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NO・2995 『やっぱりイラン人もアメリカが好き』 [2013年10月31日(Thu)]
イランがパーレビ王政の時代、イランはアメリカにとって中東の最良のパートナーであった。その後イランで革命が起こり、アメリカ大使館が400日以上にも渡って、イランの若者たちによって占拠されたことから、アメリカ人の間のイランに対する感情は、悪化したままになっていた。
同時に、イラン側でもアメリカの工作が酷い、モサデク政権を打倒したのはアメリカだ、ということで反米感情が高まってきた。述べるまでもなく、イラン・イラク戦争時にはアメリカがイラクを支援したことも、イラン人の間の反米感情を煽っていた。
イランの政権にとっては、アメリカに対する非難が、国内問題をカバーするうえで、好都合であったということも、もう一つの真実であろう。国内で不満が溜まる度に、イラン政府は官製のデモを用意し『アメリカに死を』と叫ばせ、国民のガス抜きを図ってきた。
しかし、ここにきてガス抜きだけでは、どうしようもない状況が発生してきた。それはアメリカを中心とする世界、なかでも西側先進諸国による、経済制裁だった。それはイラン国民の日々の生活に、直接的な悪影響をもたらした。
アハマド・ネジャド大統領は自分の政治的能力の低さを、イスラエルやアメリカに対する、過激な発言でごまかしてきた。その激しさはまるでナチを思わせるようなものであった、と言っても過言ではあるまい。
アハマド・ネジャド大統領が辞任しないことには、イランとアメリカとの関係は修復できない状態にあったのだ。しかし、幸いにして先の選挙では、穏健派と言われるロウハーニ氏が当選し、彼による微笑外交が始まった。
先の国連総会では、ロウハーニ・オバマ直接会談は行われなかったものの、ロウハーニ―大統領の帰途、空港に向かうロウハーニ大統領に、オバマ大統領がかけた電話によって、状況に大きな変化が生まれている。
ロウハーニ大統領がテヘランの空港に到着すると、二つのグループが彼を待ち受けていた。一つのグループはアメリカとの接近を非難する強硬派であり、もう一つのグループは、彼の対米外交を称賛するグループだった。
イランの最高権威であるハメネイ師は、賛否両面の発言をしているが、ほぼ間違いなくロウハーニ大統領の対米外交を、認めたということであろう。それが何より証拠には、イランのイスラムの総本山とも言える、クムの学者集団の間ではロウハーニ大統領の行動を、是認する者がほとんどだということだ。
同様に国民の間でもロウハーニ支持が、80~90パーセントに達している。彼の対米外交に反対の、残り10~20パーセントは『アメリカに死を』と叫びながら実は内心では『イランの体制に死を』と叫んでいるのだ、と皮肉る者もいる。
イラン国民の『アメリカに死を』の意味するところは、実は『死』ではなくい『アメリカの尊大さ、傲慢さ』に対する批判だということのようだ。
イランからはロウハーニ大統領の訪米の後、アメリカ非難の看板が外されたということも』伝わってきている。それは、イラン国民は今がアメリカとの関係を修復する、チャンスとみているということであり、同時に政府も同じ考えであることを、意味しているのであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:32 | この記事のURL
NO・2994『バデーウ、シャーテル裁判を怖がる裁判官たち』 [2013年10月30日(Wed)]
ムスリム同胞団の選んだ大統領、モルシー氏に対する裁判が、近く予定されているが、それと並んで、ムスリム同胞団のナンバー1とナンバー2の裁判が、予定されていた。
述べるまでもなく、ムスリム同胞団のナンバー1はムハンマド・バデーウ師、ナンバー2はハイラト・シャーテル氏だ。この二人の裁判はさすがに、裁判官たちの腰を引かせているようだ。
