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NO・3027『トルコで穏健な内戦が始まった』 [2013年11月29日(Fri)]
トルコの予備校と言うか私学の閉鎖が、突然エルドアン首相によって宣言された。このことはその後大きな社会問題となっている。政府が教育省の幹部を各地に派遣し、私学経営者との対話を行うのだが、今までのところその全てがうまくいっていないようだ。
それは、私学経営者たちが会議をボイコットし、退場してしまうからだ。この会議は対話ではなく、エルドアン首相の意向を伝えるためのものにすぎないことから、無理もなかろう。私学経営者はあまりもうからない学校経営に、これまで頑張ってきた人たちであり、それが禁止されれば、明日からやることが無くなってしまうのだ。もちろん生計の立てようもなくなろう。
日本でもそうだが、予備校は高校や大学進学で、必要な組織なのだ。予備校に通うことで浪人学生には、高校や大学受験の再挑戦の機会と、能力が備わるのだ。それがなくなれば浪人生は、自分で勉強せざるを得なくなろう。予備校は新しい試験の内容や法律の変更など、細かい情報を提供してもくれるのだ。
あるトルコの教育評論家は、『アメリカのオバマ大統領でも、予備校の運営を止める権利はない。個人起業家の経済活動を、政府が禁止する権利はない。』と主張している。
またある経済専門家は、予備校から政府が聴取している税金、3・5億トル・コリラ(140億円程度か)が入らなくなる。その収入を政府は一般の税金で補うのか、と噛みついている。
今回の私学閉鎖問題は、実際のところ政治的な理由によるものであり、教育的理由によって、生じたものではないと思う。トルコではヒズメト(ギュレン氏が代表)の各種学校が、全国的に展開されており、クルド地区にもこの組織の学校が存在する。
ヒズメトは教育を通じて、トルコ国民の生活を向上させる下地を作ることと、教育の機会均等を進めているのだ。クルド人のトルコ政府に対する反発を和らげる意味でも、重要だと考えている。
そしてヒズメトは中央アジアやアラブの国々でも、教育産業を展開している。それらはおおむね成功しているようだ。
そのヒズメトの活動に対する賛同者が、トルコ国内では多数いるために、エルドアン首相はヒズメトの代表者である、ギュレン氏のトルコ国民への影響力が、拡大していくことを恐れたのであろう。
エルドアン首相にとって、今一番恐ろしいのはエジプトで起こったクーデターが、自国でも起こることであり、もう一つはヒズメト組織なのだ。しかし、教育産業はそこに通わせる父兄、そこで働く教職員、そして学生たちに直結する問題なだけに、エルドアン首相が考えているほど、首相という権限をもってしても、簡単にひねり潰すことはできまい。
そんなことをすれば、次期選挙で与党AKPは大敗するのではないのか。ヒズメトのギュレン代表は『穏健な抵抗を続けろ、抵抗をやめてはいけない。』と指示した。これはエルドアン体制に対する、真正面からの挑戦であろう。
参考までに申し上げれば、トルコ国民の中でこのヒズメトの支持者が、多く見積もると3分の1、少なく見積もっても5分の1だといわれている。さすがのエルドアン首相も、ヒズメトに勝てるだろうか、という疑問が沸いてくるのだが。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:11 | この記事のURL
NO・3026 『エジプトのシーシ国防相マン・オブ・ザ・イヤーか?』 [2013年11月28日(Thu)]
タイムが主催する恒例のマン・オブ・ザ・イヤーでエジプトのシーシ国防大臣とトルコのエルドアン首相が張り合っている。
現時点ではシーシ国防大臣が56パーセント、エルドアン首相が44パーセントの支持を集めているということだ。
ただ、支持投票は12月の6日まで行われるので、現段階ではシーシ国防大臣の勝利は不明だ。
