自殺予防のためにうつ病の治療拠点を作る(2) [2009年06月01日(月)]

自殺予防のためにうつ病の治療拠点を作る(2)

 自殺防止には、うつ病、不安障害などを積極的なアドバイスで治療する心理療法( セラピー)を提供できる人を育成することが急務です。 種々の領域の悩みごとの相談(多重債務、加重労働、出産、育児、発達障害の悩み、 就労支援、生活保護支援、いじめ問題、進学、キャリア、経営、教育、スポーツ、介護支援、自死遺族支援、がんほか難 病の悩み支援、自殺予防*、など、多種多様な領域)を受けて医療以外の助言をしたり、心の悩みで も、患者さんの訴えをよく傾聴して積極的なアドバイスをしない「カウンセリング」も大切です。こういう多 くの領域の専門的なアドバイス、情報提供によって、悩みが解消されて、うつ病にな ることなく、なりかけていても、軽い段階で回復すれば、自殺しないですみます。こうしたカウンセリングで救済される人も多いのだ から、「カウンセリング」の重要なことはいうまでもないことです。
    (*)自殺予防カウンセリング。自殺予防についての幅広い知識、情報を駆使して、自殺予防の助言のスキルもカウンセリングになる。しかし、そのカウンセリングスキルと、うつ病を治す心理療法のスキルは別ものである。たとえば参考書がある。「自殺予防カウンセリング」(駿河台出版社)。これを読み、実際に相談活動にとりくめば、自殺予防カウンセリングになる。 だが、これにも、認知療法の概観があるが、習得するには、別に学習、臨床体験が必要になる。自殺防止には、一次、二次、三次があって、これまた、範囲が広く、よい「カウンセリング」ができるようになるには、相当の学習と経験が必要になる。うつ病の治療、そのものと両方できるのか不明である。ここも、分業、連携となるのではないか。
 しかし、自殺防止には、カウンセリングスキルだけでは不十分なのです。上記のようなカウンセリングを行う人は、うつ病の人をみつけたら、精神科医を受診するように助言するでしょう。しかし、薬物療法で治る人はいいのですが、治らない人もいます。精神科医はほかの治療をほとんど提供しません。欧米では、うつ病や不安障害の心理療法が盛んになっているのに、日本の医者の多くが心理療法を提供しません。 医者は、うつ病、不安障害 を治す心理療法(セラピー)を医学部での学習期間中にほとんど勉強しないといわれ ます。医者が行う心理療法は診療報酬がきわめて低いので心理療法を勉強しても病院の経営上は使うことができないから医学部では講座を持たないことになるのはやむをえないことです。
 一方、臨床心理士を育成する心理学部でも、医療モデルである「心理療法」を深く習得させるよりも 幅広い領域の心理学、幅広い領域でカウンセリングできるスキルを教えるでしょう。臨床心 理士が幅広い産業領域で活躍することが期待されているから当然です。これはこれで いいのですが、こと、自殺防止になると問題が生じています。うつ病になった人の自殺防止の心理介入は、狭く深いテーマです。
 自殺する人の大部分はうつ病になっています。他の悩みでもうつ病になっています 。相談においでになった時、うつ病らしいとわかっても、うつ病の治療のできる「心 理療法」を習得していないカウンセラーは、治すためのアドバイスができないので、 当らない別の助言をするか、精神科医の受診をすすめるでしょう。つまり、日本の「カウンセラー」の多く は、種々の産業領域の悩み解決か、傾聴型のカウンセリングのスキルか、うつ病の病理(医療 モデル)を第1義には扱わない心理学(たとえば、行動分析学)のスキルを持つ人が 多いでしょう。うつ病、不安障害を治す「心理療法」は多くなく、そのスキルを持つ人は多くありません。そういう 状況では、薬物療法がだめなら、カウンセラーにというわけにもいきません。カウンセ ラーも医療モデルの「心理療法」に熟練している人が多くないのが実情です。
    (注)他のカウンセリング手法や心理学を否定しているのではありません。承知のようにそれぞれの領域や問題、障害の改善で顕著な貢献をしています。しかし、心臓病のすぐれた治療法が肝臓病の治療には貢献できないように、どの心理学でも、うつ病の治療にすぐれた効果があるわけではないということを言っています。アメリカでは、うつ病には従来の認知療法でさえも反応しにくい難治性のうつ病があるとしてマインドフルネス心理療法が開発されたくらいです。また、他の心理学の手法は、治療の現場で部分的に活用されています。長期間の治療の動機づけに、傾聴も必要です。
 うつ病、不安障害などの「病気」を治すのは、医者の役目と思われてきたようです 。しかし、うつ病、不安障害が医者の薬物療法で治ればいいが、治らない人、再発す る人も多いです。そこから、自殺が起きる。自殺した人の事後調査でも、薬物療法の治療を受けていた人も自殺しています。薬物療法以外の治療法も必要です。 薬物療法の限界も、見えてきました。NHKのテレビでも、うつ病が薬物療法で治らな い人もいることを報道しました。薬物療法も効果があるが、限界もあります。