現在取りざたされている、彼等にかけられている嫌疑は、ムスリム同胞団メンバーと、一般人のムスリム同胞団支持者たちに対する、扇動による殺人罪と暴力行使だ。そうであるとすれば、そのことが正式に認められた場合、二人は死刑か終身刑、ということになろう。
もし、そのような判決が下されれば、当然のこととして、ムスリム同胞団による報復が、あらゆるレベルで起ころう。第一には、大規模デモと破壊工作、第二には、裁判官や要人に対するテロであろう。
一番危険なのは裁判官たちであろうが、もしゆるい判決を出してごまかせば、世俗派の国民が黙ってはいまい。どちらに転んでも裁判官たちにとって、身の安全は保障されないということだ。
彼等に対する警備を強化して、身体的危害が加えられないようにしても、家屋に対する放火などが起こりえようし、家族に対する襲撃も起こりえよう。
ムハンマド・モルシー前大統領は、ムスリム同胞団の序列では、ナンバー5かナンバー7ぐらいだ、といわれていたが、それでも裁判をめぐって、ムスリム同胞団は大規模デモを計画しているのだ。そうである以上、ムハンマド・バデーウ師の場合は、相当過激な報復が考えられよう。
それでは誰が彼等を裁けるのだろうか。多分、彼等を裁けるのは、軍事法廷だけではないかと思われる。しかし、これについても問題がある。一般人を軍事法廷で裁いていいのか、という法律上の解釈問題だ。すでに一部の弁護士は、そのことを追求し始めているのだ。
もう一つ考えられる裁判官の裁判拒否は、宗教的な面にあるのではないか、ということだ。ムスリム同胞団のトップを裁き、もし終身刑なり死刑に処した場合、日本風に言うならば、化けて出られるのではないかということだ。
つまり、アッラーの罰を受けるのではないか、と躊躇しているのかもしれない。ムスリム同胞団組織は結成されて以来、85年も経過しているのだ。そこには何らかの正統性がある、と考えても不思議はあるまい。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:08 | この記事のURL
NO・2993 『シーシ大統領待望論がエジプトで沸騰』 [2013年10月29日(Tue)]
エジプトの混乱状況は7月3日の、軍のモルシー大統領打倒以来続いている。経済問題も未だ解決されてはいないが、湾岸のサウジアラビアやクウエイト、アラブ首長国連邦などからの、巨額の援助が送られていることもあり、先行きは明るいようだ。
現在エジプトで起こっている、ムスリム同胞団による抵抗テロ活動は、新体制側からすれば、いわば織り込み済みであったろう。ムスリム同胞団は60年以上の地下活動組織から突然権力を握り、それが1年ではく奪されたのだから、何としても奪還したいと思うのは人情であろう。
ムスリム同胞団は非合法合法の区別なく、当分の間抵抗を試みることになろう。ただ、そうしたなかで犠牲者が増えていけば、当然のことながら、庶民のムスリム同胞団離れ現象は、止められなくなろう。ムスリム同胞団の内部でも、あまりにも多いメンバーの犠牲者数を前に、抵抗をやめようと考える輩が、増えても不思議はあるまい。
エジプト国民の現在の心境は、当初の革命の意義などどうでもいい、一日も早く平穏な生活が戻ってほしい、というところではないのか。当初、2011年の革命時には、軍による権力の掌握に対して、反旗を翻したはずであったのだが、最近ではそうした人たちの間からも、軍による社会の安定を望む声が、増えてきているようだ。
その明らかな傾向は、シーシ国防大臣に大統領選挙に立候補してほしい、と望む人たちが増えていることだ。シーシ国防大臣はムスリム同胞団のメンバーよりも信仰心が篤いという主張をする人もいれば、シーシ国防大臣こそ社会の混乱を、収めることができる唯一の人物だ、と主張する人もいる。
以前にも報告したが、シーシ国防大臣と故ナセル大統領のイメージをだぶらせて、シーシ人気をあおる人たちもいる。ちまたでは二人の写真を一枚のポスターに焼き付けたものが、売られているのだ。
もちろん、なかにはそうした社会一般の雰囲気に、反発する人士もいないではない。彼らに言わせればシーシもモルシーも、タンターウイもムバーラクも、サダトもナセルも何ら変わりない、独裁者だということになる。
