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SPF人口チームでは、1)自主事業「人口変動の新潮流への対処」事業2)助成事業 の2区分の事業を担当しています。 ※当ブログでは、おもに自主事業のうごきについて、お知らせします。

―21世紀をむかえ、より多くの人々が、それぞれの『よりよい明日』をもとめて、自ら国境を越え、移動することを選択しています。「人口変動の新潮流への対処」事業では、その背景となる国内外の「労働市場」、「移民政策」、「多文化共生・社会統合政策」について議論の整理、検証をおこなっています。
笹川平和財団 「人口変動の新潮流への対処」事業 政策提言会議地方開催(大阪) [2011年11月17日(Thu)]
 笹川平和財団では、2008年度〜2010年度にかけて実施した「人口変動の新潮流への対処」事業の研究成果を共有するために、「政策提言会議」を全国各地で実施しています。今回は、9月の群馬県太田市、11月26日の富山県富山市、12月5日の福岡県福岡市に続いて、12月22日(木)に大阪府大阪市にて、以下の通り、第4回目の政策提言会議を行います。

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『留学生と地域社会の共生』

留学生のチカラを活かした大阪のまちづくり

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 現在約14,600人の留学生が大阪府下で学んでいます。
少子高齢化が進み、日本の人口が減少している今、また東日本大震災で海外からの人の移動が減少している今だからこそ、彼ら彼女らのような海外からの人材を地域のチカラに変えることが求められています。
 留学生のチカラを地域の活力にするために何が必要か。
 いくつかの事例を通して、これからの大阪のまちづくりを「留学生と地域社会の共生」という視点で考えます。

日時:  2011年12月22日(木) 14:00~17:00(開場13:30)
場所:  財団法人大阪国際交流センター2F 会議室C, D (〒543-0001 大阪市天王寺区上本町8-2-6)
参加費: 無料
定員:   70名(先着順)
対象:   自治体、国際交流協会、留学生支援者、商店街振興・まちづくりに関わる方々、
      在住外国人、NPO・NGO関係者など

<お問合せ・お申込み>
電話、FAX、またはメールでお申込みください。 
受付事務局(特活)多文化共生センター大阪 担当:田中
TEL: 06-6390-8201 / FAX: 06-6390-7850 / E-mail: tanaka.yuko@tabunka.jp
※メール、FAXでのお申込みの際は「お名前」「ご所属」「連絡先(住所、電話番号、FAX、E-mail)」をご記入ください。

<プログラム>
14:00~14:05   開会挨拶
14:05~15:05  笹川平和財団「人口変動の新潮流への対処」研究報告
15:05~16:15  留学生と地域の連携事例紹介
          @ 大阪市の事例 岡本 佐知子氏(学校法人エール学園)
          A 東京都文京区の事例 広石 拓司氏(株式会社エンパブリック 代表取締役)
          B 大阪市の事例 木村 真奈美氏(財団法人大阪国際交流センター)
16:15~17:00  パネルディスカッション
          「留学生が担うまちづくり〜海外人材のチカラを大阪の活力に!〜」
           コーディネーター: 田村 太郎氏(一般財団法人ダイバーシティ研究所 代表理事)
           パネリスト: 岡本 佐知子氏(学校法人エール学園)
                  広石 拓司氏(株式会社エンパブリック 代表取締役)
                  松尾 カニタ氏(Y2k Media Corp株式会社 取締役)

【主催】 特定非営利活動法人多文化共生センター大阪 
【共催】 公益財団法人 笹川平和財団、一般財団法人ダイバーシティ研究所 
【後援】 財団法人大阪国際交流センター(申請中)


笹川平和財団 「人口変動の新潮流への対処」事業 政策提言会議地方開催(福岡) [2011年11月09日(Wed)]
 笹川平和財団(SPF)では、「人口変動の新潮流への対処」事業の研究成果を、政策提言会議として、全国各地で開催しています。
 
 9月の群馬県太田市、11月の富山に続いて、12月5日(月)に福岡にて、財団法人 福岡アジア都市研究所、福岡市、NPO 法人アジアンエイジングビジネスセンター( AABC )との共催で開催いたします。皆様、ふるってご参加ください。