しかし,以前アラブの歌手のコンテストがあった時、エジプトの歌手と他のアラブの歌手が競り合いになり、エジプト国民が熱狂して、多数がエジプト人の歌手に投票し、その歌手を優勝させたといういきさつがある。
今回の場合も、人口差で勝るエジプトが、こぞってシーシ国防大臣に投票すれば、彼がマン・オブ・ザ・イヤーになるかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:04 | この記事のURL
NO・3025『リビア混沌の中でカダフィ派が動き出すか』 [2013年11月28日(Thu)]
2日前のアルハヤート紙のブログが伝えたところによれば、リビア南部の軍事基地でカダフィ派のミリシアが、武器を大量に確保したという情報があった。その武器は機関銃だけではなく、臼砲やロケットも含まれていたというのだ。
つまり、カダフィ派のミリシアは、本格的な戦闘ができる状態になった、ということであろう。これまでもカダフィ派の動向については、断片的な情報が流れていたが、いま一つ核心に迫るものではなかった。
カダフィ派がこれまで、本格的な動きに出なかったのには、それなりの理由がろう。リビア政府が国民に対して安全を確保し、かつ生活を保障してやれなければ、やがては支持されなくなるが、そうなると反政府の各派が、思い切った行動に出るようになる。
このところリビアでは、ベンガジのアンサール・イスラーム・グループなどが、リビア政府軍と真っ向から武力衝突しているし、トリポリやミスラタ、シルテ、デルナなどでも、同じようなことが起こっている。
カダフィ派はリビア国内にあって、最も資金的にも武器の装備でも、勝っているものと思われる。カダフィ大佐が隠匿した資金や武器の在りかの、一部を知っているのは彼らだからだ。
カダフィ派はリビア国民の政府に対する不満が、頂点に達した段階で表面に出れば、国民の支持を得られると思っているのかもしれないし、今がその時期だと判断しているのかもしれない。
カダフィ大佐の次男サイフルイスラーム氏は、リビア南西部のズインタン市の刑務所に収監されているが、決して悪い処遇を受けてはいまい。彼がカダフィ資産の隠匿場所の全てを知っているからだ。
そうなると、今後ズインタンの地方事務所や警察、軍隊が、サイフルイスラーム氏を釈放し、新たなリーダーとして担ぎあげる、可能性も否定できないのではないか。
かつてカダフィ大佐の盟友だった、アブドッサラームジャッルード氏も最近表面に出て『リビアはシャリーア(イスラム法)をベースにした、民主国家になるべきだ。』と語っている。
他方では、アリー・ザイダーン・リビア首相が『石油施設に対するテロ攻撃が止まないのでは、給与の支払いが不可能になる。』と語っている。リビアの混沌はまさにここに極まれり、という感じであろうか。
1ヶ月ほど前だったと思うが、中東訪問時に会ったビジネスマンは『カダフィの息子にもまともなのがいる、この状態でリビアの混乱が続けば、彼に出番が回ってくる可能性もあろう。』と語っていた。大混乱のリビアに今後何が起こるのかについて語ることは鬼が笑おうが、あえてカダフィ派の台頭を取り上げてみた。そして、カダフィ大佐の次男サイフルイスラーム氏の、復権の可能性にも触れてみた。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:09 | この記事のURL
NO・3024『中東3大国の共通点』 [2013年11月27日(Wed)]

中東地域の3大国と言えば、エジプトとトルコ、そしてイランが挙げられよう。面白い事にこれら3国には、複数の共通した部分が見られる。
まずこれら3国には長い歴史があり、一大文明を築いているという点だ。エジプトには古代エジプトの文明があり、ファラオは世界中で知られている王様であろう。トルコは述べるまでもなく、オスマン帝国の末裔なのだ。中東から中央アジアそして北アフリカを統治した、このオスマン帝国の歴史もまた偉大なものだ。
イランにはペルシャ帝国があり、ペルシャの高い文化は、アラブにその影を未だに留めている。アラビア語の単語は動詞過去男性形を語根とするが、それは3つの文字から成り立っている。例外的に4文字から成り立っているのは、ペルシャから入ってきた言葉だといわれている。
