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NO4236『トルコの政策は欧州には透けて見えている』 [2016年08月31日(Wed)]
*トルコのエルドアン大統領が難民問題や、シリアへの軍事介入で弁舌さわやかに、自国の執っている正しい政策を、宣伝しているが、どうもヨーロッパには、その嘘が通じないようだ。ヨーロッパ諸国にはトルコの政策が、ほとんど丸見えのように、透けて見えているのだろう。*

*
フランスのオランド大統領は、トルコのシリアへの軍事攻撃を、非難している。『トルコは自国の国境を守るために、軍事作戦を展開している、と言っているが、実際にはクルド攻撃でしかない。』と非難した。*

*
フランスはアメリカと一緒に、シリア問題を解決するための、合同軍に参加しているし、そこでは、クルドの役割が大きいのだ。したがって、クルドを叩こうとするトルコとは、フランスは真正面から、対立することになる。*

*
クルドのYPGはIS(ISIL)打倒にも、シリアのアサド政権への攻撃でも大活躍をしてきているのだ。それを、トルコは潰そうとしているのだから、フランスが非難するのは、当然であろう。*

*
アメリカもトルコの意思確認をする前に、『トルコとクルドが停戦合意をした。』と発表し、トルコ側が慌てて否定するという、ごたごたが起きている。アメリカは自国の国益と、国際貢献を世界にアピールするために、見切り発車をし、デマ情報を流し、結果的にそのデマに相手国を、従わせようとする傾向がある。*

*
このこととは関係外だろうが、ドイツやフランスは、『エルドアン体制下ではトルコは、EUに加盟することはありえない。』と言い始めている。これまでも、トルコをEUに加盟させるつもりはなかったが、ヨーロッパ諸国は大人のウソを、通してきていた。それがここに来て、露骨な表現に変わっているのだ。*

* それは、ヨーロッパ諸国やアメリカの、エルドアン大統領への対応が、今後、変わっていくことを、意味しているのではなかろうか。*

*
世界の問題児、強硬発言の権化のような、エルドアン大統領に欧米の指導者たちは、うんざりしていた。IS(ISIL)問題に明らかな進展が見えてきた昨今、ヨーロッパ諸国はトルコに、シリア難民問題の解決を、依頼する必要は無くなっていこう。*

*
アメリカも次第に中東への関心を弱め、トルコのインジルリク空軍基地の使用を、重視することも、止めるのではないのか。そうであれば、エルドアン大統領との関係が、悪化することは、あまり問題になるまい。トルコを含む世界の、時代は変わりつつあるのだ。*
Posted by 佐々木 良昭 at 11:25 | この記事のURL
NO4235『トルコ軍の猛攻にアメリカがクレーム』 [2016年08月30日(Tue)]
NATO軍のなかでも、最強の陸軍力を持つトルコが、シリアに侵攻した。相手はクルドのミリシアであり、名目上はIS(ISIL)にも攻撃すると言っている。しかし、実際にトルコ軍の攻撃を受けているのは、クルドのYPGのミリシアだ。

50台の戦車を連ね、装甲車や重砲をもって押しかけられては、YPGには勝ち目が無かろう。トルコの意向もあるが、アメリカはそうした冷静な判断から、YPGに対してトルコが要求しているように、ユーフラテス川の東側に移動するよう、勧めている。

これまで、YPGなどクルドのミリシアは、IS(ISIL)対抗戦でアメリカにとって。有益な援軍であった。このため、アメリカはクルドのミリシアに、武器を提供してもいた。理屈はクルドがアサド体制の敵だから、ということだ。

つまり、アメリカにとってクルドのミリシアは、アメリカのために戦う、戦闘部隊ということだったのだ。したがって、当初、トルコ軍が侵攻したとき、クルド側はアメリカが味方してくれる、と思っていたろう。しかし、実際にはアメリカはクルドに対して、ユーフラテス川の東岸に移動するよう、指示している。