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介護・看護サービスと福岡の未来
 〜これからの要介護高齢者を支えるのは誰か? アジアの高齢化の現状とこれから〜
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 福岡市の高齢化率は17%(H23.3現在)と政令市の中では比較的若い都市ですが、今後5〜6年のうちに21%を超える「超高齢社会」に突入する見込みです。また、国際的にみるとすでに「高齢化先進都市」でもあります。
 それを踏まえ、福岡アジア都市研究所では、アクティブエイジングなどのパラダイムシフトを通じた“備え”の策、そして同時に、高齢化先進都市であることを活かした知識・ノウハウの輸出、視察などのインバウンド振興、エイジング研究の拠点機能の構築など“攻め”の策についても、今年度より研究を進めているところです。
 今回の本事業の政策提言会議は、福岡アジア都市研究所の都市セミナーとして、当財団や同種の研究を進めている各研究機関との共催により、高齢化社会を考える様々な切り口の中から、特に福岡における看護・介護サービスの現況、今後の担い手をはじめとする課題や方向性などにスポットを当てて考えるとともに、アジアの高齢化についても目を向け、研究の報告および有識者によるパネルディスカッションを行います。皆様のご参加をお待ちしております。

日 時: 平成23年12月5日(月) 13:30〜16:30 (開場13:00)

場 所: 福岡国際ホール(福岡市中央区天神1丁目4−1 西日本新聞会館16階)

プログラム:
第一部 研究報告『介護・看護サービスと福岡の未来』
(1)笹川平和財団人口変動プロジェクトチーム政策提言
(2)基調報告
1:小川 全夫
  (熊本学園大学社会福祉学部教授、九州大学名誉教授、福岡アジア都市研究所 副主幹研究員)
(3)基調報告
2:安里 和晃
  (京都大学准教授、笹川平和財団特別研究員)

第二部 パネルディスカッション『エイジングビジネスと福岡の未来』
《パネリスト》
稲葉 圭治(社会福祉法人寿泉会統括本部本部長)
小川 玲子(九州大学大学院法学研究院准教授)
清崎 昭紀(学校法人麻生塾企画・渉外室長、AABC理事)
《コーディネーター》
小川 全夫 (熊本学園大学社会福祉学部教授、九州大学名誉教授、アジア都市研究所副主幹研究員)
                                                  (順不同・敬称略)

主 催: 財団法人 福岡アジア都市研究所、福岡市、公益財団法人 笹川平和財団、 NPO 法人アジアンエイジングビジネスセンター( AABC )


【お申し込み方法】

平成23年 11月 28日(月)まで   ※参加無料 定員200名(定員になり次第、締め切ります)
「12/5シンポジウム聴講希望」と明記のうえ、参加される方の《氏名・ふりがな》《郵便番号》《住所》《勤務先(※住所が勤務先の場合は所属部署名も)》《電話番号》を記載し、Eメール又はFAXにて福岡アジア都市研究所までお申し込み下さい。WEBサイトからもお申し込みができます。
福岡アジア都市研究所WEBサイトhttp://www.urc.or.jp/event/index.html

【お申込み・お問い合わせ先】 

(財)福岡アジア都市研究所  担当:白浜、吉瀬
〒 810-0001  福岡市中央区天神 1-10-1 福岡市役所北別館6階
TEL : (092)733‐5686 FAX :(092)733-5680 E-mail : event@urc.or.jp

福岡アジア都市研究所 第8回 都市セミナー 広報用チラシはこちら

20111205fukuoka_chirashi.pdf






笹川平和財団 「人口変動の新潮流への対処」事業 政策提言会議地方開催(富山) [2011年10月24日(Mon)]
 笹川平和財団(SPF)では、「人口変動の新潮流への対処」事業の研究成果を、政策提言会議として、全国各地で開催しています。
 
 9月の群馬県太田市での「外国人が支える地域経済のこれから」に続き、11月26日(土)は富山で開催いたします。皆様、ふるってご参加ください。


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「東アジアとともにいきる富山県の未来」
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【日 時】  2011年11月26日(土)14:00〜17:30
【場 所】  富山大学経済学部7F 会議室 (定員100人※1)
       富山大学アクセス http://www.u-toyama.ac.jp/jp/access/index.html
【参加費】 参加無料

【申 込】 NPO多文化共生マネージャー全国協議会
      NGOダイバーシティとやま 柴垣まで
連絡先 E-mail shibagaki.tadashi@gmail.com Tel 090-9440-6657(※2)

