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抗うつ薬の限界 [2007年12月27日(木)]

抗うつ薬の限界

 =抗うつ薬はうつ病をひきおこしているものを標的とはしていない

 抗うつ薬は、うつ病をひきおこしている部分を直接の標的にしていないという ことは、アメリカのうつ病の研究者も指摘している。
     「1980年代の終わりまでには、多くの臨床家は再発を防ぐには抗うつ薬を予防 的に処方するのが一番であるという見解をもつようになっていた。そして、臨床 家たちは段階に応じて、急性的(その時点での症状を軽減する目的での処方)、 継続的(回復後6カ月間の処方)、維持的(回復後3〜5年までの処方)な抗う つ薬の使用を区別し始めた。うつ病に対するアメリカ精神医学会の最新の実践ガ イドラインでは、この枠組みが採用されている。
     これらのガイドラインの非常に重要な前提は、抗うつ薬は長期的な治癒をもた らすわけではなく、症状を抑えることに効果があるので、使っていなければまた 悪化するということである。つまり、抗うつ薬はうつ病を引き起こしているもの を標的とはしていないのである。それでも、うつを発症するたびに再発の時期が 早まることを考えると、どのような方法であっても症状の悪化を予防することは やはり重要である。このことは、うつを予防するためには、急性期のうつに効果 のあった治療法と同じものを続けなければならないということを意味している。 」(1)
 うつ病は再発しやすい。再発を防ぐためには、寛解になっても、抗うつ薬を継 続して服用するのがよいとされる。そのことは、抗うつ薬が、うつ病を引き起こ している部分を直接の標的としていないからである。完治させない不十分な薬で ある。うつ病を引き起こしているのは、前頭前野、大脳辺縁系、海馬、など、そ して、なお、間接的であるが、HPA系などである。
 抗うつ薬を服用しないと再発が多いが、3回以上、うつ病を再発していた人が マインドフルネス認知療法を8週間、受けた人の再発率は低くなった。
 薬を服用していても、再発する人、自殺する人、治らず不就労が続く人がいる ことをみていると、やはり、マインドフルネス心理療法のすぐれた効果を無視し ていてはならないだろう。アメリカでは、こうした、うつ病のマインドフルネ ス心理療法への臨床研究がすすんでいるので、維持的(回復後3〜5年までの処 方)な抗うつ薬の使用を枠組みとするアメリカ精神医学会のガイドラインも、や がて、修正されるのではないだろうか。
 日本でも、抗うつ薬を長期間、服用するということは、患者本人にとっても、 国の医療費の点でも賢明とはいえないだろう。安い費用で、マインドフルネス心 理療法を提供できて、うつ病の再発、自殺防止ができるのであれば、患者にとっ ても、国にとっても幸福であるに違いない。
 自殺防止対策には、心理療法者も主体的に、積極的に参加していただきたい。医者、製薬業界は、うつ病の症状をひきおこしている直接の標的を改善する薬の開発をすすめるだろう。
(続)
    (注)
  • (1)「マインドフルネス認知療法」Z.V.シーガル、他、北大路書房、9頁 。
Posted by 埼メンタル協会/大田 at 23:29 | 自殺防止対策 | この記事のURL