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NO・2858『シリア問題ジュネーブ会議は開催が困難』 [2013年05月31日(Fri)]
アメリカのケリー国務長官が、ロシアや中東の関係国との間に進めてきた、シリア問題をめぐる、ジュネーブ会議の開催が危ぶまれている。場合によっては、開催が不可能になるかもしれないということだ。
それは、第一にシリアの反政府勢力であるシリア国民会議(SNC)が、このジュネーブ会議参加に際して突き付けた条件が、あまりにも現実的ではないからだ。シリア国民会議は反シリア勢力各派の集合体であり、各組織がそれぞれに利益を考慮して、意見を述べているのであろう。
こうした形では結局のところ、強硬論を吐く者が優位に立つことになる。その強硬論とは、アサド大統領とその家族を国外追放するか、権力の座から引きずり下ろすかだ。こんな条件を会議の前に提示されたのでは、アサド体制側が会議に参加できるはずはないだろう。
シリア国民会議はアサド体制の政府高官についても、同様の厳しい要求を、突き付けている。軍の幹部、治安の幹部は押し並べて、辞任しろというものだ。そして、彼らには将来を含めてであろうが、政治に関与する権限を与えないというものだ。
リビアの前例を引けば、カダフィ体制の高官だった人物は、革命後の体制内部でしかるべき地位を得られないということが、リビア議会で決定されている。つまり、シリアの場合も同様に、全てのアサド体制につながる高官たちは、政治の世界から追放されるということであろう。
他方、アサド大統領側も決して弱腰ではない。アサド大統領はシリア国民が望むのであれば、彼の大統領任期が切れた2014年の大統領選挙に、再立候補するつもりであることを明かしている。シリア国民がそれを望むか、望まないかにかかわらず、アサド大統領はそれまで持ちこたえれば、立候補するということであろう。
こうしたアサド体制側の強気の裏には、ロシアがアサド体制を絶対守りぬく、という強い姿勢が示されているからであろう。加えて、ヨーロッパ諸国,なかでもフランスとイギリスが、シリアの反体制側に武器を供与することを決めた後、ロシアは最新型の地対空ミサイル、S-300をシリアに供与している。
このミサイルに加え、他にも幾つかの新型兵器が、ロシアからシリア政府側に提供されている。その結果、アサド体制側は十分戦いが続けられるし、最終的には反体制派をねじ伏せることに、成功すると読んでいるようだ。
いずれにしろ、シリアの内戦は当分のあいだ、続くということになりそうだが、その結果一番将来を担っていくべき、若者たちが犠牲になるということだ。幸いにして、命を長らえることができた者も、多くは身体障害者になっているのではないか。そのことはシリアの将来を、限りなく暗くするということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:19 | この記事のURL
NO・2857『これが事実なら重大犯罪であり許されるべきではない』 [2013年05月30日(Thu)]
イランのプレス・テレビのサイトは、他が全く触れないような情報を流すので、興味深く見ているサイトの一つだ。
そこが最近流した情報に、次のようなひどい話がある。これが事実であるとすれば、到底許されるべきではあるまい。
パレスチナのガザは封鎖されており、ほとんどの物資は、イスラエル経由で入ってきている。もちろん非合法なものや、危険と思われるもの、搬入に制限がかかっている、セメントを始めとする建築資材などは、イスラエルからは入ってこないので、ガザとエジプトのシナイ半島を結ぶ秘密のトンネルから、入っているのだが。
そのイスラエルからガザに入っている物のなかには、医療関連の品々もある。薬品はもちろんだが、手術を必要とする重病患者に用いる、麻酔酸素ボンベもその一つのようだ。その麻酔酸素ボンベが、実はとんでもない代物だった、と伝えているのだ。
イスラエルから来た、麻酔酸素が詰まっているはずのボンベには、麻酔酸素ではなく、酸素と炭素ガスが混じったものだったというのだ。このため手術を受ける患者は、痛みを止めるのではなく、死に至っているというのだ。