※1 定員の都合上、事前申込を承っております。
住所、氏名、連絡先をご記入のうえ、お申込ください。

※2 日中、電話に出ることができないこともございますので、
なるべくE-mailにて、お申込ください。

【内 容】

◆挨拶 後藤 純一(慶応義塾大学 教授)

◆報告会 第1部 研究報告(14:00〜16:40)

基調講演 「多文化共生から始まる地域の未来」
○田村 太郎(一般財団法人ダイバーシティ研究所 代表理事)

報告@ 「日本の出入国政策の現状と未来」
○明石 純一(筑波大学 助教)

報告A 「富山県での受入事例から見た現状と未来
〜中国人の技能実習生の現場から〜」
○林 広森(富瀋国際事業協同組合 専務理事)

聞き手:○坂 幸夫(富山大学 教授)

(休憩)

第2部 パネルディスカッション(16:50〜17:30)
「地域経済を支える外国人住民と富山県の未来」

○後藤 純一(慶應義塾大学 教授)
○田村 太郎(一般財団法人ダイバーシティ研究所 代表理事)
○明石 純一(筑波大学 助教)
○林 広森(富瀋国際事業協同組合 専務理事)
○宮田 妙子(NGOダイバーシティとやま 代表理事)
モデレーター:○柴垣 禎
(NPO法人多文化共生マネージャー全国協議会 理事)
(NGOダイバーシティとやま 副代表理事)

【主催】 公益財団法人 笹川平和財団、一般財団法人ダイバーシティ研究所
【共催】 富山大学、NGOダイバーシティとやま、
     NPO法人多文化共生マネージャー全国協議会
『外国人労働者問題をめぐる資料集T』PDF版発行 [2011年09月09日(Fri)]
「人口変動の新潮流への対処」事業 2008年度研究報告
『外国人労働者問題をめぐる資料集T』 PDF版発行のお知らせ


 2010年1月、これまで長く議論されながら、総合的な見地から示される資料が少なかった「外国人労働者問題」をめぐる諸データや論点の整理を試みる資料集を発行しました。

このたび、本研究報告の全文のPDF版を発行いたしました。
こちらからダウンロードしてご覧ください。




第1部では、日本の人口変動と外国人登録者数、その地域差や国籍、
 滞在資格、産業別の現状をデータで俯瞰し、これまでの外国人労働者政策、
 論争の推移や研究を整理しました。

第2部では、中国、フィリピン、インドネシアといったアジアの主要な送り出し国を
 網羅する調査を行い、アジアにおける送り出し・受け入れ両サイドの移民政策の
 国際比較を試みています。

第3部では、日本国内の地域特性に応じた社会統合施策の必要性を調査し、
 外国人を短・長期滞在の労働者としてだけでなく、住民としてとらえる統合モデルを
 論じています

<問い合わせ先>
 笹川平和財団 「人口変動の新潮流への対処」事業事務局
 電話番号 03-6229-5443
 Email  jinkou@spf.or.jp
【コラム】ドイツの「失敗」から学ぶ [2011年05月09日(Mon)]
Ishikawa Shinsaku
石川 真作
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京都文教大学人間学研究所客員研究員。文学博士。専門は文化人類学。ドイツ在住トルコ系移民を対象とした現地調査を行っている。主な著作に「ヨーロッパのムスリム─ドイツ在住トルコ人の事例から」(森明子編『ヨーロッパ人類学─近代再編の現場から』新曜社 2004)、「ドイツにおけるトルコ系マイノリティ団体の活動―トランスナショナルな公共圏の構築―」(竹沢尚一郎編著『移民のヨーロッパ―国際比較の視点から―』明石書店 2011)など。
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 さる3月、ヨーロッパ調査旅行の折に、かねてからの私の主たる調査地であり、トルコ系移民が多く住むドイツ、デュースブルグ市に立ち寄った。2010年1月に行われたシンポジウム「社会統合政策の課題と挑戦─新たな理念と役割を求めて」に参加していただいたレイラ・オズマル氏をはじめ、多くの友人と再会し、また新しい出会いもあった。帰国の翌日にシンポジウム「人口減少社会と日本の選択─外国人労働者問題に関する提言」が開催された。そしてその3日後に震災が起こった。

