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NO・2936『日本はシリアに対するアメリカの空爆を支持』 [2013年08月31日(Sat)]

 アメリカ政府が最終決定する前に、日本の政治家がアメリカによるシリアへの軍事攻撃を、支持する意向を明らかにしている。述べるまでも無く、僅差とはいえイギリスの議会は、シリアに対する軍事攻撃を、否決しているのだ。
 1991年に起こった湾岸戦争や、2003年に起こったイラク戦争では、イギリスは戦争開始をあおる側に、立っていたにもかかわらずだ。それが今回は否決する側に回ったのには、それなりの理由があろう。
 イギリスが否決に回ったのは、同国が国際正義の側に立っての、判断ではあるまい。あくまでも国内的な事情によろう。それは述べるまでも無く、軍資金の問題であろう。イギリスの財政は逼迫しており、戦争を始める資金が無いからだ。
 他方フランスはどうであろうか。フランスは国内法上では、大統領が戦争を決定するにあたり、議会の承認を必要としないとのことだ。同時に、フランスはシリア問題に関して、絶対後れを取るわけには行くまい。それはフランスにとって、シリアはいまだに自国の植民地だ、という意識がフランス政府にはあるからであろう。
 しかし、この戦争には初めから正義など無い。化学兵器を使用したのは、反政府勢力であり、サウジアラビアが支援しているヌスラ組織だ。このヌスラ組織はアルカーイダと、強い関係にある組織なのだ。
 以前、インターネットで見たのだが、化学兵器が詰まっていたとされるプラスチック容器には、英語とアラビア語で表記がされていた。つまり、欧米のどこかの国で造られ、それがサウジアラビアに輸出され、サウジアラビアからヌスラに渡ったものであろう。
 以前にも書いたが、国連にシリア政府が調査を要請し、国連の査察団が到着して間も無く、シリア政府が化学兵器を使うということは、どう考えても理屈に合わないではないか。
 そうしたことが、まことしやかに報じられるなかで『化学兵器の使用は反政府側による』という情報が、AP通信のガヴラク記者によって伝えている。その内容は多分正確であろう。その情報が掲載されているサイトには、世界中からアクセスがあり、パンク状態になっているということだ。
 この情報が日本人の運営する、サイトに掲載されたことは、日本人の中にも世界の情報を、真剣に追いかけ、できるだけ正しい情報を、伝えようとする人たちがいる、ということではないのか。(http://rockway.blog.shinobi.jp/Date/20130831/1/
 軽率な日本の与党政治家による、アメリカ攻撃を支持発言、それに異を唱えない政府、日本はどうなってしまったのか?
Posted by 佐々木 良昭 at 18:09 | この記事のURL
NO・2935『ハンス・ブリックス氏を覚えていますか?』 [2013年08月30日(Fri)]
『 ハンス・ブリックス氏を覚えていますか?』多分何人かの人たちは彼の名を覚えているだろう。彼はイラク戦争が始まる前に、国連の大量破壊兵器査察団長として、イラクに乗り込んだ人物だ。
彼は勇敢にも、アメリカやイギリスの意向を無視して、真実を世界に伝えた。『イラクには大量破壊兵器はない。』と。しかし、当時のアメリカのブッシュ大統領とイギリスのブレア首相は、彼の調査結果を無視して、イラクに対する軍事攻撃を実行したのだ。
戦争が済み、イラクで大量破壊兵器の調査が再度行われたが、何処からも大量破壊兵器は出てこなかった。あるいはそれに類したものが出てきたとしても、それはアメリカがイラクに提供したものだったかもしれない、真偽のほどはすでに、闇の彼方に消えて無くなってしまった。
そのハンス・ブリック氏が、久しぶりに今回また発言を始めた。彼に言わせれば、オバマ大統領もブッシュ大統領と変わりない、ということのようだ。国際社会では一定の国に対する、軍事攻撃が認められるのは、あくまでも自国に明らかに危険が及ぶ場合と、攻撃されたことに対する、報復だということだ。
しかし、今回のシリアの場合を取ってみると、シリアに対する軍事行動の急先鋒に立っている、アメリカもイギリスもシリアから自国に対する、軍事的な脅威を受けていないし、軍事攻撃を受けているわけでもない。
したがって、安全確保のための軍事攻撃も、報復ための軍事攻撃の正当性も成り立たず、アメリカやイギリスがシリアに対して、攻撃を加えたとすれば、それは『蛮行』という一語で、示されることになろう。
