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NO:5306 11月22日『米土関係悪化の兆し明瞭』 [2018年11月21日(Wed)]
 以前から懸念していた、アメリカとトルコの関係が、おかしくなってきているようだ。それは二人の強烈な、キャラクターを持つ国家代表が、最終的にぶつからないはずがないだろう、という判断によるものだった。

 アメリカのトランプ大統領は、暴言居士とでもいえるほど、言いたい放題を世界に対して、怒鳴りまくっている。同盟関係にあるNATO加盟国に対しては、『お前らは金も出さずにおんぶにだっこだ、もっと金を出せ。』と怒鳴り、イランに対しては『石油は一滴も売らせない。』と脅し、中国には『課税で経済を潰す。』と豪語している。また,そのことは単に、トルコとアメリカとの関係だけではなく、近隣諸国にも大きな影響を、及ぼしそうだ。

 ソユル内相のアメリカ非難は、元アメリカ大使への非難から、始まっている。アメリカ大使はエルドアン大統領との間に、問題を起こさないために、ソフトなスタンスを取り、トルコの官僚をなだめてきていた。

 しかし、在トルコ・アメリカ外交施設のローカル・スタッフ逮捕に伴い、アメリカ大使の立場に変化が生じた。アメリカ外交施設に働くトルコ人スタッフが逮捕され、アメリカ側のトルコでの活動が、相当細かく調べ上げられたのであろう。

 ソユル内相はある男が、トルコからアフガニスタンに移動したことによって、大きな変化が起こっている、と暗に元アメリカ大使を指して非難し、アメリカの言う和平の下で、多くのアフガニスタン人が、トルコに移住してきた。

 『はっきり言おう、いま誰がアフガニスタンを管理運営しているのか、我々は知っている。』とソユル内相は暗に、アメリカが全ての問題の根源だ、と発言したのだ。

 トルコ政府は2018年に、26000人のアフガニスタン人を飛行機に乗せ、帰国させている。現在トルコには非合法移住アフガニスタン人が、90334人もいる。昨年の数は45359人だったということだ。

 ハシシの生産は2002年には、20万トンだったものが、今では90万トンに増えている。その増加率は63パーセントにも上っている。その一部がトルコにも、持ち込まれているのだ。

 アメリカはIS(ISIL)を含むイスラム・テロリストを、イラクやシリアで活用し、トルコへの狡猾な攻撃を、繰り返してきていた。エルドアン内閣はアメリカの陰謀を信じている。それがエルドアン体制を守る道具になる、と考えているようだ。

 ほとんどのトルコのマスコミは、エルドアン大統領の手に握られており、エルドアン大統領やソユル内相の語ることが、国民の間では信じ込まれている。それは、トルコ国民が毎日、エルドアン大統領と彼の部下の、閣僚たちの発言で、毒にさらされている、ということだ。

 エルドアン大統領はアメリカの、イラン制裁に真っ向から反対している、またロシア・イランとの関係も拡大している。アルカーイダ、IS(ISIL),その他のイスラム原理主義組織と、トルコは国内と周辺諸国で戦っている。

 こうした中で、トルコでは民族主義が強まってきており、エルドアン大統領の言動もしかりだ。ブランソン牧師は釈放されたが、アメリカはいまだにトルコの刑務所には、アメリカ国民が収監されている、と非難している。

 ソユル内相はアメリカの陰謀は、分り切っていることから、トルコに恩を着せるために、アメリカが賭けたPKK幹部3人への、懸賞金の善意も全く信じていない。今回のトルコとアメリカとの緊張は、行くところまで行くのかもしれない。

 この内容は、イスラエルのエルサレムポストと、トルコの反体制派のマスコミである、トルコ・ミニッツが伝えたものの概要だ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:25 | この記事のURL
NO:5305 11月21日 『パレスチナがイスラエルは宗教戦争画策と非難』 [2018年11月20日(Tue)]
パレスチナ自治政府のスポークスマンは、イスラエルが宗教戦争を仕掛けている、と非難した。その非難は、イスラエル政府がエルサレムのアクサ・モスクへの訪問を、奨励していることを、根拠にしている。

