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NO・3133『石油開発合意エジプトに朗報』 [2014年03月21日(Fri)]

 以前から納得がいかなかった、エジプトの石油ガス埋蔵の問題が、やっと動き出すようだ。常識的に考えれば、エジプトの西に位置するリビアが産油国であり、トルコ、シリア、イスラエル、ガザの海底にはガスがあり、紅海を挟んだ対岸のサウジアラビアには石油があるのに、何故エジプトだけに無いのか、ということだった。
 それは多分に、エジプトが持つ軍事的底力を恐れて、資金的余裕を持たせない、という政治的な意図が働いていたからではないのか、と思ってきた。エジプトで石油やガス資源が開発され豊かになれば、エジプト政府は巨額の軍事投資が可能になり、たちまちにして軍事大国になるからだ。それはイスラエルにとっても欧米にとっても、歓迎できないことであったろう。
 しかし、時代が全ての状況を変化させ、エジプトでも本格的な石油ガス開発が始まるようだ。イギリスのB社、カナダのシー・ドラゴン社がエジプトとの間で、資源開発の合意を交わしたのだ。
 エジプト側からはイガス社(エジプト・ガス社)が対応するが、ナイル・デルタのダスーク地区で、石油開発のため3本試掘するようだ。
 BP社は地中海の海底油田地帯2箇所で、試掘を始めるようだ。BPは北マクス地区の開発に、3億300万ドルを投資することになっているし、もう一箇所の北タネイン地区には、3億7000万ドルを投資することになった。
 他方、シー・ドラゴン社は3本の試掘に、1700万ドルを投入することで、エジプト側と合意している。
 エジプト政府にしてみれば、今回の外国企業による、石油ガス試掘への動きは、大歓迎であろう。今回の試掘地域だけではなく、その他の地域でも石油ガス資源の開発に、弾みがつこうというものだ。
 度重なる革命の中で、エジプトは経済的に相当ダメージを受けたが、ここに来て、湾岸諸国を始めとする、友好国からの投資が増え、外貨事情は大幅に改善されたし、株価も上昇している。
 近く行われる大統領選挙では、シーシ国防大臣が大統領に選ばれようが、これら全ては、エジプトの今後に希望を持たせる兆候ではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:47 | この記事のURL
NO3132『パレスチナが産油国になる夢の計画』 [2014年03月20日(Thu)]

パレスチナ自治政府が火曜日に発表したところによれば、パレスチナ自治政府はヨルダン川西岸で、石油掘削を始めるということのようだ。その場所はイスラエルとの国境に近い位置らしい。
パレスチナ自治政府は400平方キロメートルを、石油開発の区域と考えており、早晩掘削を始めることになるのだろうが、外国の石油会社との合意に基づいて進めるのではないか。パレスチナ自治政府には、石油開発を進めるに十分な資金も、技術も無いと思うからだ。
パレスチナ自治政府がヨルダン川西岸地区での、石油開発を思い立ったのは、ヨルダン川西岸地区に接するイスラエル領内で、小型の油田開発がなされ、実際に石油が出ているからだろう。
パレスチナ自治政府はこのヨルダン川西岸地区の、400平方キロメートルのエリアには、3000万バーレルから1・86億バーレルの原油が、眠っているだろうと推測している。つまり、国際的にみて規模的にはそれほど大きくはないが、パレスチナ自治政府にしてみれば、石油開発は大きな夢であろう。
問題は、現在イスラエルが小規模の油田を運営しているわけであり、もし、その油田に隣接するところであれば、同じコップから二人がジュースを飲むのと、同じことになろう。そうなると、パレスチナ自治政府の石油開発に、どうイスラエルが関与してくるかだ。
イスラエル側はそれを意識してか、イスラエルのギボト・オラン石油会社の幹部 ギオラ・エイランド氏が、パレスチナ領土内の原油には、全く手を出していないと語っている