だが、アメリカはクルドのミリシアを、完全には見捨てたわけではなかった。あまりにも激しいトルコ軍の、クルドに対する攻撃について、クレームを付け始めたのだ。

アメリカはトルコ軍によるクルドへの攻撃は、結果的に、IS(ISIL)に安全地帯を提供することになり、将来、立て直したIS(ISIL)がアメリカやトルコに、攻撃をかけて来る、と警告した。

それはそうであろう。ただトルコはこれまで、IS(ISIL)攻撃と称して、実はクルド攻撃を繰り返してきているのだ。それはシリアのアサド体制を打倒する上で、IS(ISIL)は好都合な存在だったからだ。また、湾岸諸国との協力関係でも、IS(ISIL)は重要な役割を、果たしていた。だからトルコは、IS(ISIL)に対して各種の便宜を、図ってきていたのだ。

そう考えると、トルコが最近言い出している、IS(ISIL)打倒はあまり意味の無い、発言かも知れない。IS(ISIL)を攻撃すると言えば、実際にはクルド攻撃であっても、世界から非難される度合いが、低いからであろう。

クルド側はトルコ軍の、今回のシリアへの侵攻は、領土的な野心がある、とも非難しているし、同様の趣旨の発言を、アサド大統領もしている。EUの議員の一人はトルコのシリア攻撃について、批判する権利は無い、と語っているがそれは、難民問題が絡んでいることから来た、リップ・サービスではないのか。

今後、トルコ軍の攻勢は、ますます激しさを増すだろうが、それにつれて各国の利害が明確になって行き、現在とは違う対応が、如実に現れてこよう。戦いは始まったばかりであり、今は判断するには早すぎるだろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:42 | この記事のURL
NO4234『リビアはシルテ奪還近い』 [2016年08月29日(Mon)]
かつて、カダフィ大佐の出身地だとされた、リビアの地中海沿岸都市シルテ市に、IS(ISIL)が侵入し拠点としていた。IS(ISIL)はここを、シリアのラッカ市に代わる、イスラム国家の首都にする、とも言っていた。それだけに、多くの戦闘員と資金、そして幹部と彼らの家族が、シルテに入った、と言われていた。

しかし、シルテはあまりにも戦略的な、位置関係にあるため、リビア統一政府はここを、奪還することに本腰を入れ、アメリカなどにも、奪還作戦支援を依頼した。アメリカ軍はヘリや戦闘機を飛ばして、シルテのIS(ISIL)攻撃を、始めることとなった。

これまで、シルテの攻防戦はトリポリに近い、ミスラタ市の戦闘員が主であったが、これに東側の政府の軍も参加し始め、IS(ISIL)側は極めて不利な戦いを、せざるを得なくなった。

そしてついに、シルテのIS(ISIL)は追い込まれ、80〜90パーセントの支配地を、失ったと言われている。IS(ISIL)が本部としていた病院も、リビア統一軍などによって奪還されている。

さてこれから先、シルテの支配はリビア側政府側に、移るのであろうか。現状からは、多分にリビア統一政府の勝利が、確実だと思われる。それは、IS(ISIL)の資金が枯渇し始めていること、その結果、IS(ISIL)側の戦闘員が戦線から離脱したり、IS(ISIL)から抜けるように、なって来ているからだ。

現在のリビア統一政府は、国連がバック・アップして結成したとされているが、これはあくまでも表向きの話であり、実際にリビア統一政府を作ったのは、アメリカ、フランス、イギリスなどであろう。

これらの国々が、そろそろリビアから蜜を吸い始めよう、としているということではないのか。そうであるとすれば、そろそろ日本もリビアへの接近を始めてもいいのではないか。

今のリビアは危険だ、と言えばその通りだが、エジプトやマルタなどで、あるいはイタリアで、リビア側の代表と、接触することもできよう。リビアとの関係改善を図るからと言って、危ない橋を渡らなければならない、ということではないのだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:40 | この記事のURL
NO4233『TUSKONを攻撃し始めたトルコ政府』 [2016年08月28日(Sun)]
トルコには中小企業を中心として結成された、TUSKONという組織がある。この組織は外国のビジネスマンを招待し、大貿易振興会議を開催してきていた。私も何度か招待されて参加したが、途上国から来たビジネスマンたちは、派手なこの会議に大喜びし、翌日に開催される取り引きの会場では、豊富なトルコ製品を見ながら、購入申し込みをしていた。