しかし、現状の混乱を解決できるのは、結局軍でしかないことは、エジプト人の誰もが分かっていよう。民主化運動を叫び、6月30日の第二革命を仕掛けたメンバーからも(モルシー政権打倒のタマッロド運動=反抗運動)、シーシ大統領待望論が出ているのだから。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:49 | この記事のURL
NO・2992『米のエジプト援助停止がエジプト露関係再開に?』 [2013年10月28日(Mon)]
アメリカがキャンプ・デービッド合意以来、エジプトに送っていた軍事援助と経済援助が、7月3日に起こった軍のクーデターにより、凍結された状態になっている。アメリカはそのことを、10月9日に明確に発表した。
このことはエジプトにとって、大きな痛手となったことは、述べるまでもない。エジプトはアメリカに代わるスポンサーを、必要とするようになったのだ。その第一が湾岸諸国だった。サウジアラビアやクウエイト、アラブ首長国連邦が巨額の援助を約束した。
つい最近では、エジプトのビブラーウイ首相の、アラブ首長国連邦訪問を機に、アラブ首長国連邦は39億ドルの援助を約束している。多分それはサウジアラビアやクウエイトにも、追加援助をさせることに繋がっていくものと思われる。
ビブラーウイ首相はアラブ首長国連邦を訪問した折、エジプトの安全は湾岸諸国の安全と直結している、という発言をした。湾岸諸国はいま、アメリカの心変わりで、アメリカ・イラン関係が改善の方向に向かっている時期だけに、ビブラーウイ首相の発言を、重く受け止めたものと思われる。
エジプトの経済軍事危機は湾岸諸国だけではなく、ロシアにも強い関心を抱かせたようだ。近くラヴロフ首相がエジプトを訪問する予定になっているし、プーチン大統領もエジプトを訪問する予定がある。
このことは述べるまでもなく、エジプトとロシアとの関係が、今後大きく躍進することを予想させる。エジプトにとってはアメリカへの意趣返しもあるだろうし、ロシアの援助も期待したいところであろう。
そして、エジプトとロシアとの関係が深まれば、湾岸諸国もエジプトの軍事力に対して、大きく期待することが出来るようになろう。アメリカが湾岸諸国を見捨てても、エジプトが直接的に守ってくれ、それをロシアが後ろから支える形になるからだ。
それではロシアは、エジプトとの関係が再開することに、何のメリットを考えているのであろうか。述べるまでもなく、エジプトの海軍基地の利用だ。シリアのアサド体制が不安になっているいま、シリアのタルトース港に代わる海軍基地が、ロシアには必要なのだ。その意味ではエジプトの軍港は、ロシア海軍にとって十分満足できるもののようだ。
ロシアはそのこともあってか、6月30日革命(第2革命)に対して、前向きな立場にある。つまり、現在の軍主導の新政府に対し、理解があるということだ。エジプトはアメリカに対し、対応に改善が見られなかった場合、キャンプ・デービッド合意破棄も、カードとして使えるのだ。アメリカの対応が見ものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:00 | この記事のURL
NO・2991『ハカン・フェダン情報長官が次期首相候補に』 [2013年10月27日(Sun)]
 トルコでは来年、大統領選挙が実施される予定になっているが、その大統領選挙には現在首相職を務める、エルドアン氏が立候補することが、ほぼ確定している。同氏は現段階で推測すると、確実に当選することになろう。
 実はそのことが、与党AKP(開発公正党)内部に、問題を生み出している。強引な手法のエルドアン氏の政治方針に対し、与党内部の穏健派が、反対し始めているのだ。
 たとえば、与党AKP結党時からのメンバーである、幹部のギュル大統領や、ブレント・アルンチ副首相はエルドアン氏の大統領就任を、快く思っていないといわれている。これまで与党内部で調整が図られ、妥協点に至ったのだが、エルドアン氏の性格からすれば、それが確実に守られず、暴走することが予測できるからだ。