 すぐにデュースブルグの友人たちから多くのメールが来た。新たに出会った人からのものもあった。みな私や私の家族の安否を心配してくれていた。幸いにして私の住む愛知県ではほとんど被害がなかった旨を返信すると、ひとまずの安心と共に今度は、被災地の状況や日本の今後を気遣う返信が舞い込んだ。1999年のトルコでの震災や、その際の日本の援助隊の働きについて触れている人もいた。

 それらのメールの中には、もっとも古くからの友人であるSからのものも含まれていた。彼のメールには、震災に関する話題とともに、自身の新たな職場でのスタートについても綴られていた。

 Sはここ3年間というもの失業状態で、家でごろごろしながらネット三昧の生活を続けていた。その姿も精神状態も、日本で言うところの「ニート」そのものであった。とはいえ、本人に仕事をする意志が全くないわけではなかったのだが、現実にこの3年近くは仕事が見つからなかったのだ。ところが、ちょうど今回の私の滞在中に、労働エージェンシー(職安にあたる)から彼に仕事の紹介があった。彼が面接に出かけ、次回のアポイントをとって帰ってきた翌日に、私は帰国した。彼のメールにはその後首尾よく仕事について、順調に滑り出したことが記されていた。その知らせは、震災関連のニュースで沈みがちだった気持ちを、少しだけだが軽くしてくれた。

 彼が少年期を過ごした1980〜90年代は、トルコ系移民の流入から20年以上が経過し、多くが定住傾向を示していたにもかかわらず、ドイツ政府もドイツ社会も「ドイツは移民国ではない」という前提に立っていた。一方トルコ系移民の側の姿勢も曖昧で、「いつか帰国する」という意識を捨てきれない人たちが多かった。そのような環境で育った彼らは、ドイツで生まれ育ちながらドイツ社会の一員ではないような中途半端な位置に置かれた。彼らの一部はドイツで社会的成功を納めるための準備をしないまま、あるいはその手段を理解しないまま成長せざるを得なかった。大学まで進学する者はまれで、高校レベルの学校で中退した者も多く、なかにはろくに学校に行かないまま義務教育期間を終えてしまう者もいた。

 Sも高校にあたる総合学校の時、教師との折り合いが悪くなるとあっさりと退学してしまった。親もさほど問題とは考えていなかった。彼の両親はトルコ料理の軽食店を経営しており、当時はそこそこうまくいっていたので、親子で店の仕事をすればいいと考えていたようだ。トルコ系移民には全体的にそのような考え方をする傾向があった。しかしその後、両親の商売は頓挫し、彼は外に職場を求めなければならなくなった。しかし長期不況下のドイツにおいて、高校中退で資格もなく、外国籍の彼にできる仕事は少なかった。

 その間に少子高齢化に直面したドイツは、移民法の整備など移民国化にかじを切った。移民の社会統合施策にも以前より積極的に取り組んだ。そうした中で提供された再教育プログラムに参加したSは調理師の資格を取得した。これによってある程度仕事の紹介を受けられるようになったが、給与半額の試用期間のみで理由をつけられて解雇されることが何度も続いた。やっと得られた寿司バーの仕事も、1年半ほど勤めたところで体調を壊し、休暇をとった間に解雇されてしまった。その後3年近くを失業給付で生活することとなった。

 それでも彼のケースはまだ良いほうで、彼の友人にはほとんど仕事らしい仕事をしたことのない者や、ドラッグの売人になって刑務所に入った者、窃盗で何度もつかまっている者などもいる。中には、ドイツで育ちながらドイツ語があまり使いこなせない者もいる。Sのドイツ語はそこらのドイツ人の若者よりも丁寧で明瞭であると評価されており、10代の時にテレアポの会社からスカウトを受けたほどだ。それでも仕事を得るのに苦労した。学齢期に将来の備えを充分にできなかったことが尾を引き、社会で主力にならなければならない現在にそのつけが回ってきている。ドイツでは、このような世代の移民たちを指して、「ロスト・ジェネレーション」と呼ぶことがある。

 昨12月の国際シンポジウムのサブタイトルは「ヨーロッパの成功と失敗に学ぶ」であった。しかし、これまでのヨーロッパの移民施策においては、成功よりも失敗が目立つというのが実感である。それらの失敗から学ぶべきは、将来の移民の社会統合を見越して現在から手を打っておくということであろう。現在、日本に住む学齢期の外国人児童生徒たちの状況は、Sたちの当時の姿と重なる。彼らが将来、日本社会の一部となり、あるいは主力となって社会を動かす人々であるという前提に立って対応をとるべきである。さもないと将来大きな代価を支払わざるを得ないことも、ヨーロッパの現在が示唆することである。それは政治、社会、財政、様々な面での負担となる。