つまり、会議と称してお祭りを開催し、バイヤーを高揚させて、ビジネスを成立させていた、ということであろうか。なかなかの手法だと、感心して見ていたものだ。その参加者たちはほとんどが、会議主催者側の招待によるものであった、と思われる。

このTUSKONは、貿易振興活動だけではなかったようだ。同組織がスポンサーになって、欧米から政治家や学者たちを招待し、イスラム教とキリスト教との平和な共存を、話し合う会議も、開催していたのだ。

トルコでクーデターが起こった後、トルのエルドアン大統領は、このTUSKONの母体である、ギュレン組織を攻撃し始めたが、そうしたなかで、ベルギーのEU議員がTUSKONを攻撃し始めた。もちろん、それにTUSKONは反論している。

このトラブルをトルコ政府は活用し、TUSKON攻撃にかこつけて、ギュレン組織に対する攻撃を強めている。TUSKONはEU屋アメリカの議員や学者をトルコに招待し、彼らに有利な会議を、開催していたというのだ。

加えて、これらの会議に参加して発言する、議員や学者たちには、応分の謝礼が支払われていた、ともトルコ政府は攻撃している。つまり、EUの学者や政治家たちを、TUSKONが買収していた、と言いたいのであろう。

駐EU大使のセリム氏は、このことを取り上げ、ギュレン組織とはイスラム・カルトだと警告し、ギュレン型のイスラム国家の創設を図っている、危険な組織だと強調した。

それはトルコ政府の方針としては、行き着くべくして、辿り着いたことではあろうが、TUSKON
が攻撃対象になるということは、トルコの貿易に大きな悪影響が、出るということだ。トルコは未だに、主要輸出品目は、農産品や軽工業品であり、付加価値の高い高額商品ではない。それらの製品の輸出促進を行っていたのが、TUSKONなのだから、おのずとトルコの輸出に、大きな悪影響が出るということは、予測できよう。

ギュレンに関連するということで、多くの官僚や学者、地方自治体のトップ、ジャーナリスト、判事,警察、検事、軍幹部が更迭され、離職させられ、投獄されているが、その事はトルコという国家の、体力を破壊している、ということであろう。

今回のトルコ政府による、TUSKON.攻撃は、もっとトルコの体力を奪うことになろう。今回のクーデターとギュレン・メンバー粛清の嵐の後に、トルコを誰が立て直していくのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:27 | この記事のURL
NO4232『トルコのシリア侵攻は泥沼か』 [2016年08月27日(Sat)]
トルコ軍がシリアに越境攻撃を始めたが、これはユーフラテス川の東側に、クルドのミリシアを、追い出す作戦であり『ユーフラテスの盾作戦』と命名されている。

当初は空軍にカバーされた、450人規模のトルコ軍特殊部隊の、シリアへの越境攻撃であったが、専門家はトルコ軍のシリア攻撃には、最終的に15000人が増派されるだろう、と予測している。

戦車が送られ、空軍機が空爆を始め、自由シリア軍(FSA)が戦闘の前面に立っている、という構図のようだ。それをトルコの特殊部隊が、支援するという形なのであろう。

トルコ政府はこの作戦を、クルドはもとよりIS(ISIL)攻撃だ、としているが、メインはシリアのクルド・ミリシアであろう。ところがこのクルド・ミリシアとの戦いを、自由シリア軍(FSA)の戦闘員は、『クルド・ミリシアとの戦闘に参加したくない。』と言い出している。

それはシリアのクルド・ミリシアが、以前、シリア北部のコバネで、IS(ISIL)を撃退したことから、恐れをなしているのかもしれない。自由シリア軍(FSA)といえば聞こえはいいが、この自由シリア軍(FSA)が、いままで、まともな戦いをしたということは、聞いたことがない。トルコが丸抱えの、玩具の兵隊なのかもしれないのだ。

