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NO4269『エルドアンがローザンヌ条約非難でアタチュルク非難』 [2016年09月30日(Fri)]
エルドアン大統領にとって、歴史上のライバルはケマル・アタチュルクであり、現代のライバルはフェイトッラー・ギュレン氏、ということになるのであろうか。ギュレン氏に対する攻撃は続いており、多くのギュレン・グループのメンバーが逮捕されている。

エルドアン大統領はクーデター後の処理を巡り、非常事態宣言をこれから12か月延長しよう、と言い出してもいる(実質はギュレン・グループのメンバー狩り)。彼に言わせれば、非常事態宣言を延長することは、トルコ国民にプラスだ、というのだ。

他方、ケマル・アタチュルクについては、エルドアン大統領に言わせれば、彼が交わしたローザンヌ条約は、大失敗だったということになる。エルドアン大統領に言わせれば、当時のトルコ側代表は、時間を延長し、会議の場であたかも、鍔ぜり合いをしているかのように装い、条約締結後、これはトルコの勝利だった、としているというのだ。

しかし、現実は逆であり、当時のトルコ側代表には、正当に権利を主張するような力は、無かったというのだ。

結果的に、トルコはローザンヌ条約締結後、多くの島々をギリシャ側に、引き渡すことになった、というのだ。それがトルコの領土であることを示す証拠は、いまだに島々には、モスクが建っている、ということだ。それは、オスマン帝国の支配下に、これらの島々があったからだ、というのだ。

このローザンヌ条約の条項のなかには、幾つもの秘密の合意項目があるようだ。以前、トルコの友人から聞いた話では、ローザンヌ条約には秘密条項というものがあり、その中には条約締結後、トルコは100年間に渡って、地下資源を開発してはならない、というのがあるそうだ。

そのために、トルコはいまだに同国の南東部の、地下資源開発ができないでいる、ということのようだ。この地域にはガスや石油資源が、あることが予測される。なぜならば、大産油国でありガス生産国であるイランやイラクに、トルコは隣接しているからだ。


小規模ではあるが、イラクに隣接するシリアからは、ガスも石油も産出しているのだ。それを支配してIS(ISIL)は、勢力を拡大させていたのだ。そのIS(ISIL)と手を組んでいたのは、エルドアンの実子ビラールだった。

加えて、トルコは火山国、地震国であるため、金鉱脈もあろうという推測が、出ているのだ。また、ウランに代わる鉱石の存在は、世界的にもナンバー2か3にあたるのがトルコだということが実証済みになっている。

それだけに、ローザンヌ条約の期限が切れる2023年には、トルコがどんな展開になって行くのか楽しみだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:34 | この記事のURL
NO4268『中東短編』 [2016年09月29日(Thu)]
:ISイラクの石油地帯失う

IS(ISIL)はイラクでほぼ全ての、石油地帯支配を失ったようだ。イラク政府軍との戦いで、キルクークに近い油田を失ったほか、モースルに近いカッヤーラ油田も失っている。

こうなると、IS(ISIL)は資金の入手方法が、無くなるわけであり、支配地域住民から、税金を取り立てることと、罰金で食いつながなければ、ならなくなったということだ。

そのことが、アメリカ政府やイラク政府をして、今年末までのモースル奪還を、語らせているのであろう。



:リビアのハフタル強い立場に

リビア東部政府のハフタル将軍が、次第に統一リビア政府に対しても、存在感を強めているようだ。

ハフタル将軍の軍隊は、既に、シルテの3つの石油積み出し港を、支配下に置いているが、リビア政府はいま、石油輸出が思うようにいかず、国家の金庫は空っぽになったようだ。

そのことが、統一リビア政府のセラジ首相をして、ハフタル将軍に議会での発言を、して欲しいといわせたのであろう。



:トルコ政府再度エルゲネコン調査

エルゲネコンとはトルコにある、影の政府組織だ。この組織には政治家、学者、警察、検察、軍幹部、ジャーナリスト、経済人など、多くのメンバーがいるようだ。

エルゲネコンの調査と、その後の逮捕、投獄ができたのだが(2008年)、エルドアン大統領はこの組織が、怖くなったのであろうか。すべての投獄者を釈放している。

先日は、このエルゲネコンの幹部であるペリンジ氏が、エルドアンのスキャンダル録音テープ38本を持っている、何時でもエルドアン体制を、潰せると豪語していた。彼は『電話盗聴暴露はギュレン・グループだ、とエルドアンが語っていたが、それは嘘で我々がやったのだ。』と言っている。

