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NO4005 [2015年12月31日(Thu)]
来年のことを言うと、鬼が笑うそうだが、誰もが来年は何が起こるのか、という不安を抱いていることだろう。そこで、中東に限って、来年の予測をしてみることにした。結果がどうなるかは、
2016年の年末に判ろう。

:パレスチナは本気で戦い始める

いままで、アラファトの時代の後半も、アッバースの時代も、パレスチナ自治政府『PA
』はパレスチナへの同情を煽り、世界から援助を求め、その金のごく一部を、パレスチナ大衆に配ることによって、成り立ってきていた。

しかし、これでは問題の解決にはならない。そのため昨年ごろから、本格的な闘争が始まり、2015年はナイフを使った抵抗運動が続いた。2016
年はそれに銃器が加わるのではないか。また、ファタハや他のパレスチナ抵抗グループが、戦闘を始めるのではないかと思われる。

:トルコは危機的状況に進もう

エルドアン大統領の存在価値は、アメリカの対シリア・イラク作戦に使える駒だったからだ。しかし、ロシアのIS
に対する、本格的な攻撃が状況を一変させ、アメリカも本格的な攻撃をISに仕掛けざるを得なくなった。

また、アメリカはIS
を使って、シリアとイラクに工作しよう、と思っていたことがほぼ完了した。こうなると、アメリカはトルコを使う必要が、無くなったということだ。

アメリカは2016年に入り、エルドアン大統領とその家族や、取り巻きのスキャンダルを、大きく報じる事になろう。報道への圧力、賄賂、石油密輸、難民を使った
EUへの脅しなど、エルドアン大統領の犯罪行為は多すぎるのだ。

:エジプトは緩やかな改善に向かう

シーシ大統領はエジプトの未来を、明るくする要素を持っていると思う。彼は潔癖であり、真剣に自国の発展を模索している。2015
年に完成した第二スエズ運河は、世界経済の後退で、あまり大きな利益を生み出していないが、それは将来への投資となろう。

エジプトの中東地域における、安定した国柄は湾岸諸国や、他の地域諸国にとって、魅力的でもあろう。サウジアラビアが本格的に、エジプトに対する経済支援を進めているのも、そのためだと思われる。

エジプトの持つ外交ネット・ワークと、その底力がこれから浮上してくるのではないか。パレスチナ問題も、シリアの問題も、湾岸の安定も、エジプト抜きには考えられまい。

:リビアは次第に落ち着いていく

リビアはカダフィ大佐が殺害されて以来、未だに内乱状態が続いているが、2016年には一定の合意が生まれ、それが進むのではないか。

リビアへのISの進出も、話題になってはいるが、どうもIS
はリビア人のなかに、支持者を増やしかねているようだ。リビア人は外国人を信用しない、保守的な民族であり、ISが力で屈服させようとしても、そうは行くまい。

IS
への警戒心が、結果的にリビア人を、結束させるのではないかと思われるし、それを米仏も望んでおり、しきりに国連によるリビア人同士の、和解工作を働きかけてもいる。

:サウジアラビアが不安定になろう

サウジアラビアはアメリカの前衛として、アラブ諸国に介入してきていた。アメリカが臨む体制転覆の攻撃対象国に対して、サウジアラビアは反政府派に、莫大な支援を送ってきていた。

しかし、ISの活動が沈静化してくると、サウジアラビアの暴挙が表面に出てきて、同国は国際的な非難を、受けることになろう。

ISに参加していた、サウジアラビア人戦闘員たちは、シリアやイラクでIS
が劣勢に回り、多くのメンバーが逃げ出していることから、彼らもサウジアラビアに帰って来よう。

そうなれば、帰還IS戦党員が、サウジアラビア国内で、破壊活動を始める、ということではないか。既に、IS
のリーダーであるバグダーデイは、サウジアラビアを次の標的にする、と宣言している。

:イランはゆっくり前進

アメリカとイランとの関係が、最大の問題であったイランは、アメリカとの間で核問題に関する、一応の合意を得ていることから、ヨーロッパ諸国やアジア諸国との関係を拡大して行こう。

このことについては、アメリカも一応はクレームを付けても、あまり踏み込みはしないだろう。それはロシアの台頭が、国際政治のなかで、大きくなってきているからだ。

アメリカが余りヨーロッパ諸国やイラン、アジア諸国に、圧力を掛けるようなことになれば、アメリカは世界で孤立することになるからだ。既に、ドイツやフランスは、ロシアとの協力拡大を、模索し始めているし、そのことは、アメリカも気がついている。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:39 | この記事のURL
NO4004『今年最後の中東短信』 [2015年12月30日(Wed)]
:ISラマデイ失う