この炭素ガスボンベの使用によって、死亡したガザの患者数は、数百人にも上るということだ。そしてこの炭素ガスは、イスラエルの刑務所に収監されている、パレスチナ人受刑者の手術時にも、使われているということのようだ。
もちろん、この問題はガザの医療責任者たちによって、国際赤十字や、世界健康組織に対して、訴えられているということだ。
もしこのことが事実であるとするならば、イスラエルのユダヤ人たちは、自分たちがナチス・ドイツによって行われたと主張している、ガス室を使った殺人と同じ犯罪行為を、行っているということになるのではないか。
この情報が嘘であることを祈りたい。あまりにも非人道的すぎるではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:45 | この記事のURL
NO・2856『エチオピアの巨大ダム計画にエジプトが憤慨』 [2013年05月29日(Wed)]
スーダンとの国境に近いグムズ地区に、エチオピアが巨大なダムの建設を、計画している。完成時の発電能力は6000メガワットということであり、原発の発電量で計算すると、6基分の発電量だということだ。
エチオピアはこの膨大な量の電力を、自国だけではなく、周辺諸国にも売る計画のようだ。
ダムは47億ドルの予算が見積もられている。そこで疑問に思うのは、そんな巨額を今のエチオピアは、どう集める気なのだろうかということだ。どんな素晴らしい計画も、資金の目処が立たなければ、絵に描いたモチに過ぎない。
青ナイルに建設が予定されている、このダムについてエジプト政府は、同国が最も川下であることから、クレームをつけ始めている。自分の国に流れてくる水量が減れば、アスワン・ハイダムの発電量も減るし、農業や工業生産用の水が制限されれば、影響が出るからだ。
エジプトがだいぶ前から、エチオピアの大型ダム建設に、神経を尖らせてきたのには訳がある。もし、エチオピアが建設したダムを満杯にし、一気にそれを放出すれば、エジプトのダムは決壊し、大洪水が起こる危険性があるからだ。
もちろん、農業や工業への水不足が響くことが懸念されもしよう。同時にナイル川の水量が減れば、川下のナイル川の流れは遅くなり、いまでも水質が悪化しているものが、もっと悪化しとても飲料には使えなくなる、危険性があろう。その水質汚染問題は、すでに起こっているのだ。
エジプト政府は以前から、エチオピアのダム建設には、イスラエルが資金調達する、と考えてきた。そうであるとすれば、イスラエルは悪意でこのダムを活用することを、考えるだろうという推測があるのだ。
しかも、その推測は荒唐無稽なものではない。エチオピアの巨大ダムが完成する以前の話として、イスラエルによるエジプトの、アスワン・ハイダムへのミサイル攻撃ということが、話題に上ったことがあったのだ。
アスワン・ハイダムの真下には活断層があり、ミサイル攻撃を受けた場合には、ダムが完全に崩壊してしまう、危険性があるのだ。そうなると、アスワン・ハイダムがミサイルで攻撃を受けた数時間後には、カイロの街のほとんどが大洪水に見舞われ、水没してしまうという予測がある。
こうして考えてみると、エチオピアが建設を予定している巨大ダムは、エジプトにとっては大問題であることが分かろう。もちろん、エジプトはイスラエルがアスワン・ハイアムを攻撃するとか、エチオピアに命令して一気に水を放流するとかといったことは、表立っては口に出来ないだろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:21 | この記事のURL
NO・2855『ケリー国務長官のPAへの40億ドル援助』 [2013年05月28日(Tue)]
少し前に、イスラエル政府がヨルダン川西岸の住民を対象に、1500戸の住宅を建設する、と発表したことを伝えた。その建設場所はジェリコ(アル・アリーハ)の近くであり、ヨルダンと橋でつながれているあたりであろう。