そもそも、アメリカは日本に対し核兵器で、攻撃を加えた国であって、他の国が毒ガス兵器を使用したとしても、それを非難する資格はない、というのがハンス・ブリックス氏の立場のようだ。
現段階では、アメリカでもイギリスでも、シリアに対する軍事攻撃は、議会が許さないという状況のようなので、一安心できよう。ヨーロッパの幾つかの国々も、明確にシリアに対する、軍事攻撃に反対している。
アメリカが世界の警察として、君臨したいのであれば、アメリカが正義の側に立っていることが、その最低条件であろう。今回のシリアの場合はどう考えても、シリア政府が化学兵器を使ったとは思えない。
そうだとすれば、公正な(?)国連の査察団の、調査結果を踏まえたうえで、初めてシリアに対する何らかの制裁が、話し合われるべきであり、やみくもに軍事行動に入るということは、許されるべきではあるまい。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:53 | この記事のURL
NO・2934『エジプト政府・ムスリム同胞団秘密交渉という情報』 [2013年08月29日(Thu)]
エジプトには半官半民紙とデモ呼ぶべきか、アルアハラームという新聞がある。したがって、この新聞は極めて政府に近く、その報道内容は、信頼に値すると言っていいのではないか。もちろん、報道される内容の中には政府の宣伝も、多分に含まれてはいるのだが。
最近になって、そのアルアハラーム紙がムスリム同胞団と政府が、秘密交渉を始めたと報じた。その秘密交渉でムスリム同胞団は、逮捕者の釈放、公正な裁判の実施、資産凍結の解除といったことを、交渉の前提条件にしたということだ。これに対し政府側は、ムスリム同胞団側が社会サービズを中心に活動をし、国家の利益に貢献することを条件としたようだ。
もちろん、このアルアハラーム紙の報道については、疑問を挟む専門家たちもいる。それはムスリム同胞団内部で、決定に携われる高い地位の者たちが、ほとんど逮捕され投獄されており、政府側と交渉をできる、高い地位の人物がいないからだ。
他方、新政府はムスリム同胞団を解体したい、と思っているわけであり、現段階でムスリム同胞団が、復活出来ることにつながりかねない、交渉をするわけがないという見方だ。
確かに、ビブラーウイ臨時首相はムスリム同胞団を、完全に締め出す方針を、8月17日の段階で語っている。しかし、その後のエジプト国内の状況をみると、いまだにモルシー前大統領支持者たちによる、デモが継続されており、テロも発生している。
そこで政府側は、ある程度の活動の余地を与えることにより、ムスリム同胞団を懐柔しよう、ということではないか。加えて、政府側の妥協的なポーズはムスリム同胞団内部に、分裂を助長する可能性もあろう。すでにムスリム同胞団内部には、穏健路線と強硬路線の二つの流れが、生まれているということだ。
先に、バデーウ師が逮捕された後で、後継者と目されて話題に上った、ガザにいるイッザ師は、あまりにも強硬な路線を採るということで、ムスリム同胞団内部から彼のトップの座就任は、否定されたという情報もある。
正直なところ、ムスリム同胞団内部に分裂が起こることはあり得ようし、そのなかからは、強硬派と穏健派が出てくるのは当然であろう。ムスリム同胞団が生き残っていくためには、地下に潜るか穏健な表情を見せるしかあるまい。
以前、ムスリム同胞団の活動方針が手ぬるいとして、分離したメンバーが結成したガマーア・イスラーミーヤは、サダト大統領を暗殺した後、ほぼ壊滅されている。強硬派たちはまたその轍を踏むのか、穏健派の政府との妥協が生き残るかのいずれかだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:50 | この記事のURL
NO・2933『B・アサド大統領イラン逃亡説浮上』 [2013年08月28日(Wed)]
8月29日に、アメリカがシリア攻撃を始める、という情報が飛び交っている中で、確証はないが、イランを震源地として、シリアのバッシャール・アサド大統領亡命情報なるものが、流れ始めている。
このバッシャール・アサド大統領のイランへの亡命に関する情報は、ツイッターやフェイス・ブックの中で情報が飛び交っているようだ。しかし、いままでのところ、イランの国営テレビはそのことについて、何も報じていない。
アメリカがイギリスと綿密な相談をしている、という情報が流れてくる中では、アメリカによるシリア攻撃は、化学兵器に関連した、施設破壊だけが目的であり、数時間で終わろうという情報までもが、伝えられている。
そうした状況下では、バッシャール・アサド大統領がシリアから逃げ出し、イランに亡命するということは、ありうることであり、あながち否定できないのではないか。
