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NO4648 7月31日 『トルコ・アメリカは敵対関係に変わった』 [2017年07月31日(Mon)]
数年前どころか、数か月前までは、トルコとアメリカとの関係は、極めて良好であった。エルドアンはオバマ政権の後半こそ、アメリカとの関係がぎくしゃくしたが、トランプ政権に替わってからは、大幅な関係改善を期待していた。

しかし、どうも状況はトルコが望むようには、動いていないようだ。アメリカはトルコの立場を無視して、シリアのラッカ作戦を行ったが、そのパートナーはトルコが敵視する、YPG(トルコのPKKと連携しているクルド組織)だった。

アメリカから大量の武器がYPGには送り届けられ、トルコの発表ではそのトラックが、800台を超えたということだ。そして今、アメリカはイドリブでの戦闘で、完全にトルコを敵に回すようになったのだ。ペンタゴンはイドリブの反政府グループ掃討、と銘打って、殺人部隊を送り込み始めている。そのペンタゴンが殺戮を予定している敵とは、トルコ軍であり、トルコが支援している、
SDF(自由シリア軍)なのだ。
その結果、イドリブはアルカーイダのセイフ・ヘイブンになっている。

アメリカ政府はこのような展開について、トルコがアメリカの敵に対して、何十トン何百トンという武器を、送り届けた結果であり、多数の戦闘員の自国領土通過を、黙認してきたからだ、ということだ。

問題はトルコの側からも始まっている。ペリンチェクなるネオ・ナショナリストのリーダーが、トルコの若者に組織を創らせ、反アメリカの活動を強化しているのだ。彼は確かエルゲネコンの有力なメンバーだった、と記憶している。

しかも、このペリンチェクなる人物は、トルコの情報機関であるMITと深い関係にあり、その上、法曹界とも関係が深くしかも強い、政府の各機関との関係も、広く深い人物なのだ。

つまり、この段階に入り、トルコのエルドアン大統領は、完全にハンドルを反アメリカ側に切った、ということではないのか。そのことが、彼にとっていい結果を生むか否かは、もう少しすれば明らかになろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:43 | この記事のURL
NO4647 7月30日 『イスラエル2国家解決は無理』 [2017年07月30日(Sun)]
イスラエル政府の高官たちは、イスラエル・パレスチナ問題の解決案としての、2国家設立案を無理だ、と判断したようだ。それは、パレスチナ側の人口増加が、著しいことに、原因があるようだ。*

イスラエルの家庭では大体子供の数は、1〜3人程度ではないだろうか。それに比べ、パレスチナの家庭では4〜7人ぐらいの子供を、生むのが普通なのだから、パレスチナ側はあっという間に、人口が増えよう。*

しかし、それでは1国家にするかというと、これも無理がある。1国家解決案というのは、述べるまでも無くイスラエルに、全てのパレスチナ住民も加え、国籍を与え、ユダヤ人と同等の権利を持たせる、ということなのだが、そうなった場合、多くの問題が出て来よう。*

*この1国家案と2国家案の、問題の根本は同じであろう。1国家にした場合、パレスチナ人はあらゆる種類の、国家の保護を受けることが、出来るのと同時に、選挙での立候補の権利と、投票権も得ることになる。そうなると、やがてはパレスチナ人がクネセト(イスラエル議会)の多数を占め、首相にもパレスチナ人が選出される可能性は、ほぼ確実だからだ。*

それでは、2国家解決を選択した場合、どのような不都合が、生じるのであろうか。第一の問題は新生パレスチナ国家が、武装することだ。もちろん、パレスチナ国家設立合意の段階では、パレスチナ側に武装はさせないことが、合意の条件となろうが、次第に治安目的のレベルが上がっていき、軍に近いものになっていこう。*

隣接するイスラエルとパレスチナとの武力衝突には、戦闘機や戦車はあまり、必要ないのではないか。それよりも国境を越えてやって来る、ゲリラ攻撃のほうが大きな不安を、イスラエル国民に抱かせることになろう。*