 こうなると、エルドアン大統領誕生時に、誰が首相職を担うかが、問題になってくる。これまではギュル大統領が首相職に就くのではないか、という予測があったが、両氏の関係悪化があり、そうも行かない雰囲気になってきている。
 そうしたなかで、突然挙がってきた首相候補がいる。彼の名はハカン・フェダン氏だ。彼は現在情報長官職に就いているが、まだ48歳と若く政治的な経験も、不足しているといわれている。
 ハカン・フェダン氏をめぐっては、何かと噂に事欠かない。彼はイランと通じている、彼はイスラエルと通じているという噂が、トルコ国民の間ではささやかれているのだ。
 つい最近、ハカン・フェダン氏がイラン人で、イスラエルのためにスパイを働いている人物10人の名が、彼によってイランに流された、ということがイスラエル側によって非難された。
 もちろんこの話は、ダウトール外相が否定しているが、いまだに真実味をもって語られている。この漏洩事件についてあるトルコ人は、ハカン・フェダン氏を持ち上げるために、イスラエルが仕組んだものだと語っていた。つまり、ハカン・フェダン氏がイスラエル側によって糾弾されれば、彼は逆にトルコ国民の支持を、集めることができる、ということのようだ。
 こうした経緯を頭に入れて、ハカン・フェダン氏の首相職就任を考えると、なるほどと思われるふしもある。しかし、彼の首相職就任は、経験不足であることなどから、エルドアン大統領のイエス・マンになり、政治運営が出来ないというのが、専門家の共通した評価のようだ。それがエルドアン氏の足を引っ張ることになるのは、確実であろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:39 | この記事のURL
NO・2990『バハレーン・カタールの将来が不安に』 [2013年10月26日(Sat)]

 最近の欧米の動きを見ていると、近い将来、バハレーンとカタールが不安定化してきそうな気がしてならない。それは、欧米のマスコミの記事が極めて、非友好的な内容になってきているからだ。
 以前からバハレーンでは、シーアは国民に対する差別があり、国民のなかに不満があったことは欧米はよく知っていた。しかし、バハレーンにはアメリカ海軍の巨大な基地があったためか、シーア派に対するバハレーン政府の弾圧と差別は、欧米のマスコミではあまり取り上げられなかった。
 しかし、欧米マスコミはここに来て頻繁にバハレーンの、シーア派国民によるデモが報じ、それに対して政府がデモ潰しに動き、主要な反政府派の人士を投獄し、拷問していると伝えるようになった、
 カタールの場合もワールド・サッカー大会の開催に向けて、建設工事が急ピッチで進められていることに関連し、そこで働く外国人労働者が多数事故死していることや、待遇が極めて非人道的であることが、詳しく報じられるようになってきている。
 インドやパキスタン・スリランカなどから来ている労働者たちは、パスポートを取り上げられ、給料も支払われないで粗食を与えられ、極暑の中で危険な作業を強いられていることも伝えられた。
 当然のことながら、これはさすがに無視出来ない、ということであったのだろうか。ここに来てカタールの外人労働者に対する、取り扱いが極めて悪いことを、欧米のマスコミは軒並みに、報道するようになってきている。
 そればかりではない。アメリカのイランに対する対応が柔らかくなってきており、オバマ大統領は議会に対して、これ以上の制裁を行うべきではない、と語っている。オバマ大統領によれば、イラン側にも妥協の姿勢が見え、交渉をしている段階で、アメリカ側がイランに新たな制裁を加えることは、交渉を失敗させかねないからだ、ということこのようだ。
 しかし、バハレーンにしろカタールにしろ、多数の国民がシーア派であり、イラン寄りの考えを持っており、反政府的であることを考慮すると、アメリカのイラン対応は、両国政府に対する敵対行動とも取れる。