これまでアラブの春革命を通じて、チュニジアのベンアリ大統領が亡命している。リビアのカダフィ大佐は亡命を拒否し、最終的には反政府派の若者によって、殺害されていることなどを考えると、亡命する方が利口だ、という考えも出て来よう。
ただ、いまの段階でバッシャール・アサド大統領が、家族共々イランに亡命した、という情報が事実であれば、彼にはもうシリアの大統領の座に留まる機会は、無くなったということであろう。
今回のアメリカによる、シリア攻撃の可能性について、私はあり得ないのではないかという、予測を立てている。それは、アメリカ国民の半数以上が、シリア攻撃を望んでいないこと、イラクやリビアの例では、アメリカは結果的に嘘を土台に、軍事攻撃をかけたことが、後に明らかになっているからだ。
今回もまた同じ手口で、アメリカがシリアを攻撃したとすれば、世界のアメリカにおける信用は、ガタ落ちになろう。シリアのバッシャール・アサド大統領が、イランに亡命したという情報が、ツイッターやフェイス・ブックで世界中を飛び交っているということは、まさにアメリカの望むところであろう。そして、バッシャール・アサド大統領が亡命をしてくれれば、アメリカにとっては万々歳なのではないのか。
しかし、アメリカが考えるほど簡単に、バッシャール・アサド大統領がシリアから逃げ出す、とは考えにくいのではないか。イランはもとより、ロシアも中国もシリア支持に回っているからだ。そして、イスラエルが一番、今回の危機を危機として、受け止めているからだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:30 | この記事のURL
NO・2932『トルコの考えるエジプト調停案』 [2013年08月27日(Tue)]
トルコのエルドアン首相は、自分がオール・マイテイだ、とでも思っているのだろうか。混迷するエジプトの調停案を出したようだ。その案は政府に近いトウキッシュ・スター・デイリー紙に掲載された。
このトルコの調停案は、5項目からなっているようだが、それは次のような内容のようだ。
:モルシー前大統領を釈放する。
:ムスリム同胞団メンバーの逮捕を中止する。
:メデイアの活動に自由を与える。
:ムスリム同胞団メンバーの受刑者を釈放する。
:ムスリム同胞団と警察軍の衝突をやめる。

第一番目のモルシー前大統領の釈放だが、これは不可能であろう。エジプトの新政府はデモ時に死者が出たのは、モルシー前大統領とムスリム同胞団の最高幹部たちに、責任があるとしている以上、裁判なしに釈放することはできまい。
第二番目のムスリム同胞団メンバーの逮捕を中止することは、実質的に無理であろう。ムスリム同胞団のメンバーの中には多数いまだに、新政府と軍に対し、抵抗テロ活動を展開しているのだ。
第三番目のメデイアに対する、活動の自由を認めることも、決して容易ではあるまい。アラブの春に始まる一連の政治変動の中で、アラブを代表するアルジャズイーラ・テレビと、アルアラビーヤ・テレビはそれぞれに支持色を強くし、偏向報道を繰り広げてきたからだ。
アルジャズイーラ・テレビはアラブの春革命をあおり、白む原理主義政権が誕生することを即した。エジプトのムスリム同胞団府がその典型であろう。他方アルアラビーヤ・テレビは反ムスリム同胞団の立場を貫き、ムスリム同胞団政権がエジプトに誕生した後、アルアラビーヤ・テレビのスポンサーであるサウジアラビア政府は、エジプトのムスリム同胞団団政府に対し、びた一文援助しなかった。
述べるまでもなく、トルコが主張するメデイアの活動の自由は、アルジャズイーラ・テレビの報道に、自由を与えろということだが、アルジャズイーラ・テレビはムスリム同胞団支持であり、エジプトの新政府とは、真っ向から敵対している。
第4番目のムスリム同胞団メンバーの釈放については、いまだに取り調べも裁判も終わっていないのだから、釈放できるわけがない。取り調べも裁判もなく釈放すれば、ムスリム同胞団が最初の革命時に行った、刑務所破壊とそれによる脱獄と、同じような状況になろう。社会的に犯罪やテロが激増しよう。
そして第五番目のムスリム同胞団と警察軍の衝突を、中止するということも、同じように不可能なことだ。エジプトの新政府は今、一日も早く安定した社会を生み出そうとしているのであり、デモやテロを放置するわけにはいかない、他方ムスリム同胞団は出来るだけ新政府の成功を、阻止しなければならない立場にあるのだ。