これら3つの国はそれぞれに誇るべき歴史がある、ということがお分かりいただけたろうが、そればかりではない。現代でもこれら3国は、若者の人口に占める割合が高く、そのことは強力な軍隊を結成することができるということだ。
もちろん生産の場でも、この若者の存在は大きな力となっているし、新しい物を欲しがる若者の数が多いということは、潜在的に大きな市場だということでもある。
これら3国は多くの若者を抱え、強力な軍隊を組織できる状況にあり、しかも、武器の生産が可能でもあるし、実際に多くの進んだ兵器を持ってもいる。その使用についても、しかるべきレベルに達している。
もう一つこれら3国に共通した優位性は、国際的に極めて重要な海と、接しているという点だ。エジプトはスエズ運河を擁しており、この運河を通過しなければ、世界の貨物はアフリカ南端の、喜望峰を経由しなくてはならないのだ。
トルコもまたしかりで、黒海から地中海に抜けるボスポラス海峡は、トルコの支配下にある。東ヨーロッパやロシアの海軍は、この海峡を通過しなければ、黒海から地中海そして世界の海で、展開することが出来ないのだ。
最後のイランについても、ホルモズ海峡を支配する国だということだ。この海峡を通過する物資の量は、ものすごいものであることは言うまでもないが、世界の消費する石油ガスエネルギーは、ほとんどがこのホルモズ海峡を、通過しているのだ。
もし、イランがホルモズ海峡を封鎖すれば、世界経済は大打撃を受けることは必至であり、エジプトのスエズ運河を経由しなければ、世界の物資は運賃で高騰することになろう。また各国の海軍は非効率な動きを、しなければならなくなるだろう。
ボスポラス海峡もしかりだ。以前からアメリカはトルコに対し、黒海沿岸に海軍基地を建設したいと申し入れているが、トルコ側は受け入れていない。ボスポラス海峡を経由して、アメリカ海軍が黒海沿岸に海軍基地を持つことになれば、対東欧、ロシア、中央アジア戦略上、アメリカは極めて有利な立場に、立つことが出来るからだ。
これら中東の3大国はこうした優位性を生かし、先進諸国に対し一定の影響力を、及ぼしているということであろう。さて、それでは日本にはどんな優位性があるのだろうか。中国とロシアの太平洋への出口を抑えているということであろうか。あるいは平均的レベルの高い学力と、勤勉性の高い国民であろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:05 | この記事のURL
N・3023『何故イランは欧米との核合意を受け入れたのか』 [2013年11月27日(Wed)]

CNNのブログに、面白い記事が掲載されていたのでご紹介しよう。それは、この時期になぜイランが欧米との、核合意を受け入れたのか、ということに対する答えだ。
CNNの記事によればおおよそ以下の項目が、イランをして欧米との核合意に至らしめた理由だということのようだ。
:イランの外交能力を示した合意
:アメリカの軍事攻撃阻止出来る合意
:イラン国内強硬派の台頭阻止する合意
:イラン保守派の立場を守る合意
:アメリカに死を証明する合意
:イランの保守派を喜ばせる合意
:制裁の解消の合意
:やり直しができる合意
:アメリカの次期大統領選挙前の合意
:サウジアラビア・イスラエルを除いた合意
簡単に言ってしまえば、今回の核合意はイラン側の国内的問題を、カバーすることができた合意だった、ということであろう。そして、その合意が硬いものではなく、若干の修正と解釈の自由が含まれていたことによるのではないか。
それは、アメリカにとっても同様であろう。アメリカも硬い合意を交わしたのでは、あとになって不都合が生じた場合に、立場を完全に変えざるを得なくなるからだ。玉虫色ともいえる合意の仕方は、ある意味では東洋的手法であったのではないのか。それはイラン外交の勝利であろう。