イラク軍の侵攻で、ISが押さえていたラマデイが陥落した。ISの戦闘員などはイラク北東部に逃れている模様だ。今回の作戦が成功したのは、シーア派のイラク兵が後部に立ち、スンニー派のイラク兵を前面に立てたことにあった。

イラク軍は続いてモースルのISを攻撃することになるが、この場合はクルドのミリシア・グループの協力が必要だ、と言っている。解放されたラマデイに入ったアバデイ首相はISを全てイラクから追放すると語った。

:イスラエルにISの銀行?

イスラエル国内でアラビア語やバグダーデイの標しのある100ドル札が発見された。これらは偽札ではないかということで、分析を急いでいる。イスラエル国内には、明確なIS支持者と思われるパレスチナ人が30人おり、彼らはシリアの戦闘に参加し、イスラエル国内でISの細胞を作り始めているようだ。

:レバノンで5トンの麻薬捕押収

レバノンのベイルート空港で5トンの麻薬が発見された、これはアンフェタミンなどの錠剤やハッシシだった。以前大量の麻薬を所持する、サウジの王子が逮捕されてもいるが、今回は麻薬の所有者が誰なのか、まだ明らかにされていない。

:イランが濃縮ウランをロシアに移送

イランが自国で製造した濃縮ウランをロシアに送った。これはアメリカも歓迎している。このことでアメリカ・イラン関係には、大きな改善が見られるかもしれない。

:サウジがエルドアンの子息に9900万ドル賄賂

エルドアン一家が外国や国内で、賄賂を取っていることが、何度も伝えられて来たが,今回はエルドアンの子息ビラールが主催する、TURGEV(青年教育財団)にサウジアラビアが、9900万ドルの寄付をしていたことが、CHPによって暴露された。この寄付と前後して、開発禁止の国有地での事業が、進められていた。

:サウジアラビアのイエメン戦費は53億ドル

サウジアラビアがイエメンに戦争を仕掛け、アラブ合同軍を結成した。サウジアラビアは空爆を主に行なっているが、イエメン・サウジアラビアの国境地帯では、サウジアラビアの将兵や、合同軍参加のバハレーン、アラブ首長国連邦などの将兵の死亡も伝えられている。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:49 | この記事のURL
NO4003『もうひとつの中東問題・パレスチナのいま』 [2015年12月29日(Tue)]
パレスチナ問題は中東問題のなかにあって、最も古く複雑な問題だ、とされてきていた。しかし、アラブの春革命が始まり、シリアやイラクの混乱が続くなかでは、影を薄め、国際的な関心も弱まってきていた。

国際的な関心が弱まっているとはいえ、パレスチナ問題が改善の方向に、向かっているわけではない。年々その問題は困難さを、増しているのではないか。それはパレスチナ側にとってだけではなく、イスラエル側も然りであろう。

昨年の半ば過ぎ頃からであったろうか。パレスチナ人の間では、前進が全く見られない問題の解決には、やはり武力闘争が必要だ、という意見が拡大したようだ。ガザ地区ばかりではなく、ヨルダン川西岸地区でも、武器の隠匿がイスラエル軍によって、明らかにされるということが、何度と無く続いた。

もうひとつの新たな動きは、ナイフでイスラエル人を襲うということが頻発し始めたことだ。その攻撃対象は、軍人や警察ばかりではなく、イスラエルの一般市民女性や子供も、含まれるようになった。

このため、イスラエル社会はパニック状態に陥り、イスラエル側は犯行に及ぶパレスチナ人を、負傷させて逮捕するのではなく、その場で銃殺するケースが増えている。ある若いパレスチナ人女性は、不審な動きをしただけで、何発もの銃弾を、イスラエル兵によって浴びせられ死亡した。

パレスチナ人でナイフによるテロ犯行に及び、何人が殺されたのか不明だし、何人のイスラエル人が殺されたり、負傷したのかも不明だが、今年逮捕されたパレスチナ人の数は6830人だ、とアッサフィール紙は伝えている。

パレスチナ人は現在の状態を、第三インテファーダと呼んでいる。最初のインテファーダは投石などによる、比較的穏健な抵抗であったが、それでは埒が明かない、と思ったからであろう。

イスラエル側は現状に対して、妥協するつもりは無いようだ。イスラム第三の聖地アクサ・モスクを蹂躙する、ということも起こっているし、それを破壊して、ソロモンの第三神殿を建設するという、噂も広がっている。