うつ病、不安障害の心理療法者の育成

 自殺を防止するために、うつ病を治す拠点が必要ですが、そのスキルを持つ心理 関係者は多くありません。うつ病、不安障害を治すのに、有効である「心理療法」は、認知 行動療法、対人関係療法、マインドフルネス心理療法などです。 他にも「○○療法」「○○セラピー」というのがありますが、うつ病、不安障害に効 果があるのかどうか臨床試験ではっきりと確認されていません。
 うつ病、不安障害に効果のある「心理療法」が得意な「セラピスト」を育成する必 要があります。狭い「うつ病」「不安障害」の治療の「深い」知識と卓越した治療ス キルを持つのが「セラピスト」としましょう。狭いが深いことが重要です。自殺は長期間ひきこもりを防止するのだから重要な役割です。自殺があるので、熟練が大切です。 熟練するのに、 時間が限られるか ら、広く、深く、上手、ということを1人の人間に求めるのは無理です。専門家が必要です。
 うつ病になるのは、種々の悩みからで、うつ病の「セラピスト」は、広い領域の知識が必要 になるカウンセリングのスキルはないでしょう。それは、それぞれのカウンセリングにまかせればいい。自殺防止は、セラピストだけでも不 十分。種々の領域のカウンセラー、精神科医、心理療法のセラピストが連携して活動 していかないと、自殺防止には限界があると思います。
 現状では、医療モデルの心理療法の得意な人が少ないのだから、カウンセリングを 公的保険の対象にということは実現しにくいでしょう。公的健康保険は病気を治す医 療の補助でしょう。カウンセラー業界が医療モデルの心理療法者を育成して、健康保 険の対象にするように国に働きかけていくのも自殺防止対策の方向だと思います。 現在の医療モデルでない「カウンセリング」を含めて<すべて>健康保険の対象に、 というのは無理です。うつ病、不安障害に効果のある「心理療法」を確認して、そのスキルを持つ人を認定して、その人の治療は保険の対象とする。こういう対策です。イギリスでは、国の予算で多数の認知行動療法者を育成するという。この方向です。  独立の心理士でいいのか、精神科医の監督でのみ認めるのかという問題があります。心理療法者が独自の職業とはなりにくい環境です。医者でない人で、うつ病などの治療をする心理療法者が育ちにくい日本です。
 心理療法による予防法もあるのに、うつ病、不安障害は薬物療法のみが盛んであるので、学校教育でも社会教育でも、うつ病、不安障害の予防法ということが啓蒙されません。死亡率の高い病気であるというのに。
Posted by 埼メンタル協会/大田 at 11:13 | 自殺防止対策 | この記事のURL
自殺予防のためにうつ病の治療拠点を作る(1) [2009年05月29日(金)]

自殺予防のためにうつ病の治療拠点を作る(1)

 自殺は就業困難、多重債務からだけ起きるわけではない。 たしかに、そういうことが強い心理的ストレスになる。だからといって、うつ病の治療(薬物療法以外の療法も)の研究、治療施設の整備を怠ってはj、自殺が減少しない。自殺の理由の多いのは、健康問題だ。うつ病の治療をしても治らない人がいる。治らないから自殺が起きる。
 誰かの支援で経済的な問題はなくても、薬物療法で治らないうつ病、不安障害などがあることも自殺が減少し ない理由の一つである。メンタルな方面の対策が、内科医などによるうつ病の発見、薬物療法の開始というのでは、治癒割合が高くないのだから、限界に達するのは眼にみえている。
 うつ病や不安障害などが薬物療法で治らなくても、認知療法やマインドフルネス心 理療法でも治る人がいることは欧米では常識のようであるが、日本ではそれを受ける 環境がととのっていない。不安障害も治らないとうつ病を併発して、やはり自殺のリ スクがある。パニック障害、過呼吸とうつ病の併存は非定型うつ病になりやすい。対人関係などの現場で感情的になり発作的な症状が起きやすい。これも、薬物療法では治りにくい。

うつ病の心理療法を行う専門の病院

 県に最低1カ所は、うつ病や不安障害が薬物療法で治らない場合、心理 療法を低料金で受けることができる病院を作ることを提案したい。心理療法は医者が 行うとあまりに低い診療報酬であるために行う医者がいない。そこで健康保険の対象 にならない心理カウンセラー(うつ病、不安障害の治療に得意なカウンセラー)を県 の予算で雇用して、治療にあたってもらう。県の病院、県立医大の病院、あるいは公 立の病院で薬物療法の治療も受けることができる病院がよい。その精神科で薬物療法を受けても治 らない患者を心理療法部門に回すか、最初から薬物療法と心理療法を併用する。薬物療法のみを受け る患者と比較した試験をおこなって効果を確認する。外国では試験済みである。 こうした、うつ病の心理療法を併用する拠点病院が必要であるのは 、既存の精神科医、心理内科医は、患者が治らなくても薬物療法を続けて、心理療法のカウンセラーには回さないからである。拠点病院では、回すことを義務づけるのである。そういう病院があることを県や市の広報で宣伝しておけば、他の病院の患者も自ら来るようになるだろう。
 患者のためには、うつ病、不安障害を治さないと自殺するおそれがある。薬物療法 を受けている患者に、心理療法があることを積極的に伝える精神科病院があるべきで ある。他の治療法があるのに、いつまでも薬物投与を続ける。そして、提供できる施設を作ろうとしない珍しい病気である。 なぜ、そうなのか。診療報酬が低いために医者が心理療法を提供しない環境だからである。患者や家族がうつ病、不安障害や心理療法の知識がないためである。そういう医療を受けることができる施設を作ろうと医師側は動けない環境にある。そういう施設を作ってくれと患者や家族が国や自治体に陳情しないからであろう。他の病気は患者や家族が動いている。
 国や自治体の予算で、心理療法を受けることができる拠点を作る運動をする。これ が、一つの対策案である。
Posted by 埼メンタル協会/大田 at 22:32 | 自殺防止対策 | この記事のURL
自殺予防は家族から [2009年05月25日(月)]
 自殺はうつ病から起きることが多い。種々のストレスや事件、事故などから、悩み 、障害が起きて、身体の病気、心の病気になり、結局、うつ状態、うつ病になって、 うつ病の症状としての自殺念慮から自殺が起こる。前頭前野の機能低下による。
 現代の日本で、自殺防止に大きな影響があるのは家族である。家族の一員がうつ状 態、うつ病になっているのに気づいて、支援を行うべきなのはまず家族である。

 第1に、本人に、病識がない。本人には、うつ状態、うつ病の症状の特徴の一つ、 思考判断力、行動力の低下によって、自分自身の状況について判断できない。うつ病 についても理解がなければ、その状況がうつ病の症状であることがわからない場合が ある。病識がない、ということである。病気であるという意識がないと「治療しよう 」「治療したい」と思わない。気づける可能性があるのは、家族である。うつ病の知 識があれば、家族が気づくことができる。家族のうつ病の知識が自殺防止の第一であ る。(ここでは、本人の努力については触れない)

 第2に、病識があっても、行動力がない場合、病院に行く元気もない。気がついて 、病院に連れていくことができるのは、家族である。治療が始まり、うつ病が治れば 、自殺しない。

 第3に、治療が始まっても、すぐには治らないことも多い。風邪のように1週間程 度では治らない。治療は、3か月から2,3年かかる。この長期間の治療期間の間に も、ストレスがあり、病状の変化がある。長期間、本人をささえて、治療を中断させ ないのも、家族の力が大きい。長期間、ささえて、自殺させないのは、家族である。 本人が元気がない場合、家族が同行するべきである。病院のゆきかえりに自殺するか もしれない。

