CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 2017年04月 | Main | 2017年06月»
NO4588 5月31日 『リビア・セラジがハフタルにトリポリ入るな』 [2017年05月31日(Wed)]
*カダフィ大佐がリビアを代表していた頃は、彼の特異なキャラクターもあり、リビアが国際にュースに登場する機会が、少なくなかった。しかし、今ではリビアに関心を払うのは、ごく一部のリビアを支配しようと思う、欧米やアラブの政治家たちだけであろうか。*

*
そのごく一部のリビアを支配しようと思う、欧米やアラブの政治家たちが、リビア国内にある各派を支援し、助言しているために、リビアの国内は全く安定への道が、見えていない。*

*
いまのリビアを誰が代表しているかといえば、トリポリに拠点を置く、統一リビア政府の代表セラジ首相であろう。彼は国連が創り上げた傀儡であり、リビアの土地に根を張っているわけではない。このため彼の基盤は、極めて不安定だということになる。*

*
そして、もう一人リビアを代表する人物はといえば、東リビアのトブルクを拠点とする政府の、参謀長ハフタル将軍であろう。彼はカダフィ政権を嫌い、20年の長きに渡って、アメリカに亡命していた人物だ。*

*この東リビア政府は、最初に国際的認知を得てもいる。実質、彼は東リビア政府を代表する人物であり、軍事力を掌握していることから、存在感は大きい。つまり、リビアには国連がバック・アップするトリポリ政府と、国際的認知(?)を得たという、トブルク政府が存在している、ということだ。*

*
それ以外にも、グエイルなどがいるが、彼らは戦闘集団は持っていても、政治的な影響力も、外国との強い関係も無さそうだ。従って、リビアを誰が牛耳っているのかと言えば、西のセラジであり、東のハフタルということになろう。*

*
リビアではシルテでIS(ISIL)との戦闘が続き、今ではIS(ISIL)はシルテから追放されたが、未だにリビア各地にはIS(ISIL)の戦闘員がもぐりこんでいる。*

*
リビア南部のセブハ、ジュフラなどでも、戦闘が展開されている、という情報が届いている。しかし、何といってもトリポリをめぐる攻防戦が、最大の関心事であろう。つい最近、トリポリ地域の第二勢力が、セラジ首相側との戦闘を展開した後、トリポリから撤収し、一応セラジ首相が支配を、完了したことになっている。*

*
その結果、セラジ首相は自信を持つようになったのか、ここに来て突然、ハフタル将軍に対し『トリポリに軍を入れるな。』と言い出している。つまり、ハフタル将軍側が武力を持って、トリポリを制圧する可能性がある、ということなのか。*

しかし、このセラジ首相の発した一言は、今後リビア国内に、より一層の混乱を、巻き起こすかも知れない。ハフタル将軍側に強いトリポリ支配の意欲が無くとも、『入って来るな』と言われれば入りたくなるのが、人情だからだ。

さて、セラジ首相は不用意にも、ハフタル将軍を刺激する発言をしたと思われるのだが、その背後にはどの国がいるのだろうか。リビア国内がセラジ首相とハフタル将軍側との激戦になれば、『国際的善意』という名目で、リビアへの軍事介入が、出来るようになるからだ。

セラジ首相のバックにはヨーロッパ諸国や、一部湾岸アラブ諸国が付こうし、ハフタル将軍側にはロシアやエジプトが味方に付こう。アメリカはセラジ首相にも、ハフタル将軍にも気脈を通じているのではないか、と思われる。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:47 | この記事のURL
NO4587 5月30日 『どんどん出てくるクーデターへの疑問』 [2017年05月30日(Tue)]
トルコで昨年7月15日に起こった、クーデターには、幾つもの疑問符が、付いているようだ。軍幹部の裁判での証言などが、種々の問題点を洗い出してしているのだ。エヴリム将軍は『このクーデターは失敗するように、計画されたものだった。』と語っている。

7月15日の14時の段階で、MIT(情報部)のフェダン・ハカン長官はクーデターの情報を、掴んでいたし、アカル参謀長にも5時にはクーデター計画が伝わっていたというのだ。しかし、エルドアン大統領がクーデター計画について知ったのは、彼の義理の弟からの、情報によるものだった。

クーデター当日の夜の結婚式に参加した、海軍のボスタノール将軍は、ホテルまでドライバーに送らせると、帰宅を許している。後に彼はドライバーを面倒なことに、関与させたくなかったからだ、と答えているそうだ。