そのようなこともあって、今回の再調査に踏み出すのであろうが、必ずしも本格的なものには、ならないのではないか。エルドアン大統領はあまりにも多くの、弱みを握られているからだ。今回の再調査は、エルドアン大統領が国民に対して、強気の姿勢を見せるだけのものであろう。



:アメリカモースルに追加派兵

アメリカ政府はイラクのモースル奪還作戦に向けて、600人(617人)の兵員をモースルに、追加派兵することを決定した。

現在の段階では、アメリカ軍はイラクに、合計で4600人が駐留している、といわれている。今回の増派がモースル奪還だけに、投入されるのであればいいが、それ以上の目的に、振り向けられるようなことになれば、イラクは再度地獄になろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:13 | この記事のURL
NO4267『複雑で抜け道が見えないリビア』 [2016年09月28日(Wed)]
リビアはカダフィ大佐が殺されて、新しい政権が誕生したが、その後、混沌とした状況が続いている。もともと、リビアはトリポリタニア、キレナイカ、フェザーンと大きく分けると、三つの地域に分かれていた。

カダフィ大佐が権力の座から下ろされると、この三つの地域からそれぞれに、権力を狙う動きが起こり、未だにまとまっていない。IS(ISIL)がリビアのシルテに陣取った後も、誰がこの街を解放するかで、争いがあった。

東のリビア政府を代表するハフタル将軍は、様子見に回り、真剣に攻撃する気が無い。それはいま一番シルテで頑張っている、ミスラタのミリシア・グループに戦闘を続けさせ、ミスラタ・グループもIS(ISIL)も共に弱体化したところで、出て行こうという作戦だ.(ミスラタは500人以上が戦死している)

では何故ミスラタ・グループがそんな戦闘力を持っているのかというと、実はトルコが彼らを支援し、資金と武器を提供しているのだ。これでは戦闘が止むはずが無い。そしてミスラタの住民の戦闘意欲が他に比べ、強いという言うことであろうか。

それでは統一リビア政府はといえば、アメリカやヨーロッパの支持を得ているとはいえ、実質的に戦闘力を持っていないようだ。トリポリの統一リビア政府は、トリポリの議会の代表によって、牛耳られており、実質的な力はセラジ首相には無い、と言われている。

そこでセラジ首相は東のリビア政府と、何とか関係を改善したいと思い、東のリビア政府を代表する、ハフタル将軍に対し、統一リビア政府への発言権を、増すよう呼びかけている。

しかし、ハフタル将軍はまだ様子見の段階だ、と思っているのであろうか。このセラジ首相の呼びかけに、応えようとしていない。ハフタル将軍の側にはロシア、ヨルダン、サウジアラビアなどが付いているため、あせる必要は無いということであろうか。しかも彼は米国籍を、持ってもいるのだ。

他方、IS(ISIL)はと言えば、イラクやシリアなどでの劣勢から逃れた、IS(ISIL)の戦闘員たちが、シルテに移動してきていることもあり、リビアでは不利になってきてはいるが、大幅に戦闘力を落とすとは思えない。

こうしてみると、どうやら、もうそこまでといったシルテ追い込みは、もう少し時間がかかるかもしれない。ただ言えることは、だからといってIS(ISIL)が今後、リビアで支配地を拡大したり、勢力を拡大するということは、無いのではないか。『柿は熟れれば落ちる』のを、ハフタル将軍は待っているのであろうか。石油輸出港は彼が掌握しており、リビアはいま破産一歩手前になっている。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:11 | この記事のURL
NO4266『サウジアラビア金欠で給与・ボーナス・カット』 [2016年09月27日(Tue)]
サウジアラビアは石油成金の国と、一時期はもてはやされ、サウジアラビア人は全てが、大金持ちの印象を、世界でばらまいていた。しかし、それは石油の輸出にのみ頼る、経済構造であり、所詮は砂漠の楼閣なのかもしれない。

サウジアラビア政府はいま、石油価格の下落とイエメン戦争で、財政的に相当苦しくなっているようだ。石油価格はご存じのとおり、40ドル/バーレルを前後し、一時期の120ドル/バーレルは、夢のまた夢になっている。