 第4に、薬物療法の治療が始まっても、治らない人がいる。第1には、かかってい る医者があわない場合がある。精神科、心療内科、内科にかかって薬物療法を受ける 場合、医者がうつ病の薬物療法に詳しい程度の差がある。詳しい方から、たいていは 、精神科、心療内科、内科の順だろう。治らない場合、医者がうつ病に詳しくない場 合がある。そうすると、別な医者をさがすことになる。さがすのは、本人には難しい 。うつ病の症状に、思考判断力、行動力の低下があるからである。患者を救うのは家族 である。家族が、うつ病に詳しい医者をさがして、本人にあった治療を受けると、 治って、自殺を防止できる。
 第2に、うつ病にもいくつかのタイプがあるので、治らない場合、タイプが違うのではない かと疑い、詳しい医者をさがすのも家族である。繰り返すが、患者本人はそういうこ とを疑う判断力、さがす行動力が低下している。違うタイプとは、メランコリー型の うつ病、非定型うつ病、不安障害が併存しているうつ病などである。メランコリー型 のうつ病が治りやすく、他は治りにくいとされていて、薬物療法も心理療法も工夫が 必要であるとされる。(だから、心理療法も新しいものが開発されていく)。それぞ れ、別々の経験のある医者でないと治りにくい。心の病気も数多くあって、広く、深 い。医者もカウンセラーもうつ病に詳しい人、非定型うつ病に詳しい人とは限らない 。精神科医だって、認知症、アルコール依存症は得意だが、うつ病は得意でない医者 がいる。臨床心理士だって、発達障害は得意だが、うつ病は全く治療できない人もい るだろう。
 うつ病が長引く場合、治療者が得意ではない場合があるわけだが、患者にあったタ イプの医者をさがし、予約をとり、同行すれば、適切な治療にめぐりあって、治れば 、自殺を防止できる。そのような難治性のうつ病の治療支援を行えるのも家族である 。

 第5に、薬物療法の治療でも、心理療法の治療でも、治療には長期間かかる。その 間に、患者と家族に状況の変化がある。患者を追い込まないで、治療を継続させるか どうか家族全員にかかっている。家族の1人が患者を責めることがあれば、症状が悪 化する。無関心でも、見捨てられたと思い、症状が悪化する。家族全員がうつ病につ いての理解があることが自殺を防止する。家族がいても、本人が病院に行っているか ら大丈夫だと思い、家族が全員、自分たちの仕事や趣味に忙しい様子であれば、患者 は「自分のつらさをわかってくれない」と思い、症状を悪化させて、自殺するかもし れない。

 第6に、うつ病の治療は長期間にわたる。収入がとだえるから、経済的な苦痛(こ れがあるとうつ病が悪化する)を軽くするのは家族である。食事、住居などの支援が できるのは家族である。家族の支援が得られない人は、自殺のリスクが極めて高い。

 第7に、以上のような治療支援、経済的支援をするのは、家族の愛情である。家族 が緊張、不和であれば、上記のような配慮がないので、うつが治りにくく、自殺のリ スクが高くなる。

 以上のように、家族の力は大きい。家族の支援を得られない人は、自分1人で、上 記の役割を果たしていかねばならない。きついことであるが。
 家族の緊張、不和の問題も、認知療法、対人関係療法、マインドフルネス心理療法などで改善できるのだから、相談できる場所があるべきである。

 これらは、既存の薬物療法の治療を受けるのが中心であるが、医者の治療を受けて も、治りにくいうつ病もある。(A)医療以外の支援と(B)心理療法による治療がある。 (A)医療以外の支援は、政府や自治体、NPOが開始したから、わかりやすい。多重債務 、就職支援、自死遺族支援、生活保護、育児支援、いじめ防止支援など。だが、ここには、メンタルケアは薄い。その支援の最中にも、うつ病が進行するかもしれない。
 (B)心理療法による治療は、場所と治療効果、費用の自己負担の面から対策が遅れているが、これを改善する要求をしていくのも 家族しかない。他の病気は、患者・家族が結集して、国に支援対策を要求している。と ころが、うつ病、不安障害などについての心理療法について、国や自治体に要求する 患者家族の動きがほとんどみられない。家族の多数のバックアップがないからカウン セラー側も動きがにぶい。多くのクライエント、家族が必要である、大きな需要(? )があると大きな声をあげないと、うつ病の治療分野に参入しようという人材が現わ れることはない。国や自治体も予算をさかない。
 うつ病の心理療法も難しいのである。うつ病は脳神経生理学的な変調が著しいので、それを考慮しない心理学やカウンセリングを用いる心理療法では、うつ病を治すことは難しい。脳神経生理学的変調まで起きているうつ病の心理療法は難しい。支援者の時間もかかる。 簡単には熟練しないので、長 期間の研究、臨床によって、医者やカウンセラーは心理療法のスキルを向上させていく。医者の薬物療法や外科のスキルなどと同様に、心理療法の スキルの熟練は長期間かかる。うつ病の心理療法による治療、自殺防止に努力するカウンセラーや医者が報 われないような環境ならば、うつ病の心理療法も発展するはずがない。その環境を変 えるのも、家族の力だと思う。具体的に家族がどうする案があるか・・・。
  • 自殺は防止できる=家族ができることから行動を
  • Posted by 埼メンタル協会/大田 at 09:54 | 自殺防止対策 | この記事のURL
    韓国前大統領の自殺 [2009年05月23日(土)]
     韓国の前大統領が自殺した。その遺書の文章の一部に 「体調が悪く、何もできない。本を読むことも、ものを書くこともできない。 」 とある。うつ病の症状のようだ。自律神経系の失調による身体症状と、前頭前野の機能低下による精神症状と しての「制止」が観察される。
     あのように活躍した人にも、うつ、自殺のおそれがある。うつ病 の理解と予防法を習得することはすべての人にとって必須と思うのだが、 まだうつ病の実態がよくわかっていないために予防対策がとられない。命にかかわる 重大な病気であるのに、予防が重要だと言われない。根本的な治療法が確立されてい ないからである。うつ病は前頭前野、海馬、帯状回、自律神経系、体内時計など広い脳神経の領域で変調が起きているのだから、セロトニン再取り込み阻害薬の抗うつ薬は根本的な解決策ではない。だからセロトニン神経に作用させる薬物療法ばかりが喧伝さえているから、予防法に結びつかない。
     うつ病の症状のうち、身体症状は他の病気にもっとつらいものがあるだろう。しかし、身体症状だけで自殺する人は少ない。うつ病も体調の悪さは自殺の理由ではない。体調の悪さを苦にして精神症状が悪化する。うつ病の精神症状のうち前頭前野の機能低下による症状(「制止」とよばれる重要な精神機能の渋滞)が自殺に導くようだ 。
     傷ついた前頭前野の機能回復が治療の方針となり、前頭前野の機能が低下するような反応パターンをとらないことがうつ病の予防方針となる。

