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自殺は防止できる=家族ができることから行動を(2) [2007年08月28日(Tue)]
マインドフルネス心理療法の本
うつ病や不安障害などを治すための新しい心理療法が開発されました。 それを紹介した本です。本で紹介した課題を実践すると治ります。
毎日、少しずつ実践して、脳内に生じていた変調に変化をおこして症状が軽くなるのです。

自殺は防止できる=家族ができることから行動を(2)

(前から続く)

家族ができることから

 親、家族が協力すると、うつ病や自殺の防止ができる場合があります。外部からの支援がはいり にくい親のもとで起きる問題は、政治などで長期的な課題として取り組むこととして、親 が、家族が何とかしたいと思う方の間で、できそうなことから始めていったらどうでしょうか。政 府が動きはじめましたが、まだ、情報収集、問題分析、新しい手法の研究段階にありますので、現 実的な対策がすみずみまでいきわたるまでには、数年から十年の時間がかかりそうです。多くの家 族に、そんな時間は待てないところもあるでしょう。問題意識のある、解決したいと切に望む家族 が緊急にできることから、開始しておくことが大切でしょう。

 うつ病は薬物療法で治ると簡単に考える傾向があるようですが、中には慢性的なうつ病が あります。気分変調性障害は、2年以上、持続する慢性的なうつ病です。家族が結集して、それ までの対策ではない新しい対策をとらないと、治りにくいでしょう。
 家族もがん患者会、難病の家族会のように、うつ病・パニック障害などの患者の家族が結集し てうつ病、パニック障害の治療法の対策にむけて行動を起こすことも必要ではありませんか。患者 や家族が黙っていては、行政や医師、カウンセラー団体の動きを加速させられないでしょう。個人 では、カウンセリングを受ける費用が大きくかかりますが、患者が多数結束すれば、わずかな分担 金負担で、カウンセラーを招聘してグループでの指導を受けられるでしょう。(しかし、うつ病や 不安障害の心理療法による治療のできるカウンセラーが少ないので、その養成を国や自治体に要求することも患者 家族の大きな力でしょう。)
 また、家族や社員に、まだ、うつ病だとわかっていない家族や組織も、予防のため、あるいは 、支援を求めないでうつ病を深めるとか、自殺で亡くならることを防止するために、すべての家 族、組織が、毎年、勉強しておくことをすすめます。
 家族が運動の先端に。下記は参考例です。  私どもは、マインドフルネス心理療法を行いますが、うつ病やパニック障害には、認知行動療法も 効果があります。治療のためには、それに詳しいカウンセラーをさがして、グループカウンセリン グをしてもらう方法もあります。(カウンセラーの育成を国に働きかけていく必要があります)

メンタル以外の支援も

 自殺防止には、メンタルなケアのほかに、社会的な支援が必要です。苦しむ人を作りだす社 会の制度を変えていくとか、専門的な領域の支援活動が重要です。 支援網も作っていく必要があります。国や自治体が対策をとりはじめています。  家庭が居心地よければ、家族が愛し、愛されていれば、外でのストレスにたちむかう心も強 いでしょうが、現実には、貧しい家庭、病気のために子どもに配慮できにくい親、両親の不和 、親が子を育児放棄、虐待するようなこともあり、子どもが幸福だとは思えない状況にある家 庭も多いでしょう。そういう状況になっているのを、改善して、うつ病、自殺を減少させてい くのは容易ではありません。長い間の政治経済教育社会の仕組みから起っている問題からの影 響があり、長期的な視野から改善していく、支援していくのは政治です。そこを変えていくの も、すべての大人です。

治療の対策は、家族が行動を起こさないと! 他の人は関心がうすい

 ただ、うつ病や自殺予防のことに関心のある人は少ないのも実情です。「うつ病なんて、自殺なん て、私や私の家族には無縁だ」と思っています(本当は、違うのです。多くの分野で活躍していた人 が、精神疾患になったり、自殺で亡くなっています。どこの家庭でも起きるのが、精神疾患、自殺だという ことが理解されていないのです)。
 だから、うつ病、自殺問題の支援には、多くの人が無関心である傾向があります。他のNPO活動や 趣味の活動は活発であるのに、うつ病の支援、自殺防止の支援活動に参加してくださる方がほとん どないことでもわかります。幸福な人は幸福な自分の生活を楽しみ、うつ病や自殺予防の問題に参 加しない傾向がありがちです。日本の公的医療保険では、医者でさえも、心理療法に打ち込むよ うな環境ではありません。医者からの支援も、限界があるでしょう。薬で治らない場合、医者から の治療は限界です。治らないと長引いて、苦しみが続きます。
 貧困、経済、就職などのことではなくて、うつ病、不安障害そのものが治らなくて苦しむ人々も 多いのです。経済支援、就職支援、生活支援では治らないうつ病、不安障害があります。そういう 治療の質の側面も、困っている人が声をあげないと、うつ病対策、自殺防止活動は動きが遅いで しょう。国や自治体、組織の予算、人材がかぎられているからです。患者さんご本人は、病気のた めに行動がむつか しくなっていると思います。ご家族に動いてもらうように頼めないでしょうか。

家族の支援の例

 うつ病の患者さんは、自分で計画する力も、おとろえているかたもあるので、できれば、決 まった居場所に集 まって、インストラクターの指導で、呼吸法や運動、脳機能活性化トレーニングなどを行なうのが 親切です。カウンセリングを行なうのは治すスキルを持つ人でないと難しいですが、こういう予防的なトレーニングの指導はむつか しくはありません。また、まちがいさがしをしたり、レクレーションをやったり、音読計算をやっ たりするのもうつ病に効果があります。そういう場は、お茶を飲めるようにしたい。うつ病の人は 孤独であることが多く、居場所があれば治療効果が高いです。こういうことには、専門的なスキ ルは必要ありません。ただ、ボランティア精神のある人ならできることです。グループ実習、居場 所サービスを行なう患者会を開催するのも一つの対策です。
 マインドフルネス総合研究所では、スタッフが少ないため、蓮田市で、月1回(しか も、わずか2時間)しか、提供していません。
 たとえば、患者の家族会のメンバーが交代で、デイケア・サービスを提供する方法があります。 病を治すには、患者が、毎日、呼吸法や軽い運動などの課題を実行、指導する居場所を作る必要が あります。患者の家族が、7人 いれば、交代で、その居場所に出勤して、毎日、数時間、デイケアサービスを提供できます。全国 の患者のご家族が結 集すれば、家族は週一日、勤務するだけで、全国各地で毎日提供できます。家族は、永久に参加す るのではなくて、ご自分 の家族が治るまで、期間限定のボランティアとしてご支援するのです。家族が十数名、結束すれば 、県に1カ所くらい、作れるのではないでしょうか。その居場所から始めて、大勢が参加するよう になれば、県や国に、補助を申請するなり、改善対策を陳情できるでしょう。 困っている人が動かないと、支援の動きは遅れそうです。
連載記事=自殺は防止できる
Posted by MF総研/大田 at 09:14 | 自殺防止対策 | この記事のURL