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NO4617 6月30日 『ラッカ後トルコ軍とSDFが武力衝突の懸念』 [2017年06月30日(Fri)]
イラクのモースルはほぼ陥落し、IS(ISIL)は敗北したという判断が、イラク政府によって出された。同時に、イラン政府はIS(ISIL)のリーダーである、アブーバクル・バグダーデイの死亡は、ほぼ確実であろうと言い出している。

こうした各国の発表は、ほぼ間違いなかろう。イラクのモースルでは、IS(ISIL)が敗北したことは事実であり、バグダーデイの死亡も、事実であろう。これでイラク政府に残る問題は、IS)ISIL)
の残党を処理することであろうし、イラクのシーアとスンニーの対立を、どう抑えるかという、国内政治の問題に移って行こう。

イラクはそれで良しとしても、シリアの場合はそれほど簡単ではなさそうだ。シリアのIS(ISIL)
の中心地、彼らが首都だと言っていたラッカが、いま陥落する一歩手前まで来ている。

シリアの場合はシリア軍や、アメリカの支援を受けるSDFが、ラッカ攻撃を激化しており、これもイラクのモースル同様に、陥落の一歩手前まで来ている、と言われている。

もし、ラッカがSDFによって、陥落させられることになれば、トルコには大きな危険が、迫ることになろう。第一は、ラッカから逃亡するIS(ISIL)の戦闘員が、トルコに逃れて来るということだ。彼らはトルコ国内のクルド人(PKK)と、戦闘を展開する危険性があろう。

それはトルコにとっては、国内治安が乱れるということになり、取り締まらなければならなくなり、トルコの領土内でトルコ軍とIS(ISIL)や、クルド・ゲリラが戦闘を展開することもあり得よう。

もう一つの危険性は、シリア北部で実質自治権を手にするクルドの勢力SDFが、トルコ軍を刺激したり、トルコ軍がSDFに攻撃を加える可能性が、高まってきているということだ。

この状況下で、SDFはトルコ側が一線を超えれば、攻撃を加えると言い出しており、トルコ側もクルトルムス副首相が同様に、SDFが攻撃して来れば報復する、と明確に語っている。

このトルコとSDF、つまりクルドを中心とした、シリアの武力勢力との、武力衝突の危険性が、高まっているなかで、アメリカはこの状況に大きな懸念を、抱き始めている。

トルコはシリア北部のクルド勢力の、拡大と強化を放置すれば、やがてはそれが自国の安全を、脅かすことになるのだ。アメリカはそのクルド勢力に、ラッカ攻撃を前提に、大量の武器を供与しているのだ。

トルコ政府は当然このことを、アメリカに抗議しているが、アメリカはラッカ陥落後も、SDFに武器供与を続けるだろう。それはトルコとSDFとの武力衝突が、起こりうるからだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:04 | この記事のURL
NO4616 6月29日 『カダフィ大佐次男の復活があるか』 [2017年06月29日(Thu)]
もう10
日ほど経過しているだろうか。エジプトの友人から電話があり、何時ものように冗談を飛ばしあった。しかし、話の内容は冗談ばかりではなかった。エジプト政府は東のトブルクに本拠を持つ、リビア政府を支援しており、リビアの国内状況については当、事者と言えるほどの立場にある。

私のエジプト人の友人は、そのエジプトのシーシ大統領と、比較的近い距離にいる人物だ。彼は第二スエズ運河が開通したとき、大統領が乗る船上にあり、シーシ大統領のすぐ後ろに立っていた写真を、見せてくれたことがある。

従って、彼はエジプト政府が持つ多くの秘密の情報に、触れることが出来る立場にあるのだ。その友人が電話で言ったことは、リビアの今後の話だった。以前、彼はカダフィ大佐の従兄弟の、カダフィダム氏の母親はエジプト人であり、彼はエジプト国籍も持っており、カイロに居住している、と言っていた。