それが進めば、ユダヤ人とムスリムが真っ向から衝突することになり、イスラエルは国家が崩壊するかもしれない。ネタニヤフ首相の父がアメリカで既に神殿用の石材を刻んであり、イスラエル政府の建設許可さえ出れば、たちまちにして、完成するということのようだ。

また、ヨルダン川西岸地や東エルサレムには、次から次と入植地が建設されてもいる。最近も55000戸の住宅建設が決まったようだ。パレスチナ問題はますます、困難になっていくということか。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:15 | この記事のURL
NO4002『エルドアン大統領は孤立を望むのか』 [2015年12月28日(Mon)]
トルコのエルドアン大統領は、どうも他者と良好な関係を結ぶことが、苦手なようだ。あるいは、自分だけが偉い、と思っているためなのかもしれない。

与党のAKPが権力を握った当初は、外交に善隣友好を掲げ、周辺諸国とはいい関係を、構築していたのだが、次第に周辺諸国との関係は、悪化していき、いまではイランだけが、唯一普通の関係を、維持している状態だ。

そのイランについても、エルドアン大統領は噛み付き始めている。イランの対シリア政策が、気に食わないらしいのだ。エルドアン大統領は、イランがシリアのアサド大統領を支援しているために、シリア国内には幾つもの派閥が誕生し、和平を構築できなくなっている、とイランを非難した。

トルコはアメリカが展開している、シリア対応に参画しており、IS(ISIL)を始めとする、テロを攻撃している。

しかし、ロシアとイランは、アサド体制を支援しており、その他のミリシア・グループも支援している、とエルドアン大統領は決めつけている。エルドアン大統領はIS(ISIL)や、シリア・クルド民主連合などは、権力をめぐる国際闘争の、道具に過ぎないとも語っている。

これらのグループは、PKK(クルド労働党)と変わらない、テログループであり、シリア・クルド民主連合はPKKの、シリア支部に過ぎないとも語った。

エルドアン大統領の罵詈雑言は、世界的にも知られるようになっているが、ここまで来ると、一体、トルコはどの隣国と、親しい関係を作りたいのか、という疑問が湧いてくる。

なかでも、今回のイラン非難は、トルコのエネルギー事情を、悪化させるのではないか、という懸念が沸く。現在、トルコはロシアとの関係が劣悪となり、ロシアからのガス供給は、止まる危険性があるのだ。(あるいは、既に、止まる方向になっているのかもしれない)

イランからのガスや石油の供給が止まれば、トルコは他のエネルギー産出国から、輸入しなければならないのだが、それは時間と資金を必要としよう。述べるまでもなく、ガスの輸入については、ガスを液化するプラントと、液化ガス輸送のために、特別の仕様の船が必要なのだ。

一時期は、イランとの秘密の関係で、マネー・ロンダリングなどを行い、エルドアン大統領は相当利益を、得ていたはずなのだ。イランの若いビジネスマンであるザーレブは、巨額の賄賂をトルコの要人たちに送り、相当の金塊などを動かしていたし、それをエルドアン大統領は、支援していたのだ。

四面楚歌が歌いたいのであろうか??エルドアン大統領お気は確かですか?
Posted by 佐々木 良昭 at 11:33 | この記事のURL
NO4001 『バグダーデイがイスラエル・サウジ攻撃呼びかけ』 [2015年12月27日(Sun)]
IS(ISIL)のリーダーである、アブーバクル・バグダーデイが、2014
年のモースル説法以来、久しぶりに肉声のメッセージを公表した。ツイッターで伝えられた彼のメッセージには、明確にサウジアラビアとイスラエルを、攻撃することを呼びかけている。

この24分間にも及ぶメッセージは、12月26日に発出されたものであるが、それが本物だということは、12月15
日にサウジアラビアで行われた、イスラム連合軍の結成に付いても、触れているからだ。

述べるまでも無く、このイスラム連合軍はIS(ISIL)と戦うことを目的として、サウジアラビアが主導して、34
カ国で結成されたものだ。アブーバクル・バグダーデイはこのイスラム連合軍は、西側諸国を喜ばせることを、目的に結成されたものだ、と語っている。

アブーバクル・バグダーデイは、サウジアラビアの国民に対して、背教徒の暴君である、サウド王家を打倒するために立ち上がれ、と呼びかけている。

同時に、アブーバクル・バグダーデイは、イスラエルに対しても、攻撃を呼びかけた。『我々はパレスチナ人のことを片時も忘れていない。間も無く君たちはムジャーヒデーン『聖戦兵士』の足音を聞くであろう。我々は日に日に君たちに近づいている。』と語った。

