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不登校の背景に非定型うつ病 [2007年07月26日(木)]

非定型うつ病(11)=不登校の背景に非定型うつ病

 学童期の子どもが、非定型うつ病になると、欠席が多くなったり、不登校になった りします。不登校の背景に、こういう非定型うつ病がある場合には、当然、その治療 をしないと復帰がむつかしいでしょう。
 貝谷氏の本では、不登校のケースは、次の例が紹介されています。
  • 事例4=17歳の女子高生(62頁)
    • 幼稚園の頃、暗闇を恐れて眠れない夜があった。小学生になっても、雨の音や家 で1人だけで留守番をすることに恐怖心を抱くことがよくあった。
    • 中学3年生の時、お腹が張り、おならが出て、教室で周りの人に迷惑をかけると いって夜になると家で泣くことが時々あった。内科で検査を受けたが異常は発見され なかった。
    • 高校に進学し、テスト1週間前になると、夜、泣き出す。2年から時々、登校を しぶる。夜になると理由もなく涙が出てくる。
    • ある日、友達と、ちょっとしたことを言われて、気分が落ち込み、3日、学校を 休んだ。
    • SSRIと抗不安薬による薬物療を始めたが、すっきりせず、時々、学校を休んだ。
    • 4カ月後、貝谷氏のクリニックに来て、治療を始めた。抗うつ薬に加えて、非定 型抗精神薬を服用したら、元気になってきた。
  • 事例11=中学生の時から、保健室登校、17歳で境界性パーソナリティ障害と 診断された女性(89頁)
    • 中学2年生の時に友達関係に悩んで不登校になり、保健室登校を続けた。時々、 パニック不全発作があった。
    • 専修学校に進学したが、休みがちだった。17歳から、うつ症状を訴え、休学、 心療内科で治療を受けた。夜になると泣いたり、リストカット、過眠、過食が見られ た。
    • 18歳になって学校に行けるようになったが、クラスメートと意見があわず、自 己嫌悪におそわれてトイレでリストカット。次の日から体が鉛のように重くなり、起 きられず、また不登校に。パニック発作、リストカット、飛び降りようとする行動が みられた。医者に、境界性パーソナリティ障害と言われて、臨床心理士のカウンセリ ングを受けた。
    • 貝谷氏のクリニックで、薬物療法とカウンセリングを受ける。その後、症状は軽 くなったものの、買い物くせ、退行がみられた。
   こうして、学校を休みがち、保健室登校、不登校の裏に、非定型うつ病やその前駆 症状がみられる場合もあるでしょう。若い女性に、リストカットが多いそうですが、 この例にもあります。リストカットやオーバードーズ(薬の過剰摂取)の裏には、非 定型うつ病、または、それに近い症状もあるでしょう。 早期に治療しないと、成人になっても、外出がむつかしくなるかもしれません。学校 におけるカウンセリング、不登校の子の支援には、うつ病、非定型うつ病のことも心 得ておかないといけないでしょう。いじめだけが不登校の理由ではないのですから。もちろん、いじめによって、非定型うつ病になることもあるでしょう。いじめによって、非定型うつ病の発作性の症状が起こる、ということもあるでしょうから、いじめは、もちろん、やめさせなければなりません。
 しかし、生徒の場合、非定型うつ病らしいと判断がついても、治療やカウンセリン グには、むつかしさが予想されます。家庭が治療やカウンセリングを受けることを許 すか、本人がカウンセリングを受ける意欲があるか、むつかしそうです。幼い本人に 、病気であると伝えていいものかも、むつかしいことです。クラスメートがうつ病と知ると、いじめる側の問題ではなくて、本人が問題だと偏見を持つかもしれません。
 一番いいのは、こういう病気にならないように予防することですが、家庭の方針が 深く関係していますので、予防対策がとりにくい。ともあれ、本人の意思でカウンセ リングを受けられる年齢になったら、貝谷氏のような、非定型うつ病に詳しい医師 の診断を受けて、治すべきです。
 非定型うつ病には、拒絶過敏性という発作的心理が関係しているので、瞬間的な心の反応パターンを変える心理療法の併用が重要だと思います。長引くと、20代、30代までひきづります。早期に心理療法の併用をおすすめします。
    (参照)「気まぐれ「うつ」病ー誤解される非定型うつ病」貝谷久宣、ちくま新書、 2007/7


  • 非定型うつ病
  • Posted by 埼メンタル協会/大田 at 22:30 | うつ病 | この記事のURL