ムハンマド・サルマン副皇太子が強硬に始めた、イエメンとの戦争は終わりを知らず、膨大な資金が戦費として消えている。これから先、何時までこの戦争が続くのかは、誰にも分からない。

『戦争は始めるのか簡単だが、終わらせるのは容易でない。』とよく言われるが、まさにその通りであろう。

結果的に、サウジアラビア政府は、大規模な支出削減を、行うことを決めた。その第一は、閣僚への給与は20パーセント・カット、160人の評議会議員の給与を減額し、ボーナスもカットするというものだ。

加えて議員たちが持っていた特権である、住宅建設や修繕費用、自家用車の購入費用への援助、家具の購入などへの補助金は、消えるようだ。

国家公務員全体に対しても、同様に給与の減額支給や、ボーナスのカットが行われるようだが、
ただし、イエメンで戦闘に参加している軍人については、この限りではないようだ。当然であろう。この戦争はムハンマド・サルマン副皇太子の、肝いりで始まったものであり、もし、軍人に対する待遇が悪化すれば、クーデターが起こる危険性すらあろう。

既にお知らせしたとおり、インドやパキスタンからの、労働者に対する給与未払状態は、数か月にも及んでおり、最初にインド大使館が、自国民の帰国支援を進めると同時に、サウジアラビア政府に対して、厳しいクレームを付けている。

そして今度は、パキスタン大使館が自国民の、厳しい状況をサウジアラビア政府に説明し、給与の早期支払いを求めている。しかし、その我慢も限界に達し、一部の労働者は給与を受け取らないままに、帰国の途についている。パキスタンからの出稼ぎ労働者のなかの給与未収者は、建設部門には6500人いるが、405人は既に帰国の途についたようだ。

そうした事情が、最近のサウジアラビアの、ロシア接近を生み出しているのであろうか?
Posted by 佐々木 良昭 at 11:24 | この記事のURL
NO4265 『アメリカがエルドアンの資金スキャンダル追求始める』 [2016年09月26日(Mon)]
既に2年前の話になるが、トルコ国籍を持つイラン人ビジネスマンが、アメリカのマイアミで逮捕された。彼は当時既に逮捕者リストに載っており、マイアミでの逮捕は、彼がアメリカの警察に逮捕されることを、望んでいたからであろう、と言われていた。

それは、彼がもしイランやトルコで逮捕されれば、闇から闇に葬られる可能性が、高かったからだ。ザッラブなるこの人物は、30歳そこそこの若さであるにもかかわらず、巨額の資金を動かし、トルコから金をイランに密輸したり、ドルをイランに送り届けていた。つまりマネー・ロンダリングをやっていたのだ。

ザッラブの活動は、トルコの閣僚やエルドアン大統領の家族の、支援を受けていたために、そのようなことができていたのだが、ついには、危険の時期を迎え、アメリカで投降した、ということだ。

ザッラブがアメリカの検察に対して、何を語るのかが各方面から、注目されていたが、今までザッラブの証言内容は、明かされてきていない。彼は司法取引をしているのであろう、と思われる。

ここに来て、アメリカの検察は、エルドアン大統領と彼の閣僚、そして家族のザッラブ事件への関与追及を、始めたようだ。もちろん、エルドアン大統領はこの問題を、必死にもみ消そうとしている。

これまでも、エルドアン大統領は検察の大量更迭を行い、ザッラブ・スキャンダルを解消しようとしてきたが、その過程では検察だけではなく、警察や判事も更迭の、対象になってきた。

エルドアン大統領はアメリカが、彼と彼の家族、そして閣僚を敵視し始めていることを、十分承知しており、事件との関係を否定している。例えば、青年教育協会[TOGEM]へのザッラブによる寄付問題などだ。

この青年教育協会は、エルドアン大統領の実子ビラールがトップにいて、妻も関係していたのだが、エルドアン大統領はそれを否定している。また、ザッラブもトルコの取り調べでは、一般市民に過ぎなかった、と事件との関係を否定している。

しかし、そのような説明は通用しないだろう。これからアメリカはどのようにエルドアン大統領を、締め上げていくのか見ものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:20 | この記事のURL
NO4264 『シリア対応ロシアとアメリカどちらが正しいのか』 [2016年09月25日(Sun)]
シリアへの対応をめぐって、アメリカとロシアは何度も、交渉を繰り返してきている、両国はそれぞれの立場から、シリアやイラク内戦の、終結への考えを持っており、基本的には意見が一致している。