パレスチナ自治政府が石油開発を発表した裏には、それなりの政治的な駆け引きが、あるのかもしれない。イスラエル沿岸には海底ガス田があり、既に開発が進み、生産段階に入っている。陸地には石油があることが分かった段階で、パレスチナ自治政府は取り敢えず手を挙げておこう、ということかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:02 | この記事のURL
NO・3131『実質解体に向かうGCC』 [2014年03月19日(Wed)]

日本では『お金持ち喧嘩せず』と言うが、アラブ湾岸諸国ではそうでもないようだ。一時期は、まさに一体だったアラブ湾岸諸国の間に亀裂が走り、修復が極めて困難になってきている。
そのため、湾岸諸国会議【GCC】は実質的に、分裂した状態となっている。その第一の原因は、カタールの暴走にあるようだ。同国は湾岸諸国の中にあって、大量のガスを産出する国としてデビューし、たちまち金満国家になった。
カタールの国内には巨大なアメリカ軍の基地があることから、カタールは対外的に、強気の姿勢を維持している。そして、この国が持つアルジャズイーラ・テレビは、アラブの春革命を煽り、アラブ諸国を不安定化させてきている。
しかし、そうしたカタールの対外姿勢は、サウジアラビアを激怒させたようだ。第一には、サウジアラビアが危険視している、ムスリム同胞団に安全地帯を提供し、ムスリム同胞団の重鎮であるカルダーウイ師を、長期間滞在させアルジャズイーラ・テレビを通じ、彼にイスラム法の番組を提供している。
そのことは、サウジアラビアにとっては、許せないことであろうし、カタールのエジプト現政府に対する非難も、同盟国であるサウジアラビアには、許しがたいことであろう。
第二には、カタールのイランへの接近だ。カタールはサウジアラビアが地域で、最も警戒しているイランとの、関係改善に動いていることだ。カタールからはトップ・レベルの特使がイランのテヘランを訪問し、イランの実質的国家元首である、ハメネイ師と会談している。
そこで問題になるのは、何故カタールがサウジアラビアや他の湾岸諸国にとって、不愉快な行動をとっているのか、ということだ。多分にアメリカの意向が、働いているのではないかと思われる。
アメリカはムスリム同胞団を支えることにより、アラブ諸国に混乱を起こし、政権の弱体化を図っている、という推測がアラブ諸国で広がっていた。その先兵として、カタールはアルジャズイーラ・テレビを駆使し、革命を煽ってきたということだ。
イランへの接近も、最近のアメリカの立場を擁護しているのではないかと思われる。カタールがアメリカの影のメッセンジャー役を、果たしているとも、十分に推測できるのではないのか。
カタールに加え、オマーンもGCCの立場から離脱し、イランとの接近を図っている。イランとオマーンとの間では、相互にトップ・レベルの訪問が実現し、経済軍事面での協力拡大が進められている。
オマーンとイランとの関係は、1970年代からのものであり、オマーン政府を支援したのは、イランであったことを考えると、オマーンのイランとの関係強化の動きは、ごく自然なものであるかもしれない。オマーンはイランとアメリカとの関係でも、仲介役を果たしている。
湾岸諸国の結束が弱くなることは、アメリカにとって極めて、好都合なことであろう。アメリカは個別に交渉が出来、そこでは湾岸各国は弱い立場に、立たされることになるからだ。
アメリカはいまターゲットにした国を分割し、統治する計画を進めているのではないか。しかも、その分割に当たっては、地下資源の多い地域を、分離独立させることにより、より支配が容易になるように、工作しているのではないだろうか。
リビアは東西に分離した状態になっており、石油資源は東部に集中している。トルコの東部には石油ガス資源があると言われているが、この地域はクルド人が多数を占めている。
イラクのクルド地域も石油の、莫大な埋蔵がある地域である。サウジアラビアのアルカテイーフ地域も、サウジアラビアのほとんどの石油が、眠っている地域だ。これは単なる私の夢想であろうか?