 先般のシンポジウム「人口減少社会と日本の選択─外国人労働者問題に関する提言」でも「今やらないと手遅れになる」というスタンスでの提案が行われたが、ドイツの状況を見ると、「手遅れ」とはどういうことか、その一端が垣間見られる。
【コラム】外国人コミュニティリーダーと共に築く地域社会 [2011年04月15日(Fri)]

 Tanaka Yuko

  田中 裕子
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1983年、京都市生まれ。(特活)多文化共生センター大阪事務局スタッフ。
大学でポルトガル語を学び、南米を専門に取り扱う旅行会社勤務、在ブラジル日本国大使館勤務を経て、2009年より現職。一般財団法人ダイバーシティ研究所岐阜コミュニティリーダー事業担当。ポルトガル語翻訳者。
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 昨年の8月から3回にわたって外国人コミュニティリーダー育成研修の事業担当者として、岐阜県を訪れた。岐阜県には2010年1月現在、51,384名の外国人住民が暮らしている。国籍別にみると、もっとも多いのがブラジル(32.1%)で、中国(32.0%)、フィリピン(16.1%)と続く。ブラジル人の多い岐阜県での仕事は、ブラジル好きの私にとって思い入れの強い仕事でもある。

 日本で暮らす外国人住民は言葉や制度のちがいから様々な課題を抱えている。最近では自分たちが抱える課題を自ら解決するために外国人住民による活動が日本でも少しずつ出てきている。移民受け入れの歴史をもつ諸外国ではすでに、外国人による自助組織が支援の主な担い手となっているそうで、彼らをサポートする今回の研修のような取り組みはとても重要であると感じた。自助組織として活動していく中でも、言葉の壁や制度の壁に直面することがある。団体立ち上げのための手続きや日本語での書類作成、有効な人脈作りや広報、資金集めなど様々な壁が立ちはだかる。コミュニティ活動に積極的な外国人住民がより活発に、いい事業を生み出すためには、彼らの活動をサポートする日本人のチカラも必要だ。

 フィリピン人コミュニティOCJ代表のフェルナンドさんは医療通訳の事業に取り組みたいということで、今回の研修に参加してくださった。ポルトガル語の医療通訳を置いている病院は岐阜県にもいくつかあるが、フィリピン語の医療通訳を置いている病院はなく、日本語が堪能なフェルナンドさんは、派遣会社が休みの週末に、よく知りあいから電話で医療通訳を頼まれるという。コンサルティングで彼は「個人で行う医療通訳には限界を感じる」と話していたが、研修とコンサルティングを終え、これからフィリピン人住民にアンケートを実施してニーズを把握し、協力者を募ったり、資金を調達するために動き出すことになった。彼一人で取り組むのは大変だが、岐阜県国際交流センターの担当者や他の研修参加者も医療通訳への関心は高い。今回の研修を通してできた人と人のつながりを大切にし、事業実施につながるよう、これからも情報交換やサポートを続けていきたい。

 仕事をしながら、コミュニティ活動を行うことは容易ではない。ただでさえ、異国の地で仕事をして、生活をしていくためには、ストレスや困難が付きまとう。それでも、外国人住民にとって過ごしやすい地域を作るためには、こうして外国人住民自らが課題を見つけ、情報発信をしながら、活動を広げていくことがとても重要なことだと感じる。自国出身の人たちが集まるコミュニティの存在は、外国人住民にとって安心できるよりどころになってくれる。このコミュニティを通して、日本人と、外国人住民がお互い一緒に活動していくことができれば、多様な視点から課題解決への糸口を見出せるのではないだろうか。日本人からの支援を受けるのではなく、地域の一員として活動する外国人コミュニティ。私に思い浮かばないような新鮮な視点やアイディアをもつ彼ら・彼女から多くを学び、私自身も共に住みやすい地域社会について再度考えることができた。
【コラム】多文化な子どもたちへの学習支援教室「サタディクラス」 [2011年04月15日(Fri)]
Tsubouchi Yoshiko
坪内 好子
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第3分科会メンバーが所属する多文化共生センター大阪と共に、多文化な子どもたちへの学習支援教室「サタディクラス」を運営。1948年岡山県生まれ。大阪の中学校日本語教室担当を経てボランティアとして活動。1998年文部省(当時)海外教員派遣でポルトガルの学校視察。中国、フィリピン、ペルー、ベトナムの学校見学やボランティア活動等に参加。現在、府立高校定時制特別非常勤講師。
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〔外国からの子どもたちの居場所つくり〕
 数年来、多文化な子どもたちへの学習支援教室「サタディクラス」として、土曜日の午後、大阪市・大阪府在住の小・中学生や高校生年齢の子どもたちの居場所作りと学習支援に取り組んでいる。共に活動するメンバーは、大学の日本語教師、大学生、主婦、定年退職者、NPOスタッフ等である。

