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NO4057『エルドアン大統領の立ち位置』 [2016年02月29日(Mon)]
トルコの場合もエジプトと同様に、日本で判断していたものと現実には、やはりずれが生じていることが分かった。おおよその部分はそれで正解なのだが、微妙な部分が異なっているような気がして反省した。

エルドアン大統領の強気の発言は相変わらずであり、遂に最高裁の判決まで無視すると言い出している。ジャーナリストや学者が大量に逮捕され、投獄されていたが、これに対し、トルコの最高裁は、無罪を言い渡し、一部を釈放し始めた。

加えて、最高裁の考えでは残りの人たちについても、同様の無罪判決を出す方針のようだ。ところが、これに噛み付いたのはエルドアン大統領、彼は最高裁の無罪判決を認めない、と強弁したのだ。以前、大統領に選挙で選出された折に彼は『俺は憲法よりも上位にある。』と豪語していた。国民の過半数の支持を得たのだから、当然その権限が認められる、という発想だ。

しかし、誰が考えてもこのエルドアン大統領の発言には無理があろう。そもそも、ジャーナリストや学者が逮捕された理由は、ツイッターなどによる大統領侮辱罪であり、トルコ南東部の停戦とクルド人の保護に対する、署名活動参加などだった。

こうしたエルドアンの横暴ぶりについては、トルイコ人の相当数があきれ返っており、一部は激怒している。しかし、軍がクーデターを起こしてくれるという、国民からの期待は薄いようだ。大半の骨のある軍高官が更迭され、いまその地位にいる軍幹部は、皆エルドアンのイエス・マンたちだけだからだ。

国民はいまのエルドアン体制に逆らえる者は無く、当分エルドアン体制が続くだろう、という失望感を抱いている。ただ、それが続くか否かは、経済状態によろう。いまトルコの経済はどんどん悪化し、トルコ・リラも下がっている。

その結果、輸入物価は上がり、国内で操業する企業は、厳しい状況に置かれ、エルドアンとつながる企業だけが、利益を得られる状況にある。零細企業は相当厳しく、倒産も少なくない。

その独裁者エルドアン大統領の体制が、何処まで持つかということは、外国の彼に対する評価によろう。アメリカはシリアのクルドに、自治権の付与を構想しており、真っ向からエルドアン大統領とは、考えが違っている。

ロシアは述べるまでも無く、ロシア機撃墜以来、最悪の関係となっているし、両国はアサド体制への対応も真逆にある。経済はロシア側が断絶の方針を取っており、ロシアからの観光客はギリシャに奪われているし、農産品のトルコからの輸入も止まっている。ガスは仕方なくアゼルバイジャンから輸入する努力をしているのだ。

欧州諸国はシリア難民の問題で真っ向から対立しており、難民阻止の条件として、難民対策費の金を要求する、エルドアン大統領に激怒している。現在の関係はあくまでも、シリア難民をトルコに留めたいからに過ぎない。

つまり、欧米露各国はエルドアン体制に、ウンザリしているということだ。やがてロシアがもっと強硬に対応し、欧州も然りとなり、アメリカがエルドアン大統領を切り離せば、彼の体制は持つまい。

多くのトルコ人から『トルコはどうなるのか?』という質問を、私が逆に受ける始末だった。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:10 | この記事のURL
NO4056『シーシ・エジプト大統領の勇み足』 [2016年02月28日(Sun)]
やはり現地をちょくちょく訪ねて、現地の人の話を聞いたり、街の様子を見ることは、情勢分析をする者にとっては、大事なことのようだ。今回のエジプト訪問では、それを痛切に感じさせられた。

エジプトのシーシ大統領に対する、私なりの評価は、極めて高いものであったし、現在もその評価に変化は無い。シーシ大統領は敬虔なイスラム教徒であると同時に、軍人上がりの現実主義者でもある。

アラブの政治家を評価する場合に、必ずチェックしなければならない点は、彼が敬虔なイスラム教徒であるか否かだ。そうでなければ国民は、大統領を信用し、付いて来てくれないのだ。