またアブーバクル・バグダーデイは『アッラーがユダヤ人をイスラエルに集めたために、彼らとの戦いは容易になった。』とも語っている。

また『ユダヤ人よ!お前たちはパレスチナの土地で、楽しむことはできない。ムジャーヒデーンが間も無く、お前たちのところに来るが、お前たちは石や樹の後ろに隠れても無駄だ。パレスチナはお前たちの墓場になろう。』と語った。

何故こうまでも、アブーバクル・バグダーデイが過激な発言を、いまの時期したのであろうか。想像するに、IS(ISIL)
はロシアの攻撃で追い込まれ、シリアやイラクに、居場所がなくなりつつあるということが、一因であろう。

そのため、世界のイスラム教徒に蜂起を呼びかけ、同時多発型のテロを起こしたい、ということではないのか。可能性としてはヨーロッパでも、アラブ世界でも、それはありうる状況だ。

イスラエルでは第三インテファーダが始まっており、毎日のようにパレスチナ人による、ナイフを使った攻撃が、ユダヤ人に対して行われているし、パレスチナ人がイスラエル警察や、軍人によって殺されてもいる。

サウジアラビアにはイラク・シリアから逃れた、IS(ISIL)戦闘員が多数帰国していよう。彼らの戦いは、間も無く始まるかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:44 | この記事のURL
NO4000『ISメンバーの移動阻止される』 [2015年12月27日(Sun)]
ダマスカス近郊に集まっていた、IS(ISIL)の戦闘員とその家族たちの状況が、最近になって極めて悪化していた。シリア軍やヘズブラによる攻撃で、IS(ISIL)が窮地に追い込まれたからだ。そのため、IS(ISIL)戦闘員と彼らの家族たちが、IS(ISIL)が首都といっている、シリアのラッカ市に、移動を計画した。

移動を計画していた、IS(ISIL)の一行の人数は、2000人だと報じられていたが、どうやらこの安全地帯への移動は、思うようにいかなそうだ。レバノンのヘズブラの放送局マナーラが、IS(ISIL)
の移動は阻止される、と伝えたからだ。

それはそうであろう。もし、彼らがラッカ市に無事に移動でき、IS(ISIL)の現地の戦闘員と合流できれば、それはIS(ISIL)を攻撃する側にとって、極めて不都合な話だからだ。

ヘズブラが支配している地点に到着した、第一弾の1500人は、そこから先に行くことを阻止され、もといたダマスカスの近郊に、戻されるようだ。そうなれば、再度シリア軍などによって、攻撃されることになることは、明らかであろう。

また、ラッカ市に移動できたとしても、ラッカ市そのものが、危険な状態にあるので、再度の移動を余儀なくされよう。ラッカ市からもIS(ISIL)のメンバーが、既に逃げ出しているが、その行き先は、イラクのモースル市であり、このモースル市も、イラク軍が優位に立って攻撃しており、近くイラク軍の手に、落ちるものと思われる、

一部ではいまだに、IS(ISIL)側が有利に、戦っているところもあるようだが、それも時間の問題であろう。また、IS(ISIL)は次の拠点として、リビアを考えている、という情報が流れているが、リビアも米仏の支援がない限り、有利に戦闘を展開し、支配地域を拡大することは出来まい。

ここに来て、IS(ISIL)は大分追い込まれた、ということが言えそうだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 00:48 | この記事のURL
NO3999『ロシアがタリバンと情報交換協力』 [2015年12月26日(Sat)]
ロシアが旧敵であった、アフガニスタンのタリバンと、情報面で協力する方向に、動き出している。これはなぜ始まったのか、実に興味深いものがある。情報が流れ始めた段階であり、真相に関する情報は、まだ出ていないが、想像できることが多くあるので、それを書いてみることにした。

アフガニスタンにIS(ISIL)が、2~3000 人程度入ったという情報は、以前から流されていたが、彼らが一部のIS(ISIL)の支持を得ていることも、伝えられている。IS(ISIL)がアフガニスタンに進出したのは、麻薬取引を始めるためだ。

アフガニスタンは旧ソ連のトルクメニスタンや、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスタンに隣接していることもあり、ロシアにとっては極めて、緊急対応を要する問題であろう。