国連での反イスラエル活動も、活発になろうし、アラブ諸国ばかりではなく、世界の国々がパレスチナ国家を、支えるために資金援助をし、技術援助をすることになろう。*

また、2国家制の解決を選択した場合、イスラエル側は現在不法に占領している、入植地を撤去しなければ、ならなくなるのではないか。現在、イスラエル側はヨルダン川西岸地区の70パーセントを、占領しているようだが、それを返還するということになれば、イスラエル国内では政府に対する、非難が激しいものとなろう。

2国家解決にしろ1国家解決にしろ、最大の問題は人口増加であろう。これには対抗のしようがあるまい。イスラエルに残された解決法は、パレスチナ人を出来るだけ多く、殺害することだろうが、そうなれば世界は黙ってはいまい。

イスラエルにとって唯一の希望は、マハムード。アッバース議長のような、私利私欲の強い人物がパレスチナ自治政府の、トップに就き続けることではないのか。その状態が続けば、嫌な言い方だが、イスラエル側は時折殺害を実施し、問題の解決を先延ばしできるからだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:36 | この記事のURL
NO4646 7月29日 『ヨルダンは危機的状況に陥るか』 [2017年07月29日(Sat)]
*
どうもヨルダンの状況が、悪化してきているようだ。その原因はIS(ISIL)のイラク、シリアでの敗北であり、彼らはトルコあるいはレバノン、そしてヨルダンから第三国に逃亡して行くものと、考えられる。*

*
ヨルダンのシリア人難民キャンプは以前、IS(ISIL)のリクルートの場所に、なっていたことがある。そして、IS(ISIL)がヨルダンの軍事訓練所で、アメリカやイスラエルの将校から、軍事訓練を受けていた、という情報も伝えられていた。*

*
こうしたことを考えると、IS(ISIL)にとってヨルダンは、案外潜入し易い国なのかもしれない。しかも、ヨルダンには多くのイスラム原理主義者がいるのだ。ムスリム同胞団員が最も多くいる国の、ひとつでもある。*

*
加えて、ヨルダンには多くの(70パーセントを超える住民)パレスチナ人が居住してもいる、従って、IS(ISIL)にとってヨルダンは、最も潜伏しやすい場所、なのではないのか。*

*
ヨルダンがいま危険に向かっている、と思われる兆候は、エルサレムのアクサ・モスク問題がある。パレスチナ人たちはイスラエルによる、アクサ・モスク閉鎖や監視機器の設置などで、激高しているのだ。それはヨルダン国内のパレスチナ人にも影響を与え、ヨルダンでも、イスラエルとの平和な時代は終りにしろ、と叫ぶデモが行われている。*

加えて、ヨルダンの首都アンマン市の、イスラエル大使館で事件が起こり、ヨルダン人がイスラエル大使館の警備員によって、銃殺された。警備員はその後、イスラエルに帰国したが、当然ヨルダン国内では『裁判にかけろ。』という要求が盛り上がっている。

このイスラエル大使館で起こった事件は、ヨルダン国内を騒乱状態に、導くかもしれない。さすがに危機感を抱いたアブドッラー国王は、急遽外国から帰国し、対応を急いでいる。

大分うがった味方が許されるならば、イスラエル政府はヨルダン川西岸地区への、入植活動をほとんど自由にさせており、将来は、ヨルダン川西岸地区の全てを占領し、パレスチナ人を追放する気なのかもしれない。

そのときのパレスチナ人の受け入れ先は、ヨルダンということになろう。以前からヨルダンは本来、パレスチナ人の土地であり、アブドッラー国王の王家は、サウジアラビアのへジャ―ズ地方の出身だ、という事実がある。