つまり、多分トルコの、エルドアン首相の取り巻きインテリ連中が考えたであろう調停案は、何の意味もなさないということだ。それどころか、トルコのアラブ世界における、いい意味での影響力を、削いでいく結果になりはしないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 17:33 | この記事のURL
NO・2931『エジプトがエルドアン首相に噛みつく』 [2013年08月27日(Tue)]
トルコのエルドアン首相は、ムスリム同胞団政権との関係強化を図っていた。それはお互いにイスラム教をベースとする、政権であったことによろう。しかも、モルシー大統領(ムスリム同胞団)はトルコの与党AKPを、手本としてやるような話をしたために、エルドアン首相は完全に、舞い上がったようだ。
エルドアン首相の音頭取りで、トルコ企業がエジプトに投資を行い、幾つもの工場がアレキサンドリアの近くに設立された。しかし、そのエルドアン首相の吹いたラッパが、今回の第二革命で風前の灯火のように潰えたのだ。
その腹いせからかエルドアン首相は、エジプトで起こったのは第二革命ではなく、軍によるクーデターだと非難したのだ。そればかりか、このクーデターの後ろには、イスラエルがいるとも主張した。
クーデターによってムスリム同胞団政権を打倒したことの、証拠も手元にあるとまで語り、イスラエルが関与していたと息巻いた。加えて、エルドアン首相はこの一連のエジプトの政変で、アズハル(イスラム教の世界的な権威)が軍の動きを支援していた、とまで言ってのけたのだ。
しかし、この一言は完全にエジプト側を激怒させたようだ。エジプト政府のスポークスマンが、ただではおかないと公式の場で語り、アズハル高等学者会議の書記長である、アッバース・ショウマーン博士は『エジプトがイスラエルと取引していることなどない。エルドアン首相はムスリム全体に対して詫びを入れろ』と語っている。
同じように、エジプトのカソリック教会のトップである、ラフィーク・ジャリーシュ師もエルドアン首相の、シェイク・ル・アズハル(アズハルのトップ)に対す悪口を非難している。
エジプト外務省スポークスマンの、バドル・アブドルアーテイ大使は、エルドアン首相がエジプトで起こった第二革命を、大衆による革命ではなく、クーデターだと言ったことに、腹を立てている。このエルドアン首相の発言は、今後エジプトとトルコとの関係に、大きく悪影響を及ぼし、トルコはとんでもない代償を、支払うことになろうと語っている。
こうしたエジプト側の動きを知ってか知らずか、トルコはエジプトの安定化にしかるべき貢献ができる、と言い出している。この安定策はアメリカや欧州諸国、アラブ首長国連邦、カタールなどが関与しているということだが、エジプトはトルコの出しゃばりに腹を立て、素直に受け入れはしないだろう。
いずれにしろ、エルドアン首相はどうも自分の実力を、過大評価しているようだ。そのつけは決して安くはないだろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:13 | この記事のURL
NO・2930『シリアを叩けばイスラエルが危険に』 [2013年08月26日(Mon)]
シリアによる化学兵器使用は、ほぼ間違いないという結論を、アメリカ政府は出したようだ。そうなると、アメリカ軍によるシリアへの、ミサイル攻撃が想定されるのだが、そう簡単ではあるまい。
アメリカ国民の60パーセントは、シリア攻撃に反対している。乱暴な言い方が許されるならば、シリアに軍事攻撃をしても、アメリカは何のメリットも得られない、ということであろうか。
アメリカがシリアに対して、軍事攻撃をして得られるメリットは、イスラエルの安全度が高まる、ということだが、そうとばかりは言えないようだ。イスラエルがしかるべき反撃を、受ける可能性が、否定できないからだ。
すでに、レバノンのヘズブラに対して、イスラエル軍は攻撃をしているが、それに対し、ヘズブラ側は明確な反撃をしていない。それは本格的な反撃を、準備しているからかもしれない。
イランもまたイスラエルに対して、しかるべき攻撃を準備しているのではないか。かつて湾岸戦争の折に、イラクがイスラエルをミサイル攻撃したことを、イスラエルの軍は忘れてはいまい。イランからイスラエルに届く長距離ミサイルは、幾らでもあるのだ。
イランはこれまで何度も、シリアに対する軍事攻撃があった場合は、しかるべき対応をすると語っている。それはイラン軍の軍事顧問団が、シリア国内に相当数入っていることもあるからであろう。
したがって、 シリアが攻撃されるということは、イランにしてみれば、自国民も犠牲になる、ということなのだ。もちろん、レバノンのヘズブラやイランばかりではなく、ロシアや中国の軍事介入も、ありうるということではないのか。