たとえそれが、見せかけのものであったとしても、イスラム教に対する真摯な姿勢を示すことは、イスラム教徒がほとんどのアラブ世界にあっては、大衆に対する礼儀であり、彼らを納得させる要素となる。

第二の要素は彼が現実的な考えを持つか否かだ。イスラム教に対する信仰が強すぎて、それが政治に大きな影響を及ぼすようでは、政治は成り立たないか、国民が窮屈な生活に、追い込まれることになる。

シーシ大統領が敬虔なイスラム教徒であるということは、就任当初から親しい友人に聞いて知っていた。彼はシーシ大統領の、極めて近くにいる人物なだけに、信用できる話であった。

そして現実的な考えと、行動は早速エジプトにもたらされた。シーシ大統領はスエズ運河を航行する、船の数を増やすために、待船の必要のないように、一部を複線にする計画を建てた。

業者や官僚が言う5年で完成を、彼は1年以内に完成させろと発破をかけ、実際に1年で第二スエズ運河を完成させている。このことは彼に自信を持たせ、軍に対する信頼を強める結果となった。

エジプトの軍にはあらゆる産業の組織がある。そのなかには建設工事を担当する部門もあり、それが第二スエズ建設で力を発揮したのだ。この結果、シーシ大統領は軍に対する信頼を強めた。

問題はその先だった。軍人の優秀な人材を政府の各部署に配置し、軍人がほとんどを、コントロール出来る形にしたのだ。しかし、軍人たちは優秀であり、大統領の信頼も厚いことから、真剣にその役割を果たそうとするのだが、残念なことに、政治の場での経験が乏しかった。

普通の官僚たちの腰が引け、軍人官僚が跋扈すると、どうしても無理が生じてしまう。その状況からどの程度で、シーシ大統領が抜け出すことが出来るかが、いま問われていよう。
Posted by 佐々木 良昭 at 17:47 | この記事のURL
帰国しました [2016年02月27日(Sat)]
無事帰国しました
国内からだけ見ているとどうしてもずれが生じます、そのことを実感しました。
Posted by 佐々木 良昭 at 21:57 | この記事のURL
『エジプトの2巨星逝く』 [2016年02月19日(Fri)]
中東の20世紀をにぎわした人物は少なく無かろう、各国の大統領や国王たちがその代表格であろう。ヨルダンのフセイン国王、シリアのアサド大統領、リビアのカダフィ大佐にイラクのサダム・フセイン大統領、彼らは皆個性の強い人物たちであり、世界のマスコミを賑せもした。

しかし、国家元首とは異なり、ワン・ステップ引いた立場ではあるが、決して軽んじることのできない人たちがいた。エジプトからは二人の、まさに巨星が登場している。最近、その二人が揃って亡くなった。

マスコミ界を代表したムハンマド・ハサネイン・ヘイカル氏がそれであり、彼のアラブ・マスコミ界に与えた影響は大きかった。彼はアラブ人ジャーナリストたちにとっては巨匠であり、学ぶべき対象であったろう。

ヘイカル氏が一躍有名になったのは、彼がアブドンナーセル大統領のスピーチ・ライターになったことによろう。アラブ各国の大衆を興奮させた、ナセル大統領のスピーチ原稿は、彼によって書かれていたのだ。

その後、ヘイカル氏は情報大臣にも就任している、つまり単なるジャーナリストではなく、政策立案者でもあった、ということだ。当然のことながらヘイカル氏はナセル大統領の死後も、大きな影響力を後任のサダト大統領や、ムバーラク大統領に対して、持っていたようだ。

エジプトが生んだもう一人の巨星は、ボトロス・ボトロス・ガーリ元国連事務総長であろう。彼はエジプトのコプト・キリスト教徒の一人、つまりマイノリテイとして登場するのだが、外務担当国務大臣当時、イスラエルとの和平交渉を進めたことで、評価が固まった。

その功績もあり、彼は国連事務総長に、就任したといわれている。アラブとイスラエルとの戦争状態が、長期に渡って来ていただけに、彼に対する評価は、当然であったろう。

彼は大の日本贔屓であったことでも、知られている。ガーリ氏は日本を訪問すると、明治神宮を参拝していたといわれているし、それ以外にも、日本各地の神社を訪問していた、とも伝えられている。