何故、イスラエルは経済難に悩んでいるなかで、パレスチナ人のための住宅を、建設する必要があるのか。当然それには裏がある、と考えるのが常識であろう。つまり、イスラエルは何らかの理由があり、パレスチナ人の住宅を、この場所に建設する必要が生じたのだ。
もし、パレスチナ人がここに集まってくれば、そのなかの不穏分子の、ヨルダンへの追放は容易だ。パレスチナ人がここに引っ越してくれば、ヨルダン川西岸地区の彼らの土地は使われなくなり、二束三文で買い上げることができよう。
つまり、イスラエルがジェリコのそばに、1500戸の住宅を建設するのは、パレスチナ人をヨルダン川西岸地区から、合法的に追い出すためではないのか。イスラエルはパレスチナ人に対し、この地域には工場が建設される予定であり、将来就職が容易になる、とも宣伝するだろう。
同じように、どうしても常識では納得のいかないことがあった。それは中東を訪問していたケリー国務長官が、パレスチナ自治政府に対して、40億ドルの経済活性化支援をすることを、発表したのだ。
40億ドルもの金がパレスチナ自治政府に渡れば、その半分は幹部が山分けし、残りが地域に投入されるだろう。この場合の投資の対象地域は、ヨルダン川西岸地区の一部の、都市であろうから、それはそれなりに経済効果を生み出そう。
しかし、なぜアメリカはケリー国務長官をして、このことを語らせたのであろうか。うがった見方をすれば、アメリカはヨルダン川西岸地区を、大きく変化させるために、援助を決定したのではないか。
オバマ大統領は軍隊を送りこまない、平和の実現に力を入れると語っているが、その対象はパレスチナ問題も含まれるのであろうか。そしてアメリカが突き付けた、この40億ドルの見返りに、アメリカは何をパレスチナア自治政府に、要求したのであろうか。
考えるに、アメリカは前提条件なしの和平交渉再開を、マハムード・アッバース議長に要求したのであろう。これまでヨルダン川西岸地区への、イスラエル人の入植を止めることが、和平交渉再開の前提になっていた。それを覆すのが目的ではないのか。
和平交渉がこの前提なしに進められれば、イスラエル側は和平交渉の裏で、どんどん入植地を拡大し、増やしていくであろう。そして、最終的に和平が合意される段階になったときには、ヨルダン川西岸地区の多くの部分が、イスラエル人の居住区になっている、ということではないのか。
パレスチナ自治政府の幹部たちは、マハムード・アッバース議長とケリー国務長官との間で、どんなやりとりがあったのか、全く報告を受けていない、と口をそろえて語っている。そのことは公開できないような内容が、マハムード・アッバース議長とケリー国務長官との間で、話し合われたということではないのか。
マハムード・アッバース議長に言いたい『君国売りたもう事なかれ、パレスチナに生まれし君なれば土地への愛も濃かろうに』しかし慾は全てを盲目にするのかも知れない。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:51 | この記事のURL
NO・2854『停電の効能についてのムスリム同胞団の説明』 [2013年05月27日(Mon)]
エジプトではデーゼル・オイルの不足が目立ち、それがあらゆる分野に、影響を及ぼしている。例えば、農民は農機具を動かせない状態が起こり、生産が減少するだろう、と予測されている。
運送業者もしかりで、定期便を減らしたり、貨物の輸送の頻度を、減らしているようだ。つい最近では、通勤用の乗り合いのミニバス・タクシーが、営業を停止している。
もちろん、デーゼル・オイルの不足は、発電にも影響を及ぼしているようだ。カイロをはじめとした各都市部や農村部でも、デーゼル・オイル不足から発電量が限界点に達し、停電が頻発しているようだ。
当然のことながら、こうした状態には庶民の間に、不満が膨れ上がる。それをどうかわすかが、ムスリム同胞団政権の、腕の見せ所であろう。
最近、カイロで語られている、ジョークとも真剣な意見とも受け止められる、次のような話がある。
:停電になるとローソクの灯りを囲んで、父親のもとに家族が集まって、夜の時間を過ごすから、家族関係が良くなる。
:エアコンが止まり扇風機が回らなくなると、暑さの意味がよくわかるようになる。