今回の合意が欧米とイランとの間で成立したことにより、サウジアアビアとイスラエルは、完全に合意の外に置かれたことになる。イスラエルは早速アメリカに食い下がっているようだが、だからといって、合意内容が大幅に変更される、ということはあり得ない。
イランが欧米との間で合意に至った結果、イランは話し合える相手だということを、世界に証明したことになるが、それとは反対に、イスラエルの頑なさが、世界的に顰蹙を呼ぶことになりそうだ。
サウジアラビアは今回の合意によって、アラブ世界ばかりか湾岸諸国の中での、主導的位置も失ったのではないのか。来年1月のシリア問題会議でも、サウジアラビアには出番があるまい。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:53 | この記事のURL
NO・3022『イスラエルはイラン核合意後どう動く』 [2013年11月26日(Tue)]
ジュネーブでのイランの核施設に関する会議が、アメリカの主導で成功裏に終わった。これでイランは新たな制裁を受けることは、少なくとも当分はなかろう。同時に、イランの在外資産36億ドルの凍結が解除されるとあって、イランと多くの国々が喜んでいる。
それは30年以上にも渡って、イランが経済制裁を受けていたことから、多くのインフラや設備、石油ガス関連施設の補修と部品の調達、自動車、貴金属、機器、各種部品が不足しているからだ。つまり、イランは世界各国にとって、巨大な市場となっているのだ。
この状況下で唯一面白くない国は、イスラエルであろう。あえて加えれば、湾岸諸国であろうか。イスラエルに言わせれば、今回の合意はイランにしてやられたというものであり、イランがこれで核開発を止めるとは思っていない。それはイスラエル政府だけではなく、多くのイスラエル国民の正直な感想のようだ。
サウジアラビアを始めとする湾岸諸国は、イランの核兵器開発が進むだろうという不安を払拭できないし、これまでの制裁の中で、イランが自主開発した兵器も不安の種であろう。そして今後イランが元気を取り戻せば、ますます中東地域でのイランの存在感が増す、ということも問題であろう。
そこでイスラエルはこれからどう動くのか、ということが気にかかる。フランスのファビウス外相は『イスラエルがイランを攻撃することはあり得ないだろう。』と語っているが私も同感だ。ネタニヤフ首相が強硬発言をし、イラン攻撃の可能性をほのめかししているのは、あくまでもイランと西側先進諸国に対する、警告に過ぎないのではないか。
それではそれでイスラエルはおとなしく、6ヵ月後のイラン核再会議の結果が出るのを待つだろうか。イランと西側諸国との合意が、きちんと履行されているかどうかを検討する会議が、6ヵ月後に予定されており、その段階でイランは西側先進諸国との合意不履行となる可能性が高い、とイスラエルは踏んでいるのだ。
それまでの間にイスラエルがしそうなことは、シリアへの攻撃、レバノンへの攻撃そして入植地の拡大ではないだろうか。シリアへの軍事攻撃は来年2月のジュネーブ会議で、シリア問題の平和的解決が討議されることになっており、これまでもが成功したのでは、イスラエルはますます苦しい立場に立たされよう。そこでシリアの反政府派を支援する、攻撃を加える可能性は否定できまい。
レバノン攻撃についてはシリア攻撃よりも簡単であろう。レバノンではヘズブラがシリアの体制側に立って戦闘を展開しており、攻撃を加える理由は十分にある。しかも、反撃されても損害は軽微だと踏んでいるのではないか。
残るパレスチナ西岸地区での入植地の拡大については、十分にありうる話であろう。世界も、イスラエルをなだめるために、あまり厳しく入植活動を、非難することはないのではないか。特にアメリカはイスラエルに対し、今回のイランの核合意で負い目を感じているだろうから、実質的には黙認するものと思われる。割を食うのはパレスチナ人であり、パレスチナ自治政府ということであろう。それはパレスチナ自治政府に対するパレスチナ人の不満を増大し、パレスチナ自治政府とマハムード・アッバース議長の立場が、揺らぐということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:23 | この記事のURL