この結婚式は、19時30分から始まるわけだが、そのことは、この19時30分前の段階で、海軍のボスタノール将軍はクーデター計画を、知っていたとしか、考えられない。そうでなければ、ドライバーを帰らせは、しなかったであろう。

空軍の半分の司令官も、クーデターの起こる夜に、結婚式に参加しているが、彼らはその後、全員が逮捕されている。もし、これらの司令官たちが、クーデターに関与していたのであれば、結婚式には出ずに、クーデターの方に注力していたであろう。

このクーデターには、幾つもの疑問符が付いている。軍は何故最大限の動員を、クーデターにかけなかったのか?何故彼らは警官を巻き込まなかったのか?何故クーデター未遂の後、非常に早い段階で、逮捕が始まったのか?

何故首相がクーデタ−について発言する前に、アンカラの検察トップは,クーデターに関与した人たちの、調査を始めたのか?しかも、警察は一人も対象とされず、この段階では、軍人だけが対象になっているのか。

何故議会のビルが攻撃されたのか?しかも、クーデターが未遂に終わった後で。この空爆で使われたF―6戦闘機は、クーデターとは別の目的で、空爆を実施させられたのであろう。

空軍基地はクーデターの前に閉鎖されていた。つまり、空軍機を飛ばさない予定に、なっていたのであろう。そのことは、クーデターは未遂に終わるように、計画されていた、ということだ。

野党第一党のCHP議員も、今回のクーデターは失敗するように、仕組まれていたと考えている。アユクト・エルドール議員はAKPが発表した、クーデター調査報告書に、疑問を投げかけている。
彼はアカル参謀長や、フェダン・ハカンMIT(情報部)長官らが、何故クーデター計画を、大統領にも首相にも、伝えなかったのか、という疑問を提示している。そして、それにもかかわらず、なぜこの二人が現職に留まっているのか、についても疑問を投げかけている。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:58 | この記事のURL
NO4586 5月29日 中東TODAY『トルコEUドイツと制限時間内交渉』 [2017年05月29日(Mon)]
エルドアン大統領の短気からなのか、あるいはEUやドイツのトルコに対する、嫌気からのなのであろうか。EUとドイツは時間に制限を設けて、トルコとの問題を交渉することを、明らかにした。

EUについては、トルコをEUの加盟国として、認めるか否かをめぐる問題が、今後1年以内で最終決定が、下されることになった。トルコがこの交渉で、EUのメンバー国になる可能性は、低いものと思われる。

それは、エルドアン大統領が言い出した、死刑の復活問題が、ネックになっているし、エルドアン大統領の独裁的手法も、EUにとっては不愉快な問題であろう。エルドアン大統領は一方では、EU加盟を強く求めながら、他方ではEUが飲めないようなことを、言い出しているのだから、大矛盾という事であろう。

トルコ人に対するビザ・フリー問題も、EU諸国は許可したくないだろう。ドイツが失敗の好例で、数百万人のトルコ人が、今ではドイツ国民として、生活しているからだ。彼らの人口増加率は、ドイツ人に比べて高いこともあり、やがてはドイツ人口に占める、トルコ人の割合は相当のレベルに、達することになろう。

トルコ人はドイツ国籍を得てもなお、イスラム教徒であり、トルコ民族意識が強いし、トルコの風俗習慣を守っているため、ドイツ社会に違和感が生じているのだ。それは、トルコをEUに加盟させることになれば、EU加盟諸国全域にドイツの失敗が、広がるということだ。

加えて、トルコが政策として進めている、シリア難民などの大量の、EUへの押し出しも、大きな問題であろう。EU各国政府は難民が入ってくれば、生活支援をしなければならず、相当の経済的負担になるし、民族間の対立が激化し、社会が不安定化するのだ。

ドイツとトルコとの間では、インジルリク空軍基地の今後に関する、議論が続けられ、2週間以内にドイツは結論を出す、と言っている。つまり、ドイツはインジルリク空軍基地に留まるのか、撤収するかを決めることになっている。

ドイツの議員らのインジルリク空軍基地にいる、ドイツ兵を訪問したいという要請を、トルコ政府が拒否したことに、大きな問題がある。もちろん、それに加えトルコ政府が企画した、新憲法賛同大集会を、ドイツが禁止したことも、問題になっている。

現在、トルコとドイツの間に横たわる問題で、エルドアン大統領が妥協することはないだろう、と専門家たちは見ているが、そうであるとすれば、ドイツはインジルリク空軍基地から出ていくことになろう。