このアクサ・モスクへのイスラエル人の訪問は、主に原理主義過激派のグループを、差し向けていることを指している。ユダヤ教にも原理主義者がおり、彼らの大半はアメリカから移住してきた、問題を生むことを目的とした輩だ。


彼らはイスラム教徒にとって、預言者ムハンマドと繋がる、重要な意味を持つアクサ・モスクを汚すことで、快感を感じているのだ。このアメリカからの移住ユダヤ人たちは、長い間イスラエルで生活してきている、ユダヤ・イスラエル人にとっても、迷惑な存在だ。

大半のユダヤ人はパレスチナ人との、トラブルを少なくし、安全な生活を手にしたい、と思っているからだ。しかし、アメリカから移住してきた連中は、パレスチナとの間に問題を、起こすことを目的としているのだ。

イスラエル政府とすれば、迷惑な話なのだが、在米ユダヤ教徒の支援は、莫大なものであるために、こうした過激派のユダヤ人を、追放することは出来ないでいるのだ。

このアクサ・モスクの立地場所は、ユダヤのソロモン神殿の、外壁の真上にあるために、ソロモンの神殿を再建するには、アクサ・モスクを壊す必要があるようだ。

アメリカにはソロモンの神殿再建組織があり、確か、ソロモン神殿再建委員会の、初代の会長はネタニヤフ首相の、父親だったはずだ。そのため、ネタニヤフ首相もソロモン神殿の再建に、強い願望を抱いている、と言われている。

そのことに加え、今年はユダヤ教が言う、500年に一度の再建の許される年、何としてでも強行したい輩は、ごまんといるということだ。そのために、赤い牛が生まれたとか、死海に魚が泳いでいるだとか、というニュースがまことしやかに、伝えられてもいるのだ。

 宗教は人を救うが、同時に不遜な輩が宗教を使うと、とんでもない危険なことに、繋がるようだ。そこで大事なことは、冷戦な判断力であろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:04 | この記事のURL
NO:5304 11月20日『イスラエルの内部対立と選挙予測』 [2018年11月19日(Mon)]
来年のことを言うと鬼が笑うそうだが、来年の春に予定されている、イスラエルの選挙について、大胆な予測を書いてみることにした。

来年の選挙では国防大臣を辞任した、リーベルマンが頭角を現してきて、首相に座るのではないか、と思っている。いままで、強硬派の一人とされてきていたリーベルマン氏が、実は穏健派だというのだ。そのことを口にしたのは、公共治安相のギラド・エルダン氏だ。

ギラド・エルダン氏の語るところによれば、リーベルマン国防相はガザに対する、強硬対応に反対し、ハマースとは話し合いで、緊張緩和を図ろうとしていた、ということのようだ。キプロスとガザとの港開港についても、リーベルマンは支持していた、というのだ。

来年の選挙は春に予定されているようだが、この選挙に先立ち、リーベルマン国防相がネタニヤフ首相が決めたハマースとの、停戦に腹を立て辞任したのだ。そのリーベルマン国防相の判断は、ある意味では、正しい判断だったのではないか。

ハマースとイスラエル軍が、激戦を交わしている中で、ネタニヤフ首相が停戦を決めるということは、ハマースが戦いに勝利したというイメージを、創り出してしまうからだ。

このリーベルマン国防相の判断を、支持した二人の閣僚も、辞任する方向にあるようだ。その二人とは、ベネット教育相とアエレト・シャケド法務相だ。ナフタリ・ベネット教育相は国防相に、移動するかもしれないのだが、それが決まらなければ、辞任するということであろうか。

イスラエルという国と国民性は、常に、強度の対外不信と、恐怖に駆られている。そのために強硬な意見は、支持されやすいのだ。リーベルマン国防相が強硬な意見を、述べ続けてきたのは、このためであったのではないのか。しかし、実際のリーベルマンは、いたって理知的であり、冷静な考えを持っていた、ということであろう。

現在のイスラエルは国際政治でも、国内政治でも、極めて難しい状況にあるようだ。そのことは、ネタニヤフ首相も十分わかっており、選挙をこの時期に行うことは危険だ、と言っているのであろう。