:階段を足で上がり降りすると、血液の流れが活発になり健康になる。
:停電になると新聞などを読まなくなり、糖尿病の解消に役立つ。
:停電は目で見えないことから、触ったり聞いたりする能力が高まる。
:停電になるとマッチやローソクの消費が増え、地場産業を活性化させる。
:停電になるとアッラーに許しを請い、電気が回復するとアッラーに感謝するので信仰が深まる。
何やら冗談めいた話だが、ムスリム同胞団にしてみれば、庶民の感情が爆発しないよう、暴発防止策として真剣に考えた結果、発表した停電認識の指導要領であろう。
アッラーへの信仰深い エジプトの住民は、それでも停電下の暑さを、やり過ごせるかもしれないが、私のような来訪者にはつらいだろう。カイロ出張の滞在予定は、6月12日から6月16日だ。今から暑さが身体に、侵入してくるような気がする。
部屋の暑さ、エレベーターが止まり階段の、徒歩による上り下り、冷たい飲み物のサービスがない状態、いまから『アーーッ』と叫びたい気分だ。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:19 | この記事のURL
NO・2853『ケリー国務長官がモルシー大統領に苦言』 [2013年05月27日(Mon)]

 中東を歴訪していたアメリカのケリー国務長官が、エジプトのモルシー大統領に苦言を呈した。
 それはアメリカがエジプトを経済援助しようとしても、アメリカの議会を納得させられる状況に無い、ということだった。
アメリカとしてはエジプトの革命後、ムスリム同胞団が政権を取り、エジプトを再建させていくだろう、という期待があったからだ。しかし、現状はそうではない、ますます国内状況が悪化しているのだ。
IMFとの交渉でも、一旦はIMFが48億ドルの借款を約束したのだが、その後のエジプトの経済状況は、何等改善されていない。そのために、IMFとエジプト政府との交渉は、頓挫した状態になっている。
ケリー国務長官にしてみれば、少しでもエジプト政府が経済改善の努力をし、何らかの前向きな状態を生み出せば、それを口実にアメリカ議会を説得し、援助を引き出すことが出来るのだが、全くそうした状態に無いことに、痺れを切らしたのであろう。
エジプトの観光業は、最も大きな外貨獲得手段の一つだが、この分野でも改善は見られないし、同時に外国からの投資も、全く改善の兆候を示していない。これではアメリカの援助も、IMF の借款も提供できないということであろう。
今後も現在の状態が続けば、エジプトはどの国からも援助や借款が、期待出来ず、ジリ貧になっていき、経済危機に突入し、国民は基礎的なパンさえも、口にすることができなくなるということだ。 
そうなれば、エジプト社会はそうとう混乱せざるを得なくなろう。アメリカやIMFがムスリム同胞団政権に対して、支援を送らないのは政治的な駆け引きからなのか、あるいは純然たる経済的理由なのかは、まだ分からない。
しかし、明らかなことは、エジプトがいま経済危機の、時限爆弾が爆発する時を待っているということだ。
アメリカはエジプトにムスリム同胞団政権が誕生し、汚職が追放され、イスラム的民主主義が実現していくことに、期待していたのであろう。それはトルコの成功例を、判断材料にしたためであろう。
しかし、エジプトとトルコとでは、社会の発展段階が異なるし、民主化の発展段階も異なっているのだ。そのことをアメリカは誤解したのであろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 00:26 | この記事のURL
NO・2852『革命の後の混乱は悲劇を増大させている』 [2013年05月25日(Sat)]

 アラブの幾つもの国で革命が起こり、幾つもの国でいま革命が進行している。それを見ていて感じるのは、アラブの人たちは他の国の例に学ばないのか、ということだ。
 日本人の常識で考えれば、他の国が革命を起こし、体制を打倒した後に、大混乱に陥っているのを見れば、自分の国で革命を起こすことをためらうだろう。革命前と革命後の状況を見れば、誰にも革命後の方が酷くなっていることが、分かるからだ。