物事は劇的にはなかなか進まない。特にイスラエルが展開する手法には、相当の時間がかかる、そして気がつくと新しい状況が、固定化しているということだ。ヨルダン川西岸地区の支配、ヨルダンのパレスチナ国家化は、そうした手法が採られている、ひとつなのかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:31 | この記事のURL
NO4645 7月28日 『シリア政府がPYDと石油収入分割合意』 [2017年07月28日(Fri)]
シリア政府とクルドのPYDとの間で、シリア北部の石油収入の分割が、合意された。これは大ニュースであろう。シリア政府とPYD
は敵対関係にあったものが、富を分割することになったのだから、状況は180度変化した、というとであろう。

この合意の裏には、アメリカ政府が関与していたものと思われる。つまり、この石油収入をめぐる合意は、アメリカ政府がシリアのアサド政府を、認めたということであり、シリアの内戦はほぼ終結した、と理解すべきであろう。

同時に、それはシリアにおけるIS(ISIL)の終焉を、意味していよう。伝わってくる情報によれば、IS(ISIL)の首都であるラッカは、PYD
の戦闘部門である、YPGが主体のSDFによって、半分以上が解放された、ということだ。

そのYPG
は現在、シリアのマンビジュ、アフリン、リファアトアレッポなどを支配している。そのなかには、石油地帯のあるハサカも含まれている。その石油地帯は現在3
か所が稼働しており、6か所は稼働出来ない状態にあるが、アサド体制はPYDと石油収入を分割するとともに、そこの従業員に対する給与の支払いも、約束した。

2011年以来始まったシリア内戦の前には、シリアは40万バーレル・日の石油を、生産していたのだ。その石油収入はシリア国家の収入の、4分の1
を占めていた。シリアが平和な状態になり、欧米との関係も改善すれば、40万バーレル・日の生産が回復されるとともに、それ以上の生産が期待されよう。

現在、350ほどの油井から3〜35000バーレルの石油が生産されており、アサド政府側はその収入の65パーセントを、得ることになり、PYD側には20
パーセントが分けられる。残りの15パーセントは地域の部族に、配分されることが決まった。部族側は油井のガードに、責任を持つことが決まっている。

問題はこの合意が生まれた結果、トルコが激怒していることだ。トルコに言わせれば、PYDはトルコの反政府クルド組織である、PKK(クルド労働党)と30
年以上にもわたり戦闘を繰り返し、4万人以上の犠牲を出している。

そのPKKと連携するPYDやYPGについて、トルコ政府はテロリストだと非難しているのだ。欧米もPKK
については、テロリストと認めてきていたのだが、今回の合意はこれを、覆すものとなろう。

述べるまでもなく、それはトルコとアメリカとの関係を、悪化させるものであり、既に、アメリカはトルコのエルドアン体制を、否定しているという事であろう。ラッカでの作戦でも、トルコが主張した
YPG排除の主張は、アメリカに否定され、アメリカはYPGを中心とする、SDFとの連携でこの作戦を行っている。

しかも、アメリカは大量の武器を、YPGに提供してもいるのだ。トルコはNATO
からも浮き上がった状態にあり、今後はロシアと連携するのであろうか。その時は完全にトルコは、西側から外れることを意味する。

最近スエーデンなどヨーロッパ諸国から、トルコのEU
加盟を認めることはない、という強硬な意見が飛び出してきてもいる。ドイツもトルコのインジルリク空軍基地から撤収し、アメリカも早晩撤収しよう。そうなれば、トルコの国際的地位は大幅に、下がるということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:30 | この記事のURL
NO4644 7月27日 『リビアのハフタル将軍サイフルイスラームなどを語る』 [2017年07月27日(Thu)]
実質的に、いまリビアで最強の地位にいる、ハフタル将軍がリビアの今後などについて語った。軍の強化について、カダフィ大佐の子息サイフルイスラーム、ヨーロッパ諸国やアラブ諸国について、自分の意見を述べている。

ハフタル将軍はサイフルイスラーム氏が、政治に参加したければ、何の問題も無く参加できる、と語っている。サイフルイスラーム氏は現在は、安全な場所にかくまわれている、と状況を説明した。その安全な場所とは、ハフタル将軍が支配下に置く、リビア東部のベイダ市であるようだ。