今回彼が語ってくれたのは、カダフィ大佐の次男、サイフルイスラーム氏の釈放問題と、その後の話だった。友人の語るところによれば、サイフルイスラーム氏の釈放は、東政府のハフタル将軍も絡んでおり、今後、サイフルイスラーム氏がリビア政治の舞台に、登場してくる可能性が、高いという話だった。

確かにそうであろう。最近ではカダフィ時代を懐かしむ、リビア人は少なくない。戦乱が6
年にも及び、リビア国民は安全と日常の生活に、大きな不安を抱いている。何時自分が殺されるかわからない、状況にあるのだ。

カダフィ時代には政府が生活全般を保証し、病院も教育も無料だった。カダフィ大佐は「国民には武器を持つ権利があり、家と車を持つ権利がある。」と言い、それを実行していたのだ。それに対し、いまのリビアは戦乱のなかで、自宅を破壊され、負傷しても満足な治療は受けられず、教育はあって無いような状態にまで、落ちている。

サイフルイスラーム氏は父親であるカダフィ大佐と、何度も民主化を主張し、意見対立している、いわば正義漢なのだ。そのことをリビア人はよく知っている。以前意見対立したとき、彼は父親に対して全ての官職を放棄する、とまで言い切った人物だ。それに対し、唯一まともな息子である、サイフルイスラーム氏を評価しているカダフィ大佐は、彼の説得に折れたと言われている。

いまのリビアにはカリスマはいない。そのためにハフタル将軍もリビアを纏めきれないでいるし、西の政府セラジ首相もしかりだ。サイフルイスラーム氏はそうした政治環境にあって、唯一希望が持てるヒーローなのかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:28 | この記事のURL
NO4615 6月28日 『アメリカによるシリアへのガス兵器使用警告』 [2017年06月28日(Wed)]
*アメリカ政府はシリア政府が、自国民に対して化学兵器を、使用する危険性がある、として監視を強化している。アメリカ政府はもしシリアが自国民に対して、化学兵器を使用するような事態になれば,場合によっては事前に先制攻撃をして、これを防ぐとまで言っている。*

*
これはどう考えても、無理な話のように思えてならない。シリア支持のイラン政府は、4月4日に起こった前例を引き、その時もシリア軍による、化学兵器使用ではなかったにもかかわらず、アメリカはシリアの空軍基地を、攻撃したと述べている。*

*
この4月4日のケースは、IS(ISIL)側が隠匿していた、化学兵器の隠匿場所をシリア軍が空爆したことで、ガス洩れが起こり、被害が出たということだった。その事実は後に、世界中で知られることとなっている。アメリカはシリア軍基地を攻撃することが最優先し、事実確認をしていなかった、といえば体裁のいい話であろう。*

*
加えて、最近言われているのは、トランプ大統領が情報機関の情報と分析を、完全に無視して自分の考える通りに、軍事攻撃をしているということだ。もし、その通りであるとするならば、極めて危険な兆候ということであろう。一国の大統領の気まぐれで、事実には即さない犯罪がでっち上げられ、その事に対する軍事攻撃が、実施されるのだから。*

*
4月のシリア軍による攻撃の際は、そこに化学兵器があることからの、シリア軍による攻撃ではなく、IS(ISIL)が集まっていたために、IS(ISIL)の戦闘員を狙ったものであり、ロシア製誘導ミサイルで攻撃が行われていた。*

*しかも当時の状況は、シリア政府に有利であり、IS(ISIL)は大幅に後退気味だった。また、ヨーロッパ諸国の多くは、シリアのアサド体制打倒は必要ない、という判断に至っていた。今回の場合もそうだが、シリア政府はそうしたなかでは、化学兵器を使用して、自国民を殺戮する必要は、無いということだ。*

*
今回はといえば、IS(ISIL)の最後の牙城である、ラッカの陥落が間近いと考えられているし、フランスのマクロン大統領はアサド政権打倒は、前提ではないと言い出している。つまり、そうした世界の潮流を阻止するために、アメリカは化学兵器という御伽噺を、持ち出したのではないのか。*