エルドアン大統領はドイツ軍が、インジルリク空軍基地から撤収することについて、全く意に介していない。『出て行きたければ出ていけ。』という姿勢を変えていないのだ。しかし、インジルリク空軍基地については、アメリカもドイツと同じ立場であることを考慮すると、トルコにとってはそう簡単な、問題ではあるまい。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:24 | この記事のURL
NO4585 5月28日 中東TODAY『暴露され始めたクーデターの真相』 [2017年05月28日(Sun)]
*トルコでは昨年7月15日に起こった、クーデター未遂事件をめぐり、次第にその真相らしいものが、明らかになりつつある。トルコ政府はギュレン・グループが背後で、このクーデターを図っていた、と説明しているが、欧米にはそう受け止めている政府は、無いようだ。*

*
クーデター未遂事件の跡、多数の官僚、国家公務員、教員、ジャーナリスト、軍人、裁判官、検察官などが逮捕されたが、やっと軍人に対する裁判が始まったようだ。今回裁判にかけられるのは221人、なかには何十人もの将校、将軍クラスも含まれている。*

*
軍の幹部はクーデター事件の首謀者、ということになるのだが、実は彼らは断片的であれ、クーデターに関わる情報を、握っているのだ。それが裁判の段階で、少しずつもれ始めてきているのだ。*

*
ここでフィラット大佐、という人物が登場する。彼はゼカイ・アクサケリ将軍から、テロ対策を命じられて行動を起こした、と語っている。フィラット大佐とアクサケリ将軍との間には、ウミット・バクという名の大佐が関与していた、ということだ。*

* アクサカリ将軍はクーデターの夜に、オメル・ハリスデミル将校に対し、セミフ・テルズ将軍を暗殺するよう、指示を出していた。*

*
逮捕されているエルハン・ジャハ将軍は、『大衆の名で軍が起こした、クーデターだと思っていた。』と当時のことを振り返って語っている。このクーデター計画はアカル参謀長が計画を建て、始めから知っていた。またフェダン・ハカン情報長官(MIT長官)も、事実を把握していたようだ、と語っている。*

* 後に逮捕された、アリ・ヤズジ大統領軍事顧問は、クーデター前にクーデターが起こるだろう、と冗談めかして語っていた人物だ。*

*
レヴェント・トルカン大佐は、ギュレン関連で逮捕され、各種の証言をしたと言われているが、彼はそれを全面的に否定している。しかし、彼はギュレン氏裏切ったのではないか、と見られている。*

*
O・K将軍はクーデターが起こる7時間前に、その事を情報部(MIT)に報告している。しかし、クーデター計画が実行に移されるということを、フェダン・ハカン情報長官はエルドアン大統領に、伝えていなかった、といわれている。*

* 不思議なことに、フェダン・ハカン情報長官とアカル参謀長は、6時間もの長きに渡って、二人だけで会談しているのだ。*

*
エルドアン大統領はクーデターが起こる段階で、マルマリのリゾート・ホテルにいたが、そこを攻撃する予定だったのは、ギョクハン・シナン蒋軍だった。これはセミフ・テルズ将軍が、最終命令を出すことになっていたのだが、ホテルへの突撃命令は、4時間が経過しても出されなかった。結果として、エルドアン大統領は逮捕されることが、無かったのだ。*

*
簡単に言ってしまえば、トルコで起こったクーデターは、フェダン・ハカン情報長官とアカル参謀長が、エルドアン大統領の指示で計画し、失敗に終わらせた、偽クーデターだった、ということではないのか。*

*
これから軍人や検察官に対する、裁判が進むにつれて、多くの秘密が暴露されることになろう。裁判法廷の証言は、結局外部に漏れ出すからだ。それは口伝えか、マスコミを通じてか、ツイッターを通じてか、社会に広がり、外国の報道機関も喜んで、その情報を流すことになろう。それだけエルドアン大統領は欧米からも、毛嫌いされているということなのだ。*
Posted by 佐々木 良昭 at 07:26 | この記事のURL
NO4584 5月27日 『エジプトでテロがコプト教徒多数殺害』 [2017年05月27日(Sat)]
*エジプトでミニヤに向かう、キリスト教コプト教徒が移動する、バスを狙われて多数が殺害された。エジプト政府は犠牲者の数を26人、負傷者の数を28人程度、と発表したが、重傷者の死亡も予測されている。コプト教徒側は犠牲者の数を35人と発表している。*