 カタールには湾岸諸国で最大のアメリカ軍基地が存在し、アメリカ軍が存在するからサウジアラビアの脅威も、イランの脅威も感じないで来られた。バハレーンも同様に、アメリカ海軍の基地を有していることが、絶対的なアメリカによるバハレーンの安全保障だ、と信じてきていたであろう。
 それがいまになって、アメリカの両国に対する対応に変化が生まれたのだ。アメリカはイランとの関係を改善する上で、両国に対し冷遇する必要が出てきたのかもしれない。あるいは両国のシーア派国民の待遇改善を、図ろうとしているのかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 19:51 | この記事のURL
NO・2989『何かが激変していそうな昨今の米の立ち位置』 [2013年10月25日(Fri)]
最近どうも気になってしょうがない事がある。それは親米諸国の中にアメリカ離れともとれる動きが、目立ってきているからだ。しかも、それは極めて露骨な形で、顕われてきている。
例えば、最近サウジアラビアのバンダル情報長官などが口にした、極めて危険内容の発言がある。いわく、サウジアラビアはアメリカの中東政策に、激怒しているというものだ。
その内容とは、例えばイランとアメリカの関係改善だ。オバマ大統領はイランのロウハーニ大統領と、個別の会談はしなかったものの、空港に向かうロウハーニ大統領に電話している。その後のアメリカ・イラン関係には、前向きな傾向が目立ってきている。
サウジアラビアにとって、イランは最大の仮想敵国であることを考えれば、オバマ大統領の行動は裏切り以外の、何物でもなかろう。そして、アメリカはシリア対応でも、サウジアラビアを裏切る形の行動を採っている。アサド体制を潰すのではなく、生きながらえさせる選択を、オバマ大統領はしたのだ。
サウジアラビアの盟友であるエジプトに対しては、非民主的であるという疑いから、アメリカは援助を凍結している 。そのことはサウジアラビアが警戒している、エジプトのムスリム同胞団を激励することになるのだ。
サウジアラビはこれらの問題以外にも、パレスチナ問題は後退することこそあれ、何ら進展していない、とアメリカを非難している。結果的に、サウジアラビアは『アメリカからの兵器輸入を再考する。』ことと『石油取引先を変える。』と言い出している。
エジプトとアメリカとの関係にも、変化がみられる。エジプト政府はアメリカの冷たい対応に対し、少なからず怒りを感じているようだ。そのなかから、エジプトはロシアとの関係強化を、検討し始めているようだ。近くエジプトからは政府の高位の代表団が、モスクワを訪問するという情報が流れてきている。
トルコとアメリカとの関係にも、少なからぬ変化の兆しが、見え隠れし始めている。サウジアラビアが怒ったのと同様に、トルコもアメリカのシリア対応に腹を立てているようだ。トルコにとってシリア問題への、アメリカの対応変化は、自国の安全に直結するのだから、無理もなかろう。
イラクとの関係も結局は軍事介入して、サダム体制を打倒したものの、莫大な額の軍事費を費やしながら、何ら具体的なメリットは得ないで、終わったのではないか。アフガニスタンも同様であろう。
こうしたアメリカの迷いの対外政策は、同国の経済状況を悪化させ、ついには世界の警察官としての立場も、経済的指導国家としての立場も、弱めることになった。そのことはアメリカがもう世界をリードしていけないということだ。
これまでの親米諸国はこうした変化を、敏感に感じ取り、立ち位置を少しずつ変えなければ、自国の将来が危険になる、と考え始めているのかもしれない。そうは言っても、アメリカは大国であり、その力が一気に低下することはないとしても、そうしたことを検討するぐらいは、日本もやっておいた方がいいのではないだろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:48 | この記事のURL
NO・2988『カタールに不安定化の兆し?』 [2013年10月24日(Thu)]
