CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 2016年09月 | Main | 2016年11月»
NO4304『トルコがアメリカの退避勧告に困惑』 [2016年10月31日(Mon)]
トルコのイスタンブール市にある、アメリカ領事官が領事館員家族の、国外脱出を勧告した。これは『イスタンブール市は治安上危険性が高い。』という判断に立つものであるが、トルコ政府にとっては極めて、不都合な決定になったようだ。

アメリカ領事官は、トルコの航空サービス、バスターミナル、バス、橋梁、海上輸送手段、地下鉄などは、全てテロの危険性が高い、と発表したのだ。そのことが与える、トルコ経済への影響は、計り知れまい。

そうでなくとも、イスタンブール市で最も外人観光客の多かった、グランド・バザールはガラガラの、状態になっているのだ。つまり、外人観光客が最も観光にめぼしい場所に、来ないという事は、トルコ全体の観光が、大幅に後退している、という事であろう。

以前に、今年の外人観光客数が、32パーセント以上減っている、という報告が出ていたが、実態はそれどころではないのかもしれない。トルコの観光収入は国家収入全体の、25パーセント以上であり、観光収入が激減するという事は、トルコの経済を直撃する、という事なのだ。

イスタンブール市のアメリカ領事官の、今回の発表に慌てたのはトルコ政府だ。トルコのチャウソール外相は、アメリカのケリー国務長官に電話し、この問題について、討議している。

トルコ政府とすれば、アメリカの中東戦略に、きわめて協力的である、トルコに対して、大きな打撃を与える今回の決定は『何故そんな決定を出したのか。』ということになる。トルコに言わせれば、アメリカが現在進めている対テロ作戦で、トルコは十分に協力している、と言いたいところなのであろう。

今回の、アメリカのイスタンブール領事館の出した決定は、あくまでもアメリカ国民に対する警告であり、他の外国人は含まれていない、という事のようだが、それにしても、この退避勧告発表は、ヨーロッパ諸国を始めとし、世界中からのトルコへの観光客の足を、止めることになろう。

なかでも、ロシアからの観光客のトルコ訪問には、しかるべき影響が出るのではないのか。トルコの地中海やエーゲ海の、海岸に面する各都市は、ロシア人にとっては絶好の避寒地であり、トルコ側にすれば、これから冬将軍が押し寄せる、ロシアからの観光客に、大きな期待を寄せていたところだったろう。

トルコの経済状態は、ギュレン・グループの経営者の大量逮捕と、彼らの企業を政府が没収し、安価で売り出しているため、うまく機能していないのだ。しかも、大量の優秀な公務員が、ギュレン関係者として逮捕されてもいる。これではトルコ経済が、うまく回るはずがあるまい。

今となっては、エルドアン大統領が『アメリカに裏切られた。』と叫んでも、何の効果も無いだろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:36 | この記事のURL
NO4303『アメリカの工作と報道のデタラメ?』 [2016年10月30日(Sun)]
最近外国から入って来る、中東関連のニュースを見ていると、オヤッと思うことがよくある。それは数字が似通っているからだ。例えばモースルに残存するIS(ISIL)の戦闘員の数は4000〜5000人とか、リビアのシルテにいるIS(ISIL)の数は、5,000人といったものだ。

どういうわけか、このところマスコミが流す数字に、3000,4000、5000というのが、異常に多いような気がする。

そして極めつけは、モースルで人間の盾として、IS(ISIL)が集めた周辺住民の数は、30000人という記事だ。これまで、IS(ISIL)の戦闘員は食糧が不足している、給料が支払われていない、というニュースが流されていたのに、どうやって人質に食糧を、提供するのであろうか。

まさか、人質にした30000人に対しては、食糧を与えず、餓死させる、ということではあるまい。加えて、この報道の嘘を感じるのは、戦闘で忙しい5000人(?)のIS(ISIL)戦闘員が、どうやって30000人もの人質を、盾に使うというのか、疑問が沸く。