しかし、その解決の方法論となると、アメリカとロシアとの間では、どうも対立点が、消えないようだ。第一には、アメリカは一部のテロ組織を穏健であり、IS(ISIL)の掃討作戦に役立てたい、と思っている。

他方、ロシアはそれらの組織も、テロ組織なのであるから、打倒するべきだ、と考えている。具体的に言うならば、かつて人間の内臓を取り出して、生齧りをして見せた、ヌスラ組織の戦闘員がいたが、アメリカはこの組織ですら、最近では穏健派、と言いだしているのだ。

アメリカに言わせれば、アメリカの言いなりになって、IS(ISIL)に敵対的な姿勢を見せる組織は、皆穏健派ということに、なるのであろう。しかし、それはIS(ISIL)についても然りであり、アメリカはIS(ISIL)に対して、未だに武器の援助を、続けているようだ。

シリアのアレッポをめぐる攻防戦では、ロシアは敢然と攻撃を続けたい、と考えているのだが、アメリカは一時的な停戦を、言い出している。そして、その停戦が約束された後も、アメリカの言う穏健派が、攻撃を続けているのだ。

加えて、シリア軍やロシア軍の攻撃が、止まっている時期に、シリアの反政府各派は共闘作戦を相談しているのだ。また、この時期に、アメリカは支援物資の中に武器を隠して、反政府側に送り届けている。

あきれるのは、この支援物資を送る主体が、国連だということだ。白ヘルメットをかむった、国連の支援活動をサポートする、人道的な人達が(?)、この作業を手伝っている、ということなのだが、彼らはアメリカが雇っている、戦争を支援する企業のスタッフ(以前にはブラックウオーター社などがあった)なのだ。

このことについては、イランも指摘し、アメリカの行動を非難している。ロシアはアメリカとの合意が、意味を成さないとして、軍事行動を停戦することなく、続ける方針のようだ。

アメリカにしてみれば、シリアでの戦闘が継続し、ロシアのシリア戦争への介入期間が、アメリカのベトナム戦争のように長引けば、ロシアに応分のダメージを与えられる、という考えなのであろうか。

プーチン大統領はそれほど愚かではない。彼が今後、シリアに対してどのような手を、打つのか見守ろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:43 | この記事のURL
NO4263『トルコ・ギュレン氏の天王山の戦い始まる』 [2016年09月24日(Sat)]
アメリカに亡命して、既に10年以上も経過している、フェイトッラー・ギュレン氏は、彼のカリスマ性が飛び抜けており、支持者が多いことから、これまで、トルコ軍やその他のグループに、敵視されてきていた。

今回、7月15日に起こったクーデター未遂事件で、エルドアン大統領はフェイトッラー・ギュレン氏を、その首謀者と言って非難し、アメリカにフェイトッラー・ギュレン氏の、引渡を要求し続けてきている。(日本に対しても、ヘズメト・メンババーへの圧力行使を、呼びかけているし、ヨーロッパ諸国に対しても同様だ。)

エルドアン大統領にしてみれば、フェイトッラー・ギュレン氏と彼の組織ヘズメトを潰してしまえば、後は恐れるべき政敵は居ない、ということになる。このため、クーデター未遂事件はフェイトッラー・ギュレン氏が背後にいて、CIAが支援していた、とまで発言している。

この結果、ヘズメトのメンバーと関係者を、全ての公職から追放し、逮捕投獄し、市民権を剥奪する、という徹底振りだった。その数は10万人を超えるというのだから、尋常ではない。

企業経営者も多数含まれていたために、トルコの経済は悪化したし、その建て直しを考える有能な官僚も、多くが首になっている。今では真面目に、トルコの政治、外交、経済を考える官僚が、ほとんど居なくなっているのだ。

こうした実情から、最近、ムーデイやフィッチが発表した、トルコ経済に対する評価は、大幅に引き下げられ、Ba1という結果となった。このBA1という評価は、ジャンク債であり、投資対象にはならない、というものだ。

フェイトッラー・ギュレン氏はこのような状態では、トルコが崩壊してしまうとして、ヨーロッパ諸国に対し、トルコへの介入を求めている。トルコのエルドアン大統領による独裁と、暴政を止めて欲しい、ということであろう。

ところが、エルドアン大統領はそのようなことは気にも留めず、フェイトッラー・ギュレン氏の引き渡しを、アメリカに要求し続けている。これに対し、アメリカ政府は十分な証拠があれば、引渡を考えるが、今の段階では証拠は不十分だ、としてエルドアン大統領の要求を、拒否している。