そうなると、結果的にトルコ軍が本腰を入れて、かからなければならない、ということになろう。そもそもこの作戦は、大分前からトルコとアメリカとの間で、話し合われてきていたようだ。情報によれば、この作戦に関する話し合いは、今年の6月から本格的に始まっていた、ということのようだ。

それがここまで遅れたのは、シリアへの軍事侵攻には、ロシア機撃墜後の露土関係の修復が、必要であったことに加え、7月にトルコでクーデターが起こったことにもよる、ということのようだ。

トルコ軍はシリアに越境攻撃を始め、ジャラブルスとそから、トルコ国境に点在する、村落を支配する計画のようであり、その結果として、70キロの国境地帯を制圧する予定だ、といわれている。

アメリカ政府はトルコ政府に対して、今回の作戦が始められたことを歓迎し、空軍支援を約束している。アメリカすればIS(ISIL)を打倒するためには、陸軍の投入が必要だが、自国軍は入れたくない、そこでトルコの陸軍を、引き出したということであろう。

アメリカやヨーロッパ諸国は、今回のトルコ軍によるシリア侵攻作戦が、長期化することを願っている、ということのようだ。つまり、それはトルコ軍が疲弊するということであり、莫大な戦費を要する、ということでもあろう。

ここに来て、トルコ政府はシリア作戦には、2年間の期間が必要だろう、と言い出している。つまり、簡単には終わらないという予測を、トルコ政府もしている、ということだ。

その2年間の戦争状態は、トルコの国内政治にどう影響するのか、トルコのPKKはこれを最高の攻撃機会と判断し、テロ攻撃を激化させるのではないのか。そうなればトルコは経済的破綻と、社会、政治的混乱の渦中に追いやられる、危険性が極めて高い、ということではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:11 | この記事のURL
NO4231『トルコ・エルドアン体制の終焉近い』 [2016年08月26日(Fri)]
これまで何度も、トルコのエルドアン体制の国民に対する、締め付けが限度を超えている、と書いてきた。そのことがあってか、トルコ人の友人から、当分、トルコを訪問しないほうがいいだろう、というアドバイスを受けた。

運が良ければ入国禁止で、空港からどこかの国へ行くよう、命令されるか、あるいは入国した後で、尋問を受けるかということが、ありうるというのだ。確かに私には、多くのギュレン派の友人がいる。そもそものトルコとの関係は、ギュレン派組織が日本に留学生を、送りたいので支援してくれ、ということから、始まったものだった。

そうした関係から、ギュレン派の内容については、よく知る数少ない日本人の一人が、自分だと思っている。多くの友人の家族が、逮捕投獄された、というニュースを聞くたびに、心痛めている。

トルコのギュレン派の人たちが訪日すると、私の意見を聞きたがって。『今後トルコはどうなるのか?』と問われる。そのたびに応えるのは『太陽は昇が必ず沈む。』と答えている。

しかし、ここに来てどうやら太陽が、本当に沈む時が来たのではないか、と思うようになった。それは確信に近いものだ。エルドアン体制が近い将来、終わりを告げる、と思うようになったのだ。


ではエルドアン体制の強みはなんだったのか?

:エルドアン大統領の個人的な魅力(カリスマ性)

:エルドアン体制下で経済が躍進した

:エルドアン体制を欧米が必要とした



簡単に言うとこういうことであろうが、エルドアン大統領のカリスマ性については、今後もあまり変わらないだろう。しかし、そのほとんどは彼の、誰か構わない暴言であり、経済的躍進によるものであろう。暴言は夏の日の冷たいビールのようなものであろう。あるいはトルコなら、ラク(ブドウから作ったアニスのエッセンスを入れた酒で、水や氷を入れると白濁する。このためライオン・ミルクとも呼ばれている)のオンザロックであろうか。その後には二日酔いの苦しみがあるのではないのか。