シリアの政府高官は、もし、シリアが軍事攻撃を受けることになれば、第三次世界大戦が始まることになる、あるいは中東地域全体が戦場になる、と言っている通りかもしれない。
こうした緊迫した状況下で、イスラエルも真剣にシリアに対する、軍事攻撃の自国に及ぼす影響を、検討し始めているようだ。最近になってイスラエルは、もしシリアに対する軍事攻撃が起これば、イスラエルは最前線に位置する国家になる、と言い始めている。
アメリカがイスラエルを守ろうとして、シリアに対し軍事攻撃を始めるのだ、と言うのならば、それは全く逆の効果を、イスラエルにもたらすのではないか。イスラエルはシリア攻撃によって、必要のない危険にさらされることになる、ということではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:09 | この記事のURL
NO・2929『化学兵器殺害とミサイル殺害の違いは』 [2013年08月25日(Sun)]

 国連の査察団がシリアに入り、化学兵器使用に関する調査を行うことになった。国連の査察団がシリアに入国すると、タイミングよくシリア政府が、軍に命令を下し、化学兵器を用いてシリア国民を多数殺害した、というニュースが伝えられた。
 私の常識からすれば、シリア政府がこんなにもタイミングよく、化学兵器を使用するとは、とても考えられないのだが、世界中の常識ある人たちの間には、シリア政府軍が化学兵器を使用した、という認識が定着している。
 国連の化学兵器査察団が、やがて結論を出すだろうが、多分あいまいなものになるのではないか。つまり、化学兵器をシリア軍が使用したのか、反体制派が使用したのか断定できない、というものになるのではなかろうか。
 こうすることによって、国連は中立公正である立場を一応維持し、世界の国々の信頼を維持し続けることが、できるということだ。しかし、『国連の化学兵器査察団がシリアに入った』ということと、そのタイミングで『シリア国民の多くが化学兵器の犠牲になった』という事実は、結果的にシリア政府軍が化学兵器を使用した、というイメージを世界に定着させるのではないのか。
 以前にも書いたが、嘘も百篇言うと本当になるのだ。『国連』『シリア政府』『化学兵器』という三つの単語がマスコミで踊れば、その三つの単語は何時の間にか、ニュースの受け手の頭のなかで、ひとりでに文章を構成してしまうのだ。
 そうなると、幾つかの主要国がシリア非難に回り、シリアに対する軍事攻撃を実行し、化学兵器の使用を止めさせよう、ということになる。既に幾つかの国は軍事行動に向けて、動き出している。
 その結果は述べるまでも無い、化学兵器によって殺害された、といわれている人数の、何十倍何百倍のシリア人が、殺されることになるのだ。
 かつてイラクでは、サダム・フセイン大統領が独裁者であり、非人道的な行いをしており、イラクはサダム・フセイン大統領の指揮下で、核兵器や化学兵器を製造しているといわれた。
 その報道が何度も繰り返されているうちに、世界の人たちの脳内にその言葉が定着し、それぞれが文章を構成していくことになるのだ。そこから出てくる結論は『サダム・フセイン大統領は非情で危険な人物であり、国民を苦しめ化学兵器や核兵器を製造して、周辺諸国の人たちも殺害するつもりだ。』ということになる。
 刷り込み効果の恐ろしさを知るべきだ。やがてシリア国民を大量に殺害するための、国際的な正当性が生まれてくるのだから。
Posted by 佐々木 良昭 at 18:43 | この記事のURL
NO・2928『アルカーイダ次世代はエジプトから』 [2013年08月24日(Sat)]

 ヨルダンで発行されている新聞に、英字紙のヨルダン・タイムズがある。そのヨルダン・タイムズが最近、ギョッとさせる記事を掲載した。その記事のタイトルは『アルカーイダの次世代はエジプトで生まれる』というものだった。
 確かに、大衆の圧倒的な支持のもとにとは言いながらも、ムスリム同胞団政権が軍の力によって打倒されており、多数の死傷者が出ている。そのことがムスリム同胞団の中の、強硬派を刺激していくということであろう。
 ムスリム同胞団の内情に詳しくない者に言わせれば、ムスリム同胞団の若いメンバーが強硬になり、武力闘争を激化させていくということであろう。その段階で、ムスリム同胞団の強硬派とアルカーイダが連携し、新たなアルカーイダのメンバーが、エジプトの中から多数誕生してくるという考えだ。