カタールは湾岸の小国でありながら、膨大なガス埋蔵量を持つ国であるために、同国の中東地域政治に与える、政治的影響は少なくない。また、同国が運営するアルジャズイーラ・テレビは、センセーショナルをアラブ世界に、巻き起こしてきた。
その時々の問題の、賛成派と反対派の側に立つ当事者が、同席して激論を交わすという、いままではアラブ世界にはない手法を、番組の中に取り入れたのだ。そのため、アルジャズイーラ・テレビの討論番組では、出演者同士が殴り合いにまで、発展することも少なくなかった。
そのことが同放送局の自由さを示すものとして、アラブ諸国では絶賛の拍手を浴びていた。しかし、アラブの春革命を前後して、アルジャズイーラ・テレビは他のアラブ諸国の内政に、深く関与し始めた。つまり、アラブの国で起こる革命騒ぎを、あおる役割を果たしたのだ
アルジャズイーラ・テレビの放送を見ていると、あたかもカタールという国家は、自由な表現が西側諸国並みに、許されているような印象を与えるのだが、実態はどうも違うようだ。同国では表現の自由が、厳しく制限されているということだ。
そのことが世界的に知られ問題化したのは、つい最近の事のようだ。国連人権委員会がカタール政府に対し、表現の自由が脅かされていると警告を発した。それは一詩人に対する政府の対応を巡ってだった。
ムハンマド・アジャミという名の詩人が出した『ジャスミンの詩』という本が問題になったのだ。この本は2011年に出版されたが、当時はアラブ諸国でアラブの春革命が、盛んな時期であった。
ムハンマド・アジャミ氏は詩を通じて、湾岸諸国の体制を批判したのだ。何処の国も叩けばホコリが出るのは当然なのだが、自由という点では、湾岸諸国は他の国に比べ少し遅れているのであろう。サウジアラビアではいまなお、女性の運転が認められていないのだから。
ムハンマド・アジャミ氏は結果的に15年の刑を言い渡され、現在刑務所に投獄されている。彼の弁護士で元法相だったナイミ氏は、彼に対する判決は、せいぜい5年の受刑が、妥当な線であろうと語っている。
問題は何故いま、カタール政府が彼を、15年の刑に処したのか。そして、何故それを国連人権委員会が取り上げて、大きな問題にしたのかということだ。その裏にはしかるべき原因が、あるような気がしてならない。
2カ月ほど前に、ある友人が『これからカタールは不安定化するそうですよ。』と語ってくれていたことが気にかかる。カタールの利用価値が、ある国にとって下がったということであろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:06 | この記事のURL
NO・2987『サウジアラビアの強気は何が原因か』 [2013年10月23日(Wed)]
サウジアラビアの情報長官である、バンダル王子が最近になって、極めて強い調子で発言している。彼の強気の発言は何を根拠にして行われているのか、疑問が 沸いてくる。
だいぶ前になるが、バンダル王子がロシアを訪問した折に、彼はプーチン大統領に対して、措置の冬季オリンピックを無事に行いたければ、シリア問題の解決で手を組もう、と提案したということだ。
つまり、バンダル王子は事もあろうに、ロシアのプーチン大統領に警告を発した、あるいは恫喝を加えたということだ。もちろん、その前にはプーチン大統領がアメリカに対して、送った警告があるからであろう。プーチン大統領は『欧米がシリアを攻撃するのであれば、サウジアラビアを攻撃することも辞さない。』と警告しているからだ。
巷では、バンダル王子がアルカーイダの実際のリーダーだという説もある。それが事実であるか否かは別に、彼の存在が大きいということであろうか。
最近サウジアラビアは、国連安保理の理事国になることを拒否した。その理由は国連がダブル・スタンダードだからだ、と説明している。これも奇異なことなのだが、エジプトやアラブ連盟はサウジアラビアの立場を擁護している。それはパレスチナ問題の解決が、全く進んでいないことに対する。いら立ちからであろうか。