*このことに対するアメリカの攻撃は、後にイラクのモースルで起こった、IS(ISIL)による化学兵器使用で、アメリカの主張が崩れている。つまりIS(ISIL)は化学兵器を所持しており、それを使用してもいる、ということが証明されたのだ。*

*もし、今回アメリカがあいまいな根拠を元に、シリアに対して攻撃を加えるような状況が発生した場合、危険な状態が生まれるであろうことが、懸念されるのだ。それは、ロシアが既にシリア西部に侵入する、あらゆる飛行物体は、攻撃対象となる、と明言しているからだ。*

*もし、アメリカがシリアに対して、ミサイル攻撃や空爆などを考えた場合、ロシア軍は躊躇せずに、それを撃ち落とすということだ。もちろん、だからと言ってアメリカ軍機を、撃墜するとは思い難いが、アメリカはこのことを、再度検討すればそう簡単には、シリアに対して攻撃を、断行する気にはなれまい。*

*一部の専門家や事情通の間で語られているように、アメリカのトランプ大統領が第三次世界大戦を、望んでいるのであれば話は別で、まさにロシア軍による米軍への攻撃は、その口実となるということだ、こうした話はあまり信じたくない、予測なのだが。*
Posted by 佐々木 良昭 at 09:01 | この記事のURL
NO4614 6月27日 『だんだん激しさを増してきているサウジ・カタール対立』 [2017年06月27日(Tue)]
*サウジアビアが事の起こりの始まりだった。カタールはテロを支援し、イランとの関係を促進している、カタールのアルジャズイーラ・テレビの報道は、正しくなく、アラブの春革命を煽った、トルコ軍との協力を進めている、といったクレームを、カタールにつけたのだ。*

* このサウジアラビア側のクレームは、クレームに留まらず、サウジアラビアの友好諸国を巻き込み、一大グループを形成し、カタールに圧力を掛けている。*

これに対し、カタール側はイラン、トルコとの関係を強化し、トルコは軍の増派を決定し、実施し始めている。述べるまでもなく、イランはアラブ湾岸諸国にとって共通の脅威であり、カタールの動きはますます、許せなくなってきている。*

そうした流れのなかで、カタールの隣国であるバハレーンが、カタールの軍事的動きに警告を発した。トルコとの軍事協力で、ますます増強しているというのだ。バハレーンにしてみれば、カタールは隣国であり、容易に攻め入ることが出来よう。*

バハレーンの警告を受け、カタールはイランとの軍事協力も検討する、と言い出している。それが進めば、まさにアラブ湾岸諸国には悪夢であろう。戦争が起きなくとも、それは大きな圧力になるからだ。*

トルコのエルドアン大統領は、こうした動きのなかで、カタール支持の立場を、一歩も引こうとしていない。カタールに支援物資を大量に送り、軍人も増派しているのだ。*

さすがにこの緊張を見かねたのか、アメリカの下院議員がカタールへの武器輸出を、止めるべきだと言い出している。アメリカはカタールに、巨大な基地を持っているため、この問題を放置できないのだ。しかも、カタールはイランとの軍事的協力関係さえも、言い出しているのだ。*

問題は、カタール側がわが国にとって、最大のガス供給国だ、という事実だ。もし、カタールがサウジアラビアなどと、武力衝突することになれば、一瞬にしてカタールからのガス供給は、止まることになる。*

カタールのガス開発には、中部電力が最大の支援組織であったが、もし、中部電力へのガス供給が止まれば、トヨタの工場にも影響が出よう。カタールとサウジアラビアの間で起こっている問題は、日本にとって重要な問題であることを、考えておくべきであろう。*
Posted by 佐々木 良昭 at 08:45 | この記事のURL
NO4613 6月26日 『トルコがアメリカのYPG への武器供与非難』 [2017年06月26日(Mon)]
*トルコのエルドアン大統領は、アメリカによるラッカ作戦をめぐる、YPG(クルド・ミリシア)への武器供与に、相当腹を立てているようだ。彼はイスラムのラマダン明けの礼拝の場で、アメリカを激しく非難している。*