    うつ病対策が自殺予防の重要な柱の一つ

     うつ病の発症の仕組みについての教育と予防法の教育が、この国の自殺対策の重要な一つになるべきだ。薬物療法主導では、予防法が出てこない。心理的ストレスによって前頭前野が傷つきうつ病になるから、心理的ストレスの予防法が重要だ。薬物療法の研究ばかりでは、予防法が出てこない。自殺防止は薬物療法の医者主導では不十分だ。薬物療法の医者は、発病予防、再発予防の専門家ではない。
     うつ病を治すのは容易ではない。うつ病が治ると確認されているのは、認知療法、対人関係療法、マインドフルネス心理療法である。こういう定評ある心理療法ができるカウンセラーでないとうつ病の専門家とはいいにくい。自殺防止活動には、こういうスキルが必要である。
     今は、うつ病の治療ができるスキルを持つカウンセラーであっても、職業として自立できない。クライエント(患者)が少なく、収入が少ない。とても、うつ病のカウンセリングを職業とはできない。うつ病も心理療法者が育つべきだ。しかし、カウンセラーが報われない制度だから、心理療法者が育たない。うつ病の心理療法を安い料金で受けられるプログラム、差額を心理療法者が請求できる施策ができないだろうか。患者や家族が結集して、政府に働きかけられないだろうか。
    Posted by 埼メンタル協会/大田 at 22:33 | 自殺防止対策 | この記事のURL
    自殺予防(1)←うつ病予防←日頃のストレス対策 [2009年05月22日(金)]

    自殺予防(1)←うつ病予防←日頃のストレス対策

     昨年の自殺の統計が発表されています。 読売新聞HPまたは、警察庁のHP。
     動機別では、「健康問題」「経済・生活問題」「家庭問題」「勤務問題」 の順になっている。健康問題が最も多く、このうち「うつ病」6490人(7・1% 増)で52項目中トップだった。
     こうなっているが、「経済・生活問題」「家庭問題」「勤務問題」のすべてに「う つ状態」「うつ病」もかかわっているでしょう。勤務問題でもうつにならなければ、 自殺はしないでしょう。人は死にたくないものだから。自殺するのは種々の原因でお いつめられてうつになります。
     その時、自殺しないですむのに「家庭問題」が大きく影響します。これも複合的に どの自殺にも影響しています。昨年、ライフリンクが発表した自殺白書でも複合要因 の中にはいっていました。
     どの要因からも軽いうつ状態、軽いうつ病になる。その時、家庭が不和であると家 族の支援を得られにくいとか、うつに理解を示そうとしないから、うつ病が悪化する でしょう。うつ病は心理的要因がはっきりしないで発症する内因性うつ病もあります が、最近目立つのは心理的ストレスによる心因性うつ病です。家族の緊張、家族の不 和も心理的ストレスです。そういう家族の環境の中で慢性的なストレスを受けながら(前頭前野、海馬、自律神経系などの変調が進行している)生活するうちに、別の心理的ストレスが起こった場合、容易にうつ病になり、家族の支援が得られにく、うつ病が悪化して自殺に至りやすいでしょう。で も、自殺された後に、後悔します。死にたいと思うほど苦しんでいたのに、打ち明けなかっ たのか、よくきいてやればよかった、和解しておけばよかったと、あとになって後悔することもあるでし ょう。

    自殺は家族が予防できる

     ライフリンクの調査によれば自殺への複合要因の一つに家庭の不和もありましたから、自殺予防には、「家庭の緊張不和、配慮不足」がないことも重要な要因の一つになります。家族 の仲がよいこと、家族に緊張(喧嘩、口論、批判、口をきかない状況など)がないこ と、悩みを打ち明けられる雰囲気であること、愛情を疑うような状況でないこと(忙 しすぎて家族への配慮がないことも)、うつ病について理解があること、などです。
     家庭に緊張、不和、配慮不足、うつ病の理解不足があれば、それだけでも、うつ病、自殺のリスクが高 まります。さらに、家族の誰かが外部の心理的ストレスで悩み始めた時、家庭に緊張 、不和、配慮不足、うつ病の理解不足があれば、悩む人は支援を受けられず、うつを深めていきます。
     こんなに厳しい環境ですから、家庭の緊張、不和の解消をはかるのがうつ病、自殺 予防になります。
     うつ病の「治療のため」にとはいいません。 家庭の緊張、不和の解消のために、うつ病の理解のために、マインドフルネス心理療法のトレーニングを実習し ましょう。うつ病、自殺予防の学習や予防的なトレーニングをするのを「心の健康体 操」と呼び、その場を「心の健康クラブ」と呼んでいます。心理的ストレスがある時 に、大きな苦悩に発展させない心のスキルをトレーニングします。「心の免疫力」が 高まります。心の病気や心身症にかかりにくくなります。
     マインドフルネス心理療法はうつ病になってから行うよりも、予防的に行っているほうが悲劇を防止します。なってから治すのは大変です。うつ病の症状としての、意欲の低下、コミュニケーションの回避、長期報酬課題実行機能の低下により、治療のための課題を実行するのが難しい人が多いです。主に前頭前野の機能低下のためです。トレーニングの直後すぐには症状の改善効果が現われず長期間の後に効果が現われる長期報酬課題の心理療法ですから、うつ病になってからトレーニングするのは大変です。薬物療法だって、3カ月から1年の治療が必要であるのに、心理療法のトレーニングをたった1、2日でやめてしまう。そういう特徴がありますので、続けられる環境整備が必要です。家族の支援も影響します。家族が真剣にトレーニングをあとおししたり、同行すれば、継続できる人もいます。
     元来、発病前から、まじめ、几帳面な性格の人は、トレーニングをよく続けて治ります。治りたいと強く願う人もトレーニングを続けられます。
     でもやはり、予防的トレーニングが重要です。貴重な時期に、休職、退職して2,3年、退きこもらなくてすむように。
     糖尿病、がん、介護、痛みなどにも予防のトレーニングがありますが、うつ病の予 防は極めて重要でありながら、これまでは予防法は皆無でした。心理的ストレスは誰にも強くなっていますから、うつ病、自殺はどこにでも起 こりえます。うつ病、自殺の予防のトレーニングをしましょう。 今後は、子どもの教育のなかでおこなわれるようになるでしょう。自殺予防には、心理的ストレスの対処が重要ですから、若いうちに習得しておくと社会に出てから役に立ちます。この点は次回に考えます。
     家族(親子、夫婦)の緊張、不和は軽いのであれば、慢性的な嫌悪・不満の色眼鏡を洞察して心の健康体操で改善していき ますが、重いのであれば、個別のカウンセリングが必要です。
    Posted by 埼メンタル協会/大田 at 08:29 | 自殺防止対策 | この記事のURL
    カウンセリング [2009年05月12日(火)]