 人権尊重を教育の基本理念とする大阪市にはボランティアによる日本語・識字教室が多数存在する。しかし、子どもを受け入れているところは少ない。2010年現在は4団体(サタディクラス、こどもひろば、ひまわり会、YWCA)である。義務教育年齢の子どもの教育は本来公教育によって保障されるべきものである。が、外国からの子どもたちは、40名の多様な子どもたちの中で、ともすれば発言をあまりしない子どもとして見過ごされがちである。子どもたちは理解の確認を求められても、事実に反してつい肯定表現をしてしまうことが多い。

 外国の文化習慣を理解する際、日本の学校文化や指導者の文化体験のみを基に進めていくと、外国からの子どもや保護者の文化・行動形態と大きくずれてしまうことがある。

 例えば、「校内で間食などとんでもない」という常識と「おやつタイムがあって当然」の常識は互いに事前に予測することは困難であり、子ども、指導者双方にアドバイスが必要である。

 さまざまな子どもたちの課題は見過ごされやすく、生活の場である地域においては保護者が受信できうる情報量が少なく、日本の事情を理解することが未消化のまま子どもに接していることも多い。地域とのつながりは弱いため近隣の人々の支援や連携のもとに子どもたちを支えていくことが不可欠である。サタディクラスでは子どもたちの支援と共に、学校と地域保護者をつなぐ糸口にもなればと考えている。

 外国からの子どもたちは異文化の中で不安と緊張による多くのストレスを抱えているが、保護者自身も不明や不安なことが多い。地域の生活上の慣習伝達や行事体験の共有はかなり困難である。厳しい就労状況と複雑な家族関係のケースが多く見られ、子どもは保護者の不安定な動向に振り回される傾向がある。

 世界の、日本の、将来を担う子どもたちが、自分で考え、生きる力を身につけていくため高等教育につなげていく必要がある。また。乳幼児を抱えていることの多い保護者が精神的に落ち着いて子どもの教育について考えられるような環境作りが必要である。在留資格等の問題、生活全般についての知識理解への支援等多くの課題があるのが実情である。

 多くの課題は子どもへの学習支援教室の活動範囲を大幅に超えており、学校、幼稚園や保育所、保健センター、役所、大学の地域研究部門、同じ趣旨で活動するNPO等と連携し、折にふれ地域全体での関心を深め多文化共生社会の実現へと進めていきたい。
『外国人労働者問題をめぐる資料集V』 [2011年04月15日(Fri)]

2011年3月、『外国人労働者問題をめぐる資料集V』を刊行いたしました。

 笹川平和財団は2008年にプロジェクトを立ち上げ、外国人労働者をめぐる包括的な調査研究を3年間進めてきました。
 今後の労働人口の縮小や経済への影響、すでに受け入れてきた欧米諸国や大規模な受け入れを開始したアジアの新興国、そして国内で働く外国人労働者の実態など、コンピューターモデルや現地調査などを駆使してまとめ上げたのが、本報告書です。

 本報告書には、2010年12月に東京にて開催した、エマニュエル・トッド氏の講演録も収録されています。


 第1部 人口構成の変化と労働市場に関する報告
  第1章 外国人労働者と日本経済――笹川モデルによるシミュレーション分析
  第2章 日本の漁業における労働力不足と外国人研修・技能実習生の受け入れ
          ――宮崎県南郷漁業協同組合の取り組み
  第3章 IT産業で働く元留学生のキャリア意識と日本での就労に関する調査報告