経済の躍進は、確かにエルドアンが首相になって以来、10年間で大躍進を遂げた。しかし、それは優秀な官僚『ギュレン派』の手腕と、民間企業の努力だった。なかでも、中小企業の努力は、目を見張るものがあった。

彼らはTUSKONと呼ばれる組織を立ち上げ、この組織が世界各地から、ビジネスマンを招待し、大ベントを開催し、貿易取引促進会を、開催していたのだ。そして、その中小企業のオーナーの多くは、ギュレン・グループのメンバーだったのだ。

しかし、そのことを無視し、大手の企業を優先する、メガプロジェクトを強引に進め、中小企業のオーナーたちをギュレンがらみで、逮捕投獄した結果、中小企業は死に体になっている。派手に見える大規模プロジェクトは、対外債務を増やしてもいるのだ。トルコの経済に対する将来的見通しは、暗いと言わざるを得まい。フィッチなどのトルコに対する評価は、下がっている。

それでも一見、トルコは活発なように見えるのは、アメリカとEU諸国との関係が、良好であったからだ。アメリカはシリアとイラクに対する対応上、トルコの役割に期待してきた。IS(ISIL)
に対する支援はもっぱら、トルコを中心にして行われ、サウジアラビアやカタールが、それを裏から支えていたのだ。

アメリカはここに来て、IS(ISIL)対応に終止符を打つ方向に、変わっている。つまり、アメリカのシリアとイラクに対する目的は、ほぼ完了したということであろう。そうなると、トルコのインジルリク空軍基地の価値は、低減することになり、場合によっては、アメリカ軍がインジルリク空軍基地を、離れるかもしれない。

事実、最近になって、元駐トルコアメリカ大使は『アメリカはインジルリク空軍基地を手放して、シリアやイラクに基地を持つべきだ。』と言い出している。それは彼個人の意見ではなく、アメリカ政府内部にそうした考えがある、ということであろう。

アメリカがトルコを、軍事同盟相手と考えなくなれば、エルドアン大統領の国際的な価値は、ゼロに等しくなるということだ。そうなれば、アメリカはサウジアラビアやカタールに対して、トルコへの経済支援は中止していい、と告げるだろう。

いまトルコには訳の分からない金が、流れ込んで来ている、だからトルコでは、あまり経済的な問題が、発生していないのだ、とトルコの友人が語っていたが、それはカタールからの金であり、その金でエルドアン体制を、支えているのだ。

EU諸国なかでもドイツとの関係は、どうであろうか。トルコはNATOのメンバー国であり、アメリカに次ぐ最大の陸軍を擁している。トルコはNATOの中東の前線基地に、なっているのだ。

加えて、シリア難民問題はドイツを始めとした、EU諸国に大きな負担となっており、流入元のトルコが阻止してくれなければ、らちがあかない状況にある。エルドアン大統領はこのことを梃に、EUに対して、60億ユーロの難民対策支援金を、要求してきたし、EUへの参加を認めろ、トルコ人のEU入国のビザを必要なくしろ(ビザ・フリー)と要求してきている。

アメリカがシリアやイラクの、IS(ISIL)問題を解決し、シリアやイラクの国内状況が安定化に向かえば、ほとんどの難民は、ヨーロッパ諸国から帰国することに、なるだろう。そうなれば、EU
諸国はトルコに、気兼ねしなくてよくなるのだ。

ドイツの国防大臣は、トルコのインジルリク空軍基地から、ドイツ機が撤収することもありうる、と語ったが、その発端は、アルメニア人虐殺をドイツ議会が、承認したことに対する、トルコの反発があったためだ。

トルコはこのアルメニア人虐殺問題があったことから、ドイツ議員のインジルリク空軍基地訪問を阻止したことが、問題の発端になっているのだ。ドイツが軍をトルコのインジルリク基地から、撤収するということについて『留まりたい。』とも語っているが、流れはすでに『さようならトルコ』ということに、なって来ているから、出た撤収発言ではないのか。