ミニヤはカイロの南220キロにある、聖サミュエルを祭る教会がある場所で、コプト教徒たちはそこに、団体で巡礼するのが、慣わしになっている。そのため、今回は多くの子供たちも、バスに乗っていて、犠牲になったのだ。*

今回のテロについて、今までのところ、どの組織も犯行声明を出していないが、昨年4月に起こった、コプト教会を狙ったテロでは、46人が犠牲になり、IS(ISIL)が犯行声明を出していた。多分、今回もIS(ISIL)による犯行ではないか、と見られているが、それはラマダン(5月27日から始まった)を機に、イスラム教徒とコプト教徒との対立を、煽るための作戦ではなかったか、と見られている。*

エジプトには人口の約10パーセントに当たる、1000万人近いコプト教徒がおり、中東諸国の中では最大の人数であろう。それだけに、日常生活のなかでイスラム教徒とコプト教徒との間には、大小さまざまないざこざが起こっており、IS(ISIL)としては犯行を起こしやすいし、コプト教徒に対するテロ攻撃は、リクルートにもなるのだ。*

エジプト政府としは、このテロ事件を放置するわけには行かない。そこでシーシ大統領が命令したのは、イスラム原理主義者たちの、巣窟になっている、リビア東部の街デルナに対する、空爆攻撃だった。*

デルナの街と周辺には、6箇所のイスラム原理主義者の基地があるが、エジプト軍機はそこを狙って、攻撃した模様だ。エジプト政府はこれまでも何度か、リビアのイスラム原理主義者たちの基地を狙って、空爆攻撃を加えてきていた。*

エジプトがリビアの、なかでも東部地域を攻撃するのは、デルナなどにイスラム原理主義者たちを送り出す拠点があり、そこからは大量の武器も送り出され、シナイ半島北部やガザ、シリア、イラクに送り届けられているからだ。デルナはまた、イスラム原理主義戦闘員の訓練所もある、といわれているところだ。*

今回のエジプト政府の決定による、リビアのデルナへの攻撃が、どれほどの成果を挙げたかは分からないが、エジプト政府とシーシ大統領は、エジプト国民の怒りを鎮める意味でも、何らかの軍事行動を、取らざるを得なかったのであろう。

どうしても気になるのは、IS(ISIL)によるテロ犯罪が、北シリアからどんどん南に下がって来ており、アフリカ大陸側のアレキサンドリアに始まり、遂には首都のカイロでも起こり、今回はそれよりも南220キロの、ミニヤで起こったという点だ。

シーシ大統領とすれば、何としてでもテロを阻止したい、ということであろう。それには、イスラエルとでもアメリカとでも、協力する意志がある、ということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:27 | この記事のURL
NO4583 5月26日 『米議会議員エルドアンと大使をぼろくそ』 [2017年05月26日(Fri)]
つい最近、アメリカの下院議会外交問題委員会が開催された。そこでのメイン・テーマは、トルコのエルドアン大統領訪米時に、起こった事件だった。述べるまでもなく、エルドアン大統領のボデー・ガードが、デモ隊に対して襲いかかり、多数を負傷させ、アメリカの警官も怪我をする、というものだった。

下院外交問題委員会で、ダナ・ローラバッチャー氏は『お前のようなやつを招く必要はない。トルコから招待するのであれば、民主主義を推進する人たちであり、その逆の連中ではない。エルドアンはイスラムファシズムを、トルコで進めようとしている。エルドアンは二度とアメリカに、招待してはならない。彼は我々の立ち位置とは逆で、我々とトルコ国民の敵だ。』と非難した。

記録されたビデオを見ると、エルドアン大統領が彼のボデー・ガードたちに対して、デモ隊を攻撃するよう指示しているのだ。しかも、ボデー・ガードたちがデモ隊を攻撃している様を、エルドアン大統領はトルコ大使公邸の、バルコニーから眺めていたのだ。

ボデー・ガードたちの攻撃は、デモ隊だけではなく報道しようとしていた、ジャーナリストも襲ったのだ。以前、ブルッキング・インスチチュートで、エルドアン大統領が講演したときも、同じようにボデーガードたちが、デモ隊を襲撃している、つまり、エルドアン大統領の体制は、ますます独裁的であり凶暴に、なって来ているということだ。

ローラバッチャー議員は、アメリカとトルコとの友好関係は終わったと語り、トルコ国民の民主的権利も、失われたと語っている。ロードアイランド選出のデイビッド・シシリーン議員も同じように『エルドアンはデモ隊に猛犬を放ったのだ。』と非難している。