ガーリ氏は日本のなかに、世界平和の雛形を、見出していたのではなかろうか。日本に学び、日本を研究することによって、世界全体を平和の方向に向けて行きたい、と思っていたのではないか。

エジプトの中にあって、コプト・キリスト教徒はマイノリテイであり、世界のなかでは日本もマイノリテイだ。そのコプト・キリスト教徒がエジプトという大国の中で、どう生きていくのかを、日本から学んでいたのかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:47 | この記事のURL
外国に行ってきます [2016年02月18日(Thu)]
各位

2月19日から27日まで中東に行ってきます。

したがってこの期間は中東TODAYを休みます。

帰国後に興味深い報告ができればと考えています。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:45 | この記事のURL
NO4054『トルコの首都アンカラで大爆発』 [2016年02月18日(Thu)]
トルコの首都アンカラ市で、昨夜6時半ごろに、車に積んだ大量の爆弾が爆発し、周囲にいた軍人や一般人28人が犠牲になり、61人が負傷した。これはアンカラ市の軍本部、首相府、議会などがある地域で起こった、テロ事件であり、相当綿密な計画が立てられて、実行されたものと思われている。

現在までの段階では、トルコ政府側は犯人の特定ができていないし、どの組織からも犯行声明が出ていない。そのため、犯人が誰なのか全くわからない状態にある。

犯行に及んだと思われる組織としては、PKK(クルド労働党)が挙げられるし、IS(ISIL)の可能性も否定できないということだ。

犯行現場から推測されることは、テロは軍を狙ったものであり、一般人に犠牲者が出たのは、偶発的な不幸であった、ということであろう。

このテロ事件が起こったことで、ダウトール首相はブリュッセル行きを、キャンセルし、エルドアン大統領もアゼルバイジャン行きを、キャンセルした。ダウトール首相のブリュッセル入りは、多分シリア難民問題を、EUとの間で話し合うことが、目的であったろうと思われる。

EU側がトルコに対して、30億ユーロの難民対策費を、援助することが決まっているが、いまだに振り込まれていない。

エルドアン大統領のアゼルバイジャン訪問は、ガスの輸入問題ではないかと思われる。トルコはロシアとの関係が悪化して以来、ロシアのガスを輸入できなくなっているからだ。

トルコの野党各党は、こうした事態が起こったのは、政府のクルド対応に問題があるからだとして、厳しく政府を非難している。トルコの最大野党CHPの党首は「シリアに武器を送るな、シリアの国内問題に口をはさむな」と語っているが、その通りであろう。

現在のような、トルコ政府のクルド人に対する弾圧が、トルコ国内でもシリアでも続けば、本来は協力的な関係に無いとしても、クルド各組織とPKKとの協力関係が拡大していく、危険性が高まろう。

今回のアンカラでのテロ事件が、単発で済めばまだいいが、もし連続してトルコの各地で、起こるようなことになれば、トルコ政府は対応のしようが無くなり、戒厳令を敷くということになるかもしれない。トルコの国内状況は、そこまで悪化しているのだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:37 | この記事のURL
NO4053『トルコの世論調査結果』 [2016年02月17日(Wed)]
最近、トルコのボアジチ大学が行った、世論調査の結果には、じつに興味深い部分がある。その結果によれば、トルコ国民の44パーセントが、トルコ国籍を維持したい、と望んでいるが、26パーセントはこの限りではない、ということだ。そして、30パーセントのトルコ国民が、外国籍を持ちたい、と望んでいるということだ。

トルコの政府の機関で、どこを信用しているのか、については、トルコ軍を信頼している、と答えた者が55パーセントと高く、次いで議会を信頼する、と答えた者の割合は43パーセント、そして33パーセントが政府を信頼する、と答えている。

トルコでは以前から、軍に対する信頼感は強い。それは社会が悪化した場合、トルコでは軍がクーデターを起こすが、その後、軍人が権力の座に、留まらないからであろう。

次いで議会に対する信頼が高いのは、野党に対する信頼であろう。そして、最後の政府に対する信頼と答えた33パーセントは、以前から、エルドアン大統領に対する信頼の、浮動票と言われている。