つまり、いまの段階に至って、アメリカもEU諸国も、トルコの持つ戦略的価値を、放棄する方向にあるということだ。その後のトルコは、どうなるのであろうか。経済は目に見えて悪化し、外資は流れ込まなくなり、国内ではPKKやIS(ISIL)のテロリストが跋扈し、治安は極度に悪化しよう。

エルドアン大統領はそのような将来を、全く想定しなかったのであろうか。闇雲にギュレンがらみということで、優秀な軍人や検察、警察を更迭し、あるいは投獄してきているのだ。つまり、エルドアン大統領はトルコの治安の頭脳も肉体も、自らの手で破壊してきたのだ。これでは治安対策もテロとの戦争も、有効な作戦は立てられまい。

そして、その後エルドアン体制は、血みどろのなかで、終焉を遂げるだろう、というのが私のトルコ・エルドアン体制の近未来予測だ。この予測には無理があるだろうか?あるいは読者は賛同してくれるだろうか?。

『アッラー・アアラム=アッラーのみが知っている』
Posted by 佐々木 良昭 at 11:33 | この記事のURL
NO4230『成果なしのバイデン訪土トルコ不満』 [2016年08月25日(Thu)]
アメリカのバイデン副大統領がトルコを訪問し、エルドアン大統領、ユルドルム首相、ジャウイーシュ外相、イスマイル・ハッキ国会議長らと会談した。しかし、何の成果も生まなかった、とトルコ側もアメリカも側も、判断したようだ。

特に、トルコ側はギュレン氏引き渡しについて、明確な返答が得られなかったために、不満は募っている。バイデン副大統領は『我慢しろ。』とのみ応えたようだ。それは、オバマ大統領にはギュレン氏に関する、トルコ側の提示したギュレン氏と、クーデターを結び付ける証拠が、不十分だという判断に、立っているからだ。

しかし、このことについて、トルコ側はウサーマ・ビン・ラーデンの場合は、不十分な証拠でも、軍事侵攻まで実施している、と反論している。

バイデン氏は『特定の人物の引き渡しについて、それを実施しないことは、何の利益にもならない。』とも語ってる。そして、『問題は法的に引き渡しが、合法か否かのみにかかっている。』と言ったようだ。

アメリカにしてみれば、在米のギュレン氏と、トルコで7月15日に起こったクーデターと、直接結び付ける何の証拠も無い、ということであろう。

トルコのエルドアン大統領は、当初一部の軍人が、クーデターを計画した、と説明し、次いでギュレンがそのバックで指揮していた、と言い出し、ついにはギュレン氏とCIAがクーデターを企てた、とまで語るようになった。

これでは、何の理論的筋立ても、無いではないか。単にエルドアン大統領は、彼が政敵だと考える組織や人物を、証拠も無く極悪犯のように仕立て、逮捕投獄、そして処刑したい、と望んでいるに過ぎない。

最初はエルゲネコンと呼ばれる、シャドウ・ガバメントのメンバーが、攻撃対象になり、次いで軍幹部が攻撃の対象になった。その結果、トルコ軍は正常に機能できなくなっている。

軍幹部の次に狙われたのはギュレン・グループだったが、これは政府の官僚、検察、警察、判事、教員などもターゲットにされ、多くの解雇や逮捕を生んでいることから、トルコはいま国家として、機能し難くなっているのだ。

こんなバカげたエルドアン大統領の、大粛清ゲームは近く、終わるのではないか、と予想している。それは、エルドアン大統領を取り囲む国際環境が、大きく変化してきているからだ。その事については、次回に書くことにする。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:34 | この記事のURL
NO4229『アメリカの勝手な言い分が危機を生んでいる』 [2016年08月24日(Wed)]
アメリカは合同軍なるものを結成し、シリアの内戦に勝手に介入している。ロシアの場合は正式に、シリア政府が介入を要請しての駐留であり、それに沿っての作戦行動だが、シリア政府は何も、アメリカの介入を頼んではいない。

シリア政府が軍を動かして、反体制グループに対する、攻撃を行っているが、これに対して、アメリカは限界を超えれば、シリア軍機を撃墜する、と息巻いている。それは、アメリカが勝手に派遣した、反アサド派のグループへの軍事顧問がいるからだ。