    カウンセリング

     人手不足、重点施策の変更により、当研究所のサービス内容、対象、場所が変更になる可能性があります。一般の方の カウンセリングは行えなくなるかもしれません。マインドフルネス心理療法を受けて みようかと迷っておられるかたは お早めにご参加ください。急に変更すると混乱しますので、早い時点からおしらせしておくものです。
     本年は、7月まで新規のご参加をお受けします。それまでに面接のあった方だけを対象として9月 までグループ・カウンセリングを続ける予定です。

    (詳細はこちらのホームページをごらんください)

     うつ病や不安障害による症状、不本意な行動を持続させてしまう心の使い方を変え ていくトレーニングを行います。長い間に経験した心の用い方から起きた病気ですか ら病気が治るほどに修正するには1回だけのトレーニングでは済みません。 前頭前野や海馬、自律神経系の失調があるといわれています。セロトニン神経に作用 する薬を飲んでも、否定的・嫌悪的な思考を繰り返す前頭前野の神経を過敏に使用し ていれば、うつは繰り返し再燃するでしょう。前頭前野の使い方を長期間のトレーニ ングで、改善していきます。種々の方面からの心の使い方の学習がありますので、最 低、数回通院が必要です。薬でさえも効果がなかったことでしょうから、多少の期間 のトレーニングを回避しないで、課題を実行することが大切です。特に、非定型うつ病、不安障害は、発作性の感情のたかまりへの対処がありますので、治療に長くかかります。女性の場合、非定型うつ病と不安障害の併存が多いです。しっかりとトレーニングしましょう。
     「(足の筋肉強化による)転倒予防、腰痛、膝痛などに、毎日、ある種の運動を毎 日、やってください。3カ月やってください。」といいます。これは、主として筋肉 の神経を毎日のトレーニングで活性化させるのでしょう。週に、1回、1年でなどとい うような間延びしたトレーニングでは改善しないでしょう。ある一定期間、集中して 毎日、トレーニングすることが神経の成長の理にかなっています。使う神経は活性化 し、使わない神経はすたれる。心の病気にかかわる神経も同様です。 心の病気の場合、つらいことがあっても、騒がずに、しっかり観察して建設的な思考、行動を選択する心をトレーニングすることで、脳神経回路が変化するでしょう。 脳内の種々の神経(前頭前野、セロトニン神経など)を活性化させ る(または過敏な神経<嫌悪・否定思考の前頭前野、怒り・不安の扁桃体>を抑制す る)ことになるのです。毎日、心の用い方のトレーニング(マインドフルネス、アクセプ タンス)して、最低3カ月すれば、少し、変化を感じるでしょう。 もっと治るには、毎日、自分で実行して、1,2年かかるでしょう。(方法をマスタ ーすれば通院は半年ほど)。これまでの人生における心の習慣から起きたうつ病、不 安障害が多いので、治すにも長期間のトレーニングを受け入れないといけないでしょ う。
    Posted by 埼メンタル協会/大田 at 10:44 | 新しい心理療法 | この記事のURL
    介護疲れうつ病による自殺、心中、嘱託殺人 [2009年05月10日(日)]

    介護疲れうつ病による自殺、心中、嘱託殺人

     この2カ月、これまでになく忙しくしていて、ブログを更新するゆとりがありません。
    下記は昨年12月の記事です。
     その後も、元タレントの清水由貴子さんはじめ、介護疲れ自殺、殺人が繰り返し報道されます。そして、介護保険だけではたりないで苦しむ人が多いことが報道されるようになりました。介護による心理的ストレスは相当、厳しくて、うつ病になります。先が見えないので治りにくいです。自殺が起こります。
     支援次第では避けられる自殺なのに、高齢者が生きにくい社会になったものです。
     今まさに、私たちも、高齢者の介護予防、高齢者のうつ病、介護うつ、介護自殺、介護殺人などの防止活動に重点を移していきたいと考えています。各地域の人が自分たちでやることがあります。
      高齢者の問題は地域の問題です。蓮田市も高齢者の人口が多い町です。 近くでないと高齢者、介護うつ自殺の防止活動は難しい。こういう支援活動は、遠いと交通の時間と金がかかるので活動に参加できなくなります。地元の人ができることがあります。
      蓮田市および、近くの方、いっしょに研究し、行動しませんか。ご連絡ください。
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    昨年12月のブログ

