2017年も早くも1か月を経過して、やや遅ればせではあるが、今年の国内ICT動向について、俯瞰的にキーワードを選んで予測してみたい。 1.「デジタルトランスフォーメーション(DX)」 間違いなく、今年ブレークしそうなキーワードだ。これに不可欠な要素がAI、ビッグデータの活用だ。膨大なデータを高速に処理できるかどうかが、今後の鍵になる。そのためのインフラが様々に提案されている。なかでも、データベースの多様化が見逃せない。従来型のRDBの他に、インメモリー型DB、非構造型データを扱えるNoSQL−DBなどを適材適所に使い分ける必要がある。もう一つ、クラウドサービスの活用も要件となろう。 2.「5G」(第5世代移動通信システム) 2020年の商用化を目指して、「5G」の開発が進んでいる。5Gは、IoT時代の社会インフラとして、できるだけ基地局にコンピュータリソースを引き付け、通信負荷を減らすと同時に高速通信を実現する「エッジコンピューティング」の実現に必須の技術だ。5Gをただの太い土管で終わらせず、新たな価値創出基盤とするための新ビジネスの可能性への挑戦が待たれる。 3.サイバーセキュリティ 前向きの話題の裏で、セキュリティ対策から目を離せない。リスクの低減を図るには、論理的にネットワーク分割を図るVLAN、端末に情報を残さないデスクトップ仮想化などの技術の活用が求められる。合わせて、セキュリティ人材の育成と確保も重要だ。 4.AI/機械学習 やはり、今年のキーワードとして、IoTとともにAIは外せないだろう。上記のビッグデータの活用、業務の効率化を実現する手段として、身近なAIの活用も始まっている。自律的に法則・ルールを見つけ出す「機械学習」は、医療、金融、流通、製造といった業界で課題解決に貢献している。更に、営業・マーケティングの領域でも広く活用されてきている。 5.LPWA(Low Power Wide Aria) IoT関連のネットワーク技術で、2017年から新しい街づくりがスタートする。LPWAはスマートシティ開発に必須の技術とされる。IoT時代には、街はセンサーで溢れかえる。これらのセンサーデータは既存のWi-Fi、Bluetooth、LTEなどで収容することは難しい。カバーする範囲が広く、無数のアクセスポイントや機器が存在するからだ。そこでLPWAの出番だ。低消費電力で広域通信が可能なうえ、コストが安い。IoTで問題になる電源と電力の確保が容易なこともメリットだ。電源は単3、単4電池1〜2本で寿命が2年〜5年というからすごい(ただ、ここでも弱点はあるが、ここでは触れないでおく)。これもIoTの一面ということで知っておいて損はないだろう。 その他、「モダナイゼーション」「働き方改革」「ハイブリッドクラウド」等もテーマとして今年取上げられるれる可能性がある。 年頭の企業トップの挨拶やマスコミの年間予測で、決まって「激動の年」「課題(問題)山積」と言はれるが、昨今では世界、日本、企業、個人のどれをとっても、これらは「常態化」してきている。むしろ、その度合いがますます高まっていると言えるのだ。国内ICTをとっても、これは当てはまるはずだ。「ブーム」に惑わされず、自分の業務にどう生かせるかを冷静に検討していくことが肝要だろう。 (投稿者 JISCA会員 倉石英一 kuraishi@kkcom.com JISCA照会先 info@jisca.jp) 参考資料 ・日経情報ストラテジー誌 特別広報企画「Digital Foresight2017」2017年3月号 ・テレコミュニケーション誌 特集「ICT業界未来予測 2017」 2017年1月号 |
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2017年の国内ICT動向を占う
Posted by
JISCA
at 10:55
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