ヨーロパ諸国とムスリム諸国の、どちらを信頼するかについては、ヨーロッパ諸国を信頼する、と答えた者が31パーセント、ムスリム諸国と答えた者は28パーセントとなっている。つまり、トルコ人はヨーロッパ人の方を、ムスリムよりも信頼しているということだ。

経済の現状に対する意見では、満足も不満もない、と答えた者が39パーセント、不満を抱いている者の割合は24パーセントだった。トルコの昨今は貿易が低迷しており、インフレも高じていることから、もっと不満が多いように思われるが、そうではないようだ。

39パーセントの人たちは、昨年、特に経済が悪化したとは、感じていないという答えだ。

宗教の影響については、73・6パーセントの国民が、毎日の生活に影響を与えている、と答えている。18パーセントの国民は、特に宗教の重要性を、感じていないと答えた。

政府の外交については、約半分の国民が、失敗だったと感じている、という結果が出ている。政府の外交を成功と評価したのは、15パーセントに過ぎなかった。

トルコのEU加盟については、35・6パーセントの国民は、特別にメリットもデメリットも感じていないと判断している。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:00 | この記事のURL
NO4053『トルコはどのクルドと戦っているのか』 [2016年02月16日(Tue)]
トルコのエルドアン大統領は、クルド人との戦いを、宣言し続けている。彼は最後の一人を殺すまで、クルドとは妥協しない、といった激しい演説もしている。しかし、そのエルドアン大統領の言うクルド人とは、誰のことを指しているのであろうか。

大げさに言えば、トルコの国民人口の25パーセント、少なく見ても15
パーセントはクルド人であろう。彼らもまた、エルドアン大統領の抹殺の、対象ということであろうか。そうであるとすれば、エルドアン大統領の言うクルドの抹殺は、トルコ国家そのものの抹殺、ということになってしまおう。

今、エルドアン大統領が対応しているクルドには、大まかに分けて3つのグループがある。そして、国民の一部をなしているクルド人だ。

:第一のグループは、トルコが1984年以来戦い続けてきた、PKK
(クルド労働党)であり、その組織のリーダーであるアブドッラー・オジャランは、現在トルコのイムラル島にある、刑務所に収監されている。これまでエルドアン大統領側は、
PKK側と和平交渉をしてきたが、うまくいっていない。



:シリア・クルド(PYD)この組織はシリアで誕生した、シリアからのクルドの分離独立を、目指す組織であり、IS(ISIL
)とコバネで展開した戦闘では、大勝利したことで国際的に有名になった。

トルコとの関係はまさに敵対関係であり、現在もトルコ政府はPYDを、PKKの連携組織として、敵視し攻撃を加えている。この組織の下には、YPG
という武力闘争組織が存在する。



:イラク・クルド自治政府は、イラク北部を自治領として、自治政府を運営している。その自治政府のリーダーはバルザーニ議長であり、彼の家はこれまで、長い間クルドの分離独立を目指して戦ってきている。サダム・フセイン時代には大弾圧を受け、化学兵器で多数が殺害されてもいる。

サダム体制が打倒された後も、イラク中央政府との間では、石油利権をめぐる対立があり、問題を抱えたままだ。これに対して、トルコがクルド支援に回っており、トルコとクルド自治政府との関係は良好だ。

つまり、エルドアン大統領が、相手にしなければならないクルドの組織は、大まかに言って3組織であり、そのうちの2
組織は敵対関係にある。残りのイラク・クルド自治政府についても、関係は石油がらみであり、どうでも変わる不安定な関係であり、危険性があるということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:59 | この記事のURL
NO4052『悪化の一途をたどるアメリカ・トルコ関係』 [2016年02月15日(Mon)]
シリアの北部に居住するクルド族は、アメリカにとって最も有効な、対IS(ISIL)組織ということになる。確かにコバネの戦いでは、それまでシリア軍もイラク軍も勝利出来なかった、IS(ISIL)
との戦いでコバネのクルド・ミリシアは、勝利したのだ。