曰く『我々はNATOで共にあるはずだ。我々の友人はそれにもかかわらず、テロリストと共にある。これは一体どういう意味なのか。これではNATOの合意は、覆されなければならない、ということになる。』*

確かに彼の言う通りであろう。一方ではNATOの同盟国同士であるはずのアメリカが、NATOの同盟国仲間のトルコの敵であるYPG(クルド・ミリシア)に、武器を供与しているのだ。しかも、その武器はやがては、トルコに向けられるものなのだ。*

アメリカは『小火器の供与に過ぎない。』と言っているが、それは嘘であろう。これからラッカのIS陣地を陥落させる、戦争をしようとするとき、盟友であるYPGに与える火器が少なく、簡単なものであるはずがない。

トルコはアメリカアがYPG(クルド・ミリシア)に、武器を供与すると発表した段階から、激しくアメリカに抗議して、それを阻止しようとしたのだが、アメリカはまさに聞く耳を持たない、という対応ぶりだった。

エルドアン大統領はこのことについて『トルコの同盟国だと言っているアメリカ、トルコの友人とみなしているアメリカは、トルコの敵を支援し、トルコの分裂を図っているのだ。アメリカは作戦が終了したら、YPGから武器を回収すると言い、トルコをバカにしている。それはとんでもないミスであることに、だんだん気が付くであろう。しかし、その時はもはや 手遅れなのだ。』

エルドアン大統領はアメリカが彼の仇敵である、ギュレン氏を引き渡さないことにも、腹を立てている。エルドアン大統領は『アメリカにはテロリストとの協力で、どんな未来が待っていると思っているのか。我々との未来は無いことを知るべきだ。アメリカは気が付くべきだ。あなたたちの対応がいかに、トルコ人の心を傷つけたのか。』

そしてアメリカの中東における最大の盟友サウジアラビアについても、非難の矛先を向けている『カタールに対するサウジアラビアの対応は、国際法に違反するものだ。我々はカタールを支持する。』と語っている。

カタールに対して、サウジアラビアが付きつけている要求は、アルジャズイーラ・テレビ局の閉鎖、イランとの外交関係の再考(中止)、カタールにあるトルコ軍基地の閉鎖と、軍事協力の中止、といったものであり、トルコにとっては直接的な利害の、絡むものとなっている。

エルドアン大統領のカタールに対する非難も、実はアメリカとの関連でのものであろう。アメリカはカタールに地域で最大の巨大な軍事基地を、持っているからだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:39 | この記事のURL
NO4612 6月25日 『予測よりも長期化複雑化に向かうカタールサウジ緊張』 [2017年06月25日(Sun)]
*サウジアラビアがカタールの政策に反発し、エジプトやアラブ首長国連邦、バハレーンを抱き込んだ対立は、その後、幾つかのあまり関係無さそうな国も巻き込んで、肥大化している。*

サウジアラビアもカタールも、互いにアラブ湾岸協力機構のメンバー国、同じような王国であることから、時間が経過すれば収集に向かうのではないか、という期待は欧米の間にも、あったと思われる。*

アメリカはこの問題では、どちらかといえば中立的な立場を取っている。本来であれば、カタールにはアメリカの最大の軍事基地があることから、もう少しカタールの味方をしても、よさそうなのだが、そうはなっていない。*

もちろん、アメリカにとっては1100億ドルもの兵器を、輸入してくれるサウジアラビは、カタールよりも重要なのであろう。カタールは小国であり、何とでもなる、とたかを括っているのかもしれない。*

しかし、そのカタールがサウジアラビアとの間に、トラブルを生み出したのは、カタールがサウジアラビアの仇敵である、イランとの関係を促進したためだった。述べるまでもなく、そのイランはアメリカにとって、湾岸地域最大の敵国なのだ。*

カタールは今後状況が悪化すれば、イランに対して軍事的な協力を、要請することもありえるかもしれないが、そのときはカタールに駐留するアメリカ軍は、どのような立ち回りをするのであろうか。いまの段階では、このイランについてはカタールは、段階的に関係を引き下げる、と言ってはいるのだが。*