NO・3021『サウジアラビア・カタールの対立クウエイトが仲介』 [2013年11月25日(Mon)]
サウジアラビアとカタールが、対立しているようだ。もともと、この二つの国の間には領土問題があり、武力衝突も起こったことがあると記憶する。大国サウジアラビアとカタールとでは、戦争にならないのだろうが、一歩譲れば百歩譲ることになるのがアラブの世界だ。それでカタールも強気に出たのであろう。
しかし、その後サウジアラビアとアメリカとの関係が悪化し、サウジアラビアに駐留するアメリカ軍が撤退し、カタールに一大軍事拠点を設立した。以来、カタールは以前にも増して、強気の立場をとるようになり、サウジアラビアに相談をして事を進めるという、雰囲気は無くなった。
このカタールの変化の前には、先々代の首長から先代の首長に変わる段階で起こった、宮廷内革命をアメリカが先代の首長を、全面的に推したということもある。従って、先代のカタールの首長は、アメリカの意向に沿った行動を展開してきたし、彼が大株主(実質のオーナー)のアルジャズイーラテレビは、アメリカの中東政策のプロパガンダ機関としての、役割を果たしてきた。
そのことは、一連のアラブの春革命で立証済みであり、アラブ世界では既に誰もが知るところとなっている。つまり、アルジャズイーラテレビはアラブの春革命を、扇動していたということだ。
それだけならあまり問題にはならなかったのかもしれないが、カタールがエジプトのモルシー政権(ムスリム同胞団政権)に対して、相当力を入れたことが、今回のサウジアラビアとカタールとの問題を、引き起こしたようだ。
サウジアラビアはエジプトのムバーラク大統領を、強く支持していたし、モルシー政権に対しては、ムバーラク大統領を釈放するならば、応分の経済援助もすると持ちかけていた。しかし、モルシー政権はカタールの援助があることをいいことに、サウジアラビアの申し入れに耳を貸さなかった。
その後、モルシー政権が打倒されると、カタールは新生の臨時政府(実質は軍政)に対して冷たい対応をしている。それはサウジアラビアの路線とは、真っ向から対立するものとなっているのだ。
カタールはエジプト国民の大半と軍による、モルシー政権打倒の後も、ムスリム同胞団を支援し、反政府運動を継続させている。そのためムスリム同胞団のメンバーによる反政府デモは、相変わらず続いているが、そのことがサウジアラビアを、激怒させているようだ。
クウエイトはイランと湾岸諸国との、危険を増していく可能性を見て、湾岸諸国が分裂することは、危険の度合いを高めるとして、サウジアラビアとカタールとの関係修復に、乗り出したのであろう。
湾岸諸国の多くは、カタールとは異なりムスリム同胞団の活動を、極めて危険なものとして受け止めているが、カタールはムスリム同胞団の重鎮である、カルダアーウイ師をかくまって、すでに60年ほどの時間が経過している。このことも湾岸諸国を、不愉快にさせているのであろう。今回のクウエイトの仲介は、結果的には、一時的な緊張の鎮静化には役立っても、問題の解決には繋がらないのではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:59 | この記事のURL
NO・3020『誰がシリアの子供たちを殺す原因を作ったのか』 [2013年11月24日(Sun)]

 イギリスのBBC放送のブログで、シリアの内戦で犠牲になっている子供たちの話が掲載された。各種の機関のデータなどを下にして書き上げられたものだが、その内容はとても人間が行っているとは、信じがたいほど残酷なものだ。
 子供たちが学校に向かう途中で、爆弾や砲弾で死亡するのは、内戦状態であればありうることなのだが、子供たちを狙って撃ち殺す、というケースが少なくないようだ。