アフガニスタンにIS(ISIL)が入り込み、大きな力を持つようになれば、それは中央アジア諸国にとって、危険な状態が生み出されることになろう。また、これらの中央アジア諸国や、ロシアやコーカサスの反政府勢力が、アフガニスタンに入り込み、拠点を持つことにもなろう。

このため、ロシアは旧敵であるとはいえ、タリバンとの協力が必要になってきた、ということだ。述べるまでもなく、アメリカが支援している、アフガニスタンの正統政府には、首都カブールをかろうじて、支配する程度の力しかないから、実質的に力を持っているタリバンと、組むということであろう。

しかし、タリバンはアフガニスタンの正統政府ではないため、軍事協力や武器の供与、ロシア軍の進出といったことは、考えられない。そこでロシアが考えたのは、相互の安全のための、情報交換協力ということだ。もちろん、ロシアからタリバンへの、非合法な武器の供与は、十分ありえようし、もっと込み入った関係も構築していこう。

以前から、中央アジアの覇権をめぐり、アメリカが進出して行くだろう、という予測があった。そしてIS(ISIL)がアフガニスタンに進出したのは、まさにアメリカの尖兵としてではないのか、と考える専門家もいる。

ロシアのアフガニスタンへの新たな動きは、こうしたアメリカの動きに、対抗するものではないのか。もし、IS(ISIL)が応分の実力を、アフガニスタンで持つようになれば、アフガニスタンの麻薬は、ロシアに大量に流れ込むし、ヨーロッパ諸国にも流れ込むことになろう。その結果がどういうものになるかは、誰にも想像がつこう。

ロシアはこの情報の前に、キルギスに対して武器援助も含む、治安協力をスタートする、と発表している。そのことは、中央アジア諸国が危険水域に、近づき始めているということであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:14 | この記事のURL
NO3998『落日のISヤルムーク・キャンプを去る』 [2015年12月25日(Fri)]
シリアの首都ダマスカスに近いところに、パレスチナの難民が住んでいる、ヤルムーク・キャンプがある。そこは多数のパレスチナ人が住んでいたのだが、シリアの内戦が始まって以来、彼らは苦しい状況に追い込まれていた。

このヤルムーク・キャンプにイスラム原理主義で、アルカーイダの支部組織ヌスラが入り込み、状況は一変した。ヌスラは難民キャンプの住民に対して、彼ら流のイスラムを押し付け始めたのだ。

続いて、IS(ISIL)が入ってくると、状況はますます悪化した。当初はパレスチナ人のミリシアが抵抗し、武力闘争を展開したのだが、IS(ISIL)には勝てなかった。結果的に、ヤルムーク・キャンプは、IS(ISIL)の支配下に置かれた。

このため、ヤルムーク・キャンプのパレスチナ人難民に対する、国連機関の支援が届けられなくなった。まさに餓死寸前の状態に、パレスチナ難民たちは置かれた、ということだ。

その後、ロシアの参戦もあり、シリア軍が次第に強化されたことにより、ヤルムーク・キャンプの状況に変化が生まれ、それまで包囲する側だった、IS(ISIL)が逆に包囲される側に、立たされることとなった。

そして遂に、12月の24日を過ぎることには、ヤルムーク・キャンプからIS(ISIL)の負傷した戦闘員や家族を、脱出させる合意が生まれた。国連の仲介により、安全なうちにIS(ISIL)をヤルムーク・キャンプから、脱出させることが決まり、それが始まったのだ。

ヤルムーク・キャンプだけではなく、その近くのアルカダム、ハジャル・アスワド・キャンプからもIS(ISIL)は逃れることになった。しかし、問題は彼らがどこに逃れるか、ということだ。

IS(ISIL)が首都と宣言していた、シリアのラッカは既に崩壊しているので、そこには行けまい。ラッカからすらIS(ISIL)のメンバーは逃れ、イラクのモースルに、向かっているのだ。

しかし、このイラクのモースルすら、危険な状態になっており、イラク軍によって奪還されるのは、時間の問題であろう。そうなればIS(ISIL)のメンバーや家族が行く先は、リビアかアフガニスタンということになろう。

リビアでは国民合意ができつつあり、今後IS(ISIL)が優位に立つことはありそうにない。そうであるならば、行先はアフガニスタンということになるが、そこも安住の地ではあるまい。まさにIS(ISIL)の落日が、近づいているということであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:24 | この記事のURL
NO3997『イスタンブールの空港で爆破テロ』 [2015年12月24日(Thu)]
トルコの第二の都市イスタンブールの、アジア側にあるサビハ空港で、テロ事件と思われる、爆発事件が起きた。現段階ではその爆発が、何であったのかの、最終確認が出ていないが、ロケット弾によるものか、砲撃であろうとみられている。