 第2部 移民政策の国際比較:東アジアにおける送り出し・受け入れ政策
  第1章 UAEにおける外国人労働者の受け入れ体制と就労の現状
  第2章 家事労働の担い手問題と労働市場の分節化――香港の事例から
  第3章 韓国における多文化社会の到来と政策的対応
  第4章 中国の労働者送り出し政策の現状――補論
  第5章 ベトナムにおける貧困削減と海外就労者送り出し政策
  第6章 インドの労働者送り出し政策――ケララ州の事例を中心に

 第3部 日本の地域社会における社会統合・多文化共生の現状
  第1章 多文化共生に関するステークホルダーダイアログ概要
  第2章 多文化共生に関するステークホルダーダイアログ報告(地域モデル別)
  第3章 地域モデルの汎用化にむけて
  コラム1:外国人住民による社会参画――岐阜県外国人コミュニティリーダー育成研修
  コラム2:留学生を雇用する介護施設の事例

 エマニュエル・トッド氏講演録
  「日本と移民――ヨーロッパの成功と失敗から得られるいくつかの教訓」

◇お申し込み方法 (資料集Vは無料です)
  既刊の刊行物が数種ありますので、必ず「資料集V希望」と明記ください。

 1.希望数が1冊の場合は、お送り先住所を明記した
   @580円分の切手を貼った返信用封筒(A4サイズ以上の大きさ)
   Aレターパック350
   のどちらかを同封し、下記の「問い合わせ先」までご送付ください。

 2.2冊以上ご希望の場合は、あらかじめ下記「問い合わせ先」宛に電話・メールにて
   送付方法をご相談ください。
   冊子仕様は A4サイズ、690g、厚さ1.3cm です。 

 参考までに、定型外郵便物の料金はこちら 料金表 


◇問い合わせ先
 〒107-8523 東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル4階 
 笹川平和財団 「人口変動の新潮流への対処」事業 事務局
 電話番号:03-6229-5443 
 FAX番号:03-6229-5473
 E-mail:jinkou@spf.or.jp
『労働鎖国ニッポンの崩壊』人口減少社会の担い手はだれか [2011年04月15日(Fri)]
笹川平和財「人口変動の新潮流への対処」事業の成果物として発刊されました。

◆概要
 発行年:2011年3月
 編著者:安里和晃
 出版社:ダイヤモンド社
 定価(税込):1995円
 単行本(ソフトカバー): 352ページ
 言語:日本語
 寸法:18.6 x 13.2 x 2.8 cm

◆書籍詳細と購入
  『「本」の検索と購入』
 または各書店まで。

◆内容紹介
  労働力不足の切り札となる外国人労働者。鎖国状態の日本に警鐘を鳴らすとともに、労働市場を開放したアジア諸国の実情を分析しています。

  日本が長年拒んできた労働市場開放も、日本の高齢化と少子化によって、不可避となりつつあります。それでは労働市場開放を行ったら何が起きるのでしょうか。労働者の送り出し、受け入れともに先進事例となっているアジア諸国の現状を、研究者たちがそれぞれの専門分野から分析、解説します。