サイフルイスラーム氏の政治参加については、何ら問題はなく、逆に歓迎するとも語っている。つまり、サイフルイスラーム氏の国民からの支持が、未だに強いということではないのか。

軍の強化については、過去3年間軍人の訓練が行われ、それは軍事大学で行われた。また、トルコやエジプトにも派遣し、リビア軍将校が軍事訓練を受けていることも、明らかにしている。

現状では、トリポリはハフタル将軍の部隊が掌握しており、特別に市内に進攻する必要が無い、とも語った。それが事実であるとすれば、ハフタル将軍とミスラタの部隊の間に、何らかの合意が出来ている、ということであろう。

トリポリのセラジ首相体制を支援しているのは、ミスラタの部隊であり、彼らとの合意無しには、ハフタル将軍側も軽々には、動けないと思われるからだ。

ムスリム同胞団については、穏健なメンバーは問題ないが、強硬派についてはテロリストと認識する、という考えのようだ。しかし、ムスリム同胞団はエジプト政府と対立関係にあり、エジプト政府はハフタル将軍側を、支援していることから、ムスリム同胞団に関する発言は、その通りには受け取れない。

セラジ首相がハフタル将軍に、大統領のポストを提案したことについては『彼自身も私も、大統領の職に就くことは、まだ話していない。』と否定した。ハフタル将軍はいまリビアにとって必要なことは、一日も早く国際社会が認める、しっかりした政府を作ることだ、と語っている。

近い将来、カイロでリビアの軍関係者の会議が、開催される予定だが、その会議にはミスラタの代表も、参加することになっている。もし、それが実現されれば、リビア国内の状況は、大きく前進するかもしれない。

イラクやシリアでIS(ISIL)が敗北し、エジプトとリビアに残党が逃げ込むことが、予測されている時期だけに、国内闘争は一時見合わせる、という認識がリビア人の間に、広がっているのかもしれない。

ハフタル将軍がインタビューの最後にフランス、チュニジア、エジプト、アラブ首長国連邦などによる、リビアへの支援を感謝すると述べた。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:10 | この記事のURL
NO4643 7月26日 『プロ・エルドアン新聞メルケルはヒトラーより酷い』 [2017年07月26日(Wed)]
エルドアン大統領支持派のトルコのエニ・アキト新聞は、ドイツのメルケル首相を最大限の非難の言葉で、同紙の一面を飾った。曰く『メルケル首相はヒトラーよりも酷い!!』『メルケル政権下のドイツはヒトラー時代より酷い、トルコ政府はしかるべき手を打つべきだ。』といった調子だ。

この一言はドイツ人にとっては、ハンマーで頭を殴られたような気分であろう。

これまでドイツは、ヒトラーとナチの時代を反省し、人道的な政策を行ってきていたからだ。ドイツがシリアなどからの難民を、大量に受け入れてきたのも、その結果だったのだ。

エニ・アキト紙によれば、ドイツがトルコを敵視しているのは、トルコが経済成長しているからであり、それはエルドアン大統領の賢明な、政策によるものだということのようだ。

現在、トルコ政府は多くのドイツ人を逮捕している。例えば、ドイツの人権活動家やジャーナリストがそれだ。ジャーナリストの場合はトルコ・オリジンで、ドイツ国籍を有している人物だ。

エニ・アキト紙はトルコ人が、ドイツで受けている差別について、『医療サービスを受けられない』、『就職の機会がない』、『仕事を首になる』、そして『住宅を借りられない』ということを、挙げている。

しかし、エルドアン大統領の意向に反し、ドイツ政府は7・15クーデターに関係した、トルコの軍人や外交官など多数に対し、政治亡命を許可している。そのことは、ドイツ政府は人道的配慮からだけではなく、トルコ政府に対する圧力をかけることを、考慮してのものであったとも思われる。