そしてつい最近、サウジアラビア政府は一連の発言の延長線上で、サウジアラビアはアメリカべったりの立場を変更する、と言い出したのだ。その具体的な方法は、バンダル王子に近い人物が次のように明かしている。
サウジアラビアは石油の供給と兵器の購入で、取引相手を変える可能性がある、ということのようだ。アメリカにとってはそのいずれも、頭の痛い問題であろう。アメリカがいままで石油のために、多くの国民の血を流し、膨大な国家予算を費やしてきたことは、誰もが知るところだ。
こうしたバンダル王子の発言はオバマ大統領に対して、相当厳しい内容だと思われる。それを平気で言えるのは、バンダル王子が血迷ったか、あるいは別の組織が彼をバック・アップしているかの、いずれかであろう。
そこで浮かんでくるのは、サウジアラビアとイスラエルが、イラン問題をめぐって、同じ側に立っているということだ。つまり、サウジアラビアもイスラエルも、イランを攻撃したがっているのだ。バンダル王子の強気の発言はあるいは、イスラエルとの連係プレーなのかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:37 | この記事のURL
NO・2986『サウジアラビアの怒りにアメリカはどう対応する』 [2013年10月22日(Tue)]
サウジアラビアが国連安保理の理事国に選出されたことは、同国にとって極めて名誉なことであるはずだ。アラブ世界はもとより、第三世界の代表としてサウジアラビアは発言権を、持つことになるからだ。
しかし、サウジアラビア政府はこの国連安保理の、理事国になることを拒否して、問題となっている。それには、サウジアラビアなりの理由があるようだ。サウジアラビアはこれまでの国連安保理の行動は、公平ではないと判断した。
たとえば、パレスチナ問題については、1967年以来何の進展も見ないばかりか、次第にイスラエル側がパレスチナの領土とされる、西岸地区や東エルサレムにも食い込んでいるのだ。
サウジアラビアが怒りを露わにした最近の問題は、多分にシリアに対する国連安保理とアメリカの対応、イランに対する対応、そしてエジプトに対する対応があるのではないか。
シリアに対する対応では、結果的にアサド政権が生き残れる道を、開くことになった。国連の調停で化学兵器を口実に予定されていた、アサド体制打倒のためのアメリカ軍による攻撃は、取り止めになっている。そのことは、今後サウジアラビアに対する報復がある、危険をはらんだものだ。
イランの核問題でも、ロウハーニ大統領とオバマ大統領との間で、ある種の蜜月ムードが生まれ、妥協案が出てくることが予想される。欧州諸国は既に、イランに対する制裁をやめよう、と言い出しているのだ。
エジプトに対する対応では、アメリカはモルシー前大統領の逮捕や、その後ムスリム同胞団の反政府デモが継続されていることで、エジプト政府に対する軍事援助を始めとする援助が、難しくなっている。サウジアラビアは一日も早い、エジプトの国内安定を望んでいるが、このままではそれが不可能なのだ。
アメリカ政府はサウジアラビアがこうした理由から、国連安保理はダブル・スタンダードだと怒っていることに対し、何らかの手立てをしなければ、ならなくなっている。
そうな言っても、いまさらシリアのアサド体制を打倒するための、軍事攻撃を実施することは、不可能であろうし、そんなことをすれば、アメリカは国連決議を無視している、と非難されることになろう。
イランについても同様であり、欧州諸国の意向を無視するわけにはいくまい。そしてエジプトについても、突然援助を再開することはできまい。何らかの方法を講じなければなるまいが、それは容易ではなさそうだ。つまり、サウジアラビアとアメリカとの関係が、当分緊張状態を続けるということであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:57 | この記事のURL
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