◆編著者紹介
  安里 和晃(あさと・わこう)
  京都大学大学院文学研究科特定准教授、笹川平和財団特別研究員。

◆目次抜粋
  第1章 枯渇してゆく日本の労働力
     人口減少社会における社会の再生産と移民  安里 和晃
     加速する労働力人口の減少  李 賢珠
     少子高齢化時代における労働力需給  後藤 純一
      なぜ海外からの人材を考えるか  安里 和晃
     (コラム) 高齢者親和産業の成長とヒューマン・サービスの質  小川 全夫
  第2章 日本は「労働鎖国」か──受け入れの問題点を探る
     受け入れの是非論とその展開  明石 純一
     研修・技能実習制度は生まれ変わるか  王 再清
     産業存続危機の解決策としての外国人研修・技能実習生の受け入れ  金 湛
     EPAによる看護師・介護士受け入れ制度について
      医療・福祉に海外からの人材は定着するか  安里 和晃
      送り出し国フィリピンにおける看護教育と看護師就労状況  細田 尚美
     アジア地域から来日して働く外国人IT技術者  松下 奈美子
      (コラム) フィリピン・医者のいない病院  細田 尚美
  第3章 成長するアジアと人の移動
     アジアの経済成長と外国人労働者
      底辺で経済成長を支える香港の家事労働者  安里 和晃
      シンガポールの移民「マネジメント」  明石 純一
     送出し国の開発と出稼ぎ労働
      海外就労先を開拓し続けるフィリピン  細田 尚美
      ベトナムの出稼ぎは貧困を撲滅するか  堀西 雅亮
     改革される外国人労働者受け入れ  李 賢珠
     (コラム) 国境を越える人口移動の女性化  池上 清子
     (コラム) 在韓モンゴル人労働者の受け入れ状況  窪田 新一
  第4章 労働力大争奪時代の到来に備えて
     日本を離れアジアへと向かう若年労働者  松谷 実のり
     中国の経済成長と高齢化がもたらす、アジアの労働力争奪  岡室 美恵子
     これからの日本が取るべき方向性とは
      人口変動社会に対応した「国家ビジョン」の必要性  田村 太郎
      外国人労働者居住地域がすでに直面している課題と、そこから学ぶべきこととは
                           鈴木 暁子
     多様な人材の包摂とグローバルなアプローチ  安里 和晃
     (コラム)在日日系ブラジル人の現状  鈴木 暁子 
『外国人の就労をめぐる実態調査―事例集―』発行 [2011年04月15日(Fri)]
 笹川平和財団「人口変動の新潮流への対処」事業では、2008年からの3年間の研究・報告書の中で、日本における外国人労働者政策の展開を整理し、その制度的機能を考察してきました。
 本事業のなかに組織された「実態調査班」の調査を通じて、在日外国人(非日本国籍保有者)の雇用形態や就労状況の多様性を理解するため、とりわけ在日外国人就労者の非メインストリーム的存在やこれまで着目されてこなかった事例の「掘り起こし」を試みました。

 本事例集は、その報告を横断的にまとめたものです。

「実態調査班」は22名によって構成され、日本で働く外国人に関する33の事例について、2010年4月〜12月の間に調査をおこないました。日本で働く外国人、そして可能な場合には雇用主やステークホルダーを対象として、雇用環境や現行の制度をめぐる彼らの現状認識を探りました。むろん、200万人を超える在日外国人のうち、そのごく一部の、さらに断片的な状況にもとづいた知見に過ぎません。

 事例には、難民申請者の就労実態も含まれています。 外国に出自を持つ移住者であるということは、異国で生きていくうえで、プラスになることもあればマイナスになることもあります。いずれにしても、彼らの判断と振る舞いのなかには、日本社会の「今」がよく映し出されています。このホスト社会が抱えている課題は少なくありません。高齢化が世界の先頭をきって深刻化し、農村や地方都市の過疎化が止まらないなかで、限られたリソースを用い、企業や大学や地域社会は、いかに活力を維持し、再生を果たしうるのでしょうか。外国から日本へと渡り、住み、学び、働くものたちは、その挑戦、成功と挫折のうちに、はからずもこの国の将来のありようを、さまざまな角度から問い直し続けています。

実態調査は、8つの分野(農業・漁業、加工業・電設業、医療福祉分野、IT分野、教育分野、留学と就職、エスニック・ビジネスと起業、それ以外の分野)を対象としています。
 ※ただしあくまでも便宜上の分類です

     第1章 日本の伝統的産業である漁業や農業
     第2章 南米系日系人の就労を
     第3章 医療福祉分野における外国人の就労
     第4章 IT分野で活躍する来日外国人
     第5章 教育分野で就労する外国人
     第6章 日本で学ぶ留学生や、日本での就職活動に苦労する彼らの状況
     第7章 移住者のエスニック性を前提として成立する、または成立しやすい事業
     第8章 1章から7章までの分野には含まれない事例

◇お申し込み方法 (事例集は無料です)
  既刊の刊行物が数種ありますので、必ず「事例集希望」と明記ください。

 1.希望数が1冊の場合は、お送り先住所を明記した
   @580円分の切手を貼った返信用封筒(A4サイズ以上の大きさ)
   Aレターパック350
   のどちらかを同封し、下記の「問い合わせ先」までご送付ください。

 2.2冊以上ご希望の場合は、あらかじめ下記「問い合わせ先」宛に電話・メールにて
   送付方法をご相談ください。
   冊子仕様は A4サイズ、690g、厚さ1.3cm です。 

 参考までに、定型外郵便物の料金はこちら 料金表 

◇問い合わせ先
 〒107-8523 東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル4階
 笹川平和財団 「人口変動の新潮流への対処」事業 事務局
 電話番号:03-6229-5443
 FAX番号:03-6229-5473
 E-mail:jinkou@spf.or.jp
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