さて、エニ・アキト紙のメルケル首相に対する、侮辱的な記事は、今後どこまでドイツとトルコとの関係を、悪化させていくのであろうか。今の段階では、トルコ側がドイツの企業に対し、制裁をかけているが、ドイツ側もトルコ産品に対する、実質的な輸入禁止措置を、取っているようだ。

例外は、トルコ政府がメルセデス・ベンツ社を、制裁対象リストから、外したことであろうが、それはトルコの対外的イメージを損ないたくない、という配慮からであろう。

メルセデス・ベンツの車を、トルコ国内で生産しているということは、トルコの労働者の技術レベルが、高いことを示すわけであり、同時に、トルコが建設する工場は、高性能車両などの生産に合格だということであり、他の外国企業の進出に、プラスに働くからだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:39 | この記事のURL
NO4642 7月25日 『エルドアン大統領のローザンヌ条約記念演説』 [2017年07月25日(Tue)]
第一次世界大戦後に、オスマン帝国は列強諸国との間に、セーブル条約を交わし、戦争の終結を合意するとともに、新たなオスマン帝国と周辺諸国との、国境を決定している。

そしてその後には、イギリス、フランス、ギリシャ、イタリアなどとの間に、新生トルコ共和国がこれらの諸国との間に、ローザンヌ条約を交わしている。それはイスラム教を重視したオスマン帝国とは異なり、世俗主義の国家であった。

トルコのエルドアン大統領は、7・15クーデター打倒記念式典に続いて、ローザンヌ条約が交わされた、94周年記念行事を執り行い、これを祝った。

しかし、エルドアン大統領はこの記念すべき行事で、あまり意味のある発言をしていない。それはエルドアン大統領にとって、セーブル条約とは異なり、多くのオスマン帝国時代の領土を失った、ローザンヌ条約を嫌っているからかもしれない。

シリアやイラク問題でエルドアン大統領が、ことさら軍事介入を求めていたのは、実はそのローザンヌ条約で失った、オスマン帝国領土を奪還する口実を、作りたかったからだ。

なかでも、シリアの北部地域は全てが、オスマン帝国領土であったことから、エルドアン大統領はIS問題が勃発して以来、シリアの情勢に対して、大きな関心を持ち続けて来ていた。

もちろん、それとともに、シリア北部には多数のクルド人が、居住していることから、クルド人による自治権の獲得、そして、それに続く独立を、警戒しているからでもある。シリア北部のクルドが自治権を得れば、当然、次のステップとして独立問題が、浮かび上がってくるが、それはトルコ東部のクルド人も一体となる、危険性が高いからだ。

しかも、アメリカはそのシリアのクルドに対し、ラッカ作戦を前に、武器の供与をおおっぴらに行っており、当初の話とは異なり、シリアのラッカ陥落後も、武器供与を継続する、と言い出している。

『1000年の長きに渡って、この地に継続したオスマン帝国は終わり、ローザンヌ条約が締結され、トルコは名実ともに独立国となり、そのことについて異議を挟む、国家は存在しない。』といったエルドアン大統領の演説は、一義務を果たすものであり、感動的なものではなかったようだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:16 | この記事のURL
NO4641 7月24日 『トルコ軍将官40パーセント失う』 [2017年07月24日(Mon)]
トルコのエルドアン大統領は、昨年7月15日に起こったクーデターにかこつけて、多数の国家公務員や学者、ジャーナリスト、軍人、検察官、警官、政治家を逮捕し投獄した。自分の政敵は徹底的に、叩き潰すということなのであろう。

その結果トルコではいま、インテリがその職を追われたために、頭脳の存在しない政府が、誕生してしまっているのだ。それは政治、経済、外交、軍事などあらゆる面で、トルコに悪影響を及ぼしていることであろう。

つい最近日本の新聞も、そのことを報じているが、現実は悲惨なものではないのか。特に軍人は頭脳を失ってしまえば、作戦を立てられずに素人の喧嘩のような、戦闘しか出来なくなってしまおう。これではトルコ軍はエルドアン大統領のイエスマンで固められた、張子の虎になってしまうだろう。

