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叡智の活性化 [2007年09月26日(水)]
マインドフルネス心理療法のあらまし
 「目標技法」の一つ

叡智の活性化

4つの智慧

 自己洞察瞑想療法では、4つの智慧の概念を提示する。
  • A)合理的な智慧=自己の信念、信条に基づいて論理的に考えて判断する智慧。
  • B)苦悩の智慧=感情や衝動に支配されて判断する智慧。
  • C)無分別の智慧(無評価の智慧)=評価を保留して、直接的な経験を、直接的に認知する 智慧。苦悩する人でも、持ち合わせているが、自覚されにくい。だが、自己洞察瞑想療法の指 導を受けると、すぐに自覚できる。
  • D)直観的な叡智=無分別の智慧に基づいて、価値の実現を達成する智慧。直接経験の観察 、 洞察により機能分析、苦悩の連鎖を克服し、受容し、価値実現が保障される智慧。自己洞察による叡智。

叡智の活性化

 クライアント(患者)は、気分が悪い、仕事ができない、不安のために電車に乗れない と苦悩を訴える。苦悩の智慧(B)である。
 クライアント(患者)は、苦悩するわけを分析して、説明すれば、理解し、同意する。 これは、(A)である。だが、いくら理解しても、苦悩は解決しない。
 合理的な智慧(A)は、自己の信念、信条に基づいて論理的に考えて判断する智慧である から、今は、自己は苦悩しない。だが、周囲の者が、苦悩している場合がある。たとえば 、自分ではよかれと思って、自分の考えを子に強制する親は、自分の考えは、合理的な智 慧と思っている。だが、子どもは、親の智慧によって、苦しんでおり、精神疾患になった り、殺害事件が起きる誘因となるかもしれない。自分では、合理的と思った行動が、犯罪 の要件に合致するかもしれない。このように、合理的な智慧(A)は、必ずしも、本人や関 係者の価値実現を保障しない。
 苦悩が起きたわけを分析して、理解しても、精神疾患は治癒しない。そこで、論理的な 説得(A)を離れて、呼吸法、感覚に意識を集中する技法によって、論理によらないで直接 体験を観察する方法を教えると、すぐに、同意できる。たとえば、呼吸を観察するとか、 痛みや感情をその感じるままのところで、感受すると(嫌悪しなければ)、受け止め方が 違うことを同意できる。呼吸に意識を集中している時には、自分の苦悩(うつ病であるこ ととか、休職しているとか、過去のトラウマとか将来の不安とか)を感受していないこと が観察される。これは、無分別の智慧(C)(無評価の智慧)である。
 だが、まだ、機能分析を充分に行なうことができず、苦悩の連鎖の解消ができず、価値 実現の方向にある行動を選択できず、瞑想の実践を終えると、また、苦悩の智慧(B)の中 にはいる。
 一定の期間のマインドフルネス(直接経験注意集中)、アクセプタンス(受容)、機能 分析、連合解消を習練して、価値実現の方向にある見方が充分に習得される時、直観的な 叡智(D)が獲得されたといえる。叡智は、他者の苦を共感し、他者を苦におとしいれない 智慧でもある。叡智は、精神疾患の人に全くないわけではない。使う機会が少ない。治療 が進行するにつれて、叡智を用いる機会がふえることによって、症状が軽くなっていく。
 叡智が充分に獲得された時に、精神疾患が治癒し、問題行動がやむ。自己洞察瞑想療法 の目標は、クライアントが叡智を獲得できるようにすることである。元来、誰でも持って いるのであるが、なかなか、自覚できず、柔軟に使うことができなくなっているのを、ひ きだし、充分に用いることができるように援助する。自己洞察瞑想療法の技法、戦略は、 すべて、このためのものである。
Posted by 埼メンタル協会/大田 at 22:36 | 私たちの心理療法 | この記事のURL