数字は多い方がインパクトがある、ということであろうが、あまりにも現実的で無い数字が踊ると、誰もその記事を信用しなくなると思うのだが、如何なものか。

ロシアが報じた、シリアのイドリブ空爆記事は、現実的だと思えた。ロシアの国防省は、イドリブの学校上空を飛行する、アメリカの無人機の様子をキャッチしていた、と発表したが、そこには、ロシア機は飛んでいなかった、というのだ。

そして、ロシアが出した結論は、イドリブの学校空爆の映像は、10本以上のビデオを編集して、作られたものだった、ということだった。笑えるのは、ロシア機の上空からの撮影では、空爆を受けた学校の屋根が、全く損壊していないということであり、周辺地域にも、空爆によるロート状の穴も、無いということだ。

加えて、ロシアは指摘していないが、空爆が行われたのであれば、建物の壁にも、多くの損壊の跡が、見えるはずなのだが、全く無く、窓が爆発で抜け落ちているような、映像だけだ。

現場を見ているわけではないので、断言する自信は無いが、あまりにもいい加減な報道だと思えたので、指摘しておく。しかも、イドリブの惨状に関する報道は、多くの西側の主要マスコミが、伝えているのだ。

アメリカがイラクを攻撃するときには、サダムがWMDを開発している、化学兵器を持っている、などといった、アメリカ政府の発表を、報道がそのまま伝えて、アメリカによるイラク攻撃に、正当性を与えたのだが、後にWMDの開発は嘘だった、ということが明らかになった。

しかし、そのときは既に、100万人を超えるイラク人が、殺害された後だったのだ。こうした過去の例から、学ばなければならないことは、『報道には嘘がある。』ということだ。しかも、大手の国際的に知られる報道機関ほど、嘘の程度が酷い場合があるということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:49 | この記事のURL
NO4302 『PAアッバース議長の辞任とその後』 [2016年10月29日(Sat)]
PA(パレスチナ自治政府)の、マハムード・アッバース議長の辞任する日が近づいている。その事がどのような変化を、パレスチナとイスラエルに及ぼすのかが、いま話題になり始めている。

アメリカのオバマ大統領と同じように、終わりが近づくと、PAの場合も権力者は弱体化し、何らの成果も生めなくなるようだ。しかし、パレスチナの場合はそれだけではない。組織形態がアメリカほど、明確ではないために、種々の問題が内部から、噴出して来るだろう。

第一は、パレスチナの資金がどうなっているのか。誰がそれを押さえているのか、という問題だ。アラファト議長の死後も、巨額の預金が存在することが、明らかになった。

その金をアラファト議長の妻ソウハ女史から、どうやって取り上げるかが、問題になったといわれている。一説には、彼女が住むパリのマンションに、PLO(パレスチナ解放機構)の幹部が大挙して押しかけ、脅して出させた、ということのようだ。

マハムード・アッバース議長の場合も、そうであろう。アラブでは力の強い者、金のある者が結局は尊敬され、恐れられ、権力を握れる社会だけに、マハムード・アッバース議長も、例外ではなかった。

いま言われている後継者は、エレカト氏、ムハンマド・ダハラーン氏、バルグーテイ氏といったところであろうか。エレカト氏はいわばPAの高級官僚であり、マハムード・アッバース議長の側近だった人物だ。

ムハンマド・ダハラーン氏はかつては、ガザの治安責任者であり、PA幹部の中では若いことから、若者層に人気があり、未だにその人気を保っている。しかし、彼は存在が目立ちすぎ、マハムード・アッバース議長に警戒され、その職を追われ、その後も強い圧力を受ける立場に、回されていた。

バルグーテイ氏は現在、イスラエルの刑務所に投獄されており、たとえPAの議長に就任することが出来ても、刑務所から出してはもらえまい。つまり、彼がPAの議長になるとしても、それは形式だけのものでしかあるまい。