Posted by 佐々木 良昭 at 11:43 | この記事のURL
NO・3130 『もう出たエジプト大統領選挙予想』 [2014年03月17日(Mon)]

エジプトでは7月17日以前に、大統領選挙が実施される、とアドリー・マンスール大統領が発表しているが、それに先立ち4カ月以上前の現時点で、選挙結果予想が発表された。
バスイーラ・センターが行った世論調査によれば、シーシ国防相の圧倒的な勝利になるようだ。バスイーラ・センターは18歳から30歳の国民2062人を対象に聞き取り調査をしたところ、93パーセントがこの調査に応じたということだ。
この調査の結果によれば、16パーセントが選挙に参加しないと答え、6パーセントは投票しに行くか行かないか、決めていないということだ。
調査の結果、シーシ国防相に投票すると答えたのは51パーセント、対抗馬のハムダーン・サッバーヒ氏に投票すると答えたのは、1パーセントだったという結果になっている。
両者以外には、アムル・ムーサ氏への投票、と語ったのは0・13パーセント、アブルフットーフ氏に投票すると答えたのは、0・3パーセントだったが、45パーセントが誰に投票すべきか、迷っているという答えだったようだ。
若者の間には、今回の大統領選挙への関心が、弱いという結果が出ている。
ハムダーン・サッバーヒ氏は最初に、大統領選挙に立候補する、と宣言したのだが、どうも支持が増えていなそうだ。
選挙結果が選挙前の段階から、ほぼ予想できるということが、あえてハムダーン・サッバーヒ支持を、口にさせないのかもしれない。
マンスール大統領は『今回の選挙には事前に何もなされていない。』という発言をし、あくまでも公平な選挙、きれいな選挙が行われる、と語ってはいるが、結果がこうもはっきりしたのでは、面白味がなさそうだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:34 | この記事のURL
NO・3129『エジプトは安定に向かっているのか』 [2014年03月16日(Sun)]

 エジプトの経済状態は、湾岸諸国からの巨額の援助で、だいぶ改善に向かいつつあるようだ。サウジアラビアはエジプトがロシアから輸入する、兵器代金を肩代わりする、と発表している。
 幾つかの湾岸諸国からの、投資案件も出てきており、それに加え、シーシ国防大臣がアラブ首長国連邦との協力で、貧困者用住宅を多数建設する、ということも発表されている。
 エジプトの外貨準備が増え、株価も上昇傾向にある。つまり多くの分野で、エジプトは改善に向かっているということだが、問題はエジプトの経済発展の核心である、観光業がいまだに振るわないことだ。
 それはムスリム同胞団と、その系列のイスラム過激派組織による、テロ事件が続いているからであろう。観光業が復活しない限り、エジプトの大衆が経済改善を、実感することはできまい。
 ムスリム同胞団はまさに、この点を突いて攻めているのだ。ムスリム同胞団の資金が凍結されているいま,ムスリム同胞団が大規模なデモを、実施することはできない。そのために、テロ攻撃を活発化させているのであろう。
 最近では、兵士が乗るバスが攻撃され、兵士1人が死亡している。そのことに続いて、カイロのシュブラ・アルハイマ地区では、軍のチェック・ポイントに対する、爆弾テロが実行され、6人の兵士が犠牲になっている。
 もちろん、ムスリム同胞団はこれらのテロとは、何の関係もないと言っているが、以前シナイ半島で起こったテロでは、アンサール・ベイト・ル・マクデス組織が犯行声明を出している。
述べるまでもなく、アンサール・ベイト・ル・マクデス組織は、ムスリム同胞団の系列の組織だ。あるいはガザのハマースのような、スリム同胞団の別働隊なのかもしれない。
 ここに来て、ムスリム同胞団によるテロ活動が、活発化しているのは、述べるまでも無い、エジプトの大統領選挙が、近づいているからだ。シーシ国防大臣が大統領に選出されるのはほぼ確実だが、そうなれば、ムスリム同胞団への圧力が強化されようし、ムスリム同胞団の将来はほぼ無くなる、ということであろう。
 ムスリム同胞団によるテロが頻発している、カイロとエジプトを混乱に向かっていると判断するか、あるいはそうではなくて、ムスリム同胞団による最後のあがきであり、その後には安定の時が来る、と判断するのかは、きわめて困難というのが、一般的な評価であろう。しかし、私はあえて後者だと言いたい。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:38 | この記事のURL
NO・3128『愚かなエルドアン首相の発言が火に油を注ぐ』 [2014年03月16日(Sun)]
 昨年の夏にイスタンブールのゲジ公園を、巨大なショッピング・モールにするという計画に反対する大衆デモが起こった。イスタンブールっ子にすれば、この計画は受け入れがたいことだったのだ。
 エルドアン首相が反対デモに対し、強権を発動したことで犠牲者が出た。このため反政府デモは瞬時にして、全国に広がっていった。
