていると治りにくい。 だから、過去の出来事(親の虐待とか配偶者の暴力とか)の分析は現在の感情処理を充分にできる段 階になってから取り組む。現在の患者さんの現在の心の使い方、感情処理のしかたを適応状態にする ことを治療の基本態度とします。 特に、現在の体験(不快なことでも)を無評価で観察しながら受容する心のトレーニングを中核と します。薬物療法で治らない人でも治る人がいるのです(課題の実行が難しい患者さんもいて全員が 治るわけではありませんが) 過去のしうちを許すとか忘れるとか、過去の出来事を別の考え方で見てみるとかいう(そういうの は認知療法的技法)のではなくて、マインドフルネス心理療法では、第一段階は、そういうことは脇においていて、現在対人恐怖という回避行動に移る刺激が起きた時の現在の反応パターンを変えていく課題をトレーニングする方法です。対人恐怖症は特定のトラウマがない場合も多いですが 、トラウマがあれば、不快事象について無評価で観察し、回避せず受容することが充分できるようになってきた段階で、過去のトラ ウマに取り組みます。今の感情の受け入れ、処理法が変われば、過去の出来事を観察する気持にも変 化が起こり、罪を犯すような行動はしないでしょう。 薬物療法で治らない心の病気やキレやすい感情(=怒り。弁証法的行動療法は怒りの治療にすぐれ ている)でも、心理療法(認知療法、森田療法、マインドフルネス心理療法など)で治ることもある ことが知られていないようです。また、そういう心理療法があることを知っていても、全国でそれを 受けられる環境ではないというところに、この国の不幸があります。心理療法が発達してどこでも受 診できれば、心の病気が治り、ひきこもり、自殺が減少し、「キレやすい心」が治り、虐待、家庭内 暴力、非行犯罪などが減少するのでしょう。しかし、日本ではこれまで心理療法にはあまり力を入れ てこなかったようです。教育でも知識の教育が重視されて、心の教育は軽視されてきたようです。 心の病気(うつ病、対人恐怖症など)は「現在の本人」が変わることで治るのですが、だからとい っても、ひどい仕打ちを他者にするという「加害行為」を決して認めるわけではありません。うつ病 や他の障害も、いじめ、セクハラ、虐待、過酷な勤務でも発症しますから、うつ病、自殺、不安障害 などを減少させるためには、社会構造的な方面の改善も必要であることは言うまでもありません。し かし、発症してからは、ストレスが除去されても加害者が謝罪しても心の病気が治るかどうかは別の ことです。 日本では心理療法を受けられる環境が遅れているのが気がかりです。 |
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