 チュニジア、リビア、エジプトなど革命を先行した国は、革命が達成されてから2年以上の時が過ぎているが、革命の成果ではなく革命の混乱が、ますます酷くなっているのだ。
 国民の生活状態を良くするために行われたはずの革命は、国民により一層の貧困と、より一層の混乱と暴力をもたらしているのだ。革命前にはかろうじて手に入れることが出来ていた、最低限の医療や食料が、今では手が届き難い状態になっている。
 言論の自由もしかりだ。革命が達成された国では、機関銃を担いでいなければ、何も言えなくなっているのではないか。つまり、言論の自由は権力や武器を手にした者たちにのみ、与えられるということだ。
 権力も武器も手にすることが出来なかった者たちは、自分の住む家を破壊され、自分の父祖のから追い出され、難民となって周辺諸国に住むことになった。そこには仕事があるわけは無く、受入国や国際機関の援助で、日々糊口をぬらしているのだ。
 援助は十分ではなく、新たな悲劇が始まっている。以前に書いたが、イラク国内が内戦で混乱しているとき、多くのイラク国民がシリアやレバノンに、難民として逃れた。
彼等は仕事が無く、一家の長が家族を養うことは不可能だった。結果的に家族を代表して、若い娘が夜の仕事に就いたのだが、そのことが知れ渡ると、家族の男たちは一家の不名誉として、彼女たちを殺したのだ。一家の名誉を守るためだとして、この殺人は『名誉の殺人』と呼ばれ、社会的には非公式に認められ、殺人者たちが裁かれることは無かった。
 これとは形は異なるが、今回のシリア内戦下で、ヨルダンに逃れた家族の場合は。家族が食べていくために、若い娘たちが臨時婚をさせられている。イスラム法的には認められるのだが、その実態は一定期間契約した、売春以外の何物でもないのだ。
 エジプトからも悲しいニュースが伝わってきている。世界的に観光地として知られる、エジプト南部のルクソールで、女性がよからぬ行為をしたということで、家族の男たちが彼女を殴打し、毛布に包んでナイル川に捨て、殺害したというのだ。
 エジプトがムスリム同胞団という、イスラム原理主義組織によって権力を握られたいま、このルクソールの名誉の殺人は、結果的には無罪になるのではないのか。
 チュニジアの母親たちは、息子たちがジハード(聖戦)の戦士として、シリアの戦闘に参加するのを止めて欲しい、とムフテイ(宗教最高権威者)に懇願し、デモを行っている。チュニジアのムフテイは賢明にも勇敢に『シリアの戦闘に参加することはジハードではない。』と宣言している。
ジハードといえば聞こえはいいのだが、その実態は戦闘が仕事の出稼ぎなのではないのか。シリアに向かうジハーデスト(聖戦の戦士)らは、月額で800ドルを手にすることが出来ていると言われている。この金額は革命後に仕事が無い国の若者たちにとっては、まさに『高級優遇』の仕事であろう。
 戦闘に慣れているといわれる、レバノンのヘズブラの戦闘員は、既に75人以上がシリアで戦死している、と伝えられている。そのことを考えると、戦闘経験の無いチュニジアの若者たちは、何処まで戦えるのか、あるいは何処まで自分の命を守れるのか疑問だ。
 革命という言葉、ジハード(聖戦)という言葉は、人を酔わせる麻薬のような効果があるのだろう。しかし、その麻薬の後遺症はきつく、しかも長い期間に渡って、及ぶのではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:46 | この記事のURL
NO・2851『イラン暴発への道程・ラフサンジャニ師口を開く』 [2013年05月24日(Fri)]
重い腰を上げて、イランの大統領選挙に挑もうと思ったラフサンジャニ師は、ハメネイ師側の策略で、立候補者名簿から外されてしまった。彼と並んでアハマド・ネジャド大統領の後継者である、マシャエイ氏も候補者名簿から外されている。
そして発表された立候補者名簿を見ると、8人の候補者の全てがハメネイ氏寄りの人物であり、その半数は比較的穏やかな人たちと言われている.アレフ氏、ガラージ氏、レザエイ氏、ローハーニ師らがそれだ。