 つまり、子供たちは子鹿か何かを、狩でもするような感覚やゲーム感覚で、撃ち殺されているということだ。そればかりではない。いたいけな子供たちが、政府軍や反政府派テロリストに捕まり、拷問を受けて殺されるというケースも、少なくないようだ。
 そのような形で殺されたシリアの子供たちの数は、既に11420人にも上り、764人が殺害され、389人が狙撃手によって殺害され、乳幼児を含む100人は拷問で殺されたということだ。
なかでも劣悪なのはアレッポでのケースで、犠牲になった子供たちの数は、2223人にも上るということだ。アレッポがシリア北部の大都市であり、反政府派のテロリストが多く、戦闘も激しいことが、その原因であろうか。
犠牲者数を都市別に分けると、ダマスカス1054人、アレッポ985人、デールゾール860人、ハマ892人、ダマスカス郊外720人、ホムス447人、イドリブ426人、デラア406人と報告されている。もちろん、これは正確な数字ではあるまい。シリアは戦闘のさなかであり、正確な犠牲者の数は誰にも分かるまい。
この記事を読んだ後で、読者の皆さんにぜひお願いしたい。どんな状況で子供たちが殺されていったのかを、目を瞑って想像していただきたい。あまりにもむごたらしいではないか。それを我々と同じ人間がやっているということに、気が付いて欲しい。
そもそも、シリアはアサド体制下で、国民は平和に暮らしていた。シリアは豊かではないが、食べ物に事欠くような状態には無かったし、学校教育も充実していた。
そのため、多くの日本人がエジプトの他に、シリアのダマスカスに留学していたのだ。シリア人は親切であり、食事もうまいところだった。それが今では悲惨な状態になり、200万人を越える難民が周辺諸国に逃れ、寒い冬をテントの中で過ごすことになるのだ。体力のない子供たちは、この寒さの中で病気にかかり、死んでいくだろう。

そのような地獄をシリア人にもたらしたのは、西側諸国ではないのか。あるいは湾岸の石油大産油諸国であろうか。少なくとも、シリア国民がこの内戦を起こし、今のような状態にまで拡大したとは思えない。読者の皆さんには子供たちが死に行く様と、責任が何処にあるのかを、重ねて考えていただきたい。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:02 | この記事のURL
NO・3019『アラブ首長国連邦で製作された映画』 [2013年11月23日(Sat)]
 アラブ首長国連邦が、世間を騒がせる映画を製作した。それはムスリム同胞団についてのものだ。サウジアラビアのアルアラビーヤ・テレビはこの映画の放映権を得て、映画は公開されるものと思われる。
 その映画の内容は、アラブ首長国連邦におけるムスリム同胞団の、秘密活動を題材にしたものであり、相当部分が逮捕されたムスリム同胞団メンバーの、証言を基にしているようだ。
 最初の部分では、ムスリム同胞団がどのように、アラブ首長国連邦内で秘密活動を展開し、最終的に逮捕されるに至ったのかを記録している。
 次いで第二部では、ムスリム同胞団が取調べから裁判に至る中で行った、証言を記録したものだ。
 これは全てが実録であり、証言や証拠を元に製作されているだけに、否定のしようが無いだろう。もちろん、拷問によって自白させられたという、クレームも付けることが、出来るかもしれない。
 この映画の製作に当たっては、アラブ首長国連邦から外国に逃亡した、ムスリム同胞団員に対しても、インタビューが試みられたようだが、ほとんどは拒否されたということだ。
 映画そのものを見ていないので、現段階では何も断言できないが、この映画が公開されることによって、湾岸諸国では相当の衝撃が走ろう。ムスリム同胞団に資金提供をしていた者、ムスリム同胞団にシンパシーを抱いていた者、ムスリム同胞団の秘密会合に、顔を出していた者たちなどだ。
そして、ムスリム同胞団の秘密活動に資金提供していた者、ムスリム同胞団のメンバーになっていた者たちは、相当厳しい立場に置かれることになろう。今後、彼らに対してはしかるべき取調べが行われ、罰則が果たされると考えるべきであろう。