反アサド派のグループとは、シリアのクルド組織YPGや、IS(ISIL)などだが、もちろん、アメリカ政府はIS(ISIL
)に対して、軍事顧問を派遣している、とは言っていない。しかも、アメリカはこの反体制グループへの攻撃も、自国の軍事顧問に対する攻撃と、同等にみなし反撃する、と言っているのだ。

そこで問題になるのは、トルコ軍によるIS(ISIL)や、クルド・グループに対する攻撃を、アメリカはどう判断するか、ということだ。ここにも、トルコとアメリカとの間の、亀裂が見えるような気がするのだが。

アメリカが激怒し始めたのは、シリア北部に陣取っている、シリアのクルド組織YPGや、IS(ISIL)
に対するシリア空軍による、爆撃が始まったからだ。以前にも同じことが起こり、アメリカ軍機が飛び立った時は、既にシリア軍機が作戦を終えて、その場から飛び去っていた。

もし、シリア機がその場に留まっており、アメリカ軍機がこれを捉えていれば、アメリカはシリア機を撃墜していたであろうし、またその逆に、シリア機がアメリカ軍機を撃墜していた可能性も、あったであろうと思われる。

問題は、アメリカが勝手に設けた、シリア領空へのノー・フライ・ゾーンを、何処の誰が認めるかということだ。アメリカ国内ではケリー国務長官と、大統領候補のヒラリー女史が認めているが、オバマ大統領は必ずしも、このノー・フライ・ゾーンの設定を、歓迎してはいないようだ。

アメリカ軍機による攻撃がシリア機だけで終われば、問題は拡大しないだろうが、アメリカ政府はシリア機だけではなく、ロシア機も攻撃の対象にする、と言い出している点だ。

ロシアのプーチン大統領はアメリカと、事を構えようとは思っていないだろが、アメリカ側には多くの、ロシアとの戦争を望む人士がいるのだ。プーチン大統領はアメリカの勝手な発言に、応える気は無いだろう。

アメリカの戦争待望論者と、強気のプーチン大統領が、重大な危機を生み出す可能性が、あるということだ。今後、ロシア軍機とアメリカ軍機が、スクランブルを行い、その結果、どちらかの戦闘機が撃墜される、という事態も発生しうる状況に、なって来ているということではないのか。

戦略は最悪の状態を想定して、建てるべきなのが常識だ。であるとすれば、いまの状況は極めて危険だ、と判断し、今後の対応を検討する必要が、日本にもあろう。しかし、日本の官民にはそんな切迫感は、みじんもあるまい。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:34 | この記事のURL
NO4228 『中東短信』 [2016年08月23日(Tue)]
:リビア議会統一リビア政府拒否

リビア東部にあるトブルク政府の議会は、トリポリに本部を置く、国連に支援される統一リビア政府の方針を、拒否する決議を出した。内訳は101人の議員のうち、61人が反対、一人が賛成、他の39人は欠席した。このことは今後、新たな東西対立が、リビアのなかで起こることを予測させる。



:イランはロシアのイラン基地使用に中止決定

イラン政府はあまりにもあけすけに、ロシア政府がイランのハマダン空軍基地を、使用していることを明かしたため、今後、同基地の使用を禁止する決定を下した。イランにしてみれば、ロシア軍機がシリアを空爆することには、賛成なのだが、そのことはあまり公表してほしくない、ということであろう。それは多分に西側諸国を、意識したものではないかと思われる。

なおその後のイラン政府の発言からは、一時的な中止であり、近い将来、ロシア軍がイランの空軍基地を、再度使用することが認められ、再開されるものともわれる。



:クルド人結婚式の爆弾テロ

ガゼンテペで開かれていた、結婚式場に対するテロが起こり、54人の死者を出したが、当初、このテロは12歳から14歳の少年たちによって、爆弾が持ち込まれた、とみられていた。しかし、その後の調査では、どうも爆弾テロ犯はそうではなかったのではないか、という判断が出てきている。