他方、既にカタール支持の立場を、明確にしたトルコは、軍を派兵することを国会で決議し、5000人までの派兵枠を、明らかにしている。これに対して、サウジアラビアが反発し、トルコ軍を撤収させるよう、カタールに要求したが、カタールもトルコも、その気は無いと言っている。

トルコのエルドアン大統領はおなじみの、高飛車で傲慢な口調で、『トルコ軍をカタールから撤収させない。』と息巻いている。トルコがカタール支持で得る、経済的なメリットもあるからだ。*

今回、サウジアラビアはカタールへの陸路を閉鎖し、トルコやヨルダンなどから送られる食料、なかでも新鮮な野菜や果物の輸入を阻止した。その結果、カタール国内で食糧を中心とする物資不足が起こり、カタール在住者の間で、パニックが起こった。*

これに対して、空路大量の食料品を送ったのは、トルコとイランだった。これに加え、トルコが軍人の派兵数を増加させれば、トルコとカタールとの関係は、相当強固なものとなろう。*

実はトルコとカタールとの間には、表面に出ていない経済関係があり、カタールは膨大な資金を、トルコに投資していると言われている。トルコがテロで観光客が減り、ヨーロッパ関係も悪化したなかで、トルコ経済が維持できていたのは、カタールの資金だった、といわれているのだ。*
Posted by 佐々木 良昭 at 21:31 | この記事のURL
no-title [2017年06月23日(Fri)]
今日から25日まで北海道に講演にってきます、
したがって明日は休ませていただきます
25日は無理しても書くつもりです
Posted by 佐々木 良昭 at 11:07 | この記事のURL
NO4611 6月23日 『イランがエアバス機大量発注トランプは?』 [2017年06月23日(Fri)]
イランの二つの航空会社が、エアバスを大量に発注したことが伝えられた。その数は何と73機だということだ。ザグロス航空がA320Neoを20機、A330Neoを8機発注した。

加えて、イラン・エアーツアーがA320 Neoを、45機発注したということのようだ。エアーツアー社の契約価格はA318,A320,A321などで、合計45億ユーロで、100〜240人乗りということだ。

これ以外にもザグレブ・エアーは、既にエアバス100機を発注しており、それ以外にもボーイング機を80機、加えてマックス737型機を、30機発注している。

この大取引を見て、アメリカのトランプ大統領は満足するのか、あるいは経済関係を改善し、取引を増やそうとするのか興味深いところだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:02 | この記事のURL
NO4610 6月22日 『サウジアラビアのムハンマド皇太子就任の意味』 [2017年06月22日(Thu)]
ムハンマド・ビン・ナーイフ殿下が皇太子の立場から離され、後継としてムハンマド・ビン・サルマン王子が、新しい皇太子に就任した。これは何を意味し、どのような新たな展開が、サウジアラビアと中東、そして世界に生まれるのであろうか。

ムハンマド・ビン・サルマン王子が皇太子に就任することは、以前から言われており、別に特別驚くべきことではない。ムハンマド・ビン・ナーイフ王子は臨時の皇太子であったということは、周知に事実だった。

多分、ムハンマド・ビン・ナーイフ王子が皇太子を務めている間に、ムハンマド・ビン・サルマン王子は皇太子から、国王になって行くための人脈づくり、外交経験などを積んでいたものとのもわれる。また、彼の31歳という若さが、時期をずらさせていたものともわれる。

サウジアラビアの国王は81〜2歳の高齢であり、もう国王職を務めるのは、肉体的につらかったのであろう。それで自分の息子を皇太子に立て、何時でも跡継ぎにできる状態を、創ったのであろう。

サウジアラビアはこれで世代の若返りができ、それに伴って外交も新しいものに、していくことが出来よう。現在の70代から80代の王族のなかには、英語が不自由な人たちも多数いようが、30代40代になると、英語を自由に話せる者が、多くなっている。

従って、新皇太子の世代は通訳を介在させずに、欧米のトップと話し合える、ということであり、同時に、共通の認識と価値観を持って、話し合えるということになろう。

その第一歩が、対イスラエル関係の促進であろう。これまでもサウジアラビアは水面下で、イスラエルと治安や軍事面で、協力してきていたが、これからはおおっぴらにできるような、システムを創って行こう。