アメリカにしてみれば、このクルド組織PYD(政治組織)と、その下部機関である軍事部門担当のYPGは、頼もしい限りであろう。アメリカはこのPYDやYPGを使って、IS(ISIL)をコントロールすると同時に、アサド体制にも圧力をかける、という作戦であろう。

しかし、トルコにしてみれば、PYDやYPGに対する対応が、アメリカとは全く異なる。シリアのクルド組織は、トルコでテロ活動を展開している、PKK(クルド労働党)と連携する、テロ組織という判断に、立っているのだ。

トルコがPYDやYPGに対して、神経質になっているのは、シリアのクルド組織とPKKが連携して、シリア北部にクルド自治区を設立する。しかも、IS(ISIL)との戦いを口実に、次第にクルドの支配地区を、拡大することだ。

トルコ政府はクルド組織に対して、ユーフラテス川の西には来るな、と警告してきていた。ただ、今の段階でクルド組織が明確に、ユーフラテス川の西側を、支配しているという情報はない。

加えて、PKKとは異なりシリアのクルド組織PYDが、トルコのなかでテロ活動を行った、という事実はない。したがって、トルコ側の動きは、早計ということになろう。

トルコの懸念はわからないでもないが、クルド側の動きが巧妙なだけに、場合によっては完全に、アメリカやNATO諸国を、トルコは敵に回してしまう、危険性がある。

トルコの軍事行動は早計であり、しかも、アメリカとNATO諸国の、対シリアイラク作戦を邪魔するものになるからだ。クルドを使ってアサド体制を弱体化させるアメリカの作戦には、ロシアも全面的な反対は出来まい。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:48 | この記事のURL
NO4051『トルコとサウジのシリア軍事侵攻』 [2016年02月14日(Sun)]
トルコ軍とサウジアラビア軍が、シリアに陸上部隊を送り込んで、戦闘を展開する動きが、現実味を帯びてきている。このことに関しては、ロシアだけではなく、各方面から第3次世界大戦の発端になる、という警告が出ている。

それだけ、トルコやサウジアラビアが、シリアに陸上戦闘部隊を送るということが、危険なのであろう。あるいは、トルコ軍やサウジアラビア軍に限らず、これ以上シリア問題に手を出すことが、危険なのかもしれない。

トルコやサウジアラビアが、陸軍をシリア領土内に送るとなれば、当然空からの支援が、必要ということになろう。陸軍による攻撃が先なのか、空軍による攻撃が先なのかによっても、状況には大きな影響が出よう。

空軍が先に動くとなれば、その後の陸軍の進出を考慮し、猛空爆が行われることが予測できようし、逆に陸軍が先に進出するとなれば、時を同じくして軍の空爆が始まることになろう。

陸軍であれ空軍であれ、シリアに対する攻撃が始まれば、トルコもサウジアラビアも、手心は加えないのではないか。結果は大量の死傷者とインフラの破壊が起こるということであり、同時に多数の難民が、出るということであろう。

トルコはこの場合、シリアからの難民を、素直に受け入れることが、出来るのだろうか。一方では、敵として戦っているシリア人を、難民だからということで、受け入れられるのだろうか。

国際的な監視の目があり、トルコ政府は人道的な立場から、シリアからの難民を受け入れることになろうが、それには制限を加えるのではないか。最近完成したシリア領土内の難民キャンプは、その後も拡大していき、トルコとサウジアラビアの軍が、シリアに攻撃を加え始める段階では、もっと難民キャンプは大規模なものに、なっていよう。

問題は、難民キャンプとはただテントを張り、そこに寝起きできれば、いいというわけにはいかない。難民キャンプに収容した人たちに対する、あらゆるサービスが求められるのだ、食料はもとより、医療、教育なども必要なのだ。それに回す金は、サウジアラビアが出すのだろうか。

多分、トルコやサウジアラビアがシリアに、地上軍を送る段階では、難民に対するケアは、忘れられているのではないか。そうなれば、凄惨な状況がシリア国内で、発生するということであろう。

トルコとサウジアラビアには、陸軍を送った後のシナリオが、出来ていないのではないか。アサド体制を打倒したいということだけが、頭の中で拡大しているのではないか。そうであるとすれば、事態はますます、危険なものになろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:18 | この記事のURL
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