トルコの新聞は以前から、この問題を指摘していたが、今回は中道左派的(トルコのマスコミは押しなべて、エルドアンのイエスマン報道なのだが、この新聞は少し批判的なことも掲載している)な立場にあるフッリエト紙が『トルコ40パーセントの将官が減った!』という記事を掲載した。

その報道によれば、トルコでは軍の幹部が、クーデターに関与したとして、軒並に逮捕され、40
パーセントが職を追われたというのだ。その離職の形は、辞任や辞職という形を取ってはいるが、事実は明確な政府の圧力による、追放であろう。

将軍や海軍の提督の数は、クーデター前は326人だったものが、今では196人に減っている、ということのようだ。この穴を埋めるべく、国防省は13125人を新たに、雇用したということだ。

クーデター後198人の将軍が追放され、海軍でもトップの提督が2人、4人の副提督、その下の提督が12人、司令官の38人が首になり、多数の戦闘指揮官が職を追われている。

政府国防省の発表によれば、8651人の軍人が、クーデター関与で逮捕され、職を追われている、ということであり、彼らの相当部分がフェト(ギュレン・グループ)に、関与していたということのようだ。加えて士官学校の学生1214人も、放校処分となっている。そのうちの多くは、逮捕され投獄されていることであろう。

これではトルコの軍は機能不全に、陥ることは明らかであろう。政府や国防相がつぎはぎの新規雇用をしても、それは軍という構造のなかでは、あまり機能すまい。結果的に彼らの多くは、政府の高官の覚えをよくしようと、スタンドプレーに走り、実のある行動をすることはあるまい。

それは他の省庁でも同じであり、そうした政府構造では、トルコが外交でも、政治でも、経済でも、軍事でも、どんどん欠陥を露呈していくことになり、外国からの投資も、逃避することになろう。

そこでは治安対策の強化だけが進み、過剰逮捕暴力が警察よって行われ、検察や裁判所もしかりであろう。まさに暗黒の時代が、始まっているということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:07 | この記事のURL
NO4640 7月23日 『エルサレムのアクサ問題世界中に拡大しているが』 [2017年07月23日(Sun)]
*エルサレムのアクサ問題は、世界中に広まりイスラエルに対する非難が、高まっている。しかし、まだいまのところ、国際介入による具体的な効果は、出ていないようだ。*

トルコのエルドアン大統領は、自分のことをオスマン帝国の皇帝だとでも、思っているのであろうか。イスラエル政府に対して、早急に善処するよう、強い口調で要求している。*

*だが、イスラエル政府はエルドアン大統領の本音を分かっており、それはイスラム世界に対する、単なるトルコ政府によるリップ・サービスであるとして、あまり深刻には受け止めていないようだ。*

*エジプトを始めとするアラブ諸国も、トルコと同様にイスラエルを非難し、抗議のメッセージを送ってはいるが、これも実は各国が、それ以上に重要な自国の問題を、抱えていることから、口先だけの介入である、とイスラエルは受け止めているようだ。*

*それではイスラエルにとって、現在起こっているアクサ問題は、それほど痛みを伴なわないものか、というとそうではない。怒りに燃えるパレスチナ人たちが、激しい反対デモを展開しているだけではなく、イスラエル人に対するテロを、展開し始めているからだ。*

*パレスチナ人がヨルダン川西岸地区で展開する、デモを取り締まったり、デモ参加者を捜索したり、パレスチナ人の武器の隠匿を摘発するなかで、イスラエル兵がパレスチナ人テロリストに襲われ、犠牲になっているのだ。しかも、その数は日増しに増加している。*