そうなると、エレカト氏とムハンマド・ダハラーン氏の一騎打ち、ということになる、ということではないか。エレカト氏にはマハムード・アッバース議長が味方し、ムハンマド・ダハラーン氏が、立候補できないような状態を、生み出すことも考えられよう。

そうなれば彼を支持する若者層が暴発し、パレスチナ内部は大混乱に陥る、危険性があろうし、その事はイスラエルの治安にとっても、危険性が高まるということであろう。今後アラブの緊張と危険は、シリアやイラクから、パレスチナに移るということであろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:59 | この記事のURL
NO42301『9・11の責任はサウジアラビアというでたらめ』 [2016年10月28日(Fri)]
アメリカで2001年9月11日に起こった、旅客機のニューヨークにある、貿易センタービル激突事件は、世界を驚愕させる出来事だった。

この9・11事件を巡っては、その後、幾つもの意見が出てきたが、結果はあいまいなうちに終わっている。そもそも、マイアミでプロペラ機を2か月ほど訓練した、サウジアラビア人に大型の旅客機を、操縦で来たのか?何故ジェット燃料で巨大なビルが崩れたのか?国防省に突っ込んだといわれる機体は、何処に消えたのか?幾つもの疑問が出て、各分野の専門家たちがそれぞれに、分析した意見を公表した。

あれから既に15年もの歳月が、経過しているが、事件の真相は謎のままであり、明確な結論は出なかった。ただ、アメリカ政府はこのテロ事件は、サウジアラビア人が主体であったこと、テロに関わった19人の犯人のうち、15人はサウジアラビア人であったこと、などを公表している。

そうしたなかで、ここに来て3000人前後と言われる犠牲者の遺族の間から、『サウジアラビア人が犯人であるならば、サウジアラビア政府に補償を求めたい。』という意見が増大し、このことをアメリカの上下議会が討議し、サウジアラビアに補償を求める権利を、認めることになった。

オバマ大統領はこの上下議会の結論を、何とか抑え込もうと試みたが、受け入れられず、これからアメリカ人犠牲者の遺族たちが、サウジアラビアを相手に、補償の裁判を起こすことになろう。

犠牲者の数は3000人程度であり、ニューヨークのど真ん中で働いていた人たちでもあり、彼らの年収は相当なものであったことが推測される。そうなると、補償額は天文学的な数字に、なるのではないのか。アメリカは訴訟社会であり、腕のいい弁護士は、掃いて捨てるほどいるのだ。

サウジアラビアはいま、石油価格の低迷とイエメン戦争、そして、多くのテロリストに資金を提供していることなどから、財政的には苦しい状況にある。そのため、ムハンマド・サルマン副皇太子は、2030年に向けた経済再建計画を打ち出している。

そのようなサウジアラビアの財政難のなかで、アメリカがサウジアラビアを相手に、補償の裁判を超すことは、サウジアラビアとアメリカとの関係に、大きなマイナス効果を生み出すであろう。だからオバマ大統領は必死に、止めようとしたのだ。

今回アメリカとサウジアラビアとの間に発生したこの問題は、そもそも、アメリカが重大な事件に対して、いい加減な結論を、出していたために起こった問題であろう。その付けが回ってきた、という事ではないのか。

一部では9・11事件はアメリカの内部犯行であり、この事件を口実に、アメリカはアフガニスタンやイラクへの攻撃を、始めたのだとも言われている。真偽のほどは定かではないが、確かに、アフガニスタンやイラクへの軍事攻撃は、9・11事件の後に起こっている。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:48 | この記事のURL
NO4300『イラクのISの実態とモースル戦の予測』 [2016年10月27日(Thu)]
ヨルダンはイラクに隣接する国だけに、今回のIS(ISIL)と合同軍との戦闘の、影響を直接的に受ける国だ。
今では、イラク・ヨルダン国境に集まる難民の問題があり、そこを狙うIS(ISIL)の危険な動きもある。