フェイトッラー・ギュレン氏は『証拠が揃い、アメリカが追放すると言うのであれば、第三国への亡命は求めず、トルコに帰国する。』と語っている。ただし、『その前に、ヨーロッパ諸国など公平な立場の国々によって、クーデターと彼の関与に関する調査を、行われるべきである。』とも語っている。

アメリカが法治国家の代表である以上、証拠不十分の中で、フェイトッラー・ギュレン氏をトルコに引き渡すとは思えない。フェイトッラー・ギュレン氏はアメリカにとっては、対トルコ政策上、使える人物なのでもあろう。

いまの時点で、フェイトッラー・ギュレン氏が帰国することになれば、長い裁判が続き、その後は終身刑か、死刑ということに、なるのではないのか。その場合の裁判は、決して公正なものにはなるまい。(あるいは、即決で死刑が決まることも、ありえよう。)

フェイトッラー・ギュレン氏は命をかけて、世界にエルドアン体制の権威主義、独裁体制の非を、訴えたということであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:16 | この記事のURL
NO4262『サウジアラビアシリア難民250万人受け入れへ』 [2016年09月23日(Fri)]
国連の難民と移民の会議で、サウジアラビアのムハンマド・ナーイフ皇太子は、サウジアラビアが250万人のシリア難民を、受け入れることを発表した。しかし、これには疑問が浮かぶのだが、実際に実行するとなると、種々の問題が出てくるものと思われる。


第一に言えることは、サウジアラビアの現在の人口が、3000万人を少し上回る程度であり、このうちの700万人程度が、外国からの出稼ぎ者であるはずだ。そうであるならば、250万人という数は、サウジアラビアの人口の、約10パーセントに当たるからだ。(日本に例えれば、1300万人の難民が入ってくるということだが、日本でも対応能力は無いのではないかと思われる。)

難民を正式に受け入れることになれば、当然、住宅の提供や教育、医療サービスの提供に加え、当分の生活費も支給しなければなるまい。その額は一家族にして、月額500ドル程度であろうか。

つまり、月額にして12・5億ドルの援助資金が、毎月サウジアラビアから、提供されるということだ(500ドルの支援金が家族単位であれば、支給総額は大幅に少なくなろう)。石油価格が高騰している時なら、何の問題も無かろうが、さすがのサウジアラビアも、今は台所事情が厳しいのだ。

サウジアラビアでは石油価格の低迷もあり、大手の建設会社が外人労働者に、数か月にも渡って給与を未払にしている、その原因は政府が支払ってくれないからだ、ということも伝えられている。インド政府などはこの事態に怒り、自国民を連れ帰ったほどだ。

しかし、ムハンマド・ナーイフ皇太子は、この会議のなかで、住居と生活費を保障すると語っているのだ。これまでサウジアラビアが、シリアから受け入れていたのは、労働契約によるものであり、受け入れ企業が明確になっていた。また、彼らには6か月毎に、500ドルの滞在税の支払いも、義務付けられているようだ。

それではそのルールは、難民には当てはまるのか、というとそうではあるまい。難民がサウジアラビアに入国し、仕事に就いた場合(潜りで働いた場合)は、どうするのであろうか。難民はサウジアラビア政府からの援助金、そして労賃は免税になるかもしれない。そうなれば、シリア人の間に、不満と対立が、生まれるのではないのか。

いずれにせよ250万人とは莫大な数であり、受け入れは段階的に行われる、ということであろうが、毎年10万人の受け入れと仮定しても、大変な作業であろう。

あるいは、この嘘のような大きな話は、シリア問題が近い将来、解決するという、サウジアラビア政府の予測に、沿ったものであろうか。

そうであるとすれば、この話は二重の朗報であろう。つまり『サウジアラビアはシリア難民250万人を受け入れる』『近い将来のシリア戦争の終結』という。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:51 | この記事のURL
NO4261 『重要な中東短信』 [2016年09月22日(Thu)]
:エルドアン子息をイタリア検察が取り調べ

トルコのエルドアン大統領の子息ビラール氏は、イタリアの大学で博士号をとることを口実に、長期滞在しているが、彼はマネーロンダリング疑惑で、イタリアの検察の取調べを、受けることになった。