 その後は、昨年12月からエルドアン首相と彼の家族、閣僚とその家族に絡む汚職事件が、大きな社会問題となって、今日に至っている。エルドアン首相はこの汚職スキャンダルを隠蔽するために、多くの有能な検察幹部と、警察幹部を左遷した。そのことによって汚職事件の捜査を止めようとしたのだ。
 それだけでは自分の立場を守れない、と考えたエルドアン首相は、マスコミを弾圧し、自由な報道を差し止め、エルドアン支持の記事を書かせ、テレビにも報道させた。
 加えて、法権力の上により強い、法権力を有する組織を作ったのだ。それが検察警察最高委員会(HSYK)だった。トルコ国民はこうした不法を、法律化していくエルドアン首相の動きを、ギュル大統領が阻止してくれる、と期待したのだが、ギュル大統領は止めようとしなかった。
 つまり、トルコ国民の期待は全て消え去ってしまったのだ。政府に対する不信は与党に対する不信となり、3月末に行われる地方選挙で、決定的な与党敗北の結果が出るだろう、と予測されるようになった。
 そうした反政府の機運が盛り上がっているなかで、不幸なことが起こった。昨年夏のゲジ公園をめぐる大規模デモが起こった際、エルドアン首相は力で抑え込んだわけだが、警察の強硬対応の中で、一人の少年が重傷を負っていた。
彼はパンを買いに出かけ、偶然デモ隊のそばを通り過ぎただけだったのだが、警察が放った催涙弾が彼の頭に命中し、意識のない状態になった。その少年が死亡したのだ。トルコ国民は少年の死亡で、警察とエルドアン首相に対する怒りを爆発させ、大規模デモを起こした。デモはトルコ中に広がったのだ。
エルドアン首相に対する抗議デモに対し、実に愚かな発言をエルドアン首相がしたのだ。その発言はトルコ国民の怒りの炎に、油を注ぐ結果となるだろう。エルドアン首相は警察の催涙弾が命中して、重体にあった少年が死亡すると『あの少年はテロリストのメンバーだった。』と言い訳をし、警察をかばい攻撃が正当だったという説明をしたのだ。犠牲になったその少年の名はベルキン・エルワン、たった14歳だった。
Posted by 佐々木 良昭 at 00:01 | この記事のURL
NO・3127『ケリー国務長官アサド大統領を評価?』 [2014年03月14日(Fri)]
アメリカのケリー国務長官が、外交委員会の席上で、シリアのアサド大統領を評価する発言をした。彼は『アサド大統領の対応は、以前に比べてよくなっている。しかし、それは安定的なものではないということだ。危機は軍事力では解決できない。』と語った。
ケリー国務長官がこの発言をした裏には、シリア難民問題が周辺諸国に、相当な重荷になってきている、ということがあるのであろう。例えばヨルダンの場合、90万人のシリア難民が入っていると言われるが、実質は100万人を超えているだろうと見られている。
シリア難民がアパートを借りるために、ヨルダンの家賃は上昇しているし、シリア難民が購入するために消費物資も値上がりしている。加えてシリア難民が生活を維持するために、あらゆる仕事に就こうと懸命になっているため、シリア難民に対する賃金は抑え込まれ、それがヨルダン国民の収入にも、影響を与えている。
アメリカは中東でイスラエルに次いで、信頼できるヨルダンの苦境を、放置できないだろう。そうなると、資金的な援助が頭に浮かぶのだが、アメリカにとっては相当苦しい台所事情であることから、ヨルダンが求める額を援助できるとは限らない。
そうしたアメリカの事情と周辺諸国の事情が、あるいは今回の発言を、ケリー国務長官にさせたのかもしれない。そのことは、アメリカが今後ますます話し合いによる、問題の解決にシフトしていく、ということであろう。
これまでシリアの内戦で、反政府派に支援を送っていた、サウジアラビアやカタールが、相当援助を減らしてきている、ということもあろう。
シリア問題を軍事力ではなく、話し合いで解決するとなれば、反政府派がまとまれるのか、誰が実際に一番影響力を持っているのか、ということを再度検討しなければなるまい。
アメリカがいい加減な代表を反政府派から立てて、シリア政府と交渉すれば、たちまちにして反政府は、内部で対立が起ころう。そうなれば有利なのは、アサド体制側ということになる。
もし、アメリカがアフガニスタンの、カルザイのような人物を代表に立てれば、汚職がはびこることになろうから、金銭的なトラブルが反政府派内部で、広がる可能性が高かろう。
アメリカはシリアへの介入で、完全に壁に突き当たったということであろうか。 最近のアメリカは雑なゲームを、やり過ぎているのかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:04 | この記事のURL
NO・3126『アリー・ゼイダーン首相の逃亡とリビア内情』 [2014年03月13日(Thu)]
突然、リビアのアリー・ゼイダーン首相が、リビアからヨーロッパに逃亡したようだ。逃亡と書いたのはそれなりに理由がある。彼の出国は禁じられていたのだが、アリー・ゼイダーン首相は小規模な、マイーテカ空軍基地からマルタに出国した。
このマイーテカ空軍基地の管理は、ズインタンのミリシアが担当しているということだが、ズインタンと言えばサイフルイスラームが、軟禁されている場所だ。そこには何らかの関係があるのかもしれない。