従って、ヨルダンのイラク情勢に対する判断は、他の国に比べ、より正確なのではないか、と思われる。ヨルダンにはサダム時代の政府高官や軍の高官、多数亡命して居住しているし、彼らはヨルダン国内に、反イラク組織を創ってもいる。たとえば,サダム政権の与党バース党の組織が、ヨルダンにはあるのだ。

そのヨルダンがつい最近、イラクのIS(ISIL)とイラク軍が展開しているモースル戦、そしてアメリカを始めとする合同軍の、戦闘支援に関する、予測を書いている。それは他に比べ、モースル戦の実態を、伝えているのではないかと思い、一部を紹介することにした。

ヨルダンの記事によれば、現在モースルにいる、IS(ISIL)の戦闘員のほとんどは、イラク人であり、元サダム時代の軍人などによって、構成されているということだ。加えて、モースルの部族集団などだ。

ヨルダンの情報によれば、欧米はモースル戦を、長期化すると主張しているが、案外、早期に終結するのではないか、ということだ。あるいは数週間で、けりが付くかもしれないとみている。

イラク軍はこの戦闘に、3万人の軍人を投入し、それをアメリカやヨーロッパの軍が支援する形になっている。加えて、この作戦にはクルドや、シーアのミリシアも、参戦しているのだ。

他方、IS(ISIL)側の戦闘員の数は、4000〜8000人程度であり、市民を盾に使い、特攻作戦をしかけるしかない、という事のようだ。それでもアメリカ軍の幹部は長期戦を覚悟すべきと力説している。

それは、IS(ISIL)にとってモースルを失うことは、その後の移動先が無いという事であり、ラッカがあると言っても、そこも次のターゲットにされているのだ。従って、IS(ISIL)側は死に物狂いの抵抗をして来よう、という判断に立った、見解なのであろう。

ヨルダンの情報によれば、モースルにいるIS(ISIL)の戦闘員は、ほとんどがイラクの部族員や旧サダム派の軍人であり、外人戦闘員は限られた数であろう、とみている。

イラク人のIS(ISIL)戦闘員は、派閥から飛び出した者たちであり、何らかのきっかけがあれば、彼らはたちまちにして、IS(ISIL)に敵対することも、ありうるというのだ。そうした例は、過去にイラクのアルカーイダで、実際に起こっているのだ。

従って、イラク政府軍や合同軍が、IS(ISIL)に対して投降を呼びかけたり、シリアへの逃亡ルートを開いてやることは、賢明な対応策ということになろう。武器を捨てさえすれば、彼らはイラクの一市民に戻れるのだ。それが認められれば、60パーセント以上のIS(ISIL)戦闘員が、消えることになろう。

ただ、モースルは細い道が多く、そこには戦闘車両や戦車は入れず、白兵戦のような戦闘が、展開される危険性がある。また、IS(ISIL)の戦闘組織は、よく訓練されており、計画されていることから、そう簡単には打倒できない、という見方もできる。彼らにはいまだに資金があり、武器も十分に持っているのだ。

そして、モースルのIS(ISIL)が打倒されても、そこには部族や宗派の組織が存在し、今後も戦闘が続く可能性があるということだ。イラクの悲惨はIS(ISIL)が打倒されたとしても、当分は続くという事であろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:30 | この記事のURL
NO4299  『アラブ報道と西側報道の違いモースル戦』 [2016年10月26日(Wed)]
イラクのモースルで展開されている、IS(ISIL)打倒作戦は、思いのほか順調に、進んでいるのではないか。クルド自治区の軍隊ペシュメルガが健闘し、イラク軍も勇敢に戦っている。加えて、イラクのシーア・ミリシアも、タフな戦いをしているし、イラク軍への協力姿勢にある。

こうなると、モースルのIS(ISIL)にとっては、極めて厳しい戦いを強いられる、という事であろう。最近目立つIS(ISIL)側の攻撃は、特攻方式だ。述べるまでもなく、爆弾を車に積んで敵側(イラク軍など反IS側)に、突っ込むという作戦だ。