しかし、彼らが政権を担当しても、ハメネイ氏や革命防衛隊の意向が、強く出るであろうことから、大きな変化は期待できまい。これまでと変わらない政治が続くということは、イランの経済状況がますます悪化していき、孤立を深めていくということではないのか。
ラフサンジャニ師が78歳という高齢を押して、今回大統領に立候補したのは、そうしたイランの国内外情勢を、正確に把握していたからであろう。
ラフサンジャニ師は最初沈黙を保っていたが、ついに重い口を開き始めた。開き始めたというのは、今後も彼が重要な発言をする、可能性があるということと、彼の言葉がイラン国内に変化をもたらす、可能性があるという意味だ。
ラフサンジャニ師はイランがいま直面している、巨大な経済問題を何とか解決したいと望んでいる。その原因は、政府の運営の仕方に問題があり、無知と、能力不足であり、経済制裁にあると語っている。
ラフサンジャニ師は『いかなる陰謀によっても、イランが直面している現在のような、酷い状況は生まれまい。』とまで語っているのだ。それは外交のミスであり、緊張緩和を西側諸国と図り、経済再建を国民一致でやらなければならない。」と語っている。
彼ラフサンジャニ師が言うように、イランを運営する人たちは『自分たちが何をやっているのか分かっていない』のかもしれない。
このラフサンジャニ師の厳しい発言内容を、ハメネイ師側では『ラフサンジャニ師はハメネイ師が考えていたと同じことを語った。心を落ちつけて、国民が統一して国難を切り抜けようということだ。』といったニュアンスに変えて報じている。
ラフサンジャニ師はこの後、沈黙を再度繰り返すのか、あるいは二本目の矢を放つのか、まさに見どころだ。どちらかと言えば、第二の矢が放たれるのではないか、と思われるのだが。しかし、それは相当の破壊力をもつであろうから、イラン国内は混乱するということではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:06 | この記事のURL
NO・2850「ハデースの新解釈本トルコが出版の意思』 [2013年05月23日(Thu)]
イスラム教徒にとって、コーランとハデースは最も重要な本だ。すべてのイスラムの法は、この二冊の本を主要な法源としている。コーランは述べるまでもなく、アッラーの言葉(命令)であり、ハデースは預言者ムハンマドが言ったこと行ったことをまとめた本だ。
毎週金曜日にはこの二つの原典から、モスクのイマームたちが教えを引き出して説法し、それをイスラム教徒たちは聞いて、日々の生活に活かすというものだ。したがって、コーランは述べるまでもないが、ハデースの内容も、多くのイスラム教徒たちが、ある程度は知っている。
しかし、最近では預言者が生存していた時代から、1600年以上もの時間が経過しており、実際に生活に当てはまるとは、限らなくなってきている。そこでコーランは別として、ハデースを考え直そう、という動きが起こってきた。
トルコのアンカラで17000あるとされる、ハデースから数百を選び出し、新たな解釈をしてみよう、という動きが起こった。まさにこの動きは、キリスト教世界のマルチン・ルターの、宗教改革の動きに通じる、と表現する人もいる。
他方、アラブの学者のなかには、ハデースの次はコーランに解釈を加えようというのか、という皮肉めいたことを口にする人たちもいる。確かに保守派の学者たちにしてみれば、嫌みの一つは言いたいところであろう。
こうした批判的な学者がいることは、トルコの学者たちも分かっており、だいぶ前からエジプトのアズハル大学の学者たちと相談しながら、この計画は進めて来ていたようだ。そのことによって、大きな間違いはないという保証を、付けようと思ったのであろう。それだけエジプトのアズハル大学には、イスラム世界で権威があるということであろう。
イスラム世界といっても均一ではなく、女性たちの服装についていえば、スカートをはく国もあれば、頭からつま先まですっぽり包む国もある。アルコールについても同様で、おおらかな国もあれば、絶対禁止の国もあるのだ。
今回のハデース新解釈本は、7月ごろからトルコの印刷会社でプリントされ、ラマダン月には書店に、並ぶ見通しだということだ。