 アルカーイダの幹部であるザワーヒリの弟、ムハンマドも軍に逮捕されている。当然のことながら、アルカーイダの幹部はエジプトの若者たちに対し、武器を持って立ち上がり、軍に対抗するよう呼びかけている。
 確かに7月5日には、エジプトで『エジプト・シャリーア組織』という名の組織が誕生している。この組織は『エジプトでイスラムに対する戦争が宣言された、戦いに備え、武器を持ち訓練を始めろ』と訴えている。
 ムスリム同胞団が政権を担っている時期に、モルシー大統領は多数のイスラム原理主義者や凶悪犯を釈放し、シナイ半島北部に送っており、現在シナイ半島の北部は、ある種の解放区になっている。
 シナイ半島北部はこれらのイスラム原理主義者や、犯罪者によって武器、麻薬の密輸取引ゾーンになっているのだ。もちろん、ガザのハマースが、その協力者になっている。
 したがって、シナイ半島北部の地域はアルカーイダにとっても、自由に行動の出来る地区になっているのだ。そのシナイ半島北部から、エジプト本土に彼らが活動を起こしていけば、エジプト本土内に多数のアルカーイダ・メンバーが、誕生するということのようだ、
 シナイ半島に居住するベドウインも、イスラム原理主義者と連携し密輸の利益を得ているということだ。
 しかし、ヨルダンのジャーナリストの予測とは異なる展開が、これからのエジプトで始まるのではないか。エジプト軍は徹底してイスラム原理主義者を叩くだろうし、その対応は徹底したものになろう。エジプト国民の多数は世俗的な政治が、行われることを期待している。そうなると、イスラム原理主義が拡大する余地は、狭いのではないか。そうあって欲しいものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:51 | この記事のURL
NO・2927『中国の辮髪を思い起こさせるエジプトの昨今』 [2013年08月23日(Fri)]
だいぶ前に、中国の歴史の本で読んだのだが、中国では頭髪を長くすることが奨励された辮髪時代と、そうでない時代とがあった、と書いてあったような気がする。その時その時の、権力者の意向を受け入れない者は、とんでもない罰を受けたという話だったと思う。
今のエジプトには、中国の辮髪に似たような話がある。それは最近失脚したムスリム同胞団の政権の時代には、顎鬚を伸ばすことが奨励されていた。それは述べるまでもなく、ムスリム同胞団のメンバーが、顎鬚を伸ばしていたことによる。
ムスリム同胞団のメンバーは、イスラム教の預言者ムハンマドが顎鬚を伸ばしていた、という故事にならって、顎鬚を伸ばすことが奨励されていたのだ。顎鬚を伸ばすことは、イスラム教では義務になってはいないが、スンナ(行った方がいいとされる、預言者ムハンマドの慣行)と位置付けられている。
ムスリム同胞団のメンバーであるモルシ−氏が、大統領の座から引きずり降ろされた後は、ムスリム同胞団メンバーと世俗派の国民が、衝突していることや、軍警察によってムスリム同胞団メンバーが、逮捕されていることなどから、ムスリム同胞団のメンバーではないが、いままで顎髭を伸ばしていた人たちが、生活の便宜上顎鬚を、剃り始めているということのようだ。
女性もしかりであり、女性の場合には目だけを出し、他はすっぽり隠す服装(ニカーブ)をしていた人たちが、次第に顔をあらわにするように、なってきているということだ。
ある男性は、自分の顎鬚を剃ったことについて、なぜ顎鬚を剃ったのか、と問われたのに対し、『検問所を通過するときに警察や軍人が、ムスリム同胞団と疑って、厳しい取り調べをするからだ。』と答えている。
確かにそうであろう。取り締まる警察や軍の側からすれば、ムスリム同胞団のメンバーが、自爆テロをする危険性があることから、それと似た格好をしている人に対しては、ことのほか厳しい対応をしよう。
女性の場合はアバーヤという、身体全体を包む服装に、顔をすっぽり包む服装となれば、その服の下に機関銃や他の武器、爆発物を隠し持っている、危険性もあろう。当然のことながら、軍人や警察は彼女らも、厳しいチェックの対象とすることになる。
エジプトはアラブ世界の中で、これまで開放的な国と認識されてきていた。もちろん一旦地方に出かけると、昔ながらの服装とライフ・スタイルが残ってはいるのだが。それが今では時の権力によって、少なからぬ影響を受けるという現状は、さみしい限りだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:26 | この記事のURL
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