この特攻作戦は斬首と並び、敵側を恐怖に追い込み、戦闘意欲をくじくことが目的であり、その攻撃で敵側が、敗退することはないのだ。

今ではモースル市から5〜6キロの地点まで、イラク軍は進撃しており、まさに白兵戦一歩手前にまで、IS(ISIL)側を追い込んでいるようだ。この攻勢で特に目立つのは、ペシュメルガ軍の攻撃だ。彼らの士気は高く、キルクーク奪還で得た自信が、裏付けになっているのであろう。

モースル攻略は北からは、このペシュメルガ軍がIS(ISIL)を包囲し、南側からは、イラク軍が包囲し始めている。イラク軍もペシュメルガ軍も、このモースルからの、IS(ISIL)戦闘員のシリアへの逃亡を、阻止するつもりだ。アメリカは安全な逃亡ルートを保証する、とIS(ISIL)側にモースルからの脱出を、呼びかけたのだが、どうもアメリカの作戦は、うまくいかないようだ。(これはアメリカの汚い陰謀だ、とアラブは見ている)

イラク軍やペシュメルガ軍が、IS(ISIL)の戦闘員のシリアへの逃亡を、阻止しようとするのは、当然であろう。もし、それが成功すれば、シリアの状況は再度悪化し、IS(ISIL)は優位に立つ危険がある。それは再度のイラク攻撃が、予測されるからだ。

これは何も、イラク軍やペシュメルガ軍が、シリアに対して連帯するから、IS(ISIL)戦闘員のシリア逃亡を阻止する、という事ではないのだ。IS(ISIL)の戦闘員がシリアに入り、コバネなどで戦闘を展開すれば、クルドの拠点である、コバネが不安定化するのだ。それは、将来のクルドの自治確立や、その先の国家樹立にとって、大きなマイナスにつながるのだ。

このIS(ISIL)戦闘員のシリア脱出に、協力的なのはトルコであろう。トルコはいまだにIS(ISIL)
を使って、シリアのアサド体制をつぶそう、と考えているからだ。他方、クルドはアサド政権と取引し、将来の自治権獲得への、ステップを踏み出している。

トルコが軍をイラクやシリアに、送りたがっているのは、自国領土が危険になる前に、敵を外国領土内で叩く、という考えに基づいている。それはアメリカが展開してきた、戦略手法の真似なのだ。

欧米はモースルのIS'ISIL)戦闘員の数を、出来るだけ多く報道し、戦闘は長期化すると宣伝しているが、実態は3000〜5000人の戦闘員がいるとアラブ諸国は見ている。それすらも、少し多いのではないかと思われる。

結果的にバグダーデイが唱えたイスラム国家の夢は崩壊し、IS(ISIL)への信頼感が薄れ、IS(ISIL)
そのものが崩壊していくのではないのか。その日はあまり遠くなかろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:57 | この記事のURL
NO4298『欧州裁判所裁判官がトルコの現状を非難』 [2016年10月25日(Tue)]
欧州人権裁判所の元裁判官の、リザ・トウルマン氏がトルコの現状を嘆いて、厳しい発言をした。特に7月15日のクーデター未遂事件後の状況を、批判している。

彼は元最大野党CHPの、副党首でもあった人物だ。それだけに、今回の彼の発言の持つ意味は、大きいということだ。

彼は『トルコには7月15日のクーデター未遂の前にも、人権上の問題は存在したが、このクーデターの後、状況はさらに悪化している。』と語っている。

彼に言わせると、トルコではいま宗教を軸とする、社会の構成が図られ、一人の人物の手に、権力が握られている。大統領制の志向が語られ、それが実施される日も近い。

そうした状況は『権威主義の独裁を、生み出すことに寄与するだけだ。』とも語っている。

今こそ法の支配を守り、基本的人権を守り、人が人らしい生活が出来るような社会に、しなければならない、とも語っている。

彼リザ・トウルマン氏は、欧州人権裁判所の元裁判官、という経歴を持つ人物ではあるが、いちトルコ国民であることに、変わりはない。その彼が、明確なエルドアン大統領体制批判をしたことは、注目に値しよう。