その問題の発生地である、エルサレムのアクサ周辺では、パレスチナ人が放った銃弾が、何十人という死傷者をイスラエル人の間に、生み出すようになってきているのだ。

これでは、過去のアラブ・イスラエル戦争並みの、犠牲者が出るのではないかという不安が、イスラエル国民の間に広まっていこう。そうなると、もっと厳しい対応をしろという声が、イスラエル国民の間に高まって行くことになり、イスラエル軍や警察は、取り締まりを強化し、その過程でパレスチナ人に対し、容赦の無い発砲、殴打を繰り返していくいことになろう。

それに対し、パレスチナ人の側も強硬な抵抗を、繰り返して行こうから、場合によっては、全国規模の暴動に発展する、危険性があるということだ。これまでパレスチナ人たちは、イスラエルのパレスチナへの対応に、我慢を重ねてきたが、それはマハムード・アッバース議長の保身が目的であり、パレスチナ人の意向ではなかった。

今回のアクサ問題は、イスラム教の重要な地で、起こった問題であるだけに、パレスチナ人の怒りはひとしおであり、もうマハムード・アッバース議長の命令に、従うとは思えない。彼はパレスチナ人に対して、ブレーキをかける能力を、失うかもしれないという不安が、出てきているということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 22:45 | この記事のURL
NO4639 7月21日 『サウジアラビア真夏の夜の夢』 [2017年07月21日(Fri)]
 イスラムの大祭ラマダン開けの、イードルフィトルの少し前には、サウジアラビアの王族たちが、メッカに集まってイードルフィトルの日を待っていた。それが過ぎれば、彼らのほとんど全員が、外国に遊びに出かけるのが慣わしだ。そこでムハンマド・ナーイフ皇太子が、サルマン国王への会見を求めた。*

 それがいま大きな問題として表面化してきている。サルマン国王は持病が2005年から出ており、健康状態がよくなかったので、ムハンマド・ナーイフ皇太子との個人的な会見を、望まなかったようだ。*

 それでも何とか、少しは会えたのであろうが、彼の携帯電話は治安部によって、取り上げられたというのだ。しかも治安部は、彼に対して国王就任への希望を、断念するよう説得した、とも言われている。*

*ムハンマド・ナーイフ皇太子は麻薬を常用している、という噂も王族内部では、流れされていた。それは述べるまでも無く、ムハンマド・ナーイフ皇太子の国王就任への道を、閉ざすためのものであろう。*

*どうもそれには裏があり、ムハンマド・サルマン副皇太子はムハンマド・ナーイフ皇太子を追放して、皇太子の地位に就く動きがあることを、ムハンマド・ナーイフ皇太子は警戒して起こった、出来事だったようだ。*

 この出来事は、サウシアラビアの砂漠の夜のクーデター、として報じられているが、もし事実であるとすれば、ムハンマド・ナーイフ皇太子は処刑されるかもしれない。皇太子は57歳、副皇太子は31歳、とても20歳以上年下の王子が、国王に就任することは許せない、ということが原因なのかもしれない。*

 問題はムハンマド・サルマン副皇太子は、アメリカがバック・アップしているようであり、アメリカがどう対応するかが、大きなポイントになりそうだ。アメリカの中東戦略に、ムハンマド・サルマン副皇太子はイエスマンとして、活動しているからなのだ。*

 サルマン国王はムハンマド・サルマン副皇太子が、可愛くてしょうがないのであろう。彼の存命のうちに、副皇太子から皇太子に昇格し、政敵のムハンマド・ナーイフ皇太子を失脚させるか処刑して、確固たる状態を作りたい、ということであろうか。*

ただ、サウジアラビアの王族内では、国王就任の序列が決まっていたこと、長幼の序があることなどから考えて、ムハンマド・サルマン副皇太子を始めから、皇太子に就任させることは、サルマン国王も出来なかったのであろう。*

 そこで今回のような、事件をでっち上げて、ムハンマド・ナーイフ皇太子を失脚させて、ムハンマド・サルマン副皇太子を昇格させる、気なのかもしれない。どのような結果が出るか分からないが、これはまさに真『夏の夜の夢』であろうか。*
Posted by 佐々木 良昭 at 10:25 | この記事のURL
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