爆弾は特殊なものであり、通常のものではない、高威力のものであったことなどから、IS(ISIL)の犯行説が、有力になってきている。ただ、今回のテロで気になるのは、ほとんどの犠牲者が、クルド人であったことだ。

以前、アンカラで起こったクルド人の集会に対するテロも、多数の犠牲者を生み出したが、それはクルド人がやはり、犠牲者のほとんどであったことから、内部犯行ではないか、という疑惑が沸いていた。



:エジプト外相イスラエルのガザ攻撃はテロではない

エジプトのシュクリー外相は、イスラエルが行ったガザ地区に対する、空爆について言及した。彼によれば、この攻撃はテロではなく、通常の軍事攻撃だということだ。これに先駆け、トルコ政府はガザ攻撃について、テロ攻撃だと非難している。もちろん、ガザのハマース・スポークスマンは『エジプトの外相は目が見えない。』と非難している。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:08 | この記事のURL
NO4227『トルコのダウトール元首相とバルク大使の関係問題化』 [2016年08月22日(Mon)]
7月15日に起こったクーデターは、その後も大きな影響を、トルコ国内外に及ぼしている。多くの官僚が逮捕投獄されているし、学者、ジャーナリスト、ビジネスマンもしかりだ。結果的に会社を政府に没収されたり、自宅から金まで巻き上げられた、ビジネスマンもいる。

ジャーナリストは真実を伝えることが、自分の命と交換であることを、よく分かっており、誰もが真実を伝えようとしなくなっている。それは司法の世界でも同じことだ。誰もがお互いに監視しあう社会に、いまのトルコはなっている。

そのような社会をどう呼ぶかは、個々にお任せするが、何やら第二次世界大戦時に、一部のヨーロッパの国々で起こっていたことに、似ていると思えるのだが。あるいはスターリンの、ソビエトの時代か。

権力による、元権力への取り締まりも、始まっている。元首相だったダウトール氏の外交顧問だった、バルク氏がここに来て、問題視されている。それは、彼がダウトール首相とギュレン氏の、会談を仲介したからだ。

この問題はギュル元大統領にも、及ぶことになる。彼もこのことを知っていたからだ。ただ、ダウトール首相のギュレン会談が、事前にギュル大統領に報告され、許可を得ていたのかどうかが、不明な状態になっている。

エルドアン大統領がもし腹を立てれば、元大統領のギュル氏や、元首相のダウトール氏も逮捕され、場合によっては、投獄されるかもしれない。

この大スキャンダルで役割を果たした、バルク大使はだけではない。多くのトルコ人外交官が、ギュレン氏との関係を、疑われ始めている。300人の外交官が、本国への帰国を命令され、取り調べを受けることが決まった。

彼らがもし、ギュレン氏と関係があったり、ギュレン氏の組織ヘズメトと、関係があったということが、明らかになれば、当然の帰結として、彼らは刑務所に送られ、資産はすべて没収され、社会人としての権利を、家族を含めて、奪われることになる。

ギュレン関係者として逮捕された本人と、家族は病院に行けず、就職が出来ず、旅行が出来ず、パスポートは剥奪され、家も資産も没収され、死亡した場合には、自分の家の墓にも埋葬されないし、イマームもジャナーザ
(死者を弔う宗教儀式)も行なってくれないのだ。

気になるのは、エルドアン大統領のこうしたやり方が、トルコそのものの可能性を、全て潰してしまうのではないのか、ということだ。経済計画を立てる人材も、それを推進ずる人材も、外交政策を立案する人材も、それを行う人材も、教育分野でも、科学分野でも、皆優秀な人材が、追放されているのだ。

このことについて、問題提起するマスコミの自由は、いまのトルコには無い。誰もが真実を語りたがらないのだ。『裸の王様』の話のように、誰かがエルドアン大統領に、間違いを直言すればいいのだが、そんなことをしたら、彼は無縁墓地に入ることになろう。恐ろしいことだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:56 | この記事のURL
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