既に、アメリカのトランプ大統領は、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦に、イスラエルと正式な協力関係を、構築させるつもりでおり、その流れのなかでは、パレスチナ問題も解決していく、という事であろう。

もう一つの課題は、イランに対する対応だ。アメリカは相変わらず、イランが核兵器の開発をしており、テロを支援している、と考えており、その最大のターゲットはサウジアラビア,ということだ。そこで新皇太子誕生に合わせ、アメリカはサウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦の連携に、イスラエルを加えてイラン対応を、進めていくということであろう。

これからは軍事、政治、外交、経済、情報などの分野で、イスラエルを中心にエジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦が連携していき、シリア対応、イエメン対応も、イラン対応に加えて、アメリカの意向に沿っていくことになろう。それが成功すれば、新しいアラブの時代を創る、という事になろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:04 | この記事のURL
『IS後の米露のシリア対応』 [2017年06月21日(Wed)]
*そろそろ、シリアのラッカ(ISが首都と宣言していた場所)の陥落が、近いだろうと思われるようになってきた。こうした状況下で、IS(ISIL)も首都をラッカから、デルズールに移すことを、ほぼ正式に宣言した。*

*
そうなって来ると、これまでシリアに関与してきた、アメリカもロシアも、IS(ISIL)後のシリアに対する対応を、検討しなければならなくなる、ということだ。ロシアはあるいは、これまで堅持してきた、アサド体制支持の立場を、捨てるかもしれない。*

*
ロシアからはチェチェン、コーカサス地方から、多数のイスラム原理主義者が、シリアのIS(ISIL)側に参画して戦ってきていた。このロシアのイスラム原理主義者の問題は、ロシアにとっては大きな頭痛の種であったが、シリアやイラクで戦闘が続き、IS(ISIL)がイスラム原理主義者たちにとって、魅力的な存在になったために、ロシア政府はチェチェンやコーカサス地方から、イスラム原理主義者たちが、イラクやシリアのIS(ISIL)の戦線に参加するのを、黙認してきていた。*

*
しかし、現段階になるとそうのんびりも、構えていられなくなってきた。それは、IS(ISIL)の崩壊で、自国のイスラム原理主義者たちが、帰国して来るからだ。一説によれば、ロシアからIS(ISIL)の戦闘に参加した人数は、2400人だと言われている。*

*
彼らが帰国し、原理主義テロを起こすようになれば、ロシア国内は極めて危険な状態になるということだ。既に、サンクトペテルブルグで起こった、イスラム原理主義者によるテロがあり、テロは現実にそこにある問題に、なっているのだ。*

*
そうしたことから、ロシア政府はいま、単にアサド体制を守るのではなく、シリアを分割させて、戦闘を継続させた方が、いいのではないか、とも考え始めているようだ。そうなれば、アサド体制も縮小はするが,生き残ることになるし、自国の戦闘員たちは、シリア国内で戦闘を継続し、帰国はしなくなる、という考えだ。シリアを統一した状態でアサド大統領に統治させるのは、無理な状態もある。*

*既に、シリア北部を占領しているクルド人たちは、自治を明確に口にし、将来はクルド国家の設立も、考えるようになって来ているからだ。イラクのクルドが自治権を獲得していること、トルコのクルドが分離独立に向けて、戦闘を継続していることなどを考えると、シリアのクルドが分離して、自治から独立への歩を進める可能性は高い、という事であろう。*

*アメリカもIS(ISIL)問題が解決した後では、シリアを分割させた方がいい、と考えているのではないか。そうなれば、イスラエルとの国境には、ヘズブラなどが居座るだろうが、分割されたシリアとヘズブラが合体しても、イスラエルには大きな脅威にはなるまい。加えて、イランのアサド体制(分割された)への支援も、大きな脅威とはならなくなろう。*
Posted by 佐々木 良昭 at 11:12 | この記事のURL
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