ムスリム同胞団員がナセルの時代に(1950年代から1960年代に掛けて)、エジプトを逃れ湾岸諸国で活動し、あるものは巨万の富を手にして、資金をムスリム同胞団に提供していたし、しかるべき政府の地位を得た者は、他のムスリム同胞団員の湾岸諸国への移住を手伝い、仕事を世話してきていたものと思われる。
今回の映画製作とその一般公開は、ムスリム同胞団の危険性を、湾岸諸国の人たちに知らしめると同時に、政府がいかに厳しい対応をしてきていたのかを知らしめよう。それはムスリム同胞団の湾岸地域を初めとする、世界展開上大きなマイナスとなることは、疑う余地も無い。
Posted by 佐々木 良昭 at 21:06 | この記事のURL
NO・3018『サウジアラビアの悪い流れが始まっている』 [2013年11月22日(Fri)]
人にも国家にも、幸運な時と不運な時があり、幸運の方向に向かって動き出すと幸運が重なり、その逆の場合はどんどん状況が、悪化するということがある。
最近のサウジアラビアの場合、どうも悪い方向への動きが始まっているようだ。それは多分に、サウジアラビア国家がその不幸に、自国を押しやっているからではないか。つまり、自分の手で播いた種が、芽を出し始めているということではないのか。
サウジアラビアは先日、レバノンの首都ベイルートで起こった、イラン大使館を狙ったテロ事件の黒幕であろう、といわれている。アルカーイダにつながるアブドッラ―・アッザームという名の組織が、犯行声明を出しているが、その組織の親組織がアルカーイダであり、そのアルカーイダのスポンサーは、サウジアラビア政府だというのが、最近では常識になり始めている。
これとは全く別の事も、サウジアラビアで起こり、世界の関心を引いている。それはサウジアラビア国内で働く、非合法労働者たちに対する締め付けを強化したために、エチオピア人労働者たちがデモを行ったことだ。結果は、サウジアラビアの警官によって殺害される者が出て、そのことをきっかけにデモは拡大した。
しかし、結局のところ丸腰のエチオピア人たちは、サウジアラビアの警官に弾圧され逮捕されて、その他の国の労働者も含め、サウジアラビアから6万人ほどが、追放されたと伝えられている。
このエチオピアの労働者に対する弾圧と国外追放は、世界中でエチオピア人による抗議行動を起こさせた。アメリカではダラス市で抗議デモが起こり、数百人が参加したと伝えられているし、ノルウエーやドイツ、イギリスでも同様のデモが、サウジアラビア大使館に向けて行われた。
ここで気になるのは、エチオピア人のほとんどがクリスチャンだという点だ。サウジアラビアがそれで特に、エチオピア人を標的にしたとは言えないが、結果的にキリスト教国の人たちは、エチオピア人に対し同情をすることになろう。そのことは、状況を増幅して報道されることになる、ということではないか。
サウジアラビアではもう一つ気になることが起こった。イラク側から6発の砲弾が、サウジアラビア領内に撃ち込まれたのだ。犯行組織はムクタール軍という名の、イランをスポンサーとするシーア派新組織だと伝えられている。
このムクタール軍の代表者であるワスィーク・アルバッタート司令官は、サウジアラビアのイラク関与に対する警告だと語り、サウジアラビアはわれわれの攻撃の範囲内にあることを、知るべきだと警告している。
イランの核問題をめぐるジュネーブ会議の前に、サウジアラビアが背後から動き、会議の失敗を画策し、ベイルートのイラン大使館をターゲットとした、テロを起こしていたことが問題となっている。
どうやら、サウジアラビアとイランは、ドッグファイトを始めているようだ。イラクのムクタール軍による攻撃は、サウジアラビアの産油地帯や積み出し港からは、程遠い事が当面の安心材料であろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:24 | この記事のURL
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