空港の外には砲弾の残骸と思しきものが、あったという情報もあるが、確かなものではない。在トルコのリチャード・ムーア・イギリス大使は、ツイッターで砲撃の可能性がある、という情報を流したが、後にその部分が抹消されている。

爆破事件後、サビハ空港は通常通りに運営されている、とトルコ政府のユルドルム大臣は語り、全く通常通りに空港は機能しているし、飛行機の遅れも無い、と現状を説明しているが、トルコ政府の慌て振りは、容易に推測がつく。

しかし、今回の爆発は300
メートル離れた、他の飛行機5機にもダメージが出ていることから、あまり軽いものではなかったのではないか。そして、この事件は今後、トルコに悪い状況を生み出していくことに、つながるのではないか、と思われる。

ヨーロッパ側にある主要アタチュルク空港で、同じことが起こっていれば、外国の観光客はトルコを、避けるようになろう。そうでなくとも、トルコは苦しい経済状態のなかで、観光客の足が向かなくなれば、トルコの経済はより厳しいものになることは、容易に予想がつこう。

現段階では今回の爆弾テロについて、いまだに犯行声明は、何処の組織からも出ていないが、クルドの組織、左翼の組織、イスラム原理主義組織などによる犯行ではないか、と推測されている。

そのなかで、クルドの組織によるものではないか、という疑惑が広がろう。トルコ南東部では、トルコ軍や警察による、クルド人に対する攻撃と、テロ狩りが厳しく行われており、トルコ側にもクルド側にも、多数の死傷者が出ているからだ。そうした状況は、日に日に悪化しているのだ。

当然のこととして、クルド側の怒りは拡大しており、今後はますます双方の関係が、険悪になって行くものと思われる。PKK(クルド労働党)
による、トルコ軍や警察に対するテロも、次第に増えてもいる。

エルドアン大統領は政府の方針に反対する、野党議員は裏切り者だ、とCHP
を始めとする野党議を、激しく非難しているが、そんなことを言っている余裕は、トルコ政府にはなかろう。

悪化する経済状態、アメリカのトルコに対する冷遇、ロシアの敵対的立場、PKK
のテロ拡大など、トルコはいま多くの難問を抱えているのだ。そうした事情が、今回のようなテロを起こさせているのではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:23 | この記事のURL
NO3996『与党AKP幹部がクルドの自治認める発言』 [2015年12月23日(Wed)]
トルコ南東部の街、デヤルバクルの与党AKPの幹部が、クルド人に自治を認めるつもりがある、という内容の発言をした。このことは画期的なことであり、少なからぬショックを、与党内部にも引き起こしているようだ。

デヤルバクルのAKP幹部ガリプ・エンサリオール氏が、クルドの自治を認める内容の発言をしたのに対し、AKP本部の副議長であるセルジュク・オズダウル氏は、この発言を馬鹿げていると語り、否定している。

クルド側のムラト・カラヤン氏は、この発言を一部歓迎しながらも『クルドの第一の要求は、PKK
議長アブドッラー・オジャラン氏の釈放であり、次いで自治の問題だ。』と語っている。

何故、AKP本部の意見と、デヤルバクルのAKPの意見とが、食い違っているのかについては、種々のケースが推測できよう。トルコ南東部の最近の状況が、あまりにも酷すぎるために、現地のAKP
幹部は何とか状況を沈めようとして、アドバルーンをクルドと政府に対して、揚げたということだ。

第二に考えられるのは、完全な意見の食い違いが、AKP本部とデヤルバクルのAKPとの間で、発生しているということだ。だが、いまの段階ではダウトール首相も、エルドアン大統領もこの問題については、発言していない。最終的な判断は、そのいずれかの意見が、出されてからであろう。

トルコ南東部では、日増しにPKKによる、テロ攻撃が増えており、軍人や警官だけではなく、一般市民も犠牲になっている。そろそろ、何らかの手を政府が打たなければ、今後、ますますテロが激化し、最後にはトルコ国内の内戦に、つながる危険性もあろう。

今回のデヤルバクルのAKP幹部、ガリプ・エンサリオール氏の発言は、現場の窮状を理解している、立場からのものではないのか。そのことは、トルコの南東部がいま、極めて危険な状態に、突入しつつある、ということではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 22:45 | この記事のURL
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