アリー・ゼイダーン首相が出国禁止になったのは、収賄と公金横領の疑いがある為だ、と説明されている。しかし、彼は首相の座から降ろされた後、警備が付かないために、リビアのイスラム・グループによる暗殺を恐れての、逃亡ということであるようだ。なお、出国禁止命令はアブドルカーデル・ラドワーン検察庁長官によって、出されていたようだ。
アリー・ゼイダーン氏の乗った飛行機が、マルタに着陸したのは、単なる給油目的であったようだが、彼はマルタのジョセフ・ムスカト首相と会談している。会談理由は、あくまでも二人が友人同士であり、政治的な意図は無い、とマルタ側は説明している。
マルタを出た後の、アリー・ゼイダーン氏の足取りは、ドイツに向かっているが、それは彼がカダフィ体制下で、1980年代にドイツに渡り、ドイツ国籍を取得していたためだ。
アリー・ゼイダーン氏が首相職を追われた後、臨時首相にアブドッラ―・シンニ―国防相が就任しているが、彼は臨時であって本当の実力者は、他に居ると言われている。
現段階でのリビアの本当の実力者は、国民議会のトップであるヌーリー・アブー・サフメイン氏のようだ。実はシルテ湾の北朝鮮のタンカーを、拿捕するように命じたのは、アリー・ゼイダーン首相ではなく彼だった、ということにようだ。
リビアの国軍は十分な数と装備を、持つに至っていないため、政府支持派のミリシアが、その不足分を埋めているが、ミリシアはヌーリー・アブー・サフメイン氏支持なのであろう。
今後のリビアの動向を考えると、アリー・ゼイダーン氏が懸念している通りかもしれない。彼は『今後イスラミストが力を持つようになり、彼らによってリビアは支配される危険がある。そうなれば国家の利益は、侵されることになろう。』と語っている。そのイスラミストとは、ムスリム同胞団のことであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:26 | この記事のURL
NO・3125『チョット間の抜けたリビア石油密輸話』 [2014年03月12日(Wed)]
北朝鮮のモーニング・グローリー号という名の石油タンカーが、リビアの東部にあるシドラ湾の港に停泊していた。述べるまでもなく、リビアの原油を積み出すためだった。
リビアの東部は未だに東部地域分離派が支配しており、リビアの中央政府に関係なく、石油の輸出をするということだ。石油地帯のほとんどがリビアの東部にあるために、東部地域は分離独立、少なくとも高度な自治権を獲得したいと考えて、中央政府に抵抗してきていた。
今回の北朝鮮への原油輸出は、我慢できなくなった東部が、強行突破を図ったということであろう。モーニング・グローリー号には、およそ234000バーレルの原油が、積まれていたということだ。
積み込みを終われば、タンカーは当然のこととして、シドラ湾を離れることになるが、リビア政府軍がこれを阻止しようと動いた。しかし、大型タンカーはそのリビア海軍の阻止網を抜けて、公海上に達したようだ。もちろん、、リビア政府は公海には至っていない、と言っているが多分嘘であろう。
なぜこのような、間抜けなことが起こったのであろうか。リビア政府の説明のよれば、気候が悪く海が荒れていたために、小型の警備艇ぐらいでは、正常な活動ができなかったからだ、ということらしい。
リビア政府は海軍だけではなく、空軍も阻止活動を行った、、つまり全力を尽くしたのだと説明している。この場合、まともな作戦を立てられる人物が、軍の中には居ないということと、軍人の訓練の度合いが低い事があげられよう。
そもそも、リビア東部では昨年の8月以来、3つの主要な港が東部分離派によって、支配されてきていたということだ。その奪還作戦はどうなっていたのであろうか。東部分離派のミリシアが強いということであるとしても、基本的にはリビア軍が機能できていない、ということであろう。
この密輸船の捕獲が出来なかったことは、リビアの国会で大問題になっている。当然であろう、リビアの国家収入のほとんどが、石油輸出に依存しているわけであり、今回のような東部のグループによる、勝手な石油輸出が今後も続けば、リビアでは東西の経済的アンバランスが起ころう。それは政治的不安定を増長することになるのは、目に見えている。
このため、リビア国会はアリー・ゼイダーン首相を更迭し、臨時首相に国防大臣を充てることを決定した。アブドッラ―・アルシンニーがその人物だ。しかし、彼に国会はなぜ今回の捕獲作戦の責任を問わないのであろうか。そこにも部族間対立が、影を落としているということか。そうだとすると、リビアはまだまだ国家を、統一できないということか。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:00 | この記事のURL
本出しました [2014年03月12日(Wed)]
各位へ
2月末に今年最初の本を出しました。
今回の本は高校生が読んでも十分理解できる内容で読みやすい本です。
お友達にもご紹介ください。佐々木拝
本のタイトル:『日本人が知らなかった中東の謎』
出版社:海竜社
値段:税込み1260円
Posted by 佐々木 良昭 at 12:03 | この記事のURL