カリフォルニア選出のブラッド・シャーマン議員は『これはアメリカの主権に対する攻撃であり、在米トルコ大使は平気でうそを言った。彼は即刻追放されるべきだ。』と非難している。

こうしたアメリカの議員たちの、トルコとエルドアン大統領に対する、非難を聞いていると、もはやアメリカとトルコとの関係には、希望が全く持てなくなっていることがわかる。後はアメリカ政府が、具体的にどんな対応を、トルコとエルドアン大統領に対して、採るかを待つのみだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:27 | この記事のURL
NO4582 5月25日 『トルコの親政府新聞英のテロは自業自得』 [2017年05月25日(Thu)]
*トルコの最も政府に近い新聞社に、ギュネス社とアクト社がある。この二つの新聞社が、同日に同じ内容の報道を報じたことが、問題になっている。それはトルコとイギリスとの関係に、少なからぬ悪影響を与えることが、予測されるからだ。*

*
ギュネス社の記事の中には、マンチェスター・テロ事件のことが書かれた、記事が掲載されたものがあったが、その記事のなかでギュネス社は『イギリスはテロを支援していたのだから、当然の帰結として、飼い犬にかまれる、ということが起こる。それが今回のテロ事件だ。』という内容の主張をしたのだった。*

*
マンチェスターの音楽コンサート会場で、子供を含む22人もの犠牲者と、50人を超える負傷者が出た大事件に際して、この記事の内容は、極めて常識を欠くものであろう。誰が読んでも、トルコの新聞社に対する、常識を疑うだけではなく、怒りを感じるであろう。*

*
加えて、アクト社の記事でも、ほぼ同じ内容のことが書かれていたのだ。両社に言わせれば、イギリスを始めヨーロッパ諸国は、これまで、トルコのPKKやDHKP/C、FETO(ギュレン・グループ)などを、支援してきているというのだ。そしてこれらの組織は、いずれもテロ組織だ、ということになる。*

*
ギュネスのエッセム・サンジャク社長は、与党AKPの中央執行委員でもあるのだ。つまり、今回のような記事内容の報道が、許されるという事は、トルコ政府と与党AKPが記事の内容を、認めたという事であり、トルコ政府の立場であった、という事であろう。*
Posted by 佐々木 良昭 at 11:02 | この記事のURL
NO4581 5月24日 『トルコはマネー・ロンダリング・センターに変貌とCHP党首』 [2017年05月24日(Wed)]
トルコ最大野党CHPのクルチダウール党首は、トルコがヨーロッパで最大の、マネー・ロンダリング・センターに変わった、と非難した。

彼に言わせると、あらゆる犯罪に関わる金が、トルコでは正当な金に変貌するシステム、が出来上がっているというのだ。

たとえば、汚職資金、麻薬資金、売春などによって、非合法に得られた金だ。

こうした問題を追及しようとする、ソズジュ紙やジュムフリエト紙などは、警察の厳しい監視下に、置かれている。

マネー・ロンダリング問題だけではなく、クルチダウール氏はギュレン・グループに対する、政府の対応についても、非難の言葉を口にしている。

ギュレン・グループには何の犯罪に関する、証拠もないのだが、全く空っぽの犯罪調書でも、最終的には担当の検察が登場し、裁くことができるというのだ。

このギュレン・グループについては、閣僚であろうが大統領府のスタッフであろうが、例外なく逮捕され、検挙されもするとも語っている。
一国の野党第一党の党首が、ここまでエルドアン大統領と彼の政府を、非難するのは異常事態としか、言いようがあるまい
Posted by 佐々木 良昭 at 11:36 | この記事のURL
NO4580 5月23日 『トルコ・クーデター軍人裁判開始は危険信号』 [2017年05月23日(Tue)]
*トルコで起こった昨年7月15日の、クーデター事件をめぐり、5月22日から軍人に対する、裁判が開始された。この軍人たちの数は221人、その中には20数名の、将軍たちも含まれている。*

これらの裁判を受ける軍人のなかには、アクン・オズトルク退役将軍も含まれているが、彼は元軍最高会議の、メンバーだった人物だ。つまり、軍人としては最高位にいた軍人だ、ということだ。加えて、メフメト・パルチョウク将軍、メフメト・デルチョウク将軍なども含まれている。