彼に言わせれば、イスラエル国民の意見を一致させなければ、外敵と戦えないということであろう。それは表向きの話であり、実はいまネタニヤフ首相は、ドイツから輸入した潜水艦の取引で、収賄疑惑が出てきており、首相の座を離れることは、極めて危険であろう。彼自身の立場を考えれば、当然そうであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:38 | この記事のURL
NO:5303  11月19日  『CIAが皇太子殺害指示と明言』 [2018年11月18日(Sun)]
アメリカでは、CIAがサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、カシオギ殺害を命令していたことを、断言した。実行犯が誰であるにしろ、これでムハンマド・ビン・サルマン皇太子の罪が、消えることは無かろう。

しかし、このCIAの発表はアメリカ国内問題も、露呈させることになろう。トランプ大統領は自国利益が第一であり、誰が殺害に関わろうとも、サウジアラビアとの武器の取引は、止めたくないようだ。

これに圧力を掛けているのは、トルコのエルドアン大統領だ。彼はトランプ大統領との会談(電話?)のなかで、カシオギ殺害に関しては、何も隠さないことにしよう、と釘をさしている。エルドアン大統領はサウジアラビアから、まだしかるべきものを得ていない、ということであろうか。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の兄弟である、ハーリド・ビン・サルマン王子がサウジアラビアに帰国しているが、彼はカシオギに対して、イスタンブールのサウジアラビア領事館に行くことは危険だ、と言っていたようだ。

つまり、サウジアラビア政府(ムハンマド・ビン・サルマン皇太子)は始めから、殺害を考えていた、ということであろう。その事をいみじくも、ハーリド・ビン・サルマン王子の発言が、裏付けることになったようだ。

トランプ大統領は彼の大統領権限で、CIAの判断を覆すのであろうか。あるいは、CIAが主張するように、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の殺害命令を、受け入れるのであろうか。このカシオギ殺害問題については、ロシアのプーチン大統領も発言を、し始めている。

ロシアの考えでは、サウジアラビア政府にはこの問題を、公正に取り扱う能力が無いということだ。信頼できる証拠を集めて裁け、と言っているのだ。それは裁判がサウジアラビ国内だけでごまかされることが、あってはならないということでもあろう。

今後、アメリカのトランプ大統領の対応が、サウジアラビア政府寄りであることが、明らかになった場合、トルコはロシアにも、カシオギ殺害のテープを渡す可能性が出てこよう。そうなれば、カシオギ問題は国際問題化し、サウジアラビア政府にとっては、相当な痛手となろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:09 | この記事のURL
NO:5302  11月18日  『トルコはカシオギ殺害・もう一本の記録テープ所有』 [2018年11月17日(Sat)]
  トルコがイスタンブールのサウジアラビア領事館で行われた、カシオギ殺害に関する記録テープを発表したが、実は、もう一本のテープが存在することが、明らかになった。その内容如何によっては、サウジアラビア高官(ムハンマド・ビン・サルマン皇太子))の責任が問われることになろう。

  この二本目のテープについて、トルコのフッリエト紙のコラムニストが、記事を書いている。彼の書いた記事に寄れば、まず、2本目のテープの方が、一本目よりも長いということだ。

  一本目のテープでは、カシオギ殺害を確定する、内容は明らかでなかったようだが、その事はトルコの検察も認めている。カシオギはロープかプラスチック・バッグで、窒息死させられている模様だ。(カシオギが、苦しいからバッグを取ってくれ、と訴えていたことが報道されている。)

 いずれにしろ、殺害は計画的なものであり、殺害の記録は二本目のテープで見られる(映像記録があるということか)。二本目の記録テープで、明らかになったことは、カシオギがサウジアラビア領事館に入る15分前から、殺人者たちはどうやって殺すかを、相談していたということだ。

 そして殺害するプロセスで、各殺人者たちの役割が、事前に決められていた、ということだ。そして、この事前打ち合わせの段階で、各々がその役割を確認していた、ということのようだ。

 トルコは、暗殺者たちがカシオギ殺害後に、国際電話を掛けたのを、盗聴していることも確認していた。つまり、殺人者たちがサウジアラビア高官に、殺害が終了したことを伝えたことが、知られている。