それはビラール氏が莫大な金を、イタリアに持ち込んだからだ。このイタリア側の対応に対して、エルドアン大統領は『私の息子よりも、イタリアの検察は、イタリアのマフィアを取り調べるべきだ。』と反発している。



:マリーヌ・ルペン女史が大統領選挙に

フランス右翼のルペン氏の娘、マリーヌ・ルペン女史が来年のフランス大統領選挙に、立候補することがほぼ決定したようだ。

フランスは他のヨーロッパ諸国に例に漏れず、右傾化が進んでおり、もう一人の立候補が予測されている、サルコジ氏と争った場合、十分に勝ち目があるかもしれない。



:トルコのイスラエル大使館銃撃される

トルコの首都アンカラ市にある、イスラエル大使館が銃撃された。犯人は『アッラーフ・アクバル』と叫んでいた、と伝えられている。

イスラエル大使館のスタッフに被害者は出なかったが、犯人は精神病をわずらっているのではないか、と見られている。



:ムーデイやフィッチがトルコの経済評価を下げる
ムーデイ社やフィッチ社が、トルコの7・15クーデター以後の、経済状態と可能性に対する、評価を下げた。その下げ幅は大きく、トルコの国債などは、ジャンク債に成り下がった、ということのようだ。

このムーデイ社とフィッチ社による評価は、今後、トルコに対する外国からの投資、なかでも中長期投資は、激減するということであろう。

トルコ政府や経済界は、この評価に愕然としている、と伝えられている。いまのトルコ経済は、そうでなくとも悪化しており、それが継続してもいるのだ。このためエルドアン大統領はロシアに対して、ロシア機撃墜の詫びの電話を、したほどだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:13 | この記事のURL
NO4260『誰がシリアの援助車を空爆したのか』 [2016年09月22日(Thu)]
シリアのアレッポが、いま極めて厳しい状況にある。このアレッポに食糧や医療物資を、届けようと国連が送った、援助車の多数が、空爆を受け炎上してしまった。援助車の数は、18台から30台だったと見られている。

そこで問題になるのは、述べるまでも無く、この人道援助の車に対して、どの国が空爆を行ったのか、ということだ。これは誰が考えても、許されるべきことではないのだが、国際政治の世界では、往々にしてこういう、非人道的なことが起こるのだ。

先日もアメリカ軍機が、シリアの軍事基地を空爆し、多数の死傷者を出したが、アメリカは『間違えちゃった!!』の一言で済ませている。アラブ人など虫けら同然であり、彼らが死ぬことなど問題ではない、というのがアメリカの軍や政府の人間の、感覚なのであろうか。

アメリカのペンタゴン(国防省)は、この援助車に対する、攻撃が起こったことが広まると、即座に、攻撃はロシアかシリアによるものだと断定し、アメリカの関与を否定している。それはアメリカのマスコミの力で、瞬時にして世界中に、広まることになる。そしてアメリカの主張は事実として、世界中で固定されていくのだ。

もちろん、ロシア側も同様に、自国の関与を否定し、そこには空爆時に、アメリカのドローンが飛んでいた、と発表している。ロシアはアメリカと違って、アメリカが空爆した、とは言っていない。

そのようなロシアのあいまいな対応は、後ろめたさなのか、遠慮なのか、確実な証拠がまだ手に入って、いないからなのか判らない。しかし、やがて証拠品が出てくるであろうから、どの国が空爆したかは、明らかになろう。

アレッポの空爆現場近くには、攻撃で使われた爆弾の破片が、残っているはずだからだ。そうなると、現場をくまなく調べられるのは、多数の地上軍を派兵し、この地域で力を持っているロシアと、シリアということになろう。

アメリカはもし、空爆現場からアメリカ製爆弾の、破片が出てきたら、どう言い訳するのであろうか。この場合も、マスコミを通じて、全面否定をばら撒き、アメリカは関係ないというイメージを、世界に広げるのであろうか。

先日あるブログに、ロシアは仲間が少ないので不利だ、という記事が載っていたが、アメリカ側はヨーロッパ諸国や日本など、友好諸国にアメリカの主張を受け入れさせ、犯罪行為を隠すのであろうか。

もちろん、ロシア側がやった可能性もあろう。ロシアとシリアは空爆現場から出た、とアメリカ製爆弾の破片を、他の場所から持ち込むことも出来よう。事実はいまだ不明であり、現段階での犯人断定は出来ない。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:00 | この記事のURL
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