今回出版されるハデース新解釈本は、当面のところトルコ国内向けであり、それにドイツのようなトルコ人移住者の多い国に送られるということらしい。したがってトルコ語版、トルコ語ドイツ語版、そして元オスマン帝国版図の一部であったボスニアのイスラム教徒にも送られるようだ。
現段階では、アラビア語版や英語版は検討されていないが、アラブやイギリスなどから、出版の問い合わせが来ているということだ。この試みがイスラム世界で受け入れられ、拡大していくとすれば、大きな宗教的革命が起こる、ということであろう。それだけに大きな危険も、伴っているということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:40 | この記事のURL
NO・2849 『クルド人という人種は悲劇が好きなのか?』 [2013年05月22日(Wed)]
クルド人という民族は、どうも悲劇が好きなのではないか、と錯覚してしまう。クルド人の総人口は3千万人とも、4千万人とも言われているが、これまで国を持った歴史がない。第二次世界大戦の後ほんの半年ほど、クルド国家が創立されたことはあるが、間もなく姿を消ししている。
その後はトルコの東部、アルメニア、イランの北西部、イラクの北部、そしてシリアの北部に散在してきている。当然これまで、幾つものクルド人独立の為の組織が結成されてきたが、資金や武器の入手のために、結果的には対立する国家同士に利用されたり、アメリカやイスラエルに利用されてしまっている。
トルコが手を焼いたクルドの独立組織PKK(クルド労働党)は、イスラエル、アメリカ、シリアなどの支援を受けてきているし、それらの一部は未だにPKKに、支援を送っているとも言われている。
そのクルド人がシリアの内戦のなかに巻き込まれ、戦闘に参加せざるを得なくなり、その流れのなかから、分離独立の機運も生まれ始めた。それはそれで結構なことなのだが、そう簡単でもないようだ。
その最大の壁は、同じクルド人であるバルザーニ議長だ、彼は北イラクのクルド地区を牛耳っており、クルド自治政府なるものを運営している。その地域は大量の石油ガスを生産するため、ここを抑えているということは、他のクルドに比べ、優位にあるということだ。
そのため、バルザーニ議長は資金的に余裕があり、他のクルド組織に応分の支援をしているということのようだ。もちろん、支援を送るのは、バルザーニ議長が他のクルドをまとめて、より大きな力を持とう、と思っているからに他ならない。
シリアで誕生したクルド組織は幾つかあるが、それらのクルド組織はバルザーニ議長のリードによって合同会議を開催し、お互いに協力して目的を達成していこう、という方向が定められた。
しかし、最近になってクルドの民主統一党(PYD)が、飛びぬけた行動をしている、とバルザーニ議長が非難を始めた。シリアのクルド組織にはPYDばかりではなくKNC(クルデスタン民族議会)というものもある。
問題が起こったのは、北イラクのクルド自治政府と関係がいい、他のシリア・クルド人数十名が、PYD によって人質にとられたことに始まる。彼ら人質の総数は75人で政治活動家たちであったということだ。
これらの人質たちはその後釈放されたが、クルド自治政府のバルザーニ議長にとってはきわめて不愉快な思いをしたのであろう。
他方、PYD代表のサーレハ・ムスリム氏は『シリアのクルドはシリアに、イラクのクルドはイラクに住み、独自の方針でいけばいい。我々はEUのようなクルド地域の、関係を構築すべきであり、バルザーニ議長の主導の方式は、採るべきではない。』と語っている。
サーレハ・ムスリム氏の主張は、それで結構なのだが、クルドのこれまでの歴史を考えると、クルド人が一体となって動いた方が、得策ではないかと思えるのだが。多くのクルド組織のリーダーたちが、自分をヒノキ舞台に上げようとすればするほど、ヒノキ舞台から遠ざかってしまう、ということを考えるべきではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:09 | この記事のURL
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