     11日、愛知と埼玉で糖尿病の母を息子が殺害したという事件が報道されました。前の記事は夫婦ふ たりきりの家庭でのがん闘病に疲れての自殺幇助。今度は、母子ふたりきりの闘病疲れの事件です。どこでもおきえる悲劇です。かわいそうでなりません。こういう人たちの支援対策ができないものでしょうか。
     「殺してくれ」という言葉は異常です。その願いを聞いて実行してくれた家族を罪人(自殺幇助罪な ど)にしてしまいます。介護看病してくれた家族を罪人として苦しめてしまいます。病気の人はそこまで気がまわらないほどに疲れて います。その願いを聞き入れて実行してしまうのも異常心理です。公的機関や近所のNPOなどに支援を求 めずに自殺幇助の行動をするのは介護、闘病疲れによる異常な心理でしょう。うつ状態の心理でしょう。
     介護保険は提供できるサービスが限定されているし、スタッフは忙しいし、心のケアは薄いし、公的 制度だけでは不十分ですね。遠くに子どもがいても悲劇が起きています。 同居の家族がいても悲劇は起きています。直接介護している人がおいつめられていきます。心のケアをよく知らない家族、ご近所の人はそれがわかりません。わかっても仕事、家庭があり支援できません。 保険を利用しているところでも 、うつによる悲劇が起きています。悲劇をなくすために地域に心と命をささえあう活動が必要であると 思います。高齢者ほど、自分がそういう日が近いのだから自分や家族のためになる生きがいの活動にしてくださればいいのに。

    私たちも介護うつ、自殺防止の活動へ

     NPOも多くのものが活動休止においこまれているようです。難しく幅広いテーマであるためこの会もゆれ動きます。 テーマを絞ったほうがいいのか。 この地域に活動を限定するか、県内か全国(他の地域で講座やカウンセリング)か、カウンセラー養成はしないでカウンセリングのみか、カウンセリングを市内の人のみに限定か(遠くの人は続かない傾向がある)、特別な領域(職場のメンタルヘルス、がんのうつ、介護のうつ、いじめ、のみ)に特化か、特定の障害に特化(うつのみ、パニック障害のみ、など)か、予防活動(うつ、認知症)のみか、など迷うところです。スタッフ不足のために、時間不足のために、資金不足のために、勉強不足のために、加齢による身体と精神のおとろえのために。
      近くでないと協働は難しい。無償のボランティア活動は、遠いと交通の時間と金がかかるので活動に参加できなくなります。蓮田市近くの方、いっしょに活動しませんか。ご連絡ください。
    Posted by 埼メンタル協会/大田 at 09:23 | 自殺防止対策 | この記事のURL
    うつが長引くうちに重大ストレスで自殺か [2009年04月07日(火)]
     また若い人の自殺が報道された。
    報道によれば、仕事疲れで電車の中で眠り込んでしまい、となりの女性の身体に触れ てしまった。はっと目がさめてみたら痴漢と騒がれて、警察の取調べを受けた。自宅 にかえされたが、容疑がはれたわけではなかった。翌日、自殺した。メモに「ずっと 自殺願望はありました。すべてがめんどくさい。ありがとう。さようなら」とあった 。

     警察の取調べの翌日の自殺である。出来事と自殺の間があまりに短い。すぐうつになったとは考えにくい。「ずっと自殺願望はありました。」というから 、この出来事の前から長期間、何かのストレスでうつ状態になっていたのかもしれない。電車での出来事は、故意にしたのではなくて、眠っていて偶然に起きた倒れ込み行動かもしれない。

    前うつ状態の心の不健康状態の人が多い

     私はかねがね訴えている。「うつ病を長引かせているとよくない。やがて何か大き なストレスとなる出来事が起きた時、短期間でうつ状態を悪化させて、自殺するおそ れがある。」と。自分のつらい状況がうつであること、治療すれば治るということを知らない人が多い。
     子どもの自殺もあるが、いじめられているうちに、うつ病になっている。それが持続しているうちに、先生や親からしかられたり、受験に失敗したり、何かちょっとしたストレスがあって、自殺することが起こりえる。
     今、青年は種々のストレスによってうつ、不安をかかえていて、私がいう持続的な 慢性ストレスをかかえており「心の不健康状態」という心理状態にある。思考の低下、行 動意欲の低下が起きている人もいるかもしれない。大きな出来事があると、うつ病の発症、逃避によるひき こもり、対処する行動の自信がなく、自殺のリスクがあるという状況である。
     警察官の自殺も多い。うつ病からだろう。調べられる市民もうつ病になっているかし れない。警察官もうつ病についてもう少し勉強しておいて調べる時に気をつけるように してもらいたい。うつ病になっていると思考、判断が低下しており、コミュニケーシ ョン機能も変わっている。受け答えが鈍磨であることから、うつ状態に気がつくかもしれ ない。

    家族にも「死にたい」心を打ちあけないことが不思議でない病気

     すべての人がうつ病について勉強しておくべきだ。自己の無価値感が出てくる病気だ。輝いてみえる家族、忙しそうに見える家族には言わない、言えない心 理状態になっても不思議ではなく、打ち明けず自殺することも多い病気だから。うつ病を勉強しないと、悩みだした 時、前頭前野、海馬などの機能低下によると推測される変わった精神状態になるが、それがうつ病の症状であり、治療すれば治るということが信じられない。うつ病について詳しく勉強していないと、理解できない、そんな病気だ。職場の同僚、上司、隣人にも知られたくないという心理状態になることもある。わかりにくい病気だ。だからこそ、治療しないから完治しない、再発が多い。
     ストレスによって心の不健康状態が進行する。治療を受けないでいると軽いうつ状態が続く。治療を受けて薬物療法で軽くなって も完治せず、うきしずみを長く持続させる「気分変調性障害」のようになると、長い人生では、家庭や仕事の環境が変化したり、大きな出来事が起こって、悪化するリスクがある。膝、腰の痛みがあれば、継続した運動をするのだから、うつ、不安過敏な人はストレス対処、うつ自殺予防の心の実践を継続したほうがいい。
     うつ病になったら、薬物療法を受けて、軽くなった時点で、心 理療法を受けて、うつ病になった心理的要因を分析して再発しない、完治させること をしたほうがいい。長くたってから心理療法を受けると、長期間の課題の実行が難し い精神状況になって、軽くなるまで通院できなくなる人も多い。早期に発見して、自覚して 治療を開始したほうがいい。
     ただし、マインドフルネス心理療法は、うつ、不安が長引く人、通院が難しい人に不向きというのではない。認知療法もうつ病を治せる。認知療法もマインドフルネス心理療法も、スタッフが少ないこと、個別指導を継続する時間がないこと、入院設備がないこと、往診サービス(在宅支援)ができないためである。認知療法やマインドフルネス心理療法はこういう制限を克服すれば恩恵を受ける人は拡大する。