こうした勇気ある発言が、今後増えてくれば、現状を打破する可能性が出てくる、ということだ。それまでの間は、トルコ国民は忍耐を、余儀なくされよう。

イスラムの神アッラーは『我は忍耐をする者たちと共にある。』と教えている。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:30 | この記事のURL
NO4297『エジプト猛烈なインフレで庶民は死に体』 [2016年10月24日(Mon)]
エジプトのインフレは、ここに来て、相当ひどくなっているようだ。エジプトの通貨が大幅に値下がりし、外貨の獲得が国内では大変になっているからだ。その結果、輸入品は全て値上がりしてしまう、ということだ。

エジプト・マスコミが紹介したケースは、もっとも庶民に近いレベルの例だ。それはフールやファラーフェルの原価が、高くなっていることだ。フールはひよこ豆を時間をかけて、軟らかく煮て、それでペースト状にした、エジプトの庶民の間で、人気の日常の食べ物だ。

ファラーフェルは豆を水に漬け、荒引きし、それを丸めて油で揚げたもので、これはサンドイッチなどにもして、食べている。価格が安く、どちらも腹持ちがいいので、貧乏人も金持も中産階級も、みんなが好きな食べ物なのだ。

ところが、この材料のひよこ豆などは、大半が外国からの輸入であり、国民の消費分を国内生産で賄うことは、出来ていない。したがって、外貨がエジプト・ポンドに対して上がれば、輸入価格はおのずと、上がることになる。9月の時点のインフレ率は、13.94パ−セントだというのだから、エジプト人には大変であろう。

しかし、フールやファラーフェルといった食品は、庶民の食べ物であるだけに、店のオーナーは軽々には、値上げできないのだ。材料費が高騰し、販売価格が上がらなければ、従業員の給料に直接的に、響くことになる。もちろん店のオーナーの手取りも、減るということだ。

あるレストランで働く従業員の月給は、1000ポンド(2万円程度か)だが、彼らは熱い窯の前で仕事をしていることもあり、タバコを吸う者が多いそうだ。そうなると、タバコ代と交通費だけで、給料の1000ポンドは、消えてしまうというのだ。(最近タバコも値上がりしている。)

最近の輸入額は600億ドル、輸出額は200億ドル、完全な入超だ。これではエジプト・ポンドが値下がりするのも当然であろうし、外貨不足になるのも当り前であろう。今後もエジプト・ポンドは値下がりを続け、インフレはもっと進む、という事であろう。政府の公定レートはドルに対して、8.78ポンドだが、闇ドル市場ではもっとポンドが安いことは、言うまでもない。

政府は輸入を抑え、輸出を伸ばすことに必死だ。輸入と輸出はこの結果、一定の成果は出ているが、まだまだ目標には達していないようだ。政府は輸入業者に対して、これまでの輸入価格の
20パーセントから、今では100パーセントの現金を出すことを、義務付けることを決定した。

エジプトはいま、サウジアラビアを始めとした、アラブ湾岸諸国からの援助と借入、欧米からの援助などで、かろうじて生き延びているが、それにも限界があり、ある時期が来ると、ドスンと落ち込む危険が、あるということだ。そのリスクをどうカバーするか、企業も国家も真剣に考えなければならない、状態にあるという事であろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:48 | この記事のURL
NO4296   『トルコ・アメリカ・イラクの戦争事情』 [2016年10月23日(Sun)]
イラクのモースル戦が始まってから、幾つもの各国の思惑が、明らかになってきている。なかでも、イラクとトルコとアメリカの思惑は、ぶつかり合っているようだ。