第一審問で住所を問われたアクン・オズトルク将軍は『私の住所は知らない刑務所のなかだ。』と答えた。これに対して原告側の証人は、クーデターで死亡した息子の母親で、彼女は『殺人者たちを殺せ、私の息子を返せ。』と叫んでいる。ちなみに、クーデターでは240人の市民が犠牲になり、数千人が負傷している。

法務大臣の発表によれば、現在149833人が逮捕され、4863人が投獄されているということだ。彼らは現在、203000人収容可能な刑務所のなかで、221607人が投獄されている中に、含まれている。そのため、囚人は交代で眠らなければならない状況に、あるということのようだ。

政府はクーデターが起こると即座に、ギュレン・グループによるものだとして、ギュレン・メンバーを大量逮捕したわけだが、野党CHPは、このクーデターは政府によって仕組まれたものだ、と主張している。

それは、トルコの情報機関MITのトップであるハカン・フェダンと、参謀長のフルス・アカル将軍とが、クーデターが起こる前日に、6時間の会談を持っているためだ。CHPばかりではなく、イギリス政府もこのクーデターに、ギュレン・グループは関与していない、と言っている。

イギリスの前には、ドイツの情報部BNDも、ギュレン・グループとクーデターとの関係を、否定している。また、アメリカの議会情報最高会議も、同じようにギュレン・グループのクーデターへの関与は、何の証拠も無いと発表している。加えて、EUの情報分析センターも、同様の結論を出している。

今回の将軍を含む、大量の軍人に対する裁判は、エルドアン大統領にとって、両刃の剣ではないか。軍がこの裁判を機会に、本物のクーデターを起こす可能性が、あるからだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:04 | この記事のURL
NO4579 5月22日 『ドイツとトルコ・インジルリク空軍基地撤収で揉める』 [2017年05月22日(Mon)]
ドイツがここに来て、トルコのインジルリク空軍基地の使用を、止める意向を語り始めた。それは、トルコのエルドアン体制が、強引に進めようとした、新憲法賛成大集会を、ドイツが阻止したことに、端を発している。

ドイツはその後も、NATO軍で働くトルコ軍人や外交官などが、450人の政治亡命することを認めている。これはトルコ政府にとっては、相当ショックであったろうと思われる。

そうしたいきさつから、ドイツはこれ以上トルコと関わりたくない、と考え始めているのであろう。そこからインジルリク空軍基地からの、撤収話が出てきたものと思われる。この話が出てきた直截的な原因は、インジルリク空軍基地へのドイツ議員の訪問が、認められなかったことにある。

ドイツ国内では、反エルドアン感情が高まっており、社会民主党の議員などが、トルコのインジルリク空軍基地からの、撤収を早急に進めろ、と騒ぎ出している。これはメルケル首相が抱え込んだ、新たな問題であろう。

メルケル首相にしてみれば、一日も早くインジルリク空軍基地から、撤収したいころであろうが、トルコとドイツの間には、難民の問題が横たわっているのだ。もし、ドイツがこの問題で、対応を誤れば、多数のシリア難民などが、ドイツになだれ込んで来ることが、懸念されるからだ。

トルコはそれを意図的に、やる可能性がある。これまでもトルコから流れ込む、ドイツへの大量難民は、トルコ政府がドイツ政府に対して、圧力をかけるために行ったものであろう、と言われてきていたのだ。

しかし、そうは言ってもトルコに辟易するドイツは、やがて決断をせざるを得なくなろう。既に、ドイツ政府と軍部は、トルコのインジルリク空軍基地から、キプロスやヨルダンの空軍基地への移動を、検討し始めている。

なかでも、ヨルダンへの移動の可能性は高く、ドイツ政府はすでに候補の空軍基地として、ヨルダンのアズラク空軍基地の名前を、公表している。この空軍基地はイラク国境から、すぐそばにあることや、湾岸諸国へのアクセスがいい、という利点があろう。

しかし、トルコのインジルリク空軍基地には、250人のドイツ軍関係者が駐留しており、相当数の機材もあることであろう。それをイラクやシリアのIS(ISIL)対応を、進めるなかで行うことは、容易ではあるまい。

そうしたことを見据えてか、トルコ政府の反応はいたって、冷静かつクールだ。トルコのメウルート・ジャウソール外相は『彼らが出ていくことを望むのなら、グッドバイと言うだけのことだ。』と語っている。

しかし、もし、アメリカ軍やドイツ軍が、インジルリク空軍基地から撤収した場合、世界なかでも欧米の、トルコへの評価は大幅に下がろうし、NATO内部での地位も、揺らぐことになろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:36 | この記事のURL
| 次へ