 この二本目のテープによる情報について、明かしたジャーナリストの名は、アブドルカーデル・セルウイで、フッリエト紙のコラムニストをしている人物だ。どうやら、二本目のテープを、トルコ政府が公開したということは、今後もサウジアラビアを、追い込むつもりだということであろう。

 また気になるのは、二本目のテープは音声だけではなく、画像もあるということのようなので、これでトルコ政府がサウジアラビア領事館に、設置していた隠しカメラの存在が、明らかになるのではないのか。記事では『殺害の情況は他のオーデオ・レコーデングで見られる。』と書かれている。トルコ政府が掴んだ今回の殺害事件の真相は、アップル社の腕時計からではない、ということであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:29 | この記事のURL
NO:5300  11月17日  『ペリンチェクがトルコ・シリア関係暴露』 [2018年11月16日(Fri)]
トルコにはペリンチェクという名の人物がいる。彼については、時折この欄でご紹介したと思うが、彼はマフィアのボスであり、エルドアン大統領に対して、歯に絹を着せぬ発言をすることで、知られている。

一部では、エルドアン大統領が相当トップ・レベルの秘密を、ペリンチェク氏に握られているために、反発できないのだろう、と言われたり、エルドアン大統領はペリンチェク氏による暗殺を、恐れてものが言え無いのだろう、と言われている。

ペリンチェク氏は表向きは、トルコで最も愛国的な政党である、祖国党(VP)
の党首であり、彼の意向に沿わないことがあると、大統領に対してであれマスコミに対してであれ、警告発言をしてきているのだ。

今回、ペリンチェク氏はトルコ政府とシリア政府の、秘密交渉があったことを暴露している。この内容は、ロシアのスプートニク・ニュースのインタビューに答えるなかで、語ったものだ。

その内容とは、トルコのエルドアン大統領の要望で、イランを舞台に、最近、6度トルコとシリアの政府代表が、会議を持ったというものだ。当然このことは、イランが仲介したとも取れるし、その会議にイランも参加していた、とも考えられよう。

表向きには、シリアで内戦が始まって以来、トルコとシリアは政府間交渉を、止めてきていた。しかし、裏ではトルコがFSA
を結成し、反シリアの軍事行動を、展開してきていることになっているのだが、実際には、トルコ政府とシリア政府との間には、軍事協力があるということだ。

このペリンチェク氏の発言が事実だとすれば、今後、思いもかけなかったような展開が、トルコとシリアとの間には、生まれるかもしれない。そのなかには、突然のトルコ・シリア軍の共闘も、ありうるということではないのか。

そうなった場合、アメリカ軍の立場は複雑になろう。アメリカ政府は未だに、シリアのアサド体制打倒を考えているからであり、同時に、シリア国内にアメリカ軍を、長期駐留させるつもりでいる。

それは、シリア東部の石油資源を、狙ったものであると同時に、ペルシャ湾海底ガス鉱床のガスを掘り出して、シリア北部を通り地中海岸に運ぶための、ガス・パイプ・ラインを通す計画があるからだ、と言われている。

加えて、アメリカはこのペルシャ湾海底ガスの、地中海岸への輸送計画のために、クルド自治区を設立し、ゆくゆくはクルド国家にする考えが、あるとも言われている。中東では、日本などでは想像できないようなことが、毎日のように起こっている。こうした変化を、毎日注意して見続けるしかあるまい。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:51 | この記事のURL
NO:5299 11月16日『アメリカ政府がカシオギ事件に関与か』 [2018年11月15日(Thu)]
アメリカ政府がカシオgギ暗殺事件に、関与しているのではないか、と思わせる情報が、流れ始めている。それはCIAで中東担当ケース・オフィサーとして、活動していた人物、ボブ・バイヤーの証言によるものだ。

 彼に言わせると、アメリカ政府はカシオギ事件について、立場を不明確にしてきたし、サウジアラビアで起こる不都合な出来事については、知らないという立場を、とってきたというのだ。

 ニューヨーク・タイムズ紙によれば、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子がカシオギ暗殺に、関与しているということなのだが、それは暗殺者がムハンマド・ビン・サルマン皇太子の側近に対して『暗殺は終了したその旨ボスに伝えてくれ。』と語ったことを元にしている。