    うつ病、不安障害の心理療法の普及を

     うつ病、不安障害の心理療法が提供できるようなカウンセラーを育成し、治療施設を県に2,3か所作るべきだ。臨床心理士の報酬が低いのも問題だ。うつ病のカウンセリングを職業にしたいと思う人が少なくなる。うつ病、不安障害、自殺念慮の治療に心理療法が重要であると多くの人の理解がないと改善しない。多くの人が声をあげないと社会が動いてくれない。ここに理解ある政治家も少ない。
     埼玉ではカウンセラー育成講座を数回開催した。今年は多くの方がカウンセラー講座を受講してくださる。ありがたい。九州(!!)や大阪からもおいでになる。
     カウンセリングも埼玉県で15年おこなってきた。来年は、講座もカウンセリングも、埼玉ではなくて、相当、遠くで開催することを検討したい。理解して参加してくださる方が相当数固まっておられる地域を探さなければならない。地域の協力がないとこういうことはできない。
    Posted by 埼メンタル協会/大田 at 17:49 | 自殺防止対策 | この記事のURL
    NHK・自殺と向き合う(4) [2009年04月05日(日)]

    NHK・自殺と向き合う(4)

     NHKが緊急シリーズの4日目は、「自殺未遂 経験者の言葉から」だった。 4回目は、これまでに実際に自殺を考えた、あるいは自殺未遂をしたという経験のあ る人の話しがあった。自殺に追いつめられた人の言葉からどんな対策が必要か考える というもの。
    • 池内 美友さん
       母と自動車修理工場経営。借金苦で家族を責め不和となる。離婚、疲労、ぼーっと 過ごす。ある時、自殺を考えてビルの屋上に。 母も借金のことを人に相談できず、自殺を考えて高速道路をさまよう。経営コンサル タント(その人も多重債務で自殺未遂の経験者)とめぐりあい債務整理、事業の再建 をはかっている。
    • 赤穂 依鈴子さん
       夫がうつ病になり看病していた、自分もうつ病になってしまった。 家事ができず、何度も自殺未遂を繰り返す。「死にたい」というスイッチがはいると いう。 うつ病の経験ある医者にあってから回復に向かう。今、うつ病の人のための自助グル ープをたちあげた。カウンセリングを行っている。→NPO法人エッセン スクラブ(富山市)
    • Aさん
       多重債務が原因で7年前に自殺未遂。

     3人とも、明確に「死にたい」というのではなく、のがれたい、解放されたいとい う気持になるという。助けを求めないのは、迷惑をかけたくないという気持も。
     同じような経験のあるコンサルタント、医者から助けられる。問題、つらさをわか ってもらえる。そういう人が窓口にいればいいかもという意見があった。
     支援の窓口はかなり低くしないといけないだろうという。

     専門家として、 清水康之さん(NPO法人 自殺対策支援センター ライフリンク 代表) と 熊谷直樹さん(精神科医・東京都立多摩総合精神保健福祉センター保健福祉部長) の意見もあった。
     こうしてみると、自殺したくなったのに死なないでいきていらっしゃる。うつ病も 治っておられる。そうすると、死にたくなってもなんとか死なないで、支援を求める ことが大切だ。うつ病になったことのない人は想像できないくらいに、うつ病は思考 や行動の能力を変えてしまう。うつ病は前頭前野の機能(思考、判断、記憶、コミュ ニケーション、仕事への集中など)が回転しなくなり、死にたくなるので、治すこと ができなければ苦しみが続く。この方たちは、 うつ病の経験があって支援する人(医者、コンサルタントなど)にめぐりあっている 。それで死なないですんだ。

    なお残る手つかずの対策

     カウンセラーの治療を受ける場合の自己負担の料金は薬物療法に比べて高い。カウンセラーに相談する と医療保険の対象にならないからである。それで、しきいが高くなる。うつ病にくわしいカウンセラ ーを公費で助成して相談を受けやすいようにすればいいだろうに。
     債務の問題も人に知られたくないという心理が働くので相談しにくい。うつ病になると自殺のリスクがあるのに、他人にうつ病であること、休職退職していることを知られた くないという心理が働く病気である。また、前頭前野の機能低下により普通のコミュニケーションが難しくなる。身体 症状と精神症状のために支援を求める行動さえも難しくなる。こういう特徴を理解し尊重した 上で支援対策をすすめる必要がある。うつ病は薬物療法で効果がなければ、根気よく 心理療法(認知療法やマインドフルネス心理療法)で治す方法がある。個別指導、グ ループ指導、入院方式、インターネットによる治療、郵便による指導、訪問指導など 考えられるがCostがかかることと、カウンセラーが少ないという問題がある。 そのために心理療法が発達せずカウンセリングの宣伝がされず、カウンセリングを受ける人が少ないので、うつ病を治すカウンセラーにな ろうという心理士が少ないという悪循環に陥っている。
     NHKのこのシリーズで、自殺の要因となる一部の領域は対策の方向が見えてきた。
     だが、まだ問題が残っていて対策がよく見えない領域がある。大都市、大組織には 心理療法や職場復帰プログラムがあるところもあるが、そのサービスを受けられない 人が多い。
    • a)薬物療法が効果がない人
    • b)薬物療法でいったん軽くなっても再発を繰り返す人
    • c)薬物療法も心理療法も受けにくい状況にある(プライバシーの問題)
    • d)うつ病について理解されていない、知らない。
     c) d)の対策のため、内科医、種々の職業の人、一般の人によってうつ病の人を早期に発見してもらおうという対策(ゲートキーパーの育成)が始まった。そこから精神科医につなぐ仕組みも始まった。だが、精神科医は薬物療法が中心だ。精神科医が治療しても効果のない人、再発する人が現われる。a) b)になる人が増える。この領域の対策が見えない。