アメリカは当初、トルコ軍がイラク政府に歓迎されていないため、参戦すべきではないと主張していたし、トルコ軍はアメリカを主体とする合同軍のメンバーでもない、と冷たい対応をトルコに対して示していた。

しかし、戦況が複雑であり困難であるために、ここに来て、トルコ軍が参加してくれることを期待し始めている。アメリカの国防大臣がトルコを訪問し、トルコ軍の、モースル戦参加について討議し始め、その後、多分イラク政府に対して、トルコ軍が参戦できるように、説得しているようだ。

しかし、未だにイラク政府はトルコ軍の、モースル戦への参戦を認めていない。それは、トルコ軍のイラクへの侵攻意図に、疑問を抱いているからだ。トルコが何故モースル解放作戦に参加することを、強く希望しているのかが不明なのだ。

トルコは人道的な問題や、モースルが戦後に、人種のすみわけで問題が発生するとなどに、不安を抱いているのだ。つまり、モースルが解放された後は、シーア派が主体のイラク政府は、モースルに多数のシーア派教徒を移住させ、スンニー派やトルコマン(トルコ系住民)の割合を減らし、威圧するのではないか、と懸念しているということだ。

だが、イラク政府はそのトルコの主張を信じていない。トルコはイラク領土を奪うために、参戦するのだと考えている。確かに、トルコ国内ではオスマン帝国時代に、トルコ領だった、イラクのキルクークやエルビル、モースルなどを奪還すべきだ、という声が高い。

最近になって、エルドアン大統領がケマル・アタチュルクがヨーロッパと合意した、ローザンヌ条約を拒否し、その前にオスマン帝国が結んだ、セーブル条約が正しいのだと主張し始めている。そのセーブル条約では、イラクやシリアなどの領土の一部が、トルコ側になっていたのだ。

最近になって、トルコのマスコミやアラブのマスコミには、オスマン帝国時代の領土の地図が、掲載されている。かつてのオスマン帝国領土が、赤く塗られた地図が、出回っているのだ。

それはシリアの場合も同じだ。トルコはシリアのアレッポを、自国領土だと考えているのだ。したがって、シリア戦に本格的に参加した場合、戦後にはそこに、トルコ軍が居座る可能性が、高いということだ。

何事にも『ただ』はありえない。ましてや戦争は巨額の出費を伴うのだ。トルコがイラクやシリアの領土の一部を、奪取しようと考えても、不思議はあるまい。加えて、イラクもシリアも、湾岸からの石油やガスの、通過ルートであり、パイプラインが引かれるのだ。それに対する一定の影響力を持ちたい、とトルコは考えているのであろう。

アメリカはトルコ軍の参加に期待し、トルコもそれを望んではいるが、イラクが拒否しているのにはそうした理由があるからだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:02 | この記事のURL
NO4295  『シリアから考えるイラク戦争の予測データ』 [2016年10月22日(Sat)]
あるネットに、面白いデータが載っていた。

それはシリアなどの、戦争のデータを、紹介するものだった。シリアのマンビジュの解放には、71日間を必要とした、ということだ。

次いで紹介されていたのは、シリアのラッカの規模だ。そのデータによれば、ラッカはマンビジュの面積の、3倍だということだ。単純計算すると、ラッカの解放には、マンビジュで必要とした、71日間の3倍の日数がかかる、ということになる。

つまり、IS(ISIL)が言う彼らの首都の、ラッカ攻略には、213日がかかるということだ。

そして、現在戦闘が展開されている、イラクのモースルは、ラッカの3倍の面積だ、ということだ。これも単純計算すれば、213日の3倍だから、639日かかる、という計算になる。

この単純計算が正解だとすれば、イラクのアバデイ首相が考えているほど、短期間ではモースルの、解放戦争は終わらないが、アメリカが言うような、長期間でもなさそうだ、ということになる。

一応の目安としては、参考になる日数ではなかろうか、と思いご紹介した。
Posted by 佐々木 良昭 at 23:33 | この記事のURL
| 次へ