 しかし、アメリカのジョン・ボルトン顧問はトルコが提供した、暗殺者たちの録音テープの内容について、無視している。そして、サウジアラビア王国にはそんなことを命令する人物は、いないと語っている。

 ボブ・バイヤーに言わせると、これまでサウジアラビア政府は、その様な危険な作戦を、実行したことがなく、それが実行されたということは、外部が関与していたからだ、とするのだ。

 サウジアラビアのロイヤル・ファミリーを含む、200人以上の要人の逮捕事件も、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子一人の、意志ではあるまい。こうした皇太子による断行は、サウジアラビア王国の歴史の中に、前例がないのだ。

 アメリカ政府が恐れているのは、サウジアラビア国内の秩序が乱れることであり、そうなった場合にアメリカ政府は、どう対応できるのか、ということだと語っている。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:28 | この記事のURL
NO:5298 11月15日『サウジアラビアはカシオギ事件後回復するか』 [2018年11月14日(Wed)]
カシオギ事件をきっかけに、サウジアラビアは国家的な国際的不信用を、買ってしまったようだ。それどころか、何をしでかすか分からない、というイメージが広がり、サウジアラビアのそれは経済にも、影響を与えているようだ。

先に、サウジアラビアで開催された、砂漠のダボス会議は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が主催したものであったが、惨憺たる結果だった。主要な国々の高官は出席せず、国際機関のトップも、出席を取りやめた。

そうしたことは、欧米諸国からトップ・レベルが,サウジアラビアに顔を出さなくなった,ということであり、当然,それはサウジアラビアと欧米諸国との、経済関係にも進展を産まない、ということだ。

サウジアラビアに対する長期投資は、減少していくだろうとみられている。それは、欧米企業のトップがサウジアラビアを、訪問しなくなっているからだ。サウジアラビアとしては、こうした状況を打破するために、経済会議を開催したり、ビジネス懇話会を開催して、欧米の企業トップを、呼び込まなければなるまい。

それでも、2019年のサウジアラビアの経済見通しは、明るいもののようだ。今年2018年のGDPの伸びは2,2パーセントであったが、来年の2019年は2,4パーセントと予測されている。

こうしてみると、欧米諸国はカシオギ事件で、一応は人道的に許せない、といった反応を示したが、腹の中ではカシオギ事件など、重要視していないのかもしれない。

サウジアラビアが石油から得る収入は、莫大な額であり、同国が国内開発に投資する額も膨大だ。加えて、兵器を始めとする欧米製品の輸入額も、信じられないような巨額に、達している。

カシオギ事件は結局、欧米やトルコなどがサウジアラビアに、ものを売りつけたり、種々の国際機関に金を出させるための、口実を与えたに過ぎないのかもしれない。

だが、サウジアラビアでは人口の増加に伴い、次第に失業率が高まってきていることも事実だ。そうした国内的な不満が、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の行動を、冷めた目で監視させ、それが爆発する日が、間もなく来るのではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:13 | この記事のURL
NO:5297 11月14日『ドイツEUがテロ集団支援』 [2018年11月13日(Tue)]
ドイツとEU加盟国の一部が、シリアのイドリブに残存する、テロ集団に対して援助している、という情報が流れてきた。さもありなんと言いたいところだが、やはり多少のショックは隠せない。

 これは、イギリスのデイリー・テレグラム紙が伝えたものだが、それによれば、援助額は3750万ユーロで、これまでの援助総額は、4900万ユーロだということだ。

 このドイツのテロに対する援助は、そのテロ組織の目標が、シリアのアサド体制打倒であることから、ドイツも同じ意向を持っている、ということになる。同様に、EUのほ他の幾つかの国も、テロ組織に対する援助を行っており、その援助額は、1170万ユーロだということだ。

 ドイツ政府は資金援助の送り先が、どの組織であるかを明かしていないが、それはロシアの怒りに触れないためだ、ということだ。しかし、ほとんどはヌスラ組織(アルカーイダ)に、向かっているものと思われている。