    緊急シリーズ・NHK・自殺と向き合う

    • NHK・自殺と向き合う(4)
      NHKが緊急シリーズの4日目は、「自殺未遂 経験者の言葉から」だった。   ⇒続きを読む
    • NHK・自殺と向き合う(3)
      NHKが緊急シリーズ「自殺と向き合う」の3日目。4月1日の内容は「身近な人を自殺で亡くしたとき」であった。   ⇒続きを読む
    • NHK・自殺と向き合う(2)
      NHKが緊急シリーズ「自殺と向き合う」の2日目。3月31日の内容は「自殺をどう防ぐ−自治体の対策」だった。   ⇒続きを読む
    • NHK・自殺と向き合う(1)
      NHKが緊急シリーズ「自殺と向き合う」を4日連続で放送する。3月30日の内容は「景気悪化 自殺者急増の危機」だった。
       福井県と秋田県のボランティアによる自殺防止活動が紹介された。 こうしたボランティア活動は貴重ではある。しかし、NPO法人ライフリンク代表の清水氏も言っておられた。経済的支援と心の健康の両 方の支援の仕組みを作るべきだと。   ⇒続きを読む
    Posted by 埼メンタル協会/大田 at 22:08 | 自殺防止対策 | この記事のURL
    NHK・自殺と向き合う(3) [2009年04月03日(金)]

    NHK・自殺と向き合う(3)

     NHKが緊急シリーズ「自殺と向き合う」の3日目。 1日の内容は「身近な人を自殺で亡くしたとき」であった。  家族を自殺で亡くした時、遺族の苦しみが紹介された。
    • 「死ぬ」という重大なことをなぜ打ち明けてくれなかったのかという「怒り」が 当初はあった。(しかし、自死遺族支援の会などに参加して、とけてきた。)
    • 事前になぜ気づけなかったのかと自分を責める。(これも支援の会に参加して救 われる)
    • 周囲の冷たい視線、無言電話でいやがらせ。(注)
    • こうしたつらさから後を追うことを考えるケースも多い。
      (注)自死遺族に対するこうした仕打ちはひどい。愛する人を失った悲しみのうえに その後、周囲の心無い人から別な苦しみを与えられる。うつ病、自殺は遺族に責任が あるという問題ではない。種々の自殺は複合要因によっておきている。いやがらせを する人こそ確信的な加害者といってよい。いやがらせも「いじめ」である。こういう いやがらせをする人がいるからある種の(いじめ、いやがらせなどによる)うつ病、 自殺がなくならないという側面もある。
     自殺した人が多重債務などの経済問題を抱えていた場合、遺族は悲しみを感じるい とまもなくその処理にあたることを余儀なくされる。大切な人を自殺で亡くした遺族 に具体的にどのような支援が行われているか 心のケアと生活の両面から遺族を支える取り組みについて紹介された。
    • 【長崎県・分かち合いの会】の支援活動が紹介された。 NPO法人 自死遺族支援ネットワークReが 長崎県大村市の福祉施設で毎月遺族支援の会を開く。
    • 東京都保健政策部の遺族支援のパンフレット について紹介された。 借金の放棄、労災の補償、遺児の支援など日々の困りごとに関する相談窓口を載せて いる。 死後に必要な手続きを15項目のチェックリストにまとめている。
     都のパンフレットは関係者が集まって智慧をだしあって作成している。そして多く の場所に置いている。都の音頭で大変にきめこまかな周知活動が行われている。この 問題のパイオニアとして都では多大な苦労があったことだろう。他の県は見習うこと ができるので割合楽にできるでしょう。  自死遺族支援の会も遺族のかたの支援に力強いものであり、各県にできてきた。遺 族がつらさからうつになることも多いのだが、この場合も心のケアが必要になってい る。ただ、関係者の方が参加してくださるか、満足していただけるか模索が続くでし ょう。
     うつ病が治らずに自殺されないために、うつ病を治すのがいいのだが、支援活動や 治療に参加してくださる方が少ない。うつ病の自覚がない、周囲の偏見をおそれる、 参加する意欲がない、体調が悪い、仕事を休めない、遠い、など様々な理由がありそ うだが、名案が浮かばない。今後も試行、変更、停止が続く。でも、小さなNPOではい つまでできるかわからない。この領域(うつ病を治す。相談ではなく)はボランティ アが少ないから。やはり公費で行うべきだ。そのように求める運動をすべきだ。誰が ? どの場合も関係の深い人たちに期待したい。患者家族、医者、カウンセラー団体 、保健所、精神保健福祉センターなど。患者さんやご家族が望まれる形の治療支援は どういう形なのだろう。精神科、心療内科の病院に患者さんが来るので、そこで安い 費用で心理療法も並行して提供することや、そもそも病院にさえも行けない心理をわ かって提供できる形があるのかよくわからない。

    プライバシーを確保しつつうつ病の予防と治療

     一つ案がある。ふだんから心の健康クラブのようなもの(個々の組織に作る、地域 に作る)に参加していて、うつにはいりかけたらその所属のカウンセラーの心理療法 を受けるという方式である。担当のカウンセラー以外にプライバシーを知られること のないようにする。
     加入時には、心の病気になっているかどうかを言う必要はない。参加しているうち に、打ち明けてカウンセリングを受けてみたいと思った時に受ける。体育関係のクラ ブには多数参加がみられるが、心の健康クラブも各地に作って、予防と治療とを統合 的に行っていくのが一つの案である。この方式でうつ病の治療まで成功するかどうか 、市民、県民の参加次第である。
     これは、一つの継続した運動です。うつ病になった時にだけ参加するのではない。うつ病になっていなくても、うつ病、自殺防止に理解を示して、継続的に参加し続ける運動です。心の病気の予防、人格的職業的な向上を継続的に心の健康体操の運動を続けながら、いざという時には、担当のカウンセラーから心理療法を受けることができる。プライバシーは守られる。 理解して継続して参加してくださる人がいないと会が存続できない。
     これは実験的に公表して開始している(心の健康クラブ)。このような構想の参加者(会員)、別に、心の健康体操のインストラクター、カウンセラーになる人もほしい。 そうすると回数、場所を増やすことができる。
     カウンセラーになれば、ほかにも、個別、独特の支援もできる。プライバシーを確保しながら種々の形で行うことができる案がある(一部実行中)が、資金と人材が必要になる。

    緊急シリーズ・NHK・自殺と向き合う

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      NHKが緊急シリーズ「自殺と向き合う」を4日連続で放送する。3月30日の内容は「景気悪化 自殺者急増の危機」だった。
       福井県と秋田県のボランティアによる自殺防止活動が紹介された。 こうしたボランティア活動は貴重ではある。しかし、NPO法人ライフリンク代表の清水氏も言っておられた。経済的支援と心の健康の両 方の支援の仕組みを作るべきだと。   ⇒続きを読む
    Posted by 埼メンタル協会/大田 at 09:54 | 自殺防止対策 | この記事のURL