 この経緯について質問を受けた、ドイツの外務担当大臣ウオルター・インデナー氏は、あいまいな答え方をしているようだ。他方、メルケル首相はプーチン大統領から、シリアの再建に資金を出すよう要請されたが、これを拒否しているようだ。

 現在、ドイツは中東に派兵しているが、国防大臣のウルスラー・ヴォン氏は、できるだけ長く駐留すると言っている。ちなみにドイツ軍はヨルダンのアズラク空軍基地に、300人を派兵している。これはアメリカ軍との共同行動だ。

 ドイツからシリア・イラクなどに出向いている、テロリストの数は、数百人に上るとみられているが、彼らが帰国するとドイツの治安部は、数十人に聞き取り調査を、行っているだけだ。

 ドイツの内務省は124人が、イラクやシリアの戦闘参加に向かったことを、把握しているが、総数は249人ということだ。同じ様に、イギリスからイラク、シリアの戦闘に参加しに、出かけた者の数は、900人前後であり、そのうちの40パーセントが、既に帰国しているということだ。

 こうした情報が伝わってくると、ヨーロッパ人はスポーツにでも、参加するような気持で、戦闘地域に向かっているのではないか、と思えてならない。政府もまた、自国民のそうした行動に何ら、責任を感じていないのであろうか。

 国柄の違いが、ここまでも違った人間の考えと、行動を生むのかということに、驚かされる。ドイツをはじめとするEU諸国は、アメリカの中東政策にどっぷりと、漬かっているということであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:30 | この記事のURL
NO:5296 11月13日『サウジアラビアイラン革命防衛隊トップ暗殺計画』 [2018年11月12日(Mon)]
アメリカの主要新聞であるニューヨーク・タイムズ紙が、報じたところによれば、サウジアラビアはイランの革命防衛隊トップの、スレイマーニ将軍を暗殺する計画を、立てているということだ。


この計画は2017年の段階で検討されており、その主要メンバーには、カシオギ殺しで名前が浮かんできた、アハマド・アシーリー将軍も含まれていた。彼はカシオギ暗殺の件で、首になっているようだ。

サウジアラビアはイランの革命防衛隊トップを、暗殺するだけではなく、イランの経済を破壊する、計画も立てていたようだ。この計画には20億ドルの予算が,振り当てられていたのだから、いかにサウジアラビアが、イラン体制を打倒することを、強く望んでいるかを、示していよう。

また、イラン経済の破壊には、小規模なビジネスマ・グループが、その任に当たり、工作活動を行っていたようだ。サウジアラビアはイランに対する、神経戦を行っていた、ということであろう。

さて問題はこのニュースが、アメリカの主要紙である、ニューヨーク・タイムズ紙で報じられたことだ。アメリカにはサウジアラビアに対して、特別な考えがあるのではないか、と疑いたくなる。

カシオギ暗殺後、トランプ大統領は次第に、サウジアラビアに対する強硬な立場を、採りつつある。あるいはアメリカは、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の更迭を、サウジアラビアのサルマン国王に、要求するかもしれない。

そういった推測が正しいとすれば、今回のスレイマーニ将軍の暗殺計画を、ニューヨーク・タイムズ紙が曝露したことは、カシオギ事件と関連しているのではないのか。アメリカにはサウジアラビアのイメージを、悪化させる意図がありそうな、気がする。

また、パリの第一次世界大戦記念集会には、トランプ大統領とエルドアン大統領が参加しており、二人は相当話し込んだ形跡がある。多分に考えられることは、トルコがカタールと連携して『悪役サウジアラビ』のイメージを、高めようとしているのではないのか。

そのことを梃子に。アメリカはサウジアラビアが、いかに非人道的な国家であるかを、世界に宣伝し、サウジアラビアに対して強硬な対応を、行っていくということだ。その宣伝工作はトルコが、担うのではないか。

 カタールがガザのハマースに、1500万ドルの資金援助を行ったが、それに負けまいと、サウジアラビアがパレスチナ自治政府に対して、6000万ドルの援助を送ることを決めたのは、カタールに対抗してのことであろう。加えてサウジアラビアのイメージを、